アレクシス・コールAlexis Cole : 「Close Your Eyes」
ピアノ・トリオをバツクに、ジャズ・ヴォーカルのお手本
<Jazz> Alexis Cole 「Close Your Eyes」
Venus Records VHCD1131 , 2013
ビーナス・レコードからの美女ジャズ・ヴォーカル・アルバム。それにしてはあまり品があるとは言えないジャケですね。米国らしいと言えばそんなところですが、”The Sultry Sound of Jazz”(官能的なジャズ・サウンド)というからこんなところなんでしょうか?。このアルバムはたぶん日本のみの盤のようだが?。このアレクシス・コールAlexis Coleは、このビーナス・レコードからこの前にデズニー関係の曲のカヴァーで「いつか王子様がSomeday My Prince will come」 (2009年)をリリースして好評のようであるが、私にとっては彼女はこのアルバムが初聴きだ。
このアレクシス・コールはニュー・ヨーク1976年生まれで37歳と言ったところか。家族は音楽に関わった構成であったようだ。特に父親はピアニスト、作曲家、シンガーというところ。従って彼女自身も音楽に関連した勉強をし、マイアミ大学ではジャズ研究プログラムに入学、1996年にはニュージャージー州ウィリアム・パターソン大学で学士号、2006年コール大学クイーンズ校から修士号などと学問的に音楽の道を歩んできているらしい。
Alexis Cole: vocals
John Di Martino: piano
James Cammack: bass
Duduka Da Fonseca: drums
メンバーはこんなところで、John Di Martinoのピアノ・トリオをバックに彼女の歌が十分納得して聴く事が出来る。下手な技巧を凝らさずにしっかりとした歌声でスタンダード曲を披露。どちらかというとやや太めの声で実がある。そして好感の持てるのは、その曲をどちらかというとオーソドックスな編曲で解りやすい曲として仕上げていることだ。
私としてはこのバックのピアノ・トリオにも注目、つまりMartinoは、あのビートルズを取り上げたロマンティック・ジャズ・トリオのピアノ・トリオ・シリーズ(「THE BEATLES IN JAZZ」「THE BEATLES JAZZ 2」~VENUS Recordsよりリリースしている)が印象深い。余計な話だが、ビートルズは御本家よりは、私は彼等の曲を取り上げたジャズは結構好きなんです。このアルバムではそのMartinoのプレイが聴けて嬉しいところ。
(Tracklist)
1. マイ・ハート・ビロングス・トゥ・ダディ
2. あなたはしっかり私のもの
3. 今夜おしえて
4. クライ・ミー・ア・リバー
5. 夜の静けさに
6. あなたは恋を知らない
7. スモール・フライ
8. ウィッチクラフト
9. 貴方と夜と音楽と
10. クローズ・ユア・アイズ
11. スウェイ
12. 私の彼氏
最初から聴き慣れた曲であるが、ビーナス・レコードの売りの手法でしょうね。私にとっての関心は何と言っても”4. Cry Me A River”だ。この曲ではっきり言ってこの歌手の実力が解る。声がダイアナ・クラールのように低めの太さがあるので、なおダイアナと比べてしまうのだが、まあどっこいどっこい。後半はアレクシスなりきの世界になってこれはこれ立派にこなしている。もともと私はこの曲の近年のお気に入りは、イメルダ・メイがジェフ・ベックのギターで唄ったものなのだが、やはりこれはイメルダ・メイに軍配を上げる。しかしけっしてアレクシスも悪くない、というかむしろジャズ・シンガーの一つの原点を守っているような世界である。
”11.Sway”これは私にとってはローズマリー・クルーニーの歌が強力に頭に何十年も焼き付いているので、どうしようもなくアレクシスはその後ろに置く。
しかし、トータルにはジャズ・ヴォーカルものとしては先に感想したように、バックの演奏と共に比較的オーソドックスで基本的に完成度が高い。既にベテランの境地で唄っていて、従って合格点は間違いないアルバムである。
何度も言うようだが、このジャケがいかん、ジャケなんかどうでもいいって言う人もおられるかどうか?、少なくとも私は気になるんですね。このアレクシス自身のタイプ、そしてアルバムの出來からは全く中身と違うんです。もう少しこのアルバムの世界とマッチングした品のあるモノにして欲しいですね。ビーナス・コードの悪い面の出たジャケであった。
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コメント
ジャケは大事です!!
投稿: 爵士 | 2013年10月 1日 (火) 22時15分
爵士さんお早う御座います
ですよね・・・私のようにLP時代人間はジャケを見ながら聴いたものですから・・・今でもそれは変わりません。ジャケ・アートからいろいろな世界を頭に描きながら・・・・と言うところで。
投稿: 風呂井戸 | 2013年10月 2日 (水) 08時25分