« コリン・バロン・トリオColin Vallon Trio のECM第2弾「Le Vent」 | トップページ | ヘルゲ・リエン・トリオHelge Lien Trio の今年のアルバム「BADGERS and OTHER BEINGS」 »

2014年8月 5日 (火)

フレッド・ハーシュ・トリオFred Hersch Trio ニューアルバム 「FLOATING」

詩情豊かなアメリカン・ジャズ

<Jazz>

           FRED HERSCH TRIO 「FLOATING」
            PALMETTO , US ,  PM2171 ,  2014


Floating1
Fred Hersch(piano)
John Hébert(bass)
Eric McPherson(drums,per)

 

1 You and The Night and The Music (Dietz/Schwartz – Warner Brothers Inc ASCAP)
2 Floating
3 West Virginia Rose (for Florette & Roslyn)
4 Home Fries (for John Hébert)
5 Far Away (for Shimrit)
6 Arcata (for Esperanza)
7 A Speech to the Sea (for Maaria)
8 Autumn Haze (for Kevin Hays)
9 If Ever I Would Leave You (Lerner/Lowe – Chappell-Co Inc ASCAP)
10 Let’s Cool One (Monk – Thelonious Music Corp BMI)

1280pxcincinnati
 1955年オハイオ州シンシナティ生まれのフレッド・ハーシュが、病で2007年に倒れてから復帰してのライブ盤を入れての3枚目のアルバム。
 彼の生まれたシンシナティというところは、米国の中でも私の少しの旅した中では最もヨーロッパ的な落ち着いた雰囲気の感じられる都市だったように思う。オハイオ川が流れるその風情によるものかも知れないが、私にとっては好印象であった。それは又私の親族が今でもこの都市に住んでいるところからも更に親密感を持つのである。特にこの川岸近くに立つ高層のビルの上にある回転式のレストランでの食事をしての風景は、非常に美しく、もう何年も前の経験だが今でも忘れないところだ。

13_0101_01


 さて、このニュー・アルバムは4年ぶりのスタジオものだが、メンバーはこのところ固定しているジョン・エイベア(b)エリック・マクファーソン(d)とのトリオ。そしてお馴染みの曲からスタートするが、やっぱりアメリカン・ジャズの華々しいところはちゃんと持っていて、彼のピアニストとしてのテクニックの健在性を聴かしてくれる。そして2曲目にアルバム・タイトル曲”Floating”が登場して、がらっとイメージは変わってしっとりと人生を味わうが如くのメロディーの奥深い美が襲ってくる。このアルバムの主たる表現だと思われる。
 そして3曲目からの6曲は、彼の人生にて大切な人と言わせる人達に捧げた曲が並ぶ。特に3曲目” West Virginia Rose ”は、母親と祖母に捧げた曲のようでスローな中に情感が込められた曲。スウィング、バラードが繊細なピアノ・タッチで詩情豊かに流れてくる。
 なるほどこのアルバムは、「ピアノの詩人」と言われるハーシュの面目躍如のアルバムに仕上がっていて、これも貴重な一枚である。

(試聴)

|

« コリン・バロン・トリオColin Vallon Trio のECM第2弾「Le Vent」 | トップページ | ヘルゲ・リエン・トリオHelge Lien Trio の今年のアルバム「BADGERS and OTHER BEINGS」 »

音楽」カテゴリの記事

JAZZ」カテゴリの記事

ピアノ・トリオ」カテゴリの記事

フレッド・ハーシュ」カテゴリの記事

コメント

風呂井戸さん,こんばんは。当方ブログへTBありがとうございました。

おっしゃる通り,『「ピアノの詩人」と言われるハーシュの面目躍如のアルバムに仕上がって』いると思います。だからこそ,ちょっと冒頭の1曲は唐突感があって,私は記事にするのが遅れてしまいました。でも聞き込むと,それも抵抗がなくなるというのは,私の記事にも書いたとおりですし,それに続く曲群の美しさはやはり素晴らしいですね。

ということで,こちらからもTBさせて頂きます。

投稿: 中年音楽狂 | 2014年8月 7日 (木) 20時31分

中年音楽狂さんは、今年の来日ライブに馳せ参じたのでしたね。羨ましいです。やはりライブ現場が最も感動できますから・・・・。
1曲目は如何にもアメリカン・ジャズ風でスタートせて、そして2曲目から彼のやりたいところに誘導するところがニクイと思っていますが(笑)。そのあたりはライブ会場体験からアルバム感想を書かれた中年音楽狂さんのアーティクルには重きがあって、ローカルに生息する人間にとっては非常に参考になりました。しかし・・やっぱりなんだかんだ言っても、ハーシュは詩人ですね。

投稿: 風呂井戸 | 2014年8月 8日 (金) 18時25分

Fred Herschの演奏の真骨頂はどこにあるのか、どこに魅力を感じるか、と言うことだと思うのですが..。
正直、真骨頂はスローな曲にあるんだと思います。
という意味では、6曲目をベストに推す自分って。。orz

TB入らず、すいません。こちらのTBは入っていると思うので、今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: oza。 | 2014年8月 9日 (土) 06時26分

ozaさん、わさわざコメント有り難う御座います。6曲目を上げる事は、ozaさんのブログで拝見していましたが・・・なかなかハーシュのテクニカルにも充実したところからの曲であることは解ります。多分そんなところからも感ずるところがあるんでしょうね・・・と、想像しています。これからもよろしくお願いします。
 TBも有り難う御座いました。

投稿: 風呂井戸 | 2014年8月 9日 (土) 09時59分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: フレッド・ハーシュ・トリオFred Hersch Trio ニューアルバム 「FLOATING」:

» 遅くなってしまったが,Fred Herschの新譜である。 [中年音楽狂日記:Toshiya's Music Bar]
Floating Fred Hersch(Palmetto) 今年の4月に来日し,素晴らしい演奏を聞かせてくれたFred Herschであるが,来日メンバーと同じトリオでの新譜がリリースされてから、し [続きを読む]

受信: 2014年8月 7日 (木) 20時32分

» Fred Hersch Floating [JAZZとAUDIOが出会うと。。。]
Fred Herschの新作がリリースされました。 この盤は、4月の新譜会(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/62526625.html)で、マスタリング前?の音源を聴かせてもらってこれは良い演奏が聴けると確認して、正式リリースされるのを待っていた盤です。 それまで、Fred HerschはVanguardライブを3種と、Julian Lageとのデュオ作の4枚を聴いている程度。 本作が5枚目の購入です。   live at the Village Va..... [続きを読む]

受信: 2014年8月 9日 (土) 06時11分

« コリン・バロン・トリオColin Vallon Trio のECM第2弾「Le Vent」 | トップページ | ヘルゲ・リエン・トリオHelge Lien Trio の今年のアルバム「BADGERS and OTHER BEINGS」 »