ジョルジュ・パッチンスキー・トリオGeorges Paczynski Trio 「LE CARNET INACHEVÉ」
耽美派系の繊細にてスマートな作品
<Jazz>
GEORGES PACZYNSKI TRIO 「LE CARNET INACHEVÉ」
Art & Spectacles ASCD 130701, 2013
Georges Paczynski (drums except 9)(p on 12)
Vincent Bourgeyx (piano except 12)
Marc Buronfosse (bass except 10,12)
1. Le Gardin De Phare
2. L'Apatride
3. La Derniere Valse De Madame De…
4. La Possede
5. Au Coeur Des Tenebres
6. La Violoncelliste
7. 10 Avril 2010
8. Struggle For Life
9. L'Etrange Machiniste
10. Tout Cela Avait Bien Un Sens…
11. Le Portrait De Laura
12. Le Carnet Inacheve
13. Immobile, En Son Detachement
14. L'Inscription Effacee
15. Mother Of Earl
フランスの70歳を越えたベテラン・ドラマーのジョルジュ・バッチンスキー(1943~)のこのレーベルでの3作目のピアノ・トリオ・アルバム。
「ジャズ批評」誌にて好評であった2007年「Generations」 、2009年「Présence」の2作とは異なって、今作はピアニストにヴァンサン・ブルゲ(1972~)をフューチャーしての新トリオによる作品。ドラマーが主導のトリオであるだけに作品ごとにメンバーは変わっていても流れは確実に継承されているようだ。私は残念ながら前2作は聴いてないので是非とも聴いてみたいとこの作品を知って目下思っているところ。
曲は短いものがずらっと15曲並ぶ。そして最後の” Mother Of Earl”以外はオリジナル。その点もバッチンスキーの意欲を窺い知れるところである。彼のこのアルバムにて主体的に聴かれる技法はブラッシ・ワーク、そしてシンバルであるが、その繊細にてスマートなところは非常に心地よい。ドラマーのアルバムということで、ドラム・ソロがかなり絡むのかと思いきやそうでなく、12曲目の” Le Carnet Inacheve ”のピアノ・ソロは、なんとバッチンスキーが奏でて思索的世界感を醸し出す。曲は比較的スローというかしっとりじっくりと聴かせるもので、即興的な部分も感じとれるがある意味では計算し尽くされたピアノ・トリオ・プレイを展開。しかし14曲目ではテンポの速い攻めのプレイも見せてくれる。ブルゲのピアノもクラシックの影響があるのかメロディーの美しさとそのタッチに品が感じられて好感が持てる。
あくまでもスウィングするジャズというよりは、ECM的なやや暗めであり、思索と詩情との世界に誘ってくれる私好みのアルバムである。
(参考視聴)
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