ピンク・フロイドはこれだ!!「Live at Pompeii」~ポンペイ遺跡に立って
ポンペイ遺跡にピンク・フロイドを想う
今回12月になっての南イタリアの旅は、ナポリからこのポンペイ遺跡を訪れるところからスタートした。西暦79年のヴェスヴィオ山の大噴火によっての火砕流の直撃にあったポンペイは、繁栄した街も1500年も灰の下にあったわけだが、18世紀になってこのように発掘が開始され今や世界の観光客を集めている。
(ポンペイの遺跡からヴェスヴィオ活火山を望む 2014.12)
私にとっては、この地に立って思うのは、歴史的なポンペイのローマ帝国時代の繁栄した街と火砕流により全滅したこの地のことは当然心に訴えてくるところであるが・・・・・それと同時に、なんとあのピンク・フロイドの「Live at Pompeii」が頭をよぎるのである。
(LD盤) 「Pink floyd Live at Ponpeii」
RM Production 1972 VAL-3072
(LD盤1992年リリース)
Side1
1. introduction
2. Echoes Part1
3. Interview Part1
4. Carful with that axe eugene
5. A saucerful of secrets
6. Interview Part2
7. One of these days I'm going to cut you into little pieces
Side2
1.Set controls for the heart of the sun
2. Interview Part3
3. Mademoiselle nobs
4. Echoes Part2
この映像盤はライブ盤と言われているが、実はピンク・フロイドの演奏する姿を描きつつ、一つの世界感を描いた映画と言って良い作品なのである(監督:Arrian Maben)。
その舞台はポンペイ遺跡の格闘や演技などの円形会場であるパンクラチオンの廃墟である。
このLD盤は当時「完全版」と言われ、オリジナルの60分ものから、90分ものに充実して公開された。オープニングは人一人いない遺跡の会場に、演奏機材を一つ一つ運び込むところからスタートする。既にこの情景から神秘性が漂う演出が成されている。そして無人の会場で彼等は6曲を演奏し収録される。更に彼等の絶頂期を迎える1972年の「狂気」のアビー・ロード・スタジオでのウォーターズがVCS3シンセサイザーを操作したり、ギルモアのギターのオーヴァ・タブを行う貴重な収録風景などや、メンバーのインタビューも加えられているものだ。
何と言っても「オリジナルもの」は、もともとTVスペシャルものとして1971年10月4日から7日にかけて撮影作成されたもので有り、1973年に日本ではNHKが放映したことが、ロックの先進性を一般に知らしめて話題騒然となった事件でもあった。私は偶然それを見て感動したのだが、記憶ではモノクロで見たようなイメージになっている。私の見たテレビがモノクロだったのか?、そのあたりは定かな記憶が無いのだが、しかしこれは立派なカラー作品であり、ギタリストがシド・バレットからデヴッド・ギルモアに変わり、完全に独り立ちできたロジャー・ウォーターズ中心のピンク・フロイドの初期の一つの完成形の姿でもある。ニック・メイスンのエネルギッシュなドラミングも見物である。
結果的には、後の「ディレクターズ・カット」版も含めて、これらの映像は全て持つことになったのは私にとっては当然というところであった。
左はその「ディレクターズ・カット」と称して更に編集し直されたものが2003年になってリリースされたものである。
(DVD盤) 「PINK FLOYD Live at POMPEII -The Director's Cut」
HIP-O Records B0001315-09 2003
実はこの「ディレクター・カット版」は(「オリジナルもの」もまったく別ものとして二重に収録されているので文句は無いのだが)コンピュータ・グラフィックスやナサの人工衛星の映像のちょっと余計なものの混ぜすぎで、かってのポンペイ遺跡の撮影部分や演奏映像部分がカットされていて私はあまり納得していない。
とにかくTracksは、上に記したように、炎天下にての演奏の”Echoes”を2分割して最初と最後に配置して、彼等の原点である”神秘A saucerful of secrets”、そして”太陽賛歌Set controls for the heart of the sun”を夜になっての演奏風景として収録し、ピンク・フロイドの姿・本質を知らしめてくれる。如何に当時は彼等は前衛ロックであり、そしてプログレッシブ・ロックと言われるものである事が、ここに記録されている。古代の神秘性と極めて合致した演奏映像であった訳だ。そしてライブで最も演奏された”Carful with that axe eugene”も演ってみせてくれる。
考えてみれば、これが彼等の初めての公式の長尺ライブ演奏映像版であって、もともとマスコミ嫌いで有名なロジャー・ウォーターズであったため、意外に彼等の映像は公式には少ないのである。
ポンペイ遺跡に立ってみると、やはりピンク・フロイドが最も印象深く思い出されるのであった。
(視聴) A saucerful of secrets (神秘)
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コメント
おぉ…行かれましたか…。古代ローマ帝国の威厳よりもピンク・フロイドへの望郷の方が親しみがあるってモンですが、あのポンペイへ…。実在すると判っていつつもどこか空想の世界と思っている部分もありまして…、そうですか、感慨深かったと思います、そして羨望の眼差しで読ませていただきました。
投稿: フレ | 2014年12月21日 (日) 19時48分
フレさん、申し訳ありません、行って来ました(笑)。この12月でしたが、結構暖かくて寒いという感覚も無く良かったです。取り敢えずシーズン・オフということであったことと、朝も早かったので訪れる人も少なく、この遺跡の地に立つとなんか不思議な気分になりました。古代の人の生活の跡がまざまざと残っていて感懐あります。そしてピンク・フロイドですね・・・、このポンペイでの無人の遺跡会場でのライブ演奏は、丁度彼等が頂点に登りつつある時でしたら、4人が活き活きしていますし、演奏の中身にも充実感が感じ取れてこのライブ映像は今みても良いですね。この映像版に挿入されている彼等4人で、火山の火口の周辺の歩く姿も今となっては感動モノです。
投稿: 風呂井戸 | 2014年12月21日 (日) 22時04分
若かりし頃、NHKでの放送は私も見ました。当時テレビの前にマイクを置いてオープンリールで録音して、何度も聴きかえしたものです(まだビデオは無かった)。もう既にそのオープンリールすらとっくの昔に廃棄してしまいましたが、その時の映像をまたこうして見れるのは本当にありがたいことです。いや本当にあの頃は良かった。若かったし・・・
投稿: /ten | 2014年12月22日 (月) 19時36分
/tenさん、こんばんわ。
オープンリール・・・懐かしいですね。でも当時良い音がしたと愛用したモノでしたね。しかしあの頃は上昇気分があったし、フロイドは悩みながらも実験を繰り返し充実の道を歩んでいたし、そしておっしゃるように何と言っても彼等も我々も若かったことが一番でしたね。
投稿: 風呂井戸 | 2014年12月22日 (月) 22時30分