ヘルゲ・リエン・トリオHelge Lien Trio の今年のアルバム「BADGERS and OTHER BEINGS」
クラシックからの発展形とコンテンポラリーの見事な融合
<Jazz>
HELGE LIEN TRIO 「BADGERS and OTHER BEINGS」
Ozella Music , OZ 055 CD , 2014
ノルウェイのヘルゲ・リエン・トリオ、彼等の作品としては、前作の「Natsukashii」 (参照 : HELGE LIEN 「Natsukashii」 )以来3年経ての今年の作品「BADGERS and OTHER BEINGS」であるが、既にここで取り上げたつもりでいたのだが、どうもそうではなかったようで、改めて遅まきながらの登場です。
今回、ちょっと気になったのは前作までのトリオ・メンバーであったドラムスのKnut Aalefjaer に変わって、Per Oddvar Johansen が努めていることだ(2013年の来日メンバーもこのトリオ)。Helge Lien Trioとしては、2001年の「What are you doing the rest of your life」以来9枚目になり、 Ozella Music からは3枚目と思うこのアルバムで、新トリオとしてのスタートになった。しかしほっとしたのは、相変わらす聴き終わった後に気持ちのゆとりを作ってくれるところは変わりなく、やはり快感を呼ぶ作品である。
一方、ベースのFrode berg は、このジャズ・トリオとクラシック・オーケストラ(Oslo philharmonic Orchestra)のベーシストを兼任しているという人材。
Helge Lien : p
Frode berg : b
Per Oddvar Johansen : d
(Tracklist)
1. Mor
2. Joe
3. Hoggormen
4. Hvalen
5. Folkmost
6. Early Bird
7. Knut
8. Calypso In Five
9. The New Black
10. Badger's Lullaby
全曲ヘルゲ・リエンによる曲で構成されている。オープニングの”Mor ”は、クラシック・ピアノを聴いている感覚になる。しかし次第に3曲目”Hoggormen ”、4曲目”Hvalen ”あたりにくると、彼等のコンポジションを見せつけるスリリングにしてトリオのアンサンブルが強調され、コンテンポラリーな面が随所に聴かれるところとなる。しかし不思議に心が安まる世界が感じられるところが、このトリオの特徴だ。” Early Bird ”などはまさに美旋律。そして9曲目”The New Black ”においては、ややピアノの重低音を響かせ、このアルバムでは一番の現代音楽のアバンギャルドな面を展開するが、それが曲の最後には静かに落ち着いた世界に導いて終わらせるところはお見事。
北欧の味なのでしょうかメディアム・テンポで軽妙なリズム展開の中にも何か心に響くメロデイーが襲ってきて、郷愁感を引き起こすところが、若さの割にはテクニカルにも又音楽的センスにも優れているように思ってます。最後の”Badger's Lullaby”のスローにして余韻を味合わせる演奏はアルバムの締めくくりとしては最高で、この盤の好印象を残させるに充分な曲である。
(視聴) ”Mor”
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コメント
いつか取り上げられていたと記憶してますが ・・・。ヘルゲ・リエン、10月に来日するそうです。
投稿: 爵士 | 2014年8月10日 (日) 14時31分
爵士さん、残暑お見舞い申し上げます
ヘルゲ・リエンは10月に見えるのですか・・・?
、そうそうティエリー・ラングは来月ニュー・アルバムを引っさげて来日公演ですね。
投稿: 風呂井戸 | 2014年8月15日 (金) 10時34分