男のロマンのエッセイ集:中西繁著「À Paris~ゴッホの部屋の日々」(その2)~映画「男と女」
<My Photo Album 瞬光残像 = フランス編>
中西繁先生の「パリ」に刺激されて・・・・私も懐かしのもう何年か前の「パリ・セーヌの夜」の撮影モノクロ・フィルムを引っ張り出しての一枚です(↓)。この頃は”夜のパリ”が好きでした。
サンジュ橋pont au change 越しに観るコンシェルジュリーLa Conciergerie (遠くにはエッフェル塔のライトが見える)
* * * *
さて、本題↓
男のロマン貫く・・・・・・中西繁
フランスとは・・・・まさにオールラウンドに芸術の国と、私自身の人生の中では位置付いている。中西繁の絵画の世界は当然として、私の好んだ音楽や映画そして写真の世界でも・・・なかなかこの国の右に出るのは簡単には見つからない。
さて、中西繁のエッセイ集「ゴッホの部屋の日々」感想の続きである。
中西繁は2006年までの2年のパリ生活後は、冬期にパリに2,3ケ月滞在する生活のようだ。これはまさしく正解だと思う。
(←中西繁画「雨上がりのモンパルナス大通り」)
私はパリは冬期が好きだ。街も葉を落とした街路樹と建物が美しい。ただ私と違うのは、彼は朝早い、そしてそこにフランスらしい姿を感じている。私は夜派、夜のパリの姿に酔った。
ドーヴィル・トローヴイル ( 映画「男と女」 )
この街はあのノルマンディー地方の海を望む港町。私はフランス映画「男と女Un homme et une femme」 (1966年)が、このドーヴィルを舞台としていることは、彼のこのエッセイで初めて知った。とにかくこの映画を見た頃は、フランスにおける都市の位置関係など理解していなかった為だ。
いつぞやも中西繁はこの映画「男と女」がお気に入りであったことは知っていたが・・・このエッセイ集でもこの映画の監督のクロード・ルルーシュの言葉”人生は2,3のパターンしかなく、人々はそれを繰り返し残酷なまでに同じ道を歩いて行く”と、そして彼の画集に記した”人生は無数のパターンの足跡として残る”を対比して・・・・”人は歳を重ねるほど、ますます過去を想いながら生きてゆくものなのだ”と結ぶ。このあたりが中西繁節。
さてこの「男と女」の映画に話しを戻すが、これからは私のこの映画感想。話の筋はそれほど・・・・・?で、つまり公開当時のキャッチコピーを見ればその通り→”たちきれぬ過去の想いに濡れながら、愛を求める永遠のさすらい ・・・・・・その姿は男と女”。
この映画の主題歌はフランシス・レイの”男と女”、これが又映画以上に世界を魅了した。又映像を音楽が作り上げるという技も見えた。
又「映像」というそのものの意味にも迫った。アングル、クローズ・アップ、動き、光の陰影、明るさ暗さ、そしてなんと言っても画面のお膳立てとしての”雨”。このドーヴィルという地は、日本で言えば冬期は暗い日本海に面した地と似ているのだろう。その暗さも重要な役割を果たす。そんな背景下の映像の素晴らしさも教えてくれた映画である。
そして更にこの映画、カラーとモノクロの対比が素晴らしい。場面によって使い分けしているのだ。両者は互いに否定するものでなく、それぞれが優れたものである事を教えた。ただ私自身はこの映画ではモノクロに軍配を挙げている。
・・・・と、中西繁のロマン・エッセイ集はいくらでも私の書くことが脱線する要素を持っていて、私には楽しい一冊なのである。
(参考)
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