エドワール・フェルレEdouard Ferlet のジャズ・バッハの世界
フランス伝統のシャレた世界とは別物?
<Jazz>
EDOUARD FERLET 「Think Bach」
Rue Stendhal MEL 666011 / France / 2012
Edouard Ferlet : Piano
Compositions
1. Analecta
2. Dictame
3. A La Suite De Jean
4. Verso
5. Lisiere
6. Souffle Magnetique
7. Que Ma Tristesse Demeure
8. Lapsus
9. Diagonale
10. Replique
噂のエドワール・フェルレのピアノ・ソロ・アルバムを遅まきながら聴いた。なにせ私がジャズ・ピアノに興味を持ったのは、やはりフランスのジャック・ルーシェによる「プレイ・バッハ」だった。あれはなんともう50年も前の話で、ここにきての”バッハのジャズ演奏って?今更”って気分でいたのだが・・・・なるほどアルバムを聴いてみると、なかなかこのバッハの世界への迫り方には又一つの世界がある事が解ったのだ。
”Compositions”とあるから、なになに単なるバッハには納まらない。つまりクラシック・バッハでなく、”模倣と創造との対立・矛盾する要素間の不断の緊張”と言うことのようなんですね。そう思って聴くとなるほと面白い。昔のジャック・ルーシェはシャレた世界でバッハをジャズで聴かせてくれた。そしてフェルレはその二番煎じでなく、彼の創造的センスでバッハを捕らえようとしたと言うことのようだ。
エドワール・フェルレと言うのは、フランスのベーシストがリーダーのジャズ・ピアノ・トリオの「ジャン-フリップ・ヴィレ・トリオJEAN-PHILIPPE VIRET Trio」のピアニスト。このあたりも私は未消化だが何せ現代トリオとしての名は高い。そのあたりから創造しても一筋縄ではゆきそうもないことは想像の付くところ。左の写真をみてもなかなかの面魂。
彼は1971年のフランス生まれ、クラシックの勉強したがジャズに傾倒、1990年にはバークリー音楽院で作曲の勉強。つまりボストンに住んだ。
1992年にはバークリーのベスト・ピアニストの賞を受けたとか。その後フランスにて活躍中。
このアルバムの演奏だが、一つは単なるピアノ演奏に止まらす、このピアノをいろいろな手段で音を出す道具としてもいる。つまり打楽器的であったり、弦楽器のような音を出したりと、これらの手法は実は私はあまり好まない。邪道と言えば邪道、パーカッションが欲しかったらそれを用いれば良いのではないか?と思うのだが。しかし最近の流行でもあるといったところか。
さてこのアルバムの肝心のバッハの曲はどうなったかというと、ちらっと思い当たるメロディーがきこえてくるが、どうもバッハでなくても良いのではないかと思うほど彼の創造の世界が主導だ。しかし何か不思議な魅力があるところが面白い。これは音楽の専門家というか学者というか、そのような人が聴くと何かがありそうだと言うことは私にも解る。
結論的に、結構聴きくにつれて引き込まれるところがある快作とも言える。
(追記) これを聴かせてくれた友人に感謝というところ
(視聴)
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コメント
風呂井戸さん、こんにちはmonakaです。
貴殿の記事でこのアルバム思い出しました。なかなか面白い世界で、いつも聞かないけれど突然出会うと聞き入ってしまう世界ですね。
TBさせていただきます。
投稿: monaka | 2014年6月11日 (水) 09時01分
monakaさん、コメント有り難うございます。
私のように、音楽的学問なしの何でも聴いて喜んでいる人種にとっても、このアルバムは面白かったです。monakaさんが2012年にこのアルバムについてブログで取り上げておられるのでしたね、参考になりました。トラックバック有り難うございました。
しかしこのフェルレはかってバッハをしっかり勉強したために、結果としてこうした世界を構築したんでしょうね。
投稿: 風呂井戸 | 2014年6月11日 (水) 15時43分