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2014年5月10日 (土)

エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi のニユー・トリオ・アルバム : 「STORIES」

まだまだ前進の姿が感じられるアルバム

<Jazz>

ENRICO PIERANUNZI with S.COLLEY  A.SANCHEZ
     「STORIES」
       CamJazz   CAMJ 7875-2 / 2014

Stories

Recorded in New York on 22, 23 February 2011 at Avatar Studio

Enrico Pieranunzi : piano
Scott Colley : bass
Antonio Sanchez : drums

Storieslist

 このトリオ・メンバーは、前作で単なる抒情派でないピエラヌンツィを見せつけた「Permutation」と同じであり、続編というところか。いずれにしても2009年に始動しての2011年の録音がこのアルバムである。つまり3年という期間、温存していたことになる。

Enrico  エンリコ・ピエラヌンツィについては過去に何度か話をしてきたのでそちらを覗いて欲しいが(参照 : 「エンリコ・ピエラヌエンツィのジャズ・゜アノの美学」http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/enrico-pieranun.html)、イタリア・ピアニストとしての抒情性のある過去の数多くのアルバムには惚れ惚れとしてきたわけだ。
 しかし彼の世界は、あるときはクラシック・ソロ・ピアノを聴かせてくれたり、又ただただその哀愁と抒情性の世界に浸らせてもらったり、そして一方では、かなりアグレッシブで前衛的なパターンを示したりと、その多彩ぶりはこれまた意外に感ずるほどでもある。

Scolley  このアルバムも8曲中7曲は彼のオリジナルで、1曲のみベーシストのスコット・コリー(左)の曲(4曲目)。ここに組みしているリズム・セッションは、ピエラヌンツィとしては若き世代への挑戦的な意味合いもあろうかと思うが、そのパターンは新展開をここに見せて、彼のもう一つの面を構築する新たなる前進の一つの課程にも見えてくるのである。
 
 特にスタート曲”No Improper Use”では、過去のピラヌンツィのアルバムからは別物のとも思えるアグレッシブなインプロビゼイションの連続的攻撃に強烈な鮮烈さのある印象を受けるが、続く”Detrás Más Allá”になると、やはり彼の抒情性のピアノ・タッチとメロディが流れてくる。

Asanchez ドラマーのアントニオ・サンチェス(左)も、パット・メセニー・バンドの重要な現代ジャズ・トラマーとして注目を浴びているし、こうしたメンバーとピエラヌンツィが全く時代的感覚を感じさせないトリオ演奏で組みしているところには、脱帽せざるを得ない。むしろそんな場に彼は自分の存在を楽しんでいるかのようである。

 このアルバムはこの一枚で一つの世界が出来ているように思う。

 中間部のコリーの4”The Slow Gene”がここに来て攻撃性から内省的面に誘導し、6”Where Stories Are”、7”Flowering Stones”の2曲は私の印象としては現代社会の陰影を感じさせる。そして最後の”The Real You”に安らぎと光明が感じ取れてほっとするのである。

(試聴) このトリオの前作から・・・聴いてみてください

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コメント

風呂井戸さん,こんばんは。TBありがとうございました。

私はライブの場でもPieranunziの多面性に触れていたので,激しい演奏をしても驚きはしませんが,抒情的なトーンを求めるリスナーにとってはそういうわけにも行かないみたいですね。

しかし,このアルバムは非常によく出来ていて,私は一発で気に入ってしまいました。

ということで,こちらからもTBさせて頂きます。当方ブログへのコメントもお待ちしていますね。

投稿: 中年音楽狂 | 2014年5月12日 (月) 20時41分

新作が出ることは知っていましたが、まだ聴いていません。「アグレッシブなインプロビゼイションの連続的攻撃」ですか ・・・。やはり、そうでてきましたか。

投稿: 爵士 | 2014年5月12日 (月) 23時32分

中年音楽狂さん、コメント、トラック・バック有り難う御座います。
 おっしゃる通り、かっての抒情性のみに捕らわれていると意外性があると思いますが、近年の作や、前作「Permutation」を聴いているとなるほどと思いますね。一枚のをトータルに聴いて評価に値すると私も思います。

投稿: 風呂井戸 | 2014年5月13日 (火) 09時26分

 爵士さん、コメント有り難う御座います。いつもブログ拝見しています。
 この新作はなかなかアルバムとして、快作と思います。こうゆう発展性は考えられたところですが、そこにPieranunziの味がちゃんと聴き取れて嬉しくなります。

投稿: 風呂井戸 | 2014年5月13日 (火) 09時31分

風呂井戸さん、こんにちはmoakaです。
このアルバム最初聞いたときには初めの3曲と後の曲と差にとまどいましたが、そんな聞き方でなくて、最後の曲1曲と前の曲7曲で分けるといいと私は思いました。
TBさせていただきました。

投稿: monaka | 2014年5月14日 (水) 21時49分

monakaさん、コメント&TB有り難うございます。なるほど・・・いろいろな聴き方があるんですね。しかしこの流れの変化こそ聴き応え有りと思っていますが・・・・・。

投稿: 風呂井戸 | 2014年5月15日 (木) 21時46分

このトリオの、と言うかAntonio Sanchezを連れてきた意義?を考えると前半のアグレッシブな演奏に(あくまでもこのトリオとしての)真骨頂があると踏んでいます。

と言う意味で、ほぼ?ドラム抜きの最後の曲を分断するmonakaさんのコメントが秀逸です。

TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。

投稿: oza。 | 2014年6月28日 (土) 06時41分

ozaさん、コメント有り難う御座います。
 おっしゃること(アントニオ・サンチェスを引っ張り込んでのトリオ)は、まさにその通りなんでしょうね。ちょっと戸惑いながらも興味津々といったところは、やはりエンリコ・ピエラヌンツィの奥深さでしょうか?>まだまだ・・・やりますね。

投稿: 風呂井戸 | 2014年6月28日 (土) 08時49分

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受信: 2014年6月28日 (土) 06時23分

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