ムーディーで優雅でちょっと気品のあるジャズ : ロッサノ・スポルティエロ&ニッキ・パロット「IT'S A GOOD DAY」
ニッキのベース・プレイ、そして少々ヴォーカルが入る~ピアノ・トリオ・ジャズ
<Jazz>
ROSSANO SPORTIELLO, EDDIE METZ, NICKI PARROTT
「IT'S A GOOD DAY」
Recorded at Nola Recording Studios, New York City , on Oct.8th & 9th, 2013
ARBORS RECORDS / ARCD 19431 / 2013
Rossano Sportiello : piano
Nicki Parrott : bass with vocals on tracks 2,6,& 9
Eddie Metz : drums, wind chimes
遅まきながら、今年手に入るようになったたニッキ・パロットのベース・プレイを主としたピアノ・トリオもの。ピアノはイタリアのロッサノ・スポルティエロRossano Sportiello、このところ彼とニッキのベースのお付き合いのアルバムが続いている。こちらではビーナス・レコードの日本向けニッキのヴォーカル版と違って、スポルティエロのリーダーとみてよいジャズを楽しもうという演奏に付き合える。
今回のこのアルバム、とにかく気品あるジャズと言っていいだろう。選曲も多彩なところからと言ったものであるが、このジャケのトリオの写真のように演奏はネクタイをしてといった雰囲気がそのまま感じられる。
左の如くの全13曲(クリック拡大)。ニッキのヴォーカルは、2,6,9の3曲で聴かれるが、後はトリオの一員としてジャズを演奏してくれる。
ニッキ・パロットはもともとウッド・ベースを弾くオーストラリア出身のジャズ・プレイヤー。ところがあるところからヴォーカルを披露して一躍人気者になった。多分日本では、2007年のVenus Recordsからリリースした「Moon River」あたりが一番の引き金だったろうか。
なんと15歳からベースを引き出し、シドニーの音楽院でジャズを学び、1994年には渡米して、あのベースの巨匠ルーファス・リードにジャズ・ベースを指導してもらったという。
ここ2~3年、Venus Records盤においては、商業ベースで彼女はもはや次第にヴォーカリストの方が強調され、どちらかというとJazzy not Jazz 路線に流れていて私にとっては若干不満であったが、このARBORS RECORDS盤の方は、ジャズ演奏をしっかりと披露してくれる。
このアルバムは、そんな意味での彼女本来のベース・プレイヤーとしての味を感じ取れるピアノ・トリオをしっかりと演じてくれているのだ。
しかしそれにしても落ち着いた良い演奏盤である。三者それぞれ力みも無く、どちらかと言うとサラッとした味わいなのだ。あるところでは”リラクゼーションとスイング、歌心に溢れたエンターテイメント性抜群の旨口ピアノトリオ作品となっています”とか”極上のハートウォーミングな演奏を展開する歌心満点の好盤”と評しているが、まさにその通り。多分ロッサノ・スポルティエロの主導的影響が大きいと思うが。
しかも最後には、ジャック・ルーシェ・トリオでお馴染みのセバスチャン・バッハの曲”主よ人の望みの喜びよ”で収めるところはにくいのである。
(参考視聴) Rossano Spoatiello と Nicki Parrott の共演
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コメント
ルックスやJAZZY,NOT JAZZボーカルでなく全編ジャズのベースワークを聞いてみたいですね。しかしマーケティング上それも無理ですかね ・・・。
投稿: 爵士 | 2014年4月16日 (水) 00時09分
爵士さん、お早う御座います。
おっしゃるとおりですね。私は音楽に関して学問や技法その他もろもろの造詣はなく、ただ好きで聴くこと主体に感ずる世界での話になってますが、やっぱりジャズはジャズとして何かを究めようとした世界を感じて聴けるものがいいですね。ニッキ・パロットはこのARBORS RECORDSのほうは、そんな意味でも価値がありそうですが・・・・いかがですかね。
投稿: 風呂井戸 | 2014年4月16日 (水) 09時57分