私の愛する老兵カメラ(8) : ライツ・ミノルタCL / マック・チャラップカーラMac Chrupcala ピアノ・トリオ
ミノルタ・カメラの挑戦
私は隠れミノルタ・ファンであった。35mm一眼レフは、ニコンでもなくキャノンでもなく、ミノルタSRT101、ミノルタXDを主力に使った時代がある。それはミノルタ・ロッコール・レンズの優秀性もさることながら常に先進性の内容を持ち機動性に優れていた為だ(今でこそ当たり前の一眼レフ・オート・フォーカスもミノルタが先陣を切った)。
あの35㎜カメラを軌道に乗せた世界の名門ドイツ・エルンスト・ライツ社が、1970年代になって高級カメラのライカM5の不振から会社自体が傾いた時に、起死回生の一打として選んだ道が、日本のミノルタカメラ(株)との共同開発による経営・生産効率がよく品質も優れ世界にアッピール出来るレンズ交換式コンパクト・カメラの生産であった。そしてミノルタ側はその意向を受け入れ内容的には採算を度外視してまでも協力して出来上がったカメラが「Leitz Minolta CL」である。これは海外では「Leica CL」の名称で販売された。
このカメラはライツ社の経営上の問題から一般大衆にも受け入れてもらうべく企画されたものと思うが、あの高級カメラのライカM5の流れをくんだコンパクトな35mmレンジファインダーの素晴らしいカメラに仕上がった。ライカM5はAEカメラのスタート機であつたが、TTL測光は日本のお家芸、従って独自に開発した為大型になり、スタイルも過去のものとは変化したこともあり不評で売れ行き不振となっていたのだった。
そしてこのCLは、ライツ社が設計、ミノルタが手直しして製品にしたというもの。又基本標準レンズは40mmで、なんと同設計のものをライツ社とミノルタと双方で製作したという歴史的に見ても希有なカメラである。このライツ・ミノルタCLには、当然"Minolta M-ROKKOR 1:2" が、ライカCLには"SUMICRON-C"が装着されている。双方のレンズは比較しても優劣無く、日本の技術の国際的評価がこんなところでも知ることが出来る。生産は1973年~1976年と短命であった。それはミノルタはこのカメラから発展させエレクトロニクス・カメラ(ミノルタCLE)に繋げたためである。しかし現在はこの電子化されていないCLに圧倒的にファンの支持がある。
その他標準に左のような90mmレンズが用意されていた。とにかく日本に於ける唯一のライカMマウント・カメラであり、ライカMのレンズが使用可能である。面白いことにライカMマウントの50mmレンズの視野枠もついているのだ。後の日本に於けるコニカヘキサーRF、ベッサR2も同寸法とは言え、KMマウント、VMマウントといい、装着の互換性については相互装着可能であるが保障はしていない。露出計はTTLスポット測光で、機能的にはフィルム巻き上げ、シャッター速度設定、撮影全て右手親指と人差し指で出来るコンパクト・カメラとして優秀なものであった。もともとCLと言うのは、”Compact Leica”” Compact Light-weight” の略と言われ、世界への売り込みを企んだものであった。
このカメラは現在でも現役そのもの。メカニカルな製品であるだけに修理も可能で、レンズの優秀性もあって、そして小型な為に多用されている。
<今日のミュージック>
<Jazz>
寺島靖国「Jazz Bar 2008」
TERASHIMA RECORDS TYR-1010 / 2008
収録曲 / アーティスト(収録アルバム名)
01. NOW IS YOUR TIME / MURAT OZTURK(CANDIES)
02. GAMUT / HELGE LIEN(HELLO TROLL)
03. ANASTASIA / MAC CHRUPCALA(IN NEWPORT)
04. THE ARABIC THANG / MISHA PIATIGORSKY(PURE IMAGINATION)
05. DIDIMA / CLAES CRONA / DIDIMA
06. FIESTA BAY / HARRY WATTERS(THE ISLAND OF DR.TROMBONE)
07. NIMIS / TINGVALL TRIO (SKAGERRAK)
08. EL SOL SALE / DANIEL MESSINA(BUENOS AIRES AFFAIRS)
09. METAMORPHOSE / SEBASTIEN PAINDESTRE(PARCOURS)
10. SEAWAS KOAL / ROBERT SCHONHERR(SATURDAY FEELING)
11. PRIMA / KURT RIBAK(MORE)
12. MELANCHOLY SERENADE / CLIFF MONEAR(ITS' ABOUT TIME)
13. LA PASIONARIA / GERI ALLEN(SEGMENTS)
さてさて寺島靖国の「Jazz Bar シリーズ」の2008年にリリースした八枚目のアルバム。相変わらずピアノ・トリオをたっぷり聴かせてくれるのです。
私好みは03:MAC CHRUPCALA そして05: CLAES CRONA、更に 10: ROBERT SCHONHERRも良いですね。12: CLIFF MONEAR 、13: GERI ALLEN も捨てがたいというところ。それぞれ個性があって、2008年のアルバムは単に抒情性、美旋律にこだらず、ピアノ・トリオを多角的に楽しむという内容になっている。
3曲目の” ANASTASIA ”を演ずるピアニストのマック・チャラップカーラMac Charupcalaは、アメリカ西海岸の人とか、この曲は右のアルバムMac Charupcala Trio「In Newport」からである。
Mac Charupcala : p
Dave Zinno : b
John Anter : ds
この曲では、ちょっと欧州っぽい丁寧な余韻あるピアノの音を聴かせてくれている。こんなマイナーなプレイヤーを探してくれるところにこのアルバムの価値があろうというものだ。
(試聴) Mac Chrupcala Trio
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コメント
ミノルタSRT101とはなつかしいですね。今思えば、買っておけばよかった、ですが当時は安月給で買える状況にはありませんでした。代わりにミノルタハイマチックEを使っていました。これはスナップ写真にはもったいない位で、10年近く使いましたが、水の中に落としてしまい、廃棄しました。当時のミノルタはレンズが良かったと思います。
投稿: 水戸老公 | 2014年5月 8日 (木) 09時06分
水戸老公様、ご無沙汰しております。
「ミノルタSRT101」は、私は初めて親に頼らず自分で買ったカメラでした。まぁ少々私の方が歳をとっていましたので買えたのでしょうね(笑)。ミノルタはニコン、キャノンと違って、メーカーから販売店までの中間マージンが少ない販売網で、カメラ店も定価で売ると利鞘が多かったため、ユーザーにはその分価格を下げて売ることが出来たというシロモノです。ミノルタってその面でも今から見ても一歩進んでいました。その後一眼レフ初めてのシャッター、露出両優先可能の「ミノルタXD」を発売しました。これがニコンやキャノンよりも小型で機能は優秀でして、早速次に買ったものでした。
ミノルタ・ロッコール・レンズというのは、カメラは、ニコン、ニコンという裏で、結構カラー撮影にも優れていたと思います。
投稿: 風呂井戸 | 2014年5月 8日 (木) 20時47分