ステファン・オリヴァSTEPHAN OLIVAのピアノ・ソロ・アルバム 「VAGUEMENT GODARD」
あのヌーベルバーグを今にして解釈すると・・・・
<Jazz>
STEPHAN OLIVA 「VAGUEMENT GODARD」
ATEIER SAWANO/JAPAN/CD/ILL313006/2013
フランスにて1960年代のヌーベルバーグを代表する映画監督ジャン・リュック・ゴダールJean-Luc Godardの映画作品に登場する曲を中心にして、ステファン・オリヴァStephan Oliva (フランス・ジャズ・ピアニスト)が、ピアノ・ソロで今に我々に迫ってくる。これは一聴の価値があると言えるのだが、それは明らかに映画音楽集では無く、オリヴァの彼なりきの解釈でのジャズ・ピアノ・ソロ集であるところが注目。そしてこれは映画音楽をモチーフにしてのアルバム作りの彼としては3作目。今、何でゴダールなのかというところに実は迫らなければいけないのかも知れないのだ。
Stephan Oliva (piano)
(*印 Stephan Oliva のオリジナル曲)
1, Vivre Sa Vie (女と男のいる舗道)
2, -2.1, Partir En Vitesse*
-2.2, La Mort Bleue (気狂いピエロ)
3, -3.1, Sortir D'un Mauvais Reve*
-3.2, Ferdinand (気狂いピエロ)
4, A Bout De Souffle Suite(勝手にしやがれ)
5, Portrait D'Anna Karina
-5.1, Chanson D'Angela(女は女である)
-5.2, Bande A Part(はなればなれに)
-5.3, Angela, Strasbourg Saint-Denis(女は女である)
6, Blues Chez Le Bougnat (カラビエニ)
7, Valse Triste (アルファビル)
8, The Sea XII (フォーエバーモーツァルト)
9, Ouverture / Camille (軽蔑)
10, Elle Hesite ! (ゴダールの探偵)
11, -11.1, La Torture C'est Monotone Et Triste* (小さな兵隊)
-11.2, Agnus Dei (パッション)
12, Sauve Qui Peut (La Vie) (勝手に逃げろ)
13, Est-ce Que Vous M'aimez ? (気狂いピエロ)
それぞれの曲の映画の邦題は( )に記したとおりで、私の知っている映画は「勝手にしやがれ」、「気狂いピエロ」(左)の二っ位である。そうそう「軽蔑」は、あのブリジッド・バルドーが演じていて評判だったが残念ながら観てないのです。まあ私は当時はここに選ばれふたヌーベルバーグの”女と男の物語り”というパターンはあまり好んで観なかったんですね。
それでもここで最も多く3曲取り上げられている「気狂いピエロPierrot Le Fou」(フランス・イタリア合作映画)は、どうゆうわけか観ています。あの主演のアンナ・カリーナ(デンマークの女優、ゴダール監督と結婚していたがこの映画の後離婚)の特別のファンでも無かったんですが、日本人向けの美人ではありましたね。しかも主演男優のジャンポール・ベルモントってどうもあまり好きで無かったんですが・・・・。
日本公開1967年ですから、ほんとに懐かしいですね。
このどちらかというと男にとって魔性の女とも言えるタイプを描いたものとしては、ピンク・フロイドの曲で描かれた「モアMore」 (1971年、ミムジー・ファーマー、クラウス・グリュンバーグ主演、ルクセンブルグ映画)とも共通したところがある。(私の映画史「モア」http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-dd3f.html参照)これはこのコダール監督の助監督を務めたバーベット・シュローダーBarbet Schroeder監督作品だ。両者とも社会的な冒険と知識欲の旺盛な若い世代の愛を描いていると思うが、そこには悲劇的な結末が待っているところは共通している。
さてこのオリヴァのピアノ・アルバムであるが、このようなヌーベルバークと言われた新世代の男女の関係を主体とした映画の音楽を取り上げ、彼の聴く者に思索的な世界に引っ張り込む彼自身の曲と組み合わせ、そして社会の裏側と人間の本質を見つめさせるが如く、ピアノの音と余韻とその流れが襲ってくるところは見事である。8曲目の”The Sea XII ”は、私が関心を持つあのケティル・ビヨルンスタの曲ですね。その他、有名どころのミッシェル・ルグラン、マーシャル・ソラールなどの曲が取り上げられているんです。
このアルバム、澤野工房から昨年末にリリースしているんですが、今にして聴く機会が持ててここに取り上げた次第。
(参考) 映画「気狂いピエロ」
(試聴)
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