リザ・ヴァーラントLisa Wahlandt 「stay a while ハートに火をつけて」
<My Photo Album 瞬光残像=南イタリア編>
南イタリア・シチリア島アグリジェントの地中海を望む丘にある古代ギリシャ遺跡コルディアの神殿Tempio di Concordia (紀元前5世紀建造)
(photo 2014.12)
* * * *
<Jazz>
LISA WAHLANDT 「stay a while」
enja Record / MZCE-1221 / 2010
Recorded 2009 at Pirouet Studio, Munich
私がこのアルバムに到達したのは、ピアノの美しさと優しさのウォルター・ラング・トリオからの流れであったが、このアルバムから逆にウォルター・ラングに到達するということもあるんですね。ドイツのヴェルヴェット・ヴォイスと言われるリザ・ヴァーラントのヴォーカル・アルバムと言って良いものだが、バックにウォルター・ラングのピアノがそれを見事に引き立たせているところが聴きどころでもある。彼女の6枚目のアルバム。
リザ・ヴァーラント (vo)
ウォルター・ラング (piano)
スウェン・ファラー (bass)
ガーウィン・アイゼンハワー (drums)
昨年、彼女のクリスマス・ソング・アルバム「Home for Christmas」がリリースされているが、やっぱりリザ・ヴァーラントを聴くとなるとウォルター・ラングのピアノでということで・・・・・、まずこのアルバムか、2012年の「Ambrella」というところですね。
さてこのアルバムは右のようにボーナス・トラック込みでの10曲だが、聴いて驚くなかれベテランでありながらの意外なキュートな高音と、なんともセクシーな歌声に圧倒されるのだ。そしてプリンス(M1)、ドアーズ(M2)、ビートルズ(M5)などのロック界からのカヴァーにもかかわらず、ウォルター・ラングのリリカルなピアノのバックに色づけされたやや囁きヴォイスでのジャズに仕上がっている。英語で歌うのだが、何となくドイツ語なまりがあって、それも又一つの味になっている。さらにそこにシューベルトの曲まで登場で、これはドイツ語で歌うが、まさかと思わせるコンテンポラリー・ジャズ曲へと編曲登場なんですね。
一方彼女のオリジナルの曲でアルバム・タイトルでもある”stay a while”(M3)は、意外にオーソドックスな優しいジャズ曲。そして4曲目の”my funny valentine”はバックのピアノ、ベースの味な演奏が響いて、ウォルター・ラング・トリオの世界に乗って、これぞベテラン・シンガーらしい落ち着いたジャズ・ヴォーカルを披露。
リザ・ヴァーラントは、父親はアコーディオン奏者だったということで、幼少の頃から音楽とは親密な環境で育ち、これも又意外だが、ドイツで育ちながらブラジル音楽からは多大な影響を受けたというが、オーストリア、ニューヨークとそのジャズ・シンガーとしての研鑽の道を歩んだようで、そんなことがそうさせたのであろう。
私は聴いてないのだが、ボサノヴァ・アルバムなどを本国ドイツでリリースしていて、ジャズとしての足跡を好評の中で残してきているようだ。
このアルバムからは、ボサノヴァの臭いはあまりしないのだが、しかしシャウトしない囁き調のヴォーカルはその結果なのかもしれない。
(試聴)
(視聴)
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コメント
こんばんは。シチリア島にもこんな古代遺跡があったとは知りませんでした。ブドウ畑とマフィアの生まれたところという知識しかなくて、歴史的にも文化的にも深いものがあったのですね。
かつては世界の中心地だったローマ(イタリア)が、今ではE.U.のお荷物とされているところは盛者必衰のあはれを感じてしまいます。
投稿: プロフェッサー・ケイ | 2015年1月25日 (日) 22時19分
プロフェッサー・ケイさん、コメントどうも有り難うございます。南イタリアのシチリア島は確かに日本では、映画ゴットファザーからのイメージなんですね。
ところが、私も知らなかったんですが、紀元前8-5世紀ごろには、ギリシャが入植して統治し、立派な都市が建設され、その後ローマ帝国の支配となったんですね。そのためギリシャ遺跡が島の各地に沢山残っています。古代を偲ぶまさに観光地として現在は存在しているのですね。
しかしおっしゃるように現在はローマからこのギリシャとなると最もE.U.の大変なお荷物ですね。典型的な歴史の姿を感じます。
投稿: | 2015年1月26日 (月) 10時43分
Really enjoyed this blog.Really thank you! Much obliged.
投稿: Brady | 2015年2月19日 (木) 07時44分