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2014年5月30日 (金)

私の愛する老兵カメラ(9):ニコンF2フォトミック / (jazz)ロニー・リン・パターソン=ピアノ・トリオ

多くを語る必要の無いまだまだ現役カメラ

    NIKON F2 Photomic

Nikonf 
 「ニコンF」は日本の一眼レフの代表的のようなカメラであるが、そもそもかって1950年代はニコンの主力カメラは、レンジファインダー式の「ニコンSP」である。「ライカM3」以上の誉れ高いカメラであったが、しかしこのレンジファインダーの分野は圧倒的にライカを主力としてドイツの独壇場で有った。そこで日本はそれ以上のカメラの機能的先進性を狙っての一眼レフの開発を試みたわけだ。そんな事情で、ニコンにおいても先ずは「SP」の発展型として、その部品を流用して一眼レフファインダー式カメラとして製作され、日本の各社に遅れて1959年に発売されたものが「ニコンF」だ。そして外部測光式のフォトミックファインダーを搭載した「ニコンFフォトミック」が1962年に発売され、1964年の東京オリンピックでその地位を確立したカメラだ。その後1965年にはTTL測光のフォトミックTファインダーを搭載して一つの完成品となったのである。
 しかし所詮「SP」からの流用製作は難点も有り、「SP」から脱却しての完全な一眼レフとしての基本構想で作り上げたのがこの「ニコンF2」である。そして1971年にフォトミック・ファインダー搭載を標準としてこの「ニコンF2フォトミック」が発売された。

101_asahiflex_i  日本で初めて35mm一眼レフが発売されたのはニコンに先駆けて7年前の1952年に、旭光学(現ペンタックス)が発売した「アサヒフレックス」(左←)であり、それから日本のカメラ王国の歴史が始まったと言って良い。
 ここに紹介した「ニコンF2フォトミック」は、実は私の父親の愛機であり私が引き継いでいるが、この当時は私の場合は、「ミノルタSRT101」そして「ミノルタXD」と、そんな流れが主力カメラであった。
107_minolta_sr2_3  もともと日本の一眼レフの歴史は、旭光学に続いてマミヤ光機「マミヤプリズマットNP」そしてオリオン精機産業の「フェニックス」「ミランダT」であり、東京光学「トプコンR」そして千代田光学精工の「ミノルタSR-2」(右→)である。
 そしてその後に遅れてキャノン、ニコンが参入したという歴史なのである。こんな一眼レフの歴史をみるとこの60年の流れはほんとに興味津々たる日本の歴史でもあるのだ。

 しかし現在のデジタル・カメラにおいても、この光学一眼レフの優秀性は生きている。又一方、歴史的フィルムの味はまだまだ捨てがたく、この「F2」を代表にしてフィルム・カメラは愛好家によって大切にされているのである。実は私もその一人なのであるが・・・・。

<今日のミュージック>

<Jazz>
寺島靖国「Jazz Bar 2009」
TERASIMA RECORDS  TYR-1015 / 2009

Jazzbar2009 寺島靖国の「Jazz Bar」シリーズの9枚目。相変わらず心を擽るピアノ・トリオものを中心に楽しませてくれる13曲が収められている。

そして7曲目のMAYAと、10曲目のCarin Lundin のヴォーカルものがうまく中休みを作ってくれる配置で聴きやすいアルバム。この2009年版もオムニバスとは言え全体としてのまとまりのよいアルバム。

1. PAINT IT BLACK / John Nazarenko Trio
2. MOSCOW NIGHT / Trio Acoustic
3. AUTUMN FIRE / Craig Schneider
4. 17 ROOMS / Misha Piatigorsky
5. LANGEBRO / Joakim Pedersen
6. ADORACAO(ADORATION) / Eric Reed
7. TRES PALABRAS / MAYA
8. FREEDOM FIGHTERS ADAGIO / Ronnie Lynn Patterson
9. CHAN CHAN / Matej Benko
10. JAG KAN SE DIG NARI / Carin Lundin
11. MELODY FOR ALON / Omer Klein
12. MONSIEUR PHILLIPPE / Phil Wright Trio
13. TANGO PARA MI PADRE / Kurt Ribak Trio


Freedomfighters  私は5.8.11の3曲はお気に入り。その中でも私の注目曲と言えば8曲目のRonnie Lynn Patterson の”Freedam Fighters Adagio”ですね。この寂しげなムードはたまりませんね。これは左のアルバム・・・・
Ronnie Lynn Patterson Trio 「FREEDOM FIGHTERS」
(Zig Zag Territories, ZTT 080802, 2008 )
           
・・・・・・・・・からの曲。
 このピアニストのパターソンというのは黒人のフランス人。やはり黒人としての背景にフランス仕込みというムードを持った演奏だ。

Ronnie Lynn Patterson : piano
Louis Moutin : baterie
Stéphane Kerecki : contrebasse


Rlpattersontrio
Freedomfighterslist
 このアルバムでは10曲中8曲がパターソンの曲。抒情性とスリリングが隣り合わせのような構成で、これ又印象深いところにある。オープニンクと締めくくりがAdagioとAllegroで纏め上げたところは洒落ていますね、なかなかの好盤。

(試聴)R.L.Patterson Trio

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2014年5月27日 (火)

フルサイズミラーレス一眼「SONYα7」~ベスト・マッチング・レンズ / (Jazz) ティエリー・ラング・トリオ

過去のレンズが蘇る楽しさの為に生まれたようなカメラ
      ~SONY α7 ILCE-7~

 昨年11月に発売され話題をさらってきた「ソニーα7」。35mmフルサイズExmor CMOSセンサー・有効2430万画素、ミラーレス一眼、EVFファインダーのカメラは確かに遊び心をくすぐってくれる久々に刺激のあったカメラだ。同時に発売のローパスフィルターなしの「7R」も魅力があったが、そこまで行かなくとも充分役が果たせるだろうと私の場合は「α7」で楽しんでいる。

 とにかく用意されたレンズはまだ少ないが、もともとマウント・アダプター使用によって、過去の他社のレンズが殆ど昔通りの35mmカメラ感覚で使えるというこのカメラの特性から目下なんの不自由も感じないし、その為むしろあれやこれやでまだまだ私の場合は落ち着いていない。・・・と、言うことはそれだけこのカメラに関しては試みることが多く飽きることを知らないのである。

 そこで目下のところ私の独断と偏見によって、ここにこのカメラとの各種レンズのマッチング・テストによって私好みの組み合わせを紹介しようとしているのです

<マッチングNo1>
α7 + KONICA M-HEXANON LENS 50mm F2

7konica  この組み合わせは、左のようなスタイルになる。(クリック拡大) 見たとおりこのカメラのデザインにとって純正レンズのようにピッタリの雰囲気。そして標準50mmで、EVFファインダーによるピントあわせははっきり言ってレンジ・ファインダーより正確に出来る。それは明るい上にワンタッチ拡大機能を使って見れるところが秘訣。このレンズのヘリコイドのスムーズな重くもなく軽くもない感覚がピッタリなんですね。
 更にレンズの重さがボディとのバランスとこれ又良いバランスなんです。レンズ性能の良さは敢えて語らずとも当然なんですが、今になってデジタル機として、「コニカー・ヘキサー」が再生するとは実は夢にも思っておらず、しばらくこの組み合わせによってこのカメラは巷を歩くことになりそうだ。

   (作例 ↓)~我が家にも薔薇が咲きはじめました~

 

7konicas_3      

<マッチングNo2>
α7 + LEICA SUMMICRON-M 1:2/35 ASPH.

Sonyleica_2  これが又ご覧のようにデザイン的に見事ですね。なかなかのマッチングです。私はもともと35mmカメラはとして「ライカM6」を使うときは標準として使っていたレンズがこのSUMMICRON-M35mmなんです。もちろん50mmは歴史的にも画角的に標準とされてきていますが、私はややワイドを愛好していました。そんな訳でここに登場するのです。しかしレンズ性能の素晴らしさも加味しても何故No2なのかというと、実はNo1に上げたHEXANONレンズよりはヘリコイドを操るにやや使いにくさがある事と、レンズ自身の重さがかなりあって、α7のボディーとのバランスが前に重量が移動してちょっとホールディングが良くないというところなんです。しかしレンズの良さ、恰好の良さも捨てがたくNo2としたわけです。

<マッチングNo3>
α7 + Carl Zeiss  Planar 2/45 


Sonyzeiss  これは皆さんご存じのオートフォーカス・レンジファインダーで歴史的に話題をさらったカメラの「コンタックスG」の標準Planar45mmレンズですね。これがなんとTECHARTのマウントを使うとオート・フォーカス・レンズとしてこの「α7」で使えるのです。いやはや驚きでした。
 そこで早速使用してみたんです。歴史的に初期のオートフォーカスは、いくつかの段階があって、その近いところにもっていったんですが、このレンズは無段階のピントあわせで機能的に優れていました。ライカ・レンズよりはかなり安い割には解像力と作画が見事なレンズで、評判が良かった。そこで今使ってみると、やっぱり合焦までは近年のオートフォーカスに慣れていると、かったるいですね。ピント探しに行ったり来たりして合わせるのです。それでも当時はこうだったわけで懐かしさ一杯です。しかしこのレンズは結構性能が良く多用させていただいたのですが、ここに又デジタル機にて蘇りました。

 実は、この後まだまだ続くのですが・・・・取り敢えずは、今回はベスト3にて一段落としておきます(続く)。

        *        *        *        *

<今日のミュージック>

(Jazz) Therry Lang Trio 「Thierry Lang」
          i.d. RECORDS  EMI/BLUE NOTE  TOCJ-6094/ 1997
          Recorded  1996.11.21-23

Thierry_lang  既にそのピアノ・プレイの美しさに惚れ惚れとして取り上げたスイス・モントルー出身のピアニスト・ティエリー・ラングのアルバム。

Thierry Lang (p)
Heiri Kanzig (b)
Marcel Papaux (d)

1.Yellow Story
2.Comrade Conrad
3.Angels Fly
4.If I Should Lose You
5.My Foolish Heart
6.The Blue Peach
7.Oliver's Song
8.Bop Boy
9.Round Midnight

このアルバムにおいても、どことなく気品のあるピアノ・タッチとメロディー。スタンダードも気持ちよく聴けるところがピカイチ。そしてアレンジも飽きを感じさせない繊細な変化が見事。

(視聴)

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2014年5月24日 (土)

ダイアナ・クラールDiana Krall 2013年ライブ映像~「Netherlands 2013」

”グラッド・ラグ・ドール”ツアーのロッテルダム「north sea jazz」映像

<Jazz>
(DVD) Diana Krall 「North Sea Jazz ~Netherlands 2013」

Northseajazz2013

 ダイアナ・クラールの古きよき時代を彼女なりきの解釈で描いた2012年のアルバム「グラッド・ラグ・ドール」。そのリリースに伴っての2013年ツアー、オランダ・ロッテルダムでの「ノース・シー・ジャズ・フェス」の模様が記録されたブートものとはいえプロショットの良好映像版である。

 そもそもあのアルバムは彼女の一つの挑戦であったと思うが、ちょっと私の期待は裏切っていた(参照 : 「GLAD RAG DOLL」~2012)。しかしこうしてステージを観てみると、がらっと印象は変わってくるから恐ろしい。やはりライブの魅力はジャズの醍醐味なんでしょうね。

North(members)

Diana Krall (vocals, piano)
Stuart Duncan (viola, guitar)
Aram Bajakian (guitar)
Patrick Warren (keyboards)
Dennis Crouch (double bass)
Karriem Riggins (drums)

 彼女の演奏としては、今までにない構成だ。ビオラ、キーボードが加わっての6人編成。いつものギタリストAnthony Wilson に変わって、Aram Bajakian が演ずる。そんなところもフレッシュな印象がある。しかし彼女の近年のピアノ・プレイはその充実度は増すばかりで、熱演を今回もしてみせる。そしてハスキーな歌声は、相変わらずの一種独特の魅力を発揮するダイアナ・クラール・ワールドだ。

(Setlist)
1.We Just Couldnt Say Goodbye*
2.There Ain't No Sweet Man That's Worth The Salt Of My Tears*
3.Just Like a Butterfly That's Caught In The Rain*
4.Everything's Made For Love
5.Let It Rain*
6.Temptation
7.Peel Me A Grape
8.Frim Fram Sauce  9.A Man Needs A Maid / Heart Of Gold
10.I'm Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter
11.How Deep Is The Ocean?
12.On the Sunny Side Of The Street
13.Lonely Avenue*
14.Just You, Just Me
15.I'm A Little Mixed Up*
                 (TOTAL 1h18min)

 オープニングはアルバム「GLAD RAG DOLL」と同じにHarry M.Woodsの”We Just Couldnt Say Goodbye”。かっての懐かし華々しさのジャズ・ムードが展開する。このステージではアルバムから*印の6曲が登場するが、やはりビオラの音などが入って、彼女の今までになかった世界への挑戦が見て取れる。しかし無声映画の時代の曲”Let It Rain”はしっとりと歌い上げてなかなかいいムード。
 その後は、彼女の得意のレパートリーの”temtation”だが、このメンバーのギターのBajakian始めそれぞれの熱演で、かってと印象が変わってリズミカルで面白く仕上がっていて聴きどころ。彼女のピアノ及びキーボードを操ってのアレンジは過去にも増して熱演で聴かせる。これはロックの愛好家にも聴いて欲しい仕上がり。この曲だけでもこのステージは大いなる価値があったことが窺える。
 この後4曲は彼女のピアノ・ソロとヴォーカルで楽しませる。そしてその後再びメンバーが揃ってPaul Whiteman のカヴァーの”How Deep Is The Ocean?”を演ずるがこれまたムーディーな良い味が出ていて彼女の真骨頂。更にアルバムからのレイ・チャールズのヒット曲”Lonely Avenue”が、彼女の解釈で見事に現代の負の部分を感じさせるべく印象を与えてきて、ダークな中に感動を呼ぶ熱演、これは名演と言ってもいいのではと思う。いっやーー、やっぱりライブは良いですね。
 こうしてライブ演奏を見てみると、この私の否定的であったアルバム「GLAD RAG DOLL」もなかなか興味あるものに感じてきた。

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2014年5月20日 (火)

ジェフ・ベックJeff Beckライブ映像~ブルーレイ版 「JAPAN TOUR 2014」

なんと、この春(2014年4月)のJAPAN TOUR 映像の出現ですぞ!

<Rock>

(Blu-ray版)   JEFF BECK    「JAPAN TOUR 2014」
                   Live at TOKYO DOME CITY HALL,
                   TOKYO, JAPAN April 9th 2014

Jeffjapan2014_2

 ブートとは言え、早々のジェフ・ベックの今年2014年4月のジャパン・ライブ版の出現である、驚きですね・・・・・・。しかもオーディエンス収録とは言えブルー・レイ高画質版。音質も高品質に収録したものをシンクロさせたもののようだ。
 これは東京ドームシティホールのライブ映像。当日馳せ参ずることが出来なかったものにとってはまさに福音である。今回は話題になったとおり、キーボードはなしで、その代わりギターが入って、ジェフ・ベックとツイン・ギターになっている。
  
   (members)
      Jeff Beck : guitar
      Nicholas Meier : guitar
      Rhonda Smith : bass
      Janathan Joseph : drums

Thejeffbeckband20141024x568_2

 bassは、このところお馴染みの Rhonda Smith と変わらず、drumsは2011年に女性ドラマーで話題になったVeronica Bellinoでなく、Janathan Joseph 。
 ジェフ・ベックの来日公演は4年ぶりだったと思うが、相変わらず歳を感じさせないステージでのパフォーマンスに感激である。

Japan2014list 収録された曲のリストは、左のように20曲。来日に際しての記念ミニアルバム「YOSOGAI」からの曲”loaded”でスターし、締めくくりがやはり同アルバムからの”Why give it away”、更に”Danny boy”も中盤にしっとりとしたムードでスタートさせて次第に盛り上げるパターンで登場させる。
 とにかく内容は過去の人気曲をどんどん演奏してくれている。近年のパターンと異なって、今回はキーボード・レスであるだけサウンドはリリッドでハードになっている感がある。

 終盤間近に”big block”で盛り上げ、”a day in the life”でムーディー聴かせ終わらせるところは曲配置も手慣れたところ。そしてアンコールに答えて”Rollin' and Tumblin'”で再び会場を湧かせて、”cause we've ended as lovers”で静かに幕を閉じる。そして”why give it away”で締めくくったわけだ。
 
 そうそう、”stratus”の後に登場した”sakura sakura / yemin”は、Meierの繊細にして技巧派のギターでスタートして、ジェフ・ベックに繋いで行くところがなかなか味があって、今回の一つの聴きどころでもあった。実は私の期待としてRhonda Smithのベース・ソロとヴォーカルをも一曲ぐらい期待していたんですが、ちょっと残念でした。

 こんなにスムーズに、もう今回のステージを堪能させていただいて良いのか?と思うところであるが・・・・、取り敢えずは、ジェフ・ベックの相変わらずのトレモロアームを右手の中に入れて、フィンガー・ピッキングによる繊細にしてダイナミックなギター・プレイが鑑賞出来て感謝・感謝というところである。当日会場におられた幸せな方々も多分見たくなるシロモノですね。

(視聴) これは4月14日のステージ

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2014年5月18日 (日)

ジョルジュ・パッチンスキー・トリオGeorges Paczynski Trio 「LE CARNET INACHEVÉ」

耽美派系の繊細にてスマートな作品

<Jazz>

GEORGES PACZYNSKI TRIO 「LE CARNET INACHEVÉ」
Art & Spectacles   ASCD 130701,  2013

41niwvrqszl

Georges Paczynski (drums except 9)(p on 12)
Vincent Bourgeyx (piano except 12)
Marc Buronfosse (bass except 10,12)

1. Le Gardin De Phare
2. L'Apatride
3. La Derniere Valse De Madame De…
4. La Possede
5. Au Coeur Des Tenebres
6. La Violoncelliste
7. 10 Avril 2010
8. Struggle For Life
9. L'Etrange Machiniste
10. Tout Cela Avait Bien Un Sens…
11. Le Portrait De Laura
12. Le Carnet Inacheve
13. Immobile, En Son Detachement
14. L'Inscription Effacee
15. Mother Of Earl

Trio  フランスの70歳を越えたベテラン・ドラマーのジョルジュ・バッチンスキー(1943~)のこのレーベルでの3作目のピアノ・トリオ・アルバム。
 「ジャズ批評」誌にて好評であった2007年「Generations」 、2009年「Présence」の2作とは異なって、今作はピアニストにヴァンサン・ブルゲ(1972~)をフューチャーしての新トリオによる作品。ドラマーが主導のトリオであるだけに作品ごとにメンバーは変わっていても流れは確実に継承されているようだ。私は残念ながら前2作は聴いてないので是非とも聴いてみたいとこの作品を知って目下思っているところ。

 曲は短いものがずらっと15曲並ぶ。そして最後の” Mother Of Earl”以外はオリジナル。その点もバッチンスキーの意欲を窺い知れるところである。彼のこのアルバムにて主体的に聴かれる技法はブラッシ・ワーク、そしてシンバルであるが、その繊細にてスマートなところは非常に心地よい。ドラマーのアルバムということで、ドラム・ソロがかなり絡むのかと思いきやそうでなく、12曲目の” Le Carnet Inacheve ”のピアノ・ソロは、なんとバッチンスキーが奏でて思索的世界感を醸し出す。曲は比較的スローというかしっとりじっくりと聴かせるもので、即興的な部分も感じとれるがある意味では計算し尽くされたピアノ・トリオ・プレイを展開。しかし14曲目ではテンポの速い攻めのプレイも見せてくれる。ブルゲのピアノもクラシックの影響があるのかメロディーの美しさとそのタッチに品が感じられて好感が持てる。

 あくまでもスウィングするジャズというよりは、ECM的なやや暗めであり、思索と詩情との世界に誘ってくれる私好みのアルバムである。

(参考視聴)

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2014年5月14日 (水)

キャメルCamelの復活 : 新録音「The Snow Goose」を買ってお祝い

昨年から今年のUK、欧州ツアー大成功~アンディ・ラティマーAndrew Latimerが完全復活!

<Progressive Rock>

     Camel 「The Snow Goose」
     Camel Productions   CP 0014CD / 2013

Newthesnowgoose

 多血症の治療で骨髄移植術後の骨髄線維症になり、その闘病生活から復活したキャメルCamelのバンド・リーダーであるギタリストのアンディ・ラティマーAndrew Latimer。2013年10月のUKから始まった今年の春までの欧州ツアーは全ての会場がSold outで、彼の復活を歓迎した。あの名作3rdアルバム「The Snow Goose」を引っさげて「The Snow Goose TOUR」としてキャメルの原点に戻っての復活劇。

 思い起こせば、アンディ・ラティマーの過去の総決算的アルバムであった2002年の「A Nod And Wink」以来12年も経つんですね。'90年代はこのバンドも完全にアンディ・ラティマーのバンドになってBassのコリン・バスColin Bassと2人で「Dust And Dreams怒りの葡萄」 、 「Harbour Of Tears港町コーヴの物語」と名作コンセプト・アルバムを作り上げたが、その後の2003年には彼の多血症によって闘病生活に入ってのCamelの活動は休止、そして完全に消え去ったと思われていた。
 しかし、ラティマーの主として映像もののディレクターをかって努めていたデビッド・ミナシアンが自己のアルバム「Ranrom Acts Of Beauty」を2010年にリリースしたが、そこに一曲だけラティマーが参加していた。これによってラティマーの復活が期待されたが、あれから3年経過の復活劇であった。

Thesnowgooselist  さてこのアルバムは完全に1975年版の復活祝いの再録音、オリジナルに一部を除いてかなり忠実に演奏している。ラティマーのギターが色濃くはなってアレンジもしているが、とにかく私としては、良し悪しよりお祝いとしてやっぱり買うことにしたというところ。

 なにせもう40年近く前の作品の復刻。しかもこのアルバムに記しているように(”This recording is dedicated to the memory of Peter Bardens(1945-2002)”)、バンドCamelの歴史はキー・ボードの亡きピーター・バーデンス主導で始まったといっていいもの。アンディ・ラティマーは当然彼と共に歩み、バーデンスが脱退したその後も究極のところ彼がこのバンドを発展させ守ってきた。既にこの3rdあたりからは、ラティマーの力も大きくなってきていたのだった。
(私自身は、バーデンスの作品よりもラティマーのギター主導となった「Stationary Traveller」以降の方が好きなんですが・・・・)

Andrewlatimer2014  さて、もともとこのアルバムはアメリカの作家ポール・ギャリコの「スノー・グース」を元に作られたキャメルのオリジナル曲。英兵がダンケルクの戦いで救援を待つ、それを救ったフリップ・ラヤダーがその後砲弾を浴びて倒れる。この醜い人嫌いの男と少女との間の純情の関係を、傷ついた一羽の鳥を媒介として語る哀しき物語を描いている。このあたりは生死の境の大病、そしてその後襲った全身の疼痛の悲劇、そしてそれを克服して復帰したラティマーの10年の闘病生活がどうもダブって来てしまって私自身も感傷的になって聴くという状態になっている。

 さてここまで復活が現実となると、次なるラティマーの新作アルバムに期待と言うことだ。このあたりの情報はまだ私自身は得ていないが、そこに初めて我が愛するキャメルつまりアンディ・ラティマーの復活があると期待しているのである。

(視聴) 多分、もうステージには立てないと思っていたに相違ないラティマーの復活ライブにおける嬉しそうな顔が印象的です・・・・・・・・

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2014年5月10日 (土)

エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi のニユー・トリオ・アルバム : 「STORIES」

まだまだ前進の姿が感じられるアルバム

<Jazz>

ENRICO PIERANUNZI with S.COLLEY  A.SANCHEZ
     「STORIES」
       CamJazz   CAMJ 7875-2 / 2014

Stories

Recorded in New York on 22, 23 February 2011 at Avatar Studio

Enrico Pieranunzi : piano
Scott Colley : bass
Antonio Sanchez : drums

Storieslist

 このトリオ・メンバーは、前作で単なる抒情派でないピエラヌンツィを見せつけた「Permutation」と同じであり、続編というところか。いずれにしても2009年に始動しての2011年の録音がこのアルバムである。つまり3年という期間、温存していたことになる。

Enrico  エンリコ・ピエラヌンツィについては過去に何度か話をしてきたのでそちらを覗いて欲しいが(参照 : 「エンリコ・ピエラヌエンツィのジャズ・゜アノの美学」http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/enrico-pieranun.html)、イタリア・ピアニストとしての抒情性のある過去の数多くのアルバムには惚れ惚れとしてきたわけだ。
 しかし彼の世界は、あるときはクラシック・ソロ・ピアノを聴かせてくれたり、又ただただその哀愁と抒情性の世界に浸らせてもらったり、そして一方では、かなりアグレッシブで前衛的なパターンを示したりと、その多彩ぶりはこれまた意外に感ずるほどでもある。

Scolley  このアルバムも8曲中7曲は彼のオリジナルで、1曲のみベーシストのスコット・コリー(左)の曲(4曲目)。ここに組みしているリズム・セッションは、ピエラヌンツィとしては若き世代への挑戦的な意味合いもあろうかと思うが、そのパターンは新展開をここに見せて、彼のもう一つの面を構築する新たなる前進の一つの課程にも見えてくるのである。
 
 特にスタート曲”No Improper Use”では、過去のピラヌンツィのアルバムからは別物のとも思えるアグレッシブなインプロビゼイションの連続的攻撃に強烈な鮮烈さのある印象を受けるが、続く”Detrás Más Allá”になると、やはり彼の抒情性のピアノ・タッチとメロディが流れてくる。

Asanchez ドラマーのアントニオ・サンチェス(左)も、パット・メセニー・バンドの重要な現代ジャズ・トラマーとして注目を浴びているし、こうしたメンバーとピエラヌンツィが全く時代的感覚を感じさせないトリオ演奏で組みしているところには、脱帽せざるを得ない。むしろそんな場に彼は自分の存在を楽しんでいるかのようである。

 このアルバムはこの一枚で一つの世界が出来ているように思う。

 中間部のコリーの4”The Slow Gene”がここに来て攻撃性から内省的面に誘導し、6”Where Stories Are”、7”Flowering Stones”の2曲は私の印象としては現代社会の陰影を感じさせる。そして最後の”The Real You”に安らぎと光明が感じ取れてほっとするのである。

(試聴) このトリオの前作から・・・聴いてみてください

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2014年5月 6日 (火)

トールン・エリクセンTORUN EIKSEN : 「VISITS」

北欧からの上品な歌声~ノルウェー出身の女性ヴォーカリスト、トールン・エリクセンの新作

<Jazz>
  TORUN ERIKSEN 「VISITS」
      Jazzland  3744257 / 2014

Vists(Tracklist)
1.Beat Angels/2.Wichita Lineman/3.Downtown Train/4.Fix You/5.Sign 'O' The Times/6.You Can Close Your Eyes/7.Feels Like Home/8.Spanish Joint/9.Wish You Were Here/10.American Tune

TORUN ERIKSEN: Voice
DAVID WALLUMRØD:  Keyboards, Grand Piano
AUDUN ERLIEN:  El bass
OLA HULTGREN: Drums

 以前よりちょっと関心のあったトールン・エリクセンTorun Eriksen、しかしアルバムは聴かずに来てしまっていたが、グット・タイミングに友人よりこのアルバムを聴かせてもらうことになった。
 確かに噂通りというか、ちょっと聴きかじった印象そのままの、上品と言っていいそして清楚感のある見事なヴォーカル。これは気持ちが安まるし、ちょっと襟を正して聴くことなる。
 ジャズといっても、ちょっとソウルっぽく又フォークっぽいところも感ずるところ。

HMVの紹介記事を見てみよう・・・・・
 ”Jazzlandからリリースされた2003年デビュー作『Glittercard』で早くも評判を呼び、2005年『Prayers & Observations』、2010年『Passage』と着実に世界中で知名度と人気を高めてきた彼女の3年振りの作品。上品なハスキー・ヴォイスで聴かせる、抑制の効いたヴォーカル・スタイル、ポップなアレンジもあいまった暖かなアコースティック・サウンドがブレンドされた、春の木漏れ日のような至福の北欧ヴォーカル・アルバム。ジミー・ウェッブ(M2)、トム・ウェイツ(M3)、コールドプレイ(M4)、プリンス(M5)、ジェームス・テイラー(M6)、ランディ・ニューマン(M7)等のソングライターによる名曲を、誠実に淡々と奏でた、珠玉のカヴァー・アルバム。”
・・・・・・と、言ったところ。カヴァー・アルバムといっても、これはまねごとに終わらず確実に彼女の世界を作り上げたアルバムである。

Toruneriksen7  トールン エリクセン は、1977 年 1 月 8 日ノルウェーテレマーク ・ ルンデ生まれのジャズ歌手。今年で37歳といところか。音楽才能最初音楽で現れていたようで、6 から彼女様々 な福音聖歌隊歌い19 注目ソリストになっていたソウルジャズポップ合唱経験を通してつくられた背景持ち、自己のオリジナル作品をも書き始めるようになった。

 声は中低音部は、ややハスキーがかっているが高音になるにつれ澄んでくる。そしてじっくりしっとりそして爽やかに歌い上げるところは好感もてる。なかなか味のある完成品だ。
 はっきり言って久しぶりに納得品に行き会った感じである。そしてこのアルバムの選曲はロック畑のものもあって”Spanish Joint”などは楽しめる。更に驚きはビンク・フロイドの”Wish You Were Here”も登場する。しかしこれは美しすぎてあの陰影が描き切れていないところは若干不満であった。
 まあ欲を言えばきりが無いが、素晴らしいアルバムであることには変わりは無い。

(視聴) このアルバムの曲ではないが、参考までに・・・・

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2014年5月 3日 (土)

私の愛する老兵カメラ(8) : ライツ・ミノルタCL / マック・チャラップカーラMac Chrupcala ピアノ・トリオ

ミノルタ・カメラの挑戦

 私は隠れミノルタ・ファンであった。35mm一眼レフは、ニコンでもなくキャノンでもなく、ミノルタSRT101ミノルタXDを主力に使った時代がある。それはミノルタ・ロッコール・レンズの優秀性もさることながら常に先進性の内容を持ち機動性に優れていた為だ(今でこそ当たり前の一眼レフ・オート・フォーカスもミノルタが先陣を切った)。

 あの35㎜カメラを軌道に乗せた世界の名門ドイツ・エルンスト・ライツ社が、1970年代になって高級カメラのライカM5の不振から会社自体が傾いた時に、起死回生の一打として選んだ道が、日本のミノルタカメラ(株)との共同開発による経営・生産効率がよく品質も優れ世界にアッピール出来るレンズ交換式コンパクト・カメラの生産であった。そしてミノルタ側はその意向を受け入れ内容的には採算を度外視してまでも協力して出来上がったカメラが「Leitz Minolta CL」である。これは海外では「Leica CL」の名称で販売された。

Leitzminoltacl

  このカメラはライツ社の経営上の問題から一般大衆にも受け入れてもらうべく企画されたものと思うが、あの高級カメラのライカM5の流れをくんだコンパクトな35mmレンジファインダーの素晴らしいカメラに仕上がった。ライカM5はAEカメラのスタート機であつたが、TTL測光は日本のお家芸、従って独自に開発した為大型になり、スタイルも過去のものとは変化したこともあり不評で売れ行き不振となっていたのだった。
 そしてこのCLは、ライツ社が設計、ミノルタが手直しして製品にしたというもの。又基本標準レンズは40mmで、なんと同設計のものをライツ社とミノルタと双方で製作したという歴史的に見ても希有なカメラである。このライツ・ミノルタCLには、当然"Minolta M-ROKKOR 1:2" が、ライカCLには"SUMICRON-C"が装着されている。双方のレンズは比較しても優劣無く、日本の技術の国際的評価がこんなところでも知ることが出来る。生産は1973年~1976年と短命であった。それはミノルタはこのカメラから発展させエレクトロニクス・カメラ(ミノルタCLE)に繋げたためである。しかし現在はこの電子化されていないCLに圧倒的にファンの支持がある。

Leitzminoltaelmarc90  その他標準に左のような90mmレンズが用意されていた。とにかく日本に於ける唯一のライカMマウント・カメラであり、ライカMのレンズが使用可能である。面白いことにライカMマウントの50mmレンズの視野枠もついているのだ。後の日本に於けるコニカヘキサーRF、ベッサR2も同寸法とは言え、KMマウント、VMマウントといい、装着の互換性については相互装着可能であるが保障はしていない。露出計はTTLスポット測光で、機能的にはフィルム巻き上げ、シャッター速度設定、撮影全て右手親指と人差し指で出来るコンパクト・カメラとして優秀なものであった。もともとCLと言うのは、”Compact Leica”” Compact Light-weight” の略と言われ、世界への売り込みを企んだものであった。

 このカメラは現在でも現役そのもの。メカニカルな製品であるだけに修理も可能で、レンズの優秀性もあって、そして小型な為に多用されている。

<今日のミュージック>

<Jazz>
寺島靖国「Jazz Bar  2008」
TERASHIMA RECORDS TYR-1010 / 2008

Jazzbar2008収録曲 / アーティスト(収録アルバム名)
01. NOW IS YOUR TIME  / MURAT OZTURK(CANDIES)
02. GAMUT / HELGE LIEN(HELLO TROLL)
03. ANASTASIA / MAC CHRUPCALA(IN NEWPORT)
04. THE ARABIC THANG / MISHA PIATIGORSKY(PURE IMAGINATION)
05. DIDIMA / CLAES CRONA / DIDIMA
06. FIESTA BAY / HARRY WATTERS(THE ISLAND OF DR.TROMBONE)
07. NIMIS / TINGVALL TRIO (SKAGERRAK)
08. EL SOL SALE / DANIEL MESSINA(BUENOS AIRES AFFAIRS)
09. METAMORPHOSE / SEBASTIEN PAINDESTRE(PARCOURS)
10. SEAWAS KOAL / ROBERT SCHONHERR(SATURDAY FEELING)
11. PRIMA / KURT RIBAK(MORE)
12. MELANCHOLY SERENADE / CLIFF MONEAR(ITS' ABOUT TIME)
13. LA PASIONARIA / GERI ALLEN(SEGMENTS)

 さてさて寺島靖国の「Jazz Bar シリーズ」の2008年にリリースした八枚目のアルバム。相変わらずピアノ・トリオをたっぷり聴かせてくれるのです。
 私好みは03:MAC CHRUPCALA そして05: CLAES CRONA、更に 10: ROBERT SCHONHERRも良いですね。12: CLIFF MONEAR 、13: GERI ALLEN も捨てがたいというところ。それぞれ個性があって、2008年のアルバムは単に抒情性、美旋律にこだらず、ピアノ・トリオを多角的に楽しむという内容になっている。

In_newport  3曲目の” ANASTASIA ”を演ずるピアニストのマック・チャラップカーラMac Charupcalaは、アメリカ西海岸の人とか、この曲は右のアルバムMac Charupcala Trio「In Newport」からである。
  Mac Charupcala : p
    Dave Zinno : b
    John Anter : ds
 この曲では、ちょっと欧州っぽい丁寧な余韻あるピアノの音を聴かせてくれている。こんなマイナーなプレイヤーを探してくれるところにこのアルバムの価値があろうというものだ。

(試聴)  Mac Chrupcala Trio

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