ティエリー・ラング・トリオThierry Lang Trio 「PRIVATE GARDEN」
リリシズムに溢れる美学だ!
<Jazz> THIERRY LANG TRIO 「PRIVATE GARDEN」
Fremeaux & Associes / France / CD / EL2210 /1995
ベテランの評判は聞いていても・・・聴く機会を失っていて初めて聴いたというアルバムの紹介シリーズ第三弾!
ヨーロッパの抒情派ピアニストをこよなく愛している私ですが、ベテラン組となると、昔の私の入り口であった粋なフランスのジャック・ルーシェから始まって、イタリアはエンリコ・ピエラヌンツィ、スウェーデンはラーシュ・ヤンソンなどなど、そして今旬のジョバンニ・ミラバッシ、トルド・グスタフセン以下多くのピアニストが頑張っている。
そして、こんなの聴いてなかったのか?と笑わないで下さい。ここにこうして取り上げるのはやはり納得のアルバムであったと言うところなんです。こうゆうのがまだまだ私には結構あるんですねぇ~~、ここに登場出来るのは、これも友人のおかげなんです。
Thierry Lang : piano
Ivor Malherbe : double bass
Marcel Papaux : drums
このアルバムはこんな取り合わせの標準的ピアノ・トリオでの1993年録音ものだが、リーダーのティエリー・ラングは1956年、スイス・フリーブール州、ロモン生まれ。5歳でピアノを学び始め、21歳までクラシックを学んでいた。15歳にしてBill Evansを初めて聴いて感動、以来ファンであるという。クラシックを学びながらもジャズに興味を持つようになったと。既に多くのCDをリリースしているベテラン。
2008年、作曲家、演奏家、教育者などの文化芸術に対する貢献により、フランス文化省から芸術文化章を受章、更にヨーロッパ大学より名誉学位を授けられている。
Tracklist (*印はThierry Lang自身のオリシナル曲)
1.A Star To My Father *
2.Nunzi *
3.Stella By Starlight
4.Giant Steps
5.Boulevard Perolles *
6.Private Garden *
7.I Hear A Rhapsody
8.Nane *
もう20年前の録音でThierry Langのプロデュースものだけあって、彼のオリジナル曲が8曲中5曲が登場して彼一色のアルバム。私は欧州の近年のピアニストに大いに魅力を感じているが、彼のようなベテラン組もなかなかお見事です。このアルバムは彼の出世作と言われているだけのものだけあって、冒頭の自曲”.A Star To My Father ”そしてそれに続く”Nunzi”と耽美的というかリリシズムというか、流麗なピアノの響きの多彩な流れるメロディーの美しさは圧巻である。
それでもよくしたもので、なんとなくエヴァンスを臭わす展開が感じられるが、アルバム・タイトルとなる曲”Private Garden ”では、ピアノ・タッチの優美な世界の素晴らしさに、不思議にベースもドラムスも実に美しい味を見せるのである。
そしてジャズ・ピアノとは言え、何故か演奏者も襟を正して正装で演じているかの如く感ずるものを醸しだしていて、欧州美学が品を持って伝わってくるのである。
(試聴)
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コメント
笑うなんてとてもとても ・・・。「ティエリー・ラング」、私も初めて知りました。ヨーロッパジャズピアノの典型みたいなピアニストですね。いや、いい。紹介ありがとうございます。
投稿: 爵士 | 2014年3月 3日 (月) 00時08分
爵士さん、今晩わ。
このティエリー・ラングのピアノ・タッチは、美しくそして品があると言うところが魅力ですね。メロディーも素晴らしい。
ただなかなかアルバムが現時点では手に入りにくいというところが・・・難点です。
投稿: 風呂井戸 | 2014年3月 3日 (月) 21時57分
勝手ながら、過去ログにお邪魔さまです
数日前、ラングのバックを務めていたドラマー、パポーさんをライブで聴く機会がありました♪♪
うねるJAZZビートに時折ROCKYな?キメ打ちがビシバシ入る変貌自在スタイル…一見、W・アレンをふっくらさせたような小柄な容貌はユーモラスな印象でしたが、なかなかの怪人でした、笑
ピアノはフランス人、ジャン・クリストフ・ショレさん…ほとんどオリジナル、スタンダードが無かったせいか、バタ臭くない?…陰翳礼讃的欧州ジャズを堪能できました…ご報告まで…https://www.youtube.com/watch?v=AfbSWtjfels
投稿: ゆきねこ | 2015年6月 1日 (月) 16時43分
ゆきねこさん、コメント有り難うございます。お話を伺って、実は”しまった!”と思ってます。今回のライブには私は行けるチャンスがあったのに結果的には参戦してませんでした。ショレのピアノは少々難解かなぁ~~と思ってしまってたのです。確かドラマーはスイス人の方でしたよね。欧州ジャズの醍醐味を感じられたのですね・・・・、いっやー私は惜しいことをしてしまいました。目下反省のことシキリです。
投稿: 風呂井戸 | 2015年6月 1日 (月) 17時43分
拝復
ツアー日程…沿線の田舎町で北陸新幹線の恩恵をはじめて感じた出来事でした
ショレ…黒っぽい音が好みの女房がはまってしまいましたから、難解ではなかったかと、笑 パポー氏の太鼓あればこそとも感じます
ぜひ次回のお試しをお薦めします
PS ヤマボウシの白をモノクロ化、エゴノキのたたずまい、香りがたってくるよう…見惚れました
投稿: ゆきねこ | 2015年6月 2日 (火) 09時20分