ブラッド・メルドー BRAD MEHLDAUのニュー・アルバム 「MEHLIANA-Taming The Dragon 」
メルドー、本気か?~エレクトリック・デュオ
<Jazz(Altenative、Contemporary) , Progressive Rock , >
BRAD MEHLDAU & MARK GUILIANA
「MEHLIANA Taming the Dragon」
NONESUCH Records / CD / NONESUCH 7559-79579-5 / 2014
01. Taming the Dragon*
02. Luxe**
03. You Can't Go Back Now**
04. The Dreamer**
05. Elegy for Amelia E.**
06. Sleeping Giant*
07. Hungry Ghost*
08. Gainsbourg*
09. Just Call Me Nige**
10. Sassyassed Sassafrass*
11. Swimming*
12. London Gloaming**
(*印ブラッド・メルドー、 **印ブラッド・メルドー&マーク・ジュリアナ)
BRAD MEHLDOU : Synths, Fender rhodes, Piano, Voc.
MARK GUILIANA : Drums, Electronics
メルドーがマーク・ジュリアナとのエレクトリック・デュオを展開。もともとこの二人、もう数年前から実験的プログレッシブ・ミュージックを展開してきている。
そこで登場のこのアルバム。しかし何たるや凄いジャケですね。そしてなんとなんと一曲目”Taming the Dragon”が迫力がある。”いっやー、来たな”とエレクトリック・サウンドと彼のヴォーカルの格好良さに連れ込まれる。そして2曲目” Luxe”これもなかなか圧倒するパワーが湧いてくる。フュージョン、ファンキー、コンテンポラリーと言うニュアンス。そう言えば、昔ハービー・ハンコックがそうした時代があったのを思い出した。ジャズ・ファンキーと言うか、ロックとのクロスオーバーを試みた(あの「シークレッツ」 というアルバムがお気に入りだった)。あれも結構楽しんだので、”やや、メルドーもおまえもか?”と、このアルバムと向き合うのだ。
しかしメルドーは、あのハンコックのロック・ファンキーとはちょっと違う。なかなかムードのある曲も流れてくるのだ。かってのプログレッシブ・ロックにも通ずる美しさも・・・、ちょっとイーノを思わすところもある。
メルドーの単なる実験的世界だけとはこれはどうも言えない。既に彼はこの道でもあるところに自分を見つけているのだろう。5曲目の” Elegy for Amelia E”からムードが変わってくる。あの伝説の謎の死を遂げた女性飛行士のアメリア・イアハートに捧げたのであろうか?、メルドーがどんなところから彼女に関心があるのだろうか?、バックはスペーシーでありながら、Elegyと言うだけに哀愁が漂っている。私はこうした曲が登場するとは良い意味で意外であった。そしてこのエレクトリック・ピアノをアコースティックで演じたらどうなるのだろうか、興味は尽きない。
ドラムスとエフェクト担当のジュリアナは1980年ニュー・ジャージーの生まれ、あのイスラエルのアヴィシャイ・コーエンとトリオで、コンテンポラリー・ジャズを展開した強者(参照:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/avishai-cohen-t.html )。
そして”Hungry Ghost”で次のこのデュオの楽しさを披露する展開に入る。結局のところ挑戦者メルドーの好きな一つの世界をやっているアルバムなんでしょうね。”Gainsbourg”も最後は思索的に終わらせるところがにくい。しかしこうしたアルバムをリリースする彼の度胸には驚かされた。しかし私のミュージック愛好歴からは何の抵抗もなく聴き込んだというのは言うまでも無い。
(試聴) ”Hungry Ghost”, ”Just Call Me Nige”
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コメント
こんにちは。
これは、聴いていて感想が二転三転したアルバムで、最初はいいと思ったのですが、その後長いと思ったり、YouTubeで何曲かライヴを見たら、なるほど、こういうことか、とそのCDからの再現性の高さに驚いたりと、CDにはDVDが付いていてもいいのではないかなあ、と思ったりもしました。
いずれにしても自分の持ち場を離れてのサウンドなので、なかなか書くのが難しかったです。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2014年3月 7日 (金) 19時14分
工藤さん、コメント有り難うございました。
私のように、1960年代からのプログレ愛好者は、ハービー・ハンコックのロック・ファンキーの世界に圧倒され、そんな世界に一つの感動といえるものを経験したものにとって、今回のメルドーの試みはむしろ面白く受け止めた次第です。多分クラシック・トリオはやっぱり彼の基本としてこれからも推し進めていくでしょうから・・・これは一つの愛嬌として、そして彼の現状にあきたらない姿として受け止めたらどうでしょうか?。
TBも有り難うございました。
投稿: 風呂井戸 | 2014年3月 7日 (金) 19時52分
風呂井戸さん,おはようございます。TBありがとうございました。
このアルバム,Mehldauの通常形にシンパシーを感じているリスナーにとっては,受け容れ難い部分もあるのではないかと思います。しかし,私のブログにも書きましたが,彼の音楽性はジャズの世界だけから生まれるものではないと考えるのが自然であり,ここでの音楽も彼のバックグラウンドを踏まえた自然な成り行きだったように思えます。
私もこれがMehldauの行きつく姿だとは思っていませんが,これはこれで面白いアルバムだったと思います。イメージに捉われては本質を見逃すというところでしょうか。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2014年3月 9日 (日) 10時19分
中年音楽狂さん、コメント有り難うございました。メルドーもなかなかやってみせますですね。私のようにロックも聴いてきた人間にとっては、クロスオーバー的な挑戦も面白いと思って聴きました。E.S.T.あたりも健在であれば・・・・と、想像してしまいます。それでもやっぱり彼らしいところが顔を出すところにニヤリとしてしまいました。
これは彼の歩む道の一つの通過点なんでしょうね。いずれにしても頑張って欲しい貴重なミュージシャンですね。
投稿: 風呂井戸 | 2014年3月 9日 (日) 18時04分