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2014年8月30日 (土)

ブート界は大賑わい~ジェフJeff Beck & タルTal Wilkenfeld 「BEST of BLUES」

ブラジル・サンパウロでのジェフ・ベック~BEST of BLUES Festival 2014
  久々のタル(bass)とカリウタ(drums)とのパフォーマンスに湧く

 今年(2014)の5月9-11日に行われたブラジルはサンパウロで行われた「BEST of BLUES Festival 2014」には、2日目(10日)にジェフ・ベックの登場で21曲のパフォーマンス。しかも今年の日本始め各国の公演とはメンバーが変わって、この日のみのキー・ボード・レスであのタルとカリウタとの顔合わせが久しぶりに実現した。

Bestofblues91011_2Live at World Trade Center Golden Hall, Sao Paulo, Brazil 10th May 2014 
(今年の主たるメンバー)
Buddy Guy
Jonny Lang
Ana Popovic
Jeff Beck
Joss Stone
CéU
Marcelo D2
Aloe Blacc
Troy 「Trombone Shorty」 Andrews & Orleans Avenue


さてこのフェスティバルの記録は、どうもオフィシャル・アルバムとしては登場はなさそうで、そこで当日のオーディエンスによる映像や録音ものが巷に目下溢れているのである。
 特にジェフ・ベックは、近年珍しいヴォーカルものを主体として演じていて、そこに次のようなメンバーで、にジミー・ホールも加わってのパフォーマンス。・・・・
Jeff Beck - Guitars
Vinnie Colaiuta - Drums
Tal Wilkenfeld - Bass, Vocals on You  Shook Me
Jimmy Hall - Vocals, Harmonica
Special Guest: Joss Stone

        ・・・・・・と、なると既にYouTubeなどには殆ど全曲の映像が登場しているし、又サウンドものとしてのブートCDも2枚組アルバムとして登場している。

Bestofbluesdvd_2そして傑作は、ブートのブートみたいな、DVD映像ものもある(左)。

<Rock>
JEFF BECK
「BEST of BLUES festival 2014」


 
これはなんと、YouTube に登場したものの中から、観るに耐えられそうなところを選りすぐって主たる18曲を集めたもの。ブートがYouTubeに載るのでなく、その逆なのである。
 それでも興味半分で見てみると、取り敢えず並んでいるので見やすいのだが、曲によって撮影者が異なっていて、まあ鑑賞というのでなく雰囲気だけはわかるものと思った方が良い。
Tal3
 久々のタル・ウィルケンフェルドのベースと、ヴィニー・カリウタのドラムスのトリオ編成を堪能する。やっぱりタルのベースはロンダ・スミスと違って、良し悪しは別にしてテクニカルなJazzyなところを楽しめる。そしてこのトリオになんとジミー・ホールが、ハーモニカとヴォーカルで参戦、又ジョス・ストーンがヴォーカルでゲスト参加(” I  Put A Spell On You”を熱唱してくれる)。やっぱりお祭りですね。意外にジェフ・ベックはおとなしくギターを効かせてくれる。そしてサービス満点でソロもちゃんと演じているのである。
 それでも驚きは、タルのヴォーカルが”You Shook Me ”でご披露だ。少々大人なってのミュージシャンの姿、これだけでも取り敢えず視聴してみる価値ありですね。

<この日のsetlist>
(Live at World Trade Center Golden Hall, Sao Paulo, Brazil 10th May 2014)

1. Morning Dew 2. I Ain't Superstitious 3. Stratus 4. You Never Know 5. Cause We've Ended As Lovers
6. Big Block 7. A Change Is Gonna Come 8. Freeway Jam 9. Rollin' And Tumblin' 10. You Know You Know
11. I Put A Spell On You
12. Little Wing  13. Foxy Lady  14. Manic Depression  15. People Get Ready  16. Blue Wind
17. You Shook Me  18. Going Down  19. A Day In The Life  20. Where Were You  21. Wild Thing

Best2

Bestjeff
 さて、その他、ジェフ・ベックは、今年は世界ツアーを行っていて、こちらはRhonda Smithのベース、そしてツイン・ギター・スタイルで、Nicolas Meier のギター 、Jonathan Josephのドラムスで、パワー全開。これも又ブート界ではあれやこれやとCD、DVD、Blu-rayと巷を賑わせている。

(視聴)  ” I  Put A Spell On You

You Shook Me

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2014年8月25日 (月)

イヴィ・メンデスIve Mendes : 「MAGNETISM」

ちょっと不思議なムードのフュージョン・女性ヴォーカルもの
~夏の夜の一時を~

<Jazz>
 Ive Mendes 「MAGNETISM」
     Mizak, JPN , MZCF-1290 ,  2014


Magnetism

イヴィ・メンデス (vo,  produce)
ロビン・ミラー (g, p, fender  phodes, perc, produce)
マーク・スミス (b, produce)
アレックス・ガーネット (s)
マット・ホランド (tp)
トリスタン・バンクス (ds)
ソニア・スレニー (vln)
ニック・クーパー (cello)

Ive1
  イヴィ・メンデスIve Mendesは、”ブラジルのシャーデー?”なんてふれこみのようだが・・・、ブラジルの中心地ジオアニアというところの出身であり、それがロンドンでシャーデーを世に出したロビン・ミラーの目にとまり、彼のプロデュースでこうしてデビューしたことによるのだろうか?。しかし音楽の質はちょっと違いますね・・・・。
 それにつけても、彼女のボリュームのあるヴォーカルがブラジル的ボッサのムードを醸しつつ、ロビン・ミラーの英国風なクラブ・ミュージックとの融合といってよいか不思議な感覚を呼ぶ。そしてどちらかというとスローに都会的に、そして夏の夜向きに仕上げた作品集。

 これは彼女のなんと二枚組の2ndアルバムで、日本にお目見えしたのは今年2014年であるが、もう数年前のリリース・アルバムだ。日本向けに一枚ものに再編集ものらしい。
 結構セクシーな面を狙っている風も感じ取れる。彼女は紹介には年齢が書いてないが、うーん、それなりに貫禄も有り、そういった歳なんでしょうね。そこがこんなムードを作る器量があるんでしょう。

List
 Tracklist は、左のように全15曲。彼女自身のオリジナル曲を披露するが、例えば3曲目”I don't want to talk about it もう話したくない”のようにロット・スチュアートのヒット曲も登場する。そうそうスタート曲”Yellow”もヒット曲のカヴァーだ。そして”Eu sei que vou te amor あなたを愛してしまう”のようにブラジルのジョピンの曲でポルトガル語のヴォーカルも披露。
 アルバム・タイトル曲の”Magnetism”は、パーカッション、ギターのリードで、ストリングスの調べも流れる中に、ちょっと不思議なメロディーでこんなところがクラブ・ミュージックの流れなのか、ちょっと面白い。
 
 
 

 とにかくご縁があって、私のところに舞い込んだアルバムで、彼女のことは全く知りませんでした。これはいずれにしても、低音を生かした女性ヴォーカル中心もので、雰囲気はやっぱり夏の夜といっていい。
 しかしこの手は、ややそれなりに聴くところを幅広くカヴァーしてゆく輩には聴かれるだろうが、日本でのジャズ・ヒットとしての位置は多分難しいのでは?と思われるアルバムである。

 

(視聴) ”I don't want to talk about it”

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2014年8月21日 (木)

映画「ミッドナイト・ガイズ」でジョン・ボン・ジョヴィを聴く

久々にDVD映画鑑賞~全編16曲のロックが堪能できる
アルパチーノの渋さ、ジョン・ボン・ジョヴィの歌”Not Running Anymore”

 考えてみると我が家ではDVD、Blu-ray などは、プロジェクターにて投映してサラウンド・サウンドで堪能できるのですが、このところジャズやロックのライブものばかりで、しばらく映画から遠ざかっていた。久々にレンタル・DVDによって観た映画です。

          (この映画のテーマ) ~老いぼれも魂は変わらない~

<映画> <Rock>

「ミッドナイト・ガイズ MIDNIGHT GUYS」
            (原題) STAND UP GUYS
            アメリカ映画、2012製作(公開日本2013年)

Midnight_guys
 

 そう大袈裟に評価する映画でも無いが、久々のアル・パチーノの映画で、結構好感の持てる娯楽作。
 ギャング映画と言えばその範疇なのかも知れないが、もう成人した立派な孫のいる歳になった3人の男の友情とその生き様を描いた人間模様で、後味は決して悪くない映画。そこに主人公演ずるアル・パチーノの渋い男が見物だが、それになりきったようなジョン・ボン・ジョヴィの切々とした歌声が何とも言えずマッチしている。最近の作品としては、あまり醜いシーンは描かないオーソドックスな映画といえる快作だ。
 映画の筋立てはそれはそれ観ていると何となく解ってくるのだが、そこに流れるなんと全16曲のロックが結構いけるんです。

(Cast)
Al Pacino
Christopher Walken
Alan Arkin

 この3人のベテラン演技派によって描かれる

<スタッフ>
監督:フィッシャー・スティーヴンス
製作:トム・ローゼンバーグ
脚本:ノア・ハイドル
主題歌:ジョン・ボン・ジョヴィ
音楽:ライル・ワークマン


<ストーリー>
 28年の刑期を終えて出所したギャング、ヴァル(アル・パチーノ)は、ギャング仲間のドク(クリストファー・ウォーケン)と再会を果たす。しかしドクは彼らのボスであるクラップハンズ(マーク・マーゴリス)に、ある難題を押し付けられていた。それは、“翌朝の10時までにヴァルを殺す"こと。しかし、ヴァルを目の前にしたドクには、男として、かっての仲間としての気持ちが流れてくる。そこで二人はスポーツカーを盗み3人目の仲間、ハーシュ(アラン・アーキン)を連れ出し、久しぶりに3人での変わらぬ魂を感じ合う。・・・・・・

Jon_bon_jovi さてそこに流れるジョン・ボン・ジョヴィの歌と曲。

   ”Not Running Anymore”
      ”Old Habits Die Hard”

 この”Not Running Anymore”は、それなりに好評でヒットした曲だが、アル・パチーノら老兵2人が最後には、自己の魂は売らずに昔の気持ちを取り戻して、人生の最後に相応しいところを決断し、その場に向かって行くところに流れてくるなかなか味わいある曲。
 その前にアル・パチーノが3人の仲間の一人のアラン・アーキンが亡くなったときに送った弔辞は、"俗に人は二度死ぬという、一回目はその魂が肉体を離れるとき、そして二度目は人々からその者の名が語られなくなった時・・・"と語るシーンがあるが、なかなか味わいある言葉で・・・、それを思い起こしつつこの場面を観るのである。

 この映画の音楽担当はライル・ワークマンだが、なかなか選曲が良い。全編ロックで彩られている。聴き応え十分。
 そしてエンディングに、やはり ジョン・ボン・ジョヴィの”Old Habits Die Hard”が、老いぼれギャング3人の魂のある人生を讃えるが如く流れてくるのであった。

(視聴1)

(視聴2)

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2014年8月15日 (金)

名器ファツィオリFAZIOLI を聴く ~大石学、山本英次

イタリアの名器ファツィオリで聴くジャズ

 イタリアのピアノの名器ファツィオリFAZIOLIを聴くということで、音にこだわる日本人として日本人プレイヤーのソロ・アルバム2枚ここに取り上げてみた。

 ジャズとピアノと言うことでも、我々が接することの多いピアノは、やっぱり透明感溢れる音ということで世界のピアノ生産国であるドイツの「スタインウェイSteinway & sons」が最右翼であろう。私のように音楽に関する学問のらしきものは全くない人間だが、それでもその音には快感という世界があって、やはり納得の音を聴きたいものである。日本のピアノと言えば「YAMAHA」 とか「Kawai」 を思い浮かべるが、この両者も健闘している。とにかくドイツ、日本は世界の主要なピアノ生産国である。
F30801
 
 そんな中で歴史は古いわけではないが、世界で名器との看板を張っているピアノにファツィオリがある。このピアノはイタリアの北部の小さな田舎町サチーレで作られている。世界に名を馳せているスタンウェイ、ベヒシュタイン、ベーゼンドルファーなどは、1800年代創設されたものだが、なんとこのファツィオリは1980年に最初のモデルが出来た新参者である。
 イタリアの家具製造業の家に生まれたパオロ・ファツィオリは、子供の頃からピアノに接していたが、ローマ大学で工学を学び、家具生産工場で働いていたと言われているが、一方ロッシーニ音楽院でピアノを、そしてローマ音楽院で作曲を専攻したという話もある。いずれにしてもピアノに関する興味は人一倍で、1970年代はピアノの需要は世界的に頂点に達していたこともあり、自己の納得のゆくピアノ生産に手を出したのであった。
 そして大量生産的手法でなく、全てに材質を始め良質手作りを追求して作り上げた。そして世界で最も高額のピアノとなり、2010年以降は国際的コンクールのピアノとしても採用される名器という看板を張ることが出来たものだ。

<Jazz>
       Manabu Ohishi 「WATER MIRROR」
       Atelier Sawano, AS 108 ,   2011

Water_mirrorManabu Ohishi (piano)
1. Calm *
2. Water Mirror *
3. Pleasure *
4. After The Rain *
5. Hanauta *
6. How Insensitive
7. 'Round Midnight
8. Alone Together
9. Fly Me To The Moon
10. Tosca *
11. Ocean * 
 (*印:大石学オリジナル曲)

Ohishi1 私が大石学Manabu Ohishi の演奏を初めて聴いたのは、彼のピアノ・トリオ・アルバム「Gift」 (Atelier Sawano , AS-122, 2012)であった。これはベーシストがJean-Philippe Viret で、話題性もあり手に入れたのだが、このアルバムはフランスでの録音で、ピアノはファツィオリを使っている。彼のジャズを越えたメロディーラインの美しさとピアノの透明感ある音に感動を知ったのだが、この大石学のソロであるこのアルバムは、その前年の2011年に同じフランスでの録音ものだ。これを実は聴かずに来ていたが、つい最近爵士さんの紹介で聴くことが出来たものだ。やはりアルバム・タイトルどおりの透き通った水面の鏡に映ったような美しい響きがソロ故に倍増して聴け、音の余韻が素晴らしい。そして彼の優しさの曲作りが伝わってくる。ファツィオリを充分研究しての曲作り音作りであったのだろう。

・・・・・さて、そんなことを感じていて思い出したのが、これはなんと更に10年以上前のものであるが、やはりかって私の友人から紹介してもらったアルバムである。(↓)

                             ・・・・・・・・     ・・・・・・・・
<Jazz>
          Eiji Yamamoto 「to fazioli」
          インデペンデントレーベル, YPM-7,  1998


007j_2 Eiji Yamamoto (piano)

(1) Softly As In A Morning Sunrise
(2) Am Ha Arets"SUGA"
(3) Summer Time In VENICE
(4) St.Louis Blues
(5) Stella By Starlight
(6) Alice In My Dream *
(7) Lullaby Of Bay YOKOHAMA *
(8) Autumn Leaves
(9) If I Had You
(10) Someone To Watch Over Me
(11) Mood Indigo
(12) Sweet Gerogia Brown
(13) Alice and Flowers *
(14) Dinah
(15) Alice In Wonderland
(16) Alice In Wonderland
(17) To FAZIOLI *
  (*印:山本英次オリジナル曲)


Eiji1j 1941年生まれの山本英次、映画音楽、オリジナル曲、ジャズ・スタンダード曲など幅広くピアノ演奏。彼が1996年にピアノソロ集「ララバイオブピアノマン」で話題になり、その後ドイツの名器ベヒシュタインによるピアノ・ソロ集など経て、このアルバムは名器ファツィオリにてピアノ・ソロ集第4作としてリリースしたのだ。ファツィオリには6種のグランド・ピアノがある。F308という特大コンサート・グランド・ピアノがあるが、通常のフル・コンサート・グランド・ピアノはF278である。そのF278を凝りに凝った状況下で、録音もマイクの位置も研究を重ね、録音機器も最先端機器によった。こうして透明感の上に気品のある演奏と音を提供する自己のオリジナル曲4曲を含む17曲のアルバムを完成させたのだった。初めて聴いた当時の感動は今も忘れない一枚である。今もこの音は最右翼の録音モノである。
 

(試聴) "TOSKA" from Manabu Ohishi「WATER MIRROR」

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2014年8月10日 (日)

ヘルゲ・リエン・トリオHelge Lien Trio の今年のアルバム「BADGERS and OTHER BEINGS」

クラシックからの発展形とコンテンポラリーの見事な融合

<Jazz>
             HELGE LIEN TRIO 「BADGERS and OTHER BEINGS」
             Ozella Music  , OZ 055 CD ,  2014

Badgers

 ノルウェイのヘルゲ・リエン・トリオ、彼等の作品としては、前作の「Natsukashii」 (参照 : HELGE LIEN 「Natsukashii」 )以来3年経ての今年の作品「BADGERS and OTHER BEINGS」であるが、既にここで取り上げたつもりでいたのだが、どうもそうではなかったようで、改めて遅まきながらの登場です。

 今回、ちょっと気になったのは前作までのトリオ・メンバーであったドラムスのKnut Aalefjaer に変わって、Per Oddvar Johansen が努めていることだ(2013年の来日メンバーもこのトリオ)。Helge Lien Trioとしては、2001年の「What are you doing the rest of your life」以来9枚目になり、 Ozella Music  からは3枚目と思うこのアルバムで、新トリオとしてのスタートになった。しかしほっとしたのは、相変わらす聴き終わった後に気持ちのゆとりを作ってくれるところは変わりなく、やはり快感を呼ぶ作品である。
 一方、ベースのFrode berg は、このジャズ・トリオとクラシック・オーケストラ(Oslo philharmonic Orchestra)のベーシストを兼任しているという人材。

Helge_lien_trioHelge Lien : p
Frode berg : b
Per Oddvar Johansen : d

 (Tracklist)
  1. Mor
   2. Joe
   3. Hoggormen
   4. Hvalen
   5. Folkmost
   6. Early Bird
   7. Knut
   8. Calypso In Five
   9. The New Black
  10. Badger's Lullaby


Halie_loren1
 全曲ヘルゲ・リエンによる曲で構成されている。オープニングの”Mor ”は、クラシック・ピアノを聴いている感覚になる。しかし次第に3曲目”Hoggormen ”、4曲目”Hvalen ”あたりにくると、彼等のコンポジションを見せつけるスリリングにしてトリオのアンサンブルが強調され、コンテンポラリーな面が随所に聴かれるところとなる。しかし不思議に心が安まる世界が感じられるところが、このトリオの特徴だ。” Early Bird ”などはまさに美旋律。そして9曲目”The New Black ”においては、ややピアノの重低音を響かせ、このアルバムでは一番の現代音楽のアバンギャルドな面を展開するが、それが曲の最後には静かに落ち着いた世界に導いて終わらせるところはお見事。
 北欧の味なのでしょうかメディアム・テンポで軽妙なリズム展開の中にも何か心に響くメロデイーが襲ってきて、郷愁感を引き起こすところが、若さの割にはテクニカルにも又音楽的センスにも優れているように思ってます。最後の”Badger's Lullaby”のスローにして余韻を味合わせる演奏はアルバムの締めくくりとしては最高で、この盤の好印象を残させるに充分な曲である。

(視聴) ”Mor”

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2014年8月 5日 (火)

フレッド・ハーシュ・トリオFred Hersch Trio ニューアルバム 「FLOATING」

詩情豊かなアメリカン・ジャズ

<Jazz>

           FRED HERSCH TRIO 「FLOATING」
            PALMETTO , US ,  PM2171 ,  2014


Floating1
Fred Hersch(piano)
John Hébert(bass)
Eric McPherson(drums,per)

 

1 You and The Night and The Music (Dietz/Schwartz – Warner Brothers Inc ASCAP)
2 Floating
3 West Virginia Rose (for Florette & Roslyn)
4 Home Fries (for John Hébert)
5 Far Away (for Shimrit)
6 Arcata (for Esperanza)
7 A Speech to the Sea (for Maaria)
8 Autumn Haze (for Kevin Hays)
9 If Ever I Would Leave You (Lerner/Lowe – Chappell-Co Inc ASCAP)
10 Let’s Cool One (Monk – Thelonious Music Corp BMI)

1280pxcincinnati
 1955年オハイオ州シンシナティ生まれのフレッド・ハーシュが、病で2007年に倒れてから復帰してのライブ盤を入れての3枚目のアルバム。
 彼の生まれたシンシナティというところは、米国の中でも私の少しの旅した中では最もヨーロッパ的な落ち着いた雰囲気の感じられる都市だったように思う。オハイオ川が流れるその風情によるものかも知れないが、私にとっては好印象であった。それは又私の親族が今でもこの都市に住んでいるところからも更に親密感を持つのである。特にこの川岸近くに立つ高層のビルの上にある回転式のレストランでの食事をしての風景は、非常に美しく、もう何年も前の経験だが今でも忘れないところだ。

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 さて、このニュー・アルバムは4年ぶりのスタジオものだが、メンバーはこのところ固定しているジョン・エイベア(b)エリック・マクファーソン(d)とのトリオ。そしてお馴染みの曲からスタートするが、やっぱりアメリカン・ジャズの華々しいところはちゃんと持っていて、彼のピアニストとしてのテクニックの健在性を聴かしてくれる。そして2曲目にアルバム・タイトル曲”Floating”が登場して、がらっとイメージは変わってしっとりと人生を味わうが如くのメロディーの奥深い美が襲ってくる。このアルバムの主たる表現だと思われる。
 そして3曲目からの6曲は、彼の人生にて大切な人と言わせる人達に捧げた曲が並ぶ。特に3曲目” West Virginia Rose ”は、母親と祖母に捧げた曲のようでスローな中に情感が込められた曲。スウィング、バラードが繊細なピアノ・タッチで詩情豊かに流れてくる。
 なるほどこのアルバムは、「ピアノの詩人」と言われるハーシュの面目躍如のアルバムに仕上がっていて、これも貴重な一枚である。

(試聴)

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2014年8月 1日 (金)

コリン・バロン・トリオColin Vallon Trio のECM第2弾「Le Vent」

良きにつけ悪しきにつけECM世界を行く

<Jazz>

  Colin Vallon  Patrice Moret  Julian Sartorius
     「Le Vent」
    ECM Records   ECM 2347,   2014

Levent
 コリン・バロン・トリオの4thアルバム~ECM の第2弾だ。
 私は、このアルバム・ジャケもお気に入りなのだが、前作「Rruga」のジャケもなかなか味があって、そんな意味でも着目している。
 さて今作「Le Vent」は、トリオを見ると前作までのドラムスのSamuel Rohrer が Julian Sartoriusに変わっている。このあたりの事情は解らないが、Rohrer は作曲もして貢献していたと思っていたが、今作で変化があるのだろうか・・・・と、そんなところも気になるところ。

Leventlist

 このスイスのコリン・バロンについては2年前に初めて聴いて、既に紹介しているので(参照:Colin Vallon ECM第一弾「Rruga」 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/colin-vallon-64.html )、早速このアルバムの感想である。
 上のように12曲の収録。9曲はバロン自身の曲で、モレットがトップの曲1曲を、そして最後の2曲が3人の曲となっている。従って、バロンが中心であったが、3人のそれぞれの曲による構成という前作とは若干変わって、バロン自身のウェイトが増している。
 そしてこのアルバムは明らかにECM化は更に進んだものになった。ECMは、マンフレート・アイヒャー(Manfred Eicher)が創設したレコードレーベル。1969年から活動をスタートし、彼のプロデュースする音楽哲学は「The Most Beautiful Sound Next To Silence (沈黙の次に美しい音)」というところにあるところはご存じのとおり。ジャケットデザインにおいても一つの世界を貫いている。まあこれに反抗した我が愛するRichie Beirachもいるが、それだけジャズ音楽の世界には個性に充ち満ちていると言うことであろう。
 そんな事情か、このアルバムは一口で言うと、”静かに自己を抑制して、そして安らぎの心への道とその風景を描いたもの”と言う感じである。まさに彼等はアイヒャーの期待に応えているのである。そしてそれは我々のECMへの期待を裏切らずに納得の世界で受け入れるのである。

Ailleurs ただ彼等は単なる抑制のみの世界に終わらぬような工夫として、ピアノの音をパーカッションのように演じたり、規則性を外してのドラムス、更にボウイング奏法も聴かせるベースなど、彼等の秘めた本質もチラホラみせるのである。
 私はなんとなく彼等に迫ってみたくなり、右のECM前の2ndアルバム・・・
 Colin Vallon Trio
「Ailleurs」
 (HatOLOGY,  636 , 2007)
        
1.  Le Paradis Perdu     7:10 
        2.  Babylone     6:56 
        3.  Swing Low     4:31 
        4.  Souris     1:25 
        5.  Trenke, Todorke     4:20 
        6.  Sous-Marin     1:08 
        7.  Je Ne Sais Pas     7:45 
        8.  Robots     1:24 
        9.  Zombie     6:02 
       10.  Mardi     5:48 
       11.  Quand Méme     5:29 
       12.  Elle     4:41 


     ・・・・・・を実は聴いてみたのだが、・・・・・それによって彼等の本質が見えてきたのだ。実は彼等はECMの3rdアルバムによって、世界的にもそして我々にも知ることが出来たのだが、この2ndにこそ彼等のジャズに求める現代感覚の挑戦が見て取れる。・・・はっきり言うと、このECMの「Rruga」「Le Vent」2枚のアルバムのように繊細にしてメロディーが美しく、そして落ち着いた世界感を描くのは、これはこれ実に聴き応えあり私は納得するのだが、それにも増して2nd「Ailleurs」に見るものは、静なるものの美と一歩前進を試みているフリーでプログレッシブでアグレッシブな面のあるジャズであり、これ又実に楽しいのだ。彼等はECMから離れたアルバム作りも是非とも行うべきであろう。そんな意味で、こちらにも手を伸ばして欲しいところである。

(視聴) 3rd「Le Vent」より”Juuichi”

(視聴2)-参考- 2nd「Ailleus」より”Zombie”

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