ティングヴァル・トリオTingvall Trio : ニューアルバム「BEAT」
インターナショナル・トリオの6作目も美しい世界だった
<Jazz>
TINGVALL TRIO 「BEAT」
SKIP RECORDS SKP9137-2 , Germany , 2014
スウェーデンのピアニストのティングヴァルMARTIN TINGVALLとキューバのベーシストOMAR RODRIGUEZ CALVO、ドイツのドラマーJÜRGEN SPIEGELよりなるインター・ナショナル・トリオの6作目。今作はハイレゾ音源の供給やLPでのリリースもあり、音にもかなりこだわった作品。彼等の2006年からのDiscographyは下記のとおりである。
Skagerrak (2006)
Norr (2008)
Vattensaga (2009)
Vägen (2011)
In Concert (2013)
Beat (2014)
そしてこのアルバムのtracklistは下のような12曲。
2ndアルバム「Norr」を聴かせていただく機会がもてて興味を持つことになり、2006年の1stアルバム「SKAGERRAK」 、そしてこの最新アルバムに手を付けてみた・・・。従って私にとっては彼等は3作目になるのだが、ブログなどの諸氏の感想を見ると、E.S.T.と良く比較されているが、リズム・テンポの変化はあっても私はあまりそうしたイメージは感じない。もしろ彼等の世界の基本的な印象はクラシック調にあって、それにジャズ心が絡んでくる。アップテンポぎみになったときに、なんとなくロックからの影響を受けているのかなと思わせるところもあるが、それでも主流は端麗なメロディーをメランコリックに流してくれる。あまりフュージョンぽいところにはゆかない。
全曲、ピアニストのティングヴァルによるもので、それをトリオのメンバーがそれぞれの個性を出して編曲しているというパターン。一曲目”Den Gamla Eken”は、ウッド・ベースのアルコ奏法にピアノの旋律が美しく流れ、まるでクラシックを聴いている世界だが、2曲、3曲とジャズゥイな演奏を展開。そしてアルバム・タイトル曲の4曲目”Beat”は再び耽美的な演奏に戻り、アルバムの中ではそうした曲の配列の抑揚の見事さを感ずるところ。
又7曲目”Heligt”は、一つの物語を映画で見ている気持ちにさせるピアノの調べで、壮大に展開する。
技巧的に高度な演奏かどうかということは私には難しい評価で、ここではそれは別にして、極めて真摯な世界を折り目正しい姿勢で展開してくれるのである。とにかく聴き安いジャズ・ピアノ・トリオで安心して対応できる。そして最後の”De Vilsna Tomten”の美しいピアノには感服してしまう。
(視聴)
”BEAT”
”Den Gamla Eken”
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コメント
もう数年前になりますが、神戸のちょっと変わったCDショップで「Norr」を求めてからの付き合いになっています。ジャケットの白夜の森のイメージがそのまま彼らの音楽の印象となっていましたが、進化しているようですね。
投稿: 爵士 | 2014年9月17日 (水) 10時53分
爵士さんいろいろとご指導有り難う御座います。私は「Norr」を知って、これはと思い2006年の1st「SKAGERRAK」と今年の最近作「BEAT」を一緒に聴いてみたというところです。さすがドイツ盤、録音がいいですね。ピアノの音色が素晴らしいです。もちろん彼等の演奏も味がたっぷりで気に入ってます。
投稿: 風呂井戸 | 2014年9月17日 (水) 17時57分
Tingvall Trio あと数日で初来日公演です。ご案内まで。
http://invs.exblog.jp/25843898/
投稿: invs | 2017年9月 2日 (土) 19時53分