ヴァシリス・ツァブロプーロスVassilis Tsabropoulos のピアノ・トリオ作「Achirana」
<My Photo Album 瞬光残像 = 南イタリア編>
夜明けのシチリア島パレルモPalermo港 (ナポリから夜行フェリー(右)で早朝にシチリア島パレルモに上陸 = 2014.12)
* * * *
年末年始に整理していて出てきたCDアルバム~その4
<Jazz> エレガンスな深淵にして精神性のアプローチ
Vassilis Tsabropoulos, Arild Andersen, John Marshall
「Achirana」
ECM Records / ECM 1728 / 2000
Recorded Oct.1999 Rainbow Studio,Oslo
Vassilis Tsabropoulos (piano)
Arild Andersen (double-bass)
John Marshall (drums)
2000年リリースのアルバムですが、Issyさんが、私のこのブログの過去のアーティクルに対してのコメントで教えてくれたものです。ECM盤でManfred Eicherがプロデュースしているものですが、私は未着手でしたので、早速手に入れてみました。確かに私好みの世界が展開されていてメンバーは過去の蒼々たるキャリアの持ち主で、注目されたピアノ・トリオ作品。
このアルバムを聴くに当たって、ヴァシリス・ツァブロプーロスVassilis Tsabropoulos について少々調べたのだが、彼はギリシャのクラシックとジャズで活躍中のピアニストであり、作曲家だが、過去にギリシャ聖歌をピアノ・ソロで演奏し、CDアルバムをリリースしているが、好評で祈りの魂が感じられるとの評を得ている。
生まれはアテネで(1967年)、ピアノ・コンサートソリストとして10歳にユニセフのコンテストて天才児としてギリシャで名をはせた。そしてパリ芸術学校、ザルツブルグアカデミーと Juilliard 音楽学校で教育を受けたという。ベートーベン、ショパン、ラフマニノフなどの作品には研究者、ピアニストとしての造詣が深いという。
そしてここで取り上げたジャズ・アルバム「Achirana」は、ノルウェーのベーシストのアリルド・アンデルセンArild Andersen(ご存知、ECMレーベルの重鎮ベーシスト。あの人気ピアニストのラーシュ・ヤンソンなど彼のグループから世に出ている )の主導で結成されたジャズ・ピアノ・トリオ作品。この作品がツァブロプーロスにとってはECMからのものとしてはデビュー作となった。
さてこのアルバムの収録曲は右のとおりだが、アンデルセンの曲もあるが、ほゞツァブロープーロスの曲と言ってよい。
冒頭からアルバム・タイトル曲”Achirana”が登場するが、この曲の深遠なる精神性の世界に驚くのである。ピアノの一つ一つの音の意味合いをかみしめて聴かざるをえないところからスタートするのだ。静かなシンバルの音、続くベースがやはり余韻を残しながら神秘的な世界を構築する。こうゆうのに私は参ってしまうんですね。3曲目の”Valley”のピアノの響きはクラシックと言ってもよい世界。
4曲目”Mystic”、7曲目”Fable”となると、アンデルセンのベースが旋律も奏でて曲の展開をリードするが、深淵性はツァブロープーロスのピアノに引けをとらないで楽しませてくれる。ピアノ、ベースの掛け合いも聴かせてくれてやっぱりトリオ作の醍醐味を持っている。
”She's gone”では、ピアノとベースの語り合いがおもしろく迫ってくる。
8曲目”Songs for Phyllis”で再びピアノが主導で曲が流れるが、ここに来て神秘主義の世界に帰りながら、やはりそのベースも含めてのインプロヴィゼイションの展開はジャズですね。
なかなか深淵にして精神の深まりに及ぶ名盤であった。
(試聴)
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コメント
相変わらず美しい写真だと思います。素人ながらアングルが素晴らしいと思いますし、風景の断面を切り取るその感性が見事だと思います。勝手なことを言って申し訳ありません。
パレルモといえば、音楽祭が昔行われていたような気がしますが、あれはサンレモでしたっけ。もう呆けてきて記憶が混同しています。
それにしても肝心の内容についてコメントできなくてごめんなさい。どうもジャズは門外漢なのです。
投稿: プロフェッサー・ケイ | 2015年1月17日 (土) 18時01分
プロフェッサー・ケイさん、コメント有り難うございます。たかが「写真」ですが、同じところにいても撮る者によってそれぞれ異なったものを撮るという人間には個性があるのが解かります。そんなことで私にとっては重きのある趣味で、特に中心はモノクロの世界です。まだ時に暗室作業もしています。
そうそうミュージックに関しては、私は雑食系で、昔は「奥村チヨからショスタコーヴィチまで」とよく言ったものです(笑い)・・・。やっぱり私の人生のリアル・タイムな歴史の中では、ロックが最も重要だったように思います。従ってロックにはなかなか妥協がありません。
しかしジャズは近年ゆとりの気持ちで聴いていまして、その受け入れ様は多様ですが、やつぱりユーロ系に寄りつつあります。ケイさんもプログレ感覚で聴ける世界に足を突っ込んでみてはいかがでしょうか?
投稿: 風呂井戸 | 2015年1月18日 (日) 00時00分