トーマス・エンコThomas Enhco ピアノ・トリオ・アルバム「Jack & John」
フランスの若きエリートの描く世界は?
<Jazz> Thomas Enhco 「Jack & John」
Eighty-Eight's EECD 8802 , 2013
Thomas Enhco : piano
John Patitucci : bass
Jack DeJohnette : drums
若きフランスのトーマス・エンコThomas Encoが、ベテランの二人とトリオを組んでの意欲作。
私にとっては初聴きのエンコの作品。 このアルバムリリースの 「Eighty-Eight's」は、ジャズ関連作品などで有名なプロデューサー・伊藤八十八氏が独自に運営しているレーベルだ。そして今回このアルバムはハイレゾ音源(配信フォーマットは、FLAC/WAVの96kHz/24bit、DSD 2.8MHz/1bit)での配信も開始している。私の目下聴いているのはCDだが、録音は良い方である。
これはエンコの三枚目のリーダー・アルバムのようだ。
この若きピアニストは、1988年生まれと言うから、今年で25歳。3歳でヴァイオリン、6歳からピアノも加えて、クラシックとジャズを同時に学んだというフランス音楽界のエリート中のエリート。フランス・ジャズ界最高の栄誉であるDjango D'Or(ジャンゴ賞)の「2010年 最優秀新人賞」を獲得、第5回Martial Solal International Jazz Piano Competition 2010でも第3位入賞と、既に輝かしきキャリアを持っている。
1 GASTON (T.Enhco)
2 I'M OLD FASHIONED (J.Kern)
3 A TIME FOR LOVE (J.Mandel)
4 EBONY (J.Dejohnette)
5 JACK & JOHN (T.Enhco)
6 PANNONICA (T.Monk)
7 ALL OR NOTHING AT ALL (A.Altman/J.Lawrence)
8 ETUDE OP.10,NO.6 (F.Chopin)
全8曲、うち彼エンコのオリジナル2曲、ディジョネット1曲、その他スタンダード4曲とショパンのEtude1曲という内容。アルバム・タイトル曲のエンコの曲” JACK & JOHN ”は、ピアノを支えるべくのリズム隊のディジョネットとパティトゥッチに敬意を表しての彼等の名を付けて、エンコが挑戦しているところも面白い。
さて冒頭の” GASTON ”は、なんとドラムスからスタート、そしてベースが続き早いリズムを刻み、そこにエンコのピアノがに登場して負けじとやや攻撃的なプレイを展開する。こりゃー面白いや、と聴く方ものめり込む。このあたりは、ベテランとの若き共演者と思えない流れ。そして2曲目の”I'M OLD FASHIONED ”からピアノの旋律がリードした曲展開。なるほど雰囲気はキース・ジャレットだ。
3曲目”A TIME FOR LOVE ”になって、バラード調の味わい深いピアノ・タッチも登場。いやはや彼の甘いマスクとこのピアノ・プレイだと人気がうなぎ登りも良く解る。
とにかく曲の構成も良く、バックの流れもあろうが、もうベテランの世界にも足をいれている感のあるアルバムである。いやはや恐ろしや・・・と、言ったところであった。
いずれにしても、ここで過去のアルバムも聴いてみたくなった。そしてこれからの発展的世界に注目したいと思っているのである。
.....................
葡萄牙(ポルトガル)ー瞬光残像 (2)
(Mosteiro de Batalha / Portugal nov.2013)
(参考視聴)
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