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2014年11月30日 (日)

ブルーノ・アンジェリーニ BRUNO ANGELINIのピアノの世界

独創性のミステリアスにして硬質なサウンド、哲学的・内省的・・・・・

     <European Jazz>

       BRUNO ANGELINI 「NEVER ALONE」
          ATELIER SAWANO / JPN / MIN006 / 2006

Never_alone                
                              Bruno Angelini (p)      Recorded March 20 and 21, 2006.
1. Immersion 2. Laura 3. Blue Monk 4. Where Flamingos Fly 5. Seasons In The Sun 6. Summertime 7. Lover Man 8. Sometimes I Feel Like A Motherless Child 9. When Sunny Gets Blue 10. Love Isn't Everything 11. Left Alone


 
Angelini450_millot3  澤野工房から2006年にリリースされたアルバムだが、友人に勧められて今にして初めて聴くこになったマルセーヌ出身のブルーノ・アンジェリーニBruno Angeliniのピアノ・ソロ・アルバム。
 これがなかなかのシロモノで、スタンダード曲を取り上げているが、まったく独特な彼の世界になっていて、彼のオリジナル曲を聴いているがごとくで、ちょっと哲学的・内省的世界に引っ張り込まれる。とにかくピアノの響きが低音部であれ高音部であれ、硬質で独特な余韻がミステリアスな雰囲気を作る。そして時に美しいメロディーも襲ってくるという意外性のアルバム。この世界にはいろいろな評価があるようだが、私にとっては結構聴き込んで行きたくなる魅力があった。
 彼は1965年生まれで、「Bill Evans Piano Academy」で教鞭もとっているという。最近はSébastien Texierのサックスとの共演のアルバムがリリースされている(アルバム「TOXIC PARASITES」(2012)、 「Pulsion」 (2010))。

~~~そこでちょっと更に探りを入れたくなって、彼名義のトリオ・アルバムを聴いてみた。(↓)

<Euoropean Jazz>
BRUNO ANGELINI, RICCRDO DEL FRA, ICHIRO ONOE
「EMPREINTES」       (Sketch, SKE333037,  2003)

Empreintes_3Bruno Angelini(P),Riccardo Del Fra(B), Ichiro Onoe(Ds)  Recorded:March 13 and 14, 2003
1. Aurores 2.     Autour De Sammy 3. Confidences 4.望郷Bohkyo 5. Morceau De Sable 6. Une Longue     Traversee 7. Caprices 8. K Particulier 9. Valentin Dance 

 2003年のブルーノ・アンジェリーニのピアノ・トリオ第一作。ドラムスは小野江一郎が担当している。やっぱりそうなんですね、ここでも極めて硬質でミステリアスなピアノ・サウンドを展開。
 収録曲は彼のオリジナル曲集で、1曲目と9曲目はソロ演奏で、2-8曲がトリオもの。哲学的というか内省的というか、特に1曲目のソロはジャズというよりは少々難解もので、前衛的なニュアンスを感ずる。しかし2曲目よりトリオとなって曲構成も落ち着くが、やはり彼の独自の空間を持った演奏で、ベース、ドラムスの絡みは高度な音楽センスが感じられる。4曲目は何故か日本語のタイトルで、メロディーも日本的な安心感をここに来て持つことが出来る。
 こうして聴いてみると、ブルーノ・アンジェリーニというのは、従来からのジャズというよりは現代音楽をジャズの手法を取り入れ演じているように聴ける。このようなアルバムを、時に思索的になって聴いてみるのも面白い。

<European Jazz>
  ANGELINI / FONDA / LOPEZ 
 「SILENT CASCADE」

         
(Konnex Records / KCD 5170 / 2007)
         Recorded September 29,2005

SilentcascadeBRUNO ANGELINI(p)
JOE FONDA(b)
RAMON LOPEZ(ds)


1.perpetual motion
2.silent cascade
3.soplo
4.passing
5.dense crowd
6.ilots coulants
7.corazon
8.ephemerals
9.woman walking
10.passees sans retour
 

  これは2007年リリースだが、彼名義のトリオものとしてはこれが近作となる。「Sketch」からでなく「Konnex」 からのリリースで、ECMっぽいジャケに変わっている。ベース、ドラムスのメンバーも変わっているが、相変わらず彼のジャズを越えた独創的アプローチは更に磨きがかかっている。つまり難解度も増しているのだ。そして”ミュージック”と言うか”演ずるピアノ音”と言うか、その境目を浮遊するが如くの演奏。
 ここまで来るとちょっと尻込みする。しかし”silent cascade”とか”woman walking”などを聴くと又更に聴きたくなるという魔力がある作品。

 ここにブルーノ・アンジェリーニの3枚のアルバムに向かってみたが、どうも私のレベルでは彼のソロのアルバム「NEVER ALONE」が最も親しみやすかったというところだった。しかし又彼の新作が出れば、恐い物見たさで、是非更に聴いてみたいたいという気持ちには変わりは無い。

(試聴)

(参考視聴)

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2014年11月25日 (火)

突っ込みシリーズ~ステファン・オリヴァStephan Olivaのピアノ・ソロ :「Film Noir」

前衛性とクールさで・・・・あの暗い時代を描く

    <European Jazz>
           STEPHAN OLIVA 「Film Noir」
            ILLUSIONS (Atelier Sawano)/ ILL313005 / 2010

Filmnoir
 ステファン・オリヴァの映画音楽を題材にした近作ピアノ・ソロ・アルバム「VAGUEMENT GODARD」、そして2007年の「GHOSTS of BERNARD HERRMANN」を検証してきたのだが・・・、ここまでくれば当然彼の映画音楽ピアノ・ソロ3部作のこのアルバムにもアプローチしてみようと聴いてみた。
 (参考):http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/stephan-oliva-v.html
             http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/stephan-oliva-g.html
            

Stephan_oliva_4b これは2010年リリースで、先日取り上げた「GHOSTS of BERNARD HERRMANN」に続いての映画音楽第2弾だった。
 このタイトル「フイルム・ノワールFilm Noir」というのはフランス語で「暗い映画」という意味だが、このアルバムのライナー・ノーツでは少々説明不足であるのでここに書くが、・・・・・・これはフランス語ではあるが、実はハリウッド映画を指している。フランス人の映画評論家の言葉が広がった結果であって、このアルバムに取り上げられた映画の製作時期をみて解るとおり、1940年から1950年代の主としてハリウッド製作の犯罪ドラマ、退廃性が主体で、ドイツ表現主義撮影という撮影技法が基礎にあるモノクロの影や光のコントラストを使った映像で見せる。つまりそんなどちらかというと制作費を節約した当時の世相の暗さを描いた映画群を言うのである。そしてオリヴァは画像に明暗をうまく取り入れたこの時代の映画に焦点を当てたのだ。多分それは彼のピアノ演奏の一つの世界であるからであろう。

 澤野工房は勿論宣伝の意味もあるが、このアルバムを・・・”「フィルム・ノワール」の巨匠達へのオマージュを込めて。閉塞と悲観、退廃の中にこそ生まれる美しさに戦慄を覚えるピアノソロの傑作が登場!”と表した。なかなか意味深でしかも旨い表現である。( Tracklistは以下の通り(クリック拡大))

Filmnoirlist

 異次元の世界の音空間を作り上げるピアノ・ソロ、そこには美しいメロディーとスリリングな音の交錯が迫ってくる。こうして彼のピアノ・ソロ映画音楽3アルバムを聴いてみると彼の音楽世界が見えてくる。いっやーなかなか飽きることを知らない名演である。とくにこのアルバムは、決して明るい世界ではない。やはり暗いと言えば暗い。そして破滅に導くような音、暗闇の静と動、残酷な人間関係など浮き彫りされる。オリヴァの演ずる表現力に脱帽である。しかし、1.5.7.9.10.の曲には優しい美しさがあって如何にも恐いくらいだ。
 アメリカン・ジャズのスウィング感などみじんもなく、これはジャズと言っていいのか?、でもやっぱり前衛的センスと心に響くジャズなのである。
 映画は、「拳銃の報酬」から「アスファルト・ジャングル」「ロング・グットバイ」「狩人の夜」などなどで、そしておまけに「黒澤明」まで登場する。
 ステファン・オリヴァに関わって、このアルバムまで突っ込んで到達したことに喜んでいるのである。

(試聴)

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2014年11月21日 (金)

圧巻のラテン・ロック~サンタナSantana 「LIVE FROM MEXICO」

見よ!このヲジさんのラテン・ロック・パワー!

 最新作アルバム『コラソンCORAZÓN』が世界24ヶ国で1位という快挙、ビルボード・ラテン・アルバム・チャートでも4週連続1位を獲得したサンタナの発売直前のライヴ映像が登場した!

  <Latin Rock>

       SANTANA 「CORAZÓN~LIVE FROM MÉXICO~Live it to Believe it」
       Blu-ray Disc / RCA records & Sony Music Latin / 88843-09689-9 / 2014

Livefrommexico

 今年5月にカルロス・サンタナの37枚目、サンタナ名義としては23枚目となるニュー・アルバム『Corazón』をリリースしたサンタナ(参照:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/santana-corazn-.html)の映像だ。
 アルバム発売前の2013年12月に地元メキシコで行われた『Corazón』参加ヴォーリカスト達をスペシャル・ゲストに迎えた圧巻のステージの模様を収録したものがリリースされた。
  とにかくアルバムがヒットしてその後なら解るが、リリース前にこれだけのパワーをステージで発揮できるサンタナ・ヲジさんに敬意を表したい。そうですロックをやってきたならやっぱりアグレッシブに攻めなければ。そんな意味ではお見事と言わざるを得ない。
  まあカルロス・サンタナの血は”ラテン”てすから、こうして時に自己の世界に戻ってパワー・アップするのは大歓迎である。

Santanaxyz 私はあの1969年、ウッドストックで圧巻だった”Soul Sacrifice”と、アルバムの”Black Magic Woman”で虜になってもう45年、お付き合いをしてきたサンタナであるが、ここに来てのこのエネルギーには脱帽である。
  このステージ・ライブ映像は、一つのロックの歴史でも有りそして結果でも有り、常に過去にのみ依存しない姿がある。かってはプログレッシブ・ロックと言ってもよいアルバム作りをしたり、精神主義に没頭、又々フュージョンの世界に足を入れたり、彼の歴史は決して単なるラテン・ロックではなかった。そんな歴史に生きて、そして今、時代に反応してのアグレッシブな姿であって、これこそラテンを演じようが、ブルースを演じようがロック心なのである。

 今回の今時のラテン・スペシャル・ゲストに対して、サンタナの関わりには、あの「スーパーナチュラル」のゲスト達以上に緊密になっているところがミソ。私好みのグロリア・エステファンとの”Besos de Lejos”などもサンタナが輝いていて嬉しい限り。ちょっと余談だが、この曲のバッキング・ヴォーカル3人の中央に巨大な体格の女性がいて、これまた顔が可愛いのでちょっと気になっちゃいました。
 又”Jingo”、” Black Magic Woman”、” Gypsy Queen”、” Oye Como Va”等々、”Soul Sacrifice”も演じられサンタナ・バンドの健在さを見せてくれる。更に女房のCindy Blackman Santanaのドラム・ソロも登場して、圧巻。楽しいことも大事だと言うことを教えてくれる。先ずは過去に溺れず現在に何をするかが明快であるだけサンタナは評価に値する。

 今回のライブ映像とサウンドは、なかなか上質でカメラ・ワークも適切で、そんな意味でも評価は高くしておきたい。

[Blu-ray]-Tracklist
1. Our Prayer
2. Jingo
3. Iron Lion Zion
4. La Flaca
5. Black Magic Woman
6. Gypsy Queen
7. Oye Como Va
8. Samba Pa Ti
9. Amor Correspondido
10. Margarita
11. Indy
12. Maria Maria
13. Evil Ways
14. Europa
15. Una Noche en Napoles
16. Besos de Lejos
17. Kyoto, November 5, 1976, Part 1 as Performed by Salvador Santana
18. Corazon Espinado
19. Cindy Blackman Santana Drum and Benny Bass Solo
20. Smooth
21. Soul Sacrifice
22. Saideira
23. Cielito Lindo/Descarga Divine Explosion
24. End Credits

1. アワ・プレイヤー
2. ジンゴー
3. アイアン・ライオン・ザイオン feat. チョッキブタウン&エラン・アティアス
4. ラ・フラカ feat. フアネス
5. ブラック・マジック・ウーマン
6. ジプシー・クイーン
7. 僕のリズムを聞いとくれ
8. 君に捧げるサンバ
9. アモール・コレスポンディード feat. ディエゴ・トーレス
10. 愛しのマルガリータ feat. ロメオ・サントス
11. インディ feat. ミゲル
12. マリア・マリア feat. ミゲル
13. イーヴル・ウェイズ
14. 哀愁のヨーロッパ
15. ナポリの夜 feat. リラ・ダウンズ、ニーニャ・パストーリ&ソレダー
16. 彼方への口づけ feat. グロリア・エステファン
17. 京都1976年11月5日パート1 パフォームド・バイ・サルヴァドール・サンタナ
18. コラソン・エスピナード feat. フェール・オルヴェーラ&シンディ・ブラックマン・サンタナ
19. シンディ・ブラックマン・サンタナ・ドラム&ベニー・ベース・ソロ
20. スムーズ
21. ソウル・サクリファイス
22. サイデイラ feat. サムエル・ロサ
23. シエリート・リンド/デスカルガ・ディヴァイン・エクスプロージョン
24. エンド・クレジット
  こうしたライブ映像盤は、いろいろと語ってもしょうがない。一見一聴に勝るものなし・・・・ということで、多くを語らず万歳しておくのが正解だ。
(試聴)

   

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2014年11月17日 (月)

優しさにつつまれて~ウォルター・ラング・トリオWalter Lang Trio:「Starlight Reflections」

全編優しさいっぱいのピアノ・トリオ・アルバム

       <European Jazz>

           Walter Lang Trio 「Starlight Reflections」
                         Atelier Sawano ,  AS135,  2013

Starlight_reflections

(members)
Walter Lang: piano
Thomas Markusson: bass
Sebastian Merk: drums

(Tracklist)
01. Waltzin’*
02. When Lights Are Low
03. Could We Meet?*
04. In the Wee Small Hours of the Morning
05. Sweet and Lovely
06. No Moon Night*
07. Steppin’ In*
08. I'll Remember Bill*
09. Misty Mountains*
10. Snow Castle*
11. I’m a Fool to Want You
12. Without a Song

 ライナー・ノーツは以下のような感じでスタートする・・・・・・
 ”しんと凍てつく冬の夜、澄みゆく静けさの中に無数の星がまたたく。空からピアノの音粒が舞い降りてくるとベースは低い鐘を鳴らし、シンバルがきらめくような足取りで現れた。なんだか素敵なことが起こりそうな予感! 音楽とイマジネーションがひとつになる、幸せな時間のはじまりだ”
                    ・・・・・・・・ちょっと大袈裟にしても確かこのアルバムは全編優しさいっぱいに包まれるといった感じだ。

Walterlang1 ピアニストのウォルター・ラングはドイツ人で、1961年生まれで、祖父や父のピアノ演奏に包まれた家庭に育ち、ボストンのバークリー音楽学校で、ピアノや作曲を学んでいる。1999年よりトリオを結成して、ピアノ・トリオ作品など日本にも馴染んできている。このアルバムは澤野工房の一作目で、 2013年にリリース。スウェーデンからのベーシスト、トーマス・マークッソンと自国ドイツのドラマー、セバスティアン・メルクが起用されている。

 こうゆうのをロマンチックというのだろうか、とにかく癖がなくて取っ付きやすい。そして誰もが楽しめる演奏群が詰まっている。
 12曲中7曲が彼のオリジナル曲(上のトラックリストの*印)。
 このトリオでは、優しいラングのピアノの調べ、そしてマークッソンのベースもそのムードを大切にしつつメロディーも物語ってくれて快感。そんなところは、”No Moon Night”にクラシック・ムードの中に味わいたっぷりに聴ける。
 又シンバルの音も出すぎることがなく、しかし広がり感も持ってしっかり聴かれ、録音も良好。やはりトリオですからそれぞれの味を感じたいところをうまくカバーして良盤。
 
 ”Misty Mountains”は、珍しくピアノは低音からスタートすねが次第に叙情的な調べとなり、その上三者の盛り上がりも後半に見せ魅力的な曲。
Mycj30616
 ウォルター・ラング・トリオものとして過去のモノには、既に2005年には、左の「THE SOUND OF A RAINBOW」(M&I Records)等もリリースされていて注目もされている。
 これはKeith Jarrett、 Chick Corea、 Charlie Haden などをカヴァーしており、しかもあの私の好きなRochie Beirachの”ELM”なども演奏しているアルバムで、まだ未聴であったので、目下聴いてみたいと思っているところである。
(試聴)

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2014年11月13日 (木)

ピンク・フロイドPink Floydの最終章 :「THE ENDLESS RIVER」

ちょっと肩すかしの最終章(解っていても・・・・・・)

 いやはや話題性としては今年No1と言うところでしょうか?このアルバム。しかし聴いて疑問符??、これはいったい何を目指して作られたのでしょうか?、やっぱり私が危惧していたとおりになってしまった。これならギルモアのソロ・アルバムで十分だったのでは?、でもそれじゃ売れないし・・・ピンク・フロイドの名を弄(もてあそ)んだポリー・サイモンのマネー・ゲーム。今更自立も出来なかったリック・ライトを引っ張り出さねばならなかったところ(そうで無ければピンク・フロイドの名を語れないし)に大いなる落とし穴があっと言うことでしょう。

  <Rock>

         PINKFLOYD  「THE ENDLESS RIVER」
                Columbia Records / 88875007882 / 2014

Endlessr_2
Produced by : David Gilmour, Phil Manzanera, Youth, Andy Jackson

David Gilmour(guitars, bass, vo, effects),  Richard Wright(piano, keyboards,synth.),  Nick Mason(drums, perc.),  Bob Ezrin(keyboads, bass), Damon Iddins(keyboads), Jon Carin(synth.) etc
   
 残念ながら、これは「ピンク・フロイド」名義としては、リック・ライトはその名義のための材料で有り、ニック・メイスンは出汁に使われただけで・・・あって、ギルモア一派の作り物そのものですね。ギルモア自身も納得しているかどうか?疑問。
Polly_samson
 とにかくビック・マネーに餓えたジャーナリストのポリー・サムスンPolly Samson(デヴィッド・ギルモアの女房→)の一味によって企画された結果でしかないシロモノなんです。ギルモアも哀しいかな、男が女房に尻を叩かれてやった仕事はこんなところなんですね。ギルモア自身が全てを無にして、自分で思うところ、自己の欲求からアルバムを作ればもっとましなモノが出来たのは間違いない。残念です。
 

 しかしあの歴史的「ピンク・フロイド」ですからね~~~、やっぱり売れるんでしょうねぇ~~(ロジャー・ウォーターズが”Money”や”Welcome To The Machine”更に”Pigs”で、あれほど警告していたものが、ピンク・フロイドの最終章となるという皮肉)。こんな企画を恥も外聞も無くやるところが、商業主義なんだろうなぁ~~。昔からリアル・タイムに彼等の作品と接してきた私としては情けないの一言に尽きる(ロック界においてプログレッシブと言われたこと、パンクやニューウェーブを乗り越えた唯一のプログレ・バンドの魂を思うにつけ)。

Endlessrlist
 さてそのアルバムは、上のような4っの構成で18曲。アンビエントものなのか?、ロックものなのか?中途半端で押さえどころが無い。かってのピンク・フロイドのスペーシーな部分の焼き直し。”Echo”の一部であったり”Shine on You the Crazy Diamond”の一部であったり・・・・しかしそれが肝心なところは、その目指している「ロック心」が見えてこない。これも私の解っていても期待してしてしまっていたところの・・・悲しさだろうか?。
 それでもあのある時のピンク・フロイド・サウンドを少しでも・・・と思うには、そんな人に若干貢献しているのだろうか?。ただプログレッシブなものでなく、レトロスペクティブなものとして受け入れるのが良いのであろう。まあそれ以上期待してもいけないのかも知れない。取り敢えずバック・グラウンド・ミュージックとして一つの評価をしておきたい。

Dg
 私はピンク・フロイドというのは、初期のシド・バレットは別格・別物と思っているので、やはりロジャー・ウォーターズ、リック・ライト、デヴィッド・ギルモア、ニック・メイスンの業績に焦点を持っている。そのギルモアがこうしてピンク・フロイドの名を語りたいなら、かっての彼等はアルバム一枚一枚意見や思想の違いをお互いギリギリの線で協力しながらも何かを求めて作ってきた「ロック心」を大切にして欲しかったと言うのが偽らざるところ。それは歳を取っても同じだと思うからである・・・・・。やっぱり大事なのは「ロック心」を持ってミュージックを作り上げるところなのだと思っている。
 ああ・・・・そんな意味でもU.K.のSteven WilsonやポーランドのRiversideのようなグループの活動をみるにつけ、もはやギルモア・ピンク・フロイドの時代ではなくなったとしか思えない。・・・・・さあ、どうするロジャー・ウォーターズ。

(試聴)

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2014年11月11日 (火)

久々の大歓迎~ロベルト・オルサーRoberto Olzer:「Steppin'Out」

エンリコ・ピエラヌンツィの流れを汲んで・・・・・

     <European Jazz>

          Roberto Olzer Trio 「Steppin'Out」
            
ABEAT Records / Italy / ABJZ517 / 2013
            
Recorded June 2012 at Artesuono (Udine)

Steppinout
  久々に良いアルバムに出会えました。これは良い!・・・先ごろ紹介した寺島靖国企画もの「For Jazz Audio Fans Only Vol.7」(参照 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/for-jazz-audio-.html )の中で、これは!と思ったのが、このロベルト・オルサー・トリオRoberto Olzer Trioで、さっそく遅まきながら昨年のリリースされたこのアルバムを聴いてみたというところである。

Roberto Olzer(piano)
Yuri Goloubev(double bass)
Mauro Beggio(drums)

Robertoolzertrio
 メンバーのピアニストのロベルト・オルサーRoberto Olzerは、1971年イタリア生まれ、名門ベルディ音楽院ではオルガンを専攻したが、あのエンリコ・ピエラヌンツィにジャズ・ピアノを学んたというから、なるほどと思うところである。そしてベース、ピアノ、ギターのジャスト・ミュージック・トリオ(JMT=アルバム「Standpoint」)で知られるようになる。このアルバムはユーリYuri Goloubev(1972年ロシア生まれ)の絶大な強力を得てのロベルト・オルサーの名を冠した最新トリオの第一作。

SteppinoutlistTracklistは左の如くの全10曲。寺島靖国に選ばれたのが4曲目の”Gloomy Sunday”、しかしこのアルバムにはロベルト・オルサーのオリジナルが見て解るように、01,06,08,10 の4曲有り、それが又なかなかどれも出色である。
 聴いてすぐ感ずるのが、宣伝文句にあるように”クラシックのフィーリングとジャズの即興を高次元で両立”というところだ。
 1曲目の”Die Irren”では、ユーリのアルコ・ベースにクラシック調のオスラーのピアノが乗って、品格のある叙情的なムードで迫ってくる。このパターンで襲われると私は弱いんですね。
 そしてベーシスト・ユーリの曲も2曲提供されている。この二人JMT以来、かなりの人間関係が出来上がっているとみる。Stingの曲”Every Little Thing She Does Is Magic ”も登場するところは、やはり現代ミュージシャンというところか。
 最後の2曲”Sad Simplicity ”と”The Edge”を聴くと、ベーシストは即興性を、ピアニストはメロディーと、両者の特徴がうまくかみ合っていることが解る。

 さて、これからが益々楽しみなトリオであるが、アルバム・ジャケも品があると同時に、はっとするところがあって印象深い。良いアルバムに出会えた。

(試聴)

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2014年11月 8日 (土)

寺島靖国の看板シリーズ~「for Jazz Audio Fans Only Vol.7」 / A.Galati , R.Olzer

良き演奏は良き録音で・・・・・・A.Galati,   R.Olzer

    <Jazz>

       Yasukuni Terashima Presents 「for Jazz Audio Fans Only Vol.7」   
         TERASHIMA RECORDS ,  TYR1044  ,  2014

V7

 寺島靖国プレゼントとして今年も登場しましたこのシリーズ。これで7年目と言うことですね。まあ彼の「Jazz Bar」シリーズも14年目になり人気がありますが、Audioをかなり意識してのこのシリーズも私にとっては注目品。今年の収録は12曲で・・・・

(収録曲)

01. Roberto Olzer Trio「Gloomy Sunday」
02. Geoff Peters Trio「Stella By Starlight」
03. Alessandro Galati Trio「Softly as in a Morning Sunrise」
04. Cengiz Yaltkaya Trio「Dustin' Away」
05. Tan T'ien「Struggle Through Lucubration」
06. Francesco Marziani Trio 「Myself In Blue」
07. Roger Friedman「Not Quite Yet」
08. Luca Mannutza Trio「Pingoli」
09. Joan Diaz Trio「Muma」
10. Geoff Eales Trio「Iolo's Dance」
11. Ken Peplowski「Maybe September」
12. Samuele Grau etc.「Outro/Sunny Day」

・・・・と、いったところ。

Seals
 私にとっての納得一押しは3曲目の愛するAlessandro Galati Trioの「Softly as in a Morning Sunrise 朝日のように、さわやかに」ですね。これは既にここで紹介したアルバム「Seals」(右)からですが、録音良し、演奏良しの代表格。特に序盤のこの曲のメイン・テーマに入るまでの流れは、最右翼。さすがガラティ・トリオと言いたくなるところでした。(参照:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/seals-7acb.html
 それに続いて、トップに登場したRoberto Olzer Trioの「Gloomy Sunday」も注目。これは既に2012年リリースのアルバム「Steppin'Out」(Abeat For Jazz / Europe / ABJ2517 / 2012)からですが、クラシック調のジャズ・ピアノがやさしく迫ってくるところは見逃せない。このアルバム私は聴いてなかったのでいやはや今からさっそく何とかしたいところ。
 そして Ken Peplowskiの「Maybe September」のムードが良いですね(アルバム「Maybe September(Capri Records / USA / 74125 / 2013) )。彼のサックスは静かに心に響くところが魅力で、このように静かな夜を描くが如くサウンドは歓迎です。

 聴きどころは今回も満載で、楽しみな一年行事ですね。

(関連視聴) Alessandro Galati "Seals"

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2014年11月 4日 (火)

突っ込みシリーズ~ステファン・オリヴァSTEPHAN OLIVA ピアノ・ソロ 「GHOSTS of BERNARD HERRMANN」

暗い思索的美とスリリングな展開と・・・・そして忘れられない映画「Taxi Driver」

<Jazz>

             STEPHAN OLIVA 「GHOSTS of BERNARD HERRMANN」
               ILLUSIONS MUSIC  / E.U / ILL313002 / 2007

 

Bernardherrmann_2

 先日取り上げたステファン・オリヴァのピアノ・ソロによる「VAGUEMENT GODARD」http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/stephan-oliva-v.html)に魅せられて、ちょっと突っ込んでみようと以前の2007年作品にアプローチ。こちらも映画音楽では有名そのもののバーナード・ハーマンBernard Herrmann(1911-1975)の作品をステファン・オリヴァのピアノ・ソロの世界で描いている。
 これも又まさに哲学的世界である。好き嫌いは当然あるだろうが、私は好きな方。
 更にハーマンという作曲家は、もともとあの一癖も二癖もあるヒチコックの映画作品に多くの作品を提供したが、なんと最後はヒチコックと対立して不仲の関係となると言うだけ合って自己の世界を頑固に貫いた作曲家でもある。そしてそれを又オリヴァが取り上げたんですから・・・これまた一癖も二癖もある作品なんですね。
 全11曲は下の通り(クリック拡大)・・・・・

Bernardherrmannlist
 静による澄んだピアノの音の余韻から動への変身、思索的世界からスリリングな展開、美しいメロディーなどなどの交錯などなど・・・ステファン・オリヴァの独壇場。

Stephan_oliva2
 1.”Nocturne”は静かにやさしくスタートするが・・・・・
 5.”Vertigo”は1958年ヒチコックの映画「めまい」からだ。ジェームス・スチュアート、キム・ノヴァクの主演した懐かしい映画だが、12分を越える演奏はその不思議な危険な世界をオリヴァの空間的センスの生きたピアノ・タッチで見事に描く。
 7.“psycho”(ヒチコック映画「サイコ」)も同様に不安な世界そのものである。いやはや如何にも暗い。
 8.そして”Prelude”は映画「華氏451」から、9.”Memory Waltz”は映画「キリマンジャロの雪」からで、このあたりは、やや安堵感を感じさせてくれる。
 そして10.”Overture”は映画「市民ケーン」、11.”All the animals come out at night”は映画「タクシードライバー」からで、両者とも孤独で暗い世界に沈んで行く。しかし後者は映画を知っていると少しの光明が見え隠れしてくれるだけ助かるが、それでも闇の世界で終わるのである。

13970view001
 このアルバムで何と言っても私の映画歴でも大きなインパクトのあった1976年のアメリカ映画「Taxi Driver」を思い出させてくれたことが嬉しい限りだ(この映画は、絶対に逃してはならない傑作である)。
  これはマーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロRobert De Biro主演で、アメリカ・ニューヨークの影の部分をベトナム帰りの元海兵隊員が、生きる目的もなく孤独にタクシー・ドライバーで生計を立てつつ、盛り場の退廃に憎悪を持って自己を追い詰めて行く。そしてハーマンの遺作となるトム・スコットのアルト・サックスで流れるテーマ曲があまりにも印象的。

(試聴)

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