アヴィシャイ・コーエン・トリオAvishai Cohen Trio 「FROM DARKNESS」
エスニックな世界を持ったベーシストのトリオ作品
<Jazz>
AVISHAI COHEN TRIO 「FROM DARKNESS」
Razdaz Records / RD 4616 / 2015
イスラエル出身のベーシストででアメリカでジャズをしっかりと身につけた(チック・コリアのベーシストを務めたことでも実績を積み重ねている)アヴィシャイ・コーエン、これは彼のトリオ編成の近作。 私が彼のトリオ作品に接したのは2008年リリースのアルバム「Gently Disturbed」で、どちらかというとイスラエルという異国ムードが感じられるとはいえ、ヨーロピアン・ジャズ寄りの味付けが特徴というところを聴かせてくれ、それ以来何となく聴きたいミュージシャンとなっているのである。
一年前には「ALMAH」というトリオ+ヴァイオリン、ヴィオラという編成で、ジャズとクラシックの融合を試みた作品もリリースしていて、その活動は盛ん。
(参照)
「Gently Disturbed」(2008)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/avishai-cohen-t.html
「SEVEN SEAS」(2011)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/seven-seas.html このアヴィシャイ・コーエン・トリオというと、やはり彼のベースの演奏と共に、彼の曲の美しさをに期待が大きい。今回のこのアルバムも11曲中10曲が彼のオリジナル曲で構成されている。(最後の”Smile”のみ誰もが知るチャプリンの曲)
メンバーは
Avishai Cohen : Bass
Nitai Hershkovits : Piano
Daniel Dor : Drums
・・・・・・・と、重要なピアニストは、前作のベースとピアノのデュオ作品「Duende」(2012年)からのNitai Hershkovits がこの作品でも起用されている。
2011年の「SEVEN SEAS」は、イスラエル関係からの多彩なプレイヤーとコーエンのヴォーカルと、とにかくイスラエル・ムードたっぷりのエスニックな背景を持ったアルバムだったが、今作のような彼のベースとピアノ、ドラムスとのトリオ作品は、以前からメンバー・チェンジはあるとは言えオーソドックスなジャズ・アルバムに仕上げている。
このアルバムでは最も長い曲”Ballad for an Unborn”が良いですね。美しいピアノのメロディー、それにベースが響き、ドラムスが追って乗ってくる。やがてベースがピアノが交互に旋律を奏で、そしてここでは静寂と異空間のドラムスがその後に続く。絶妙の間をとって三者が叙情的な世界を構築している。
全体的にベースとドラムスのリズム取りはパワーがある。そんなところはこのトリオの特徴だ。
アルバム・タイトル曲”From Darkness”では、モダニスティックな世界が展開されるが、一方”Halelyah”、”Almah Sleeping”ではクラシック的なピアノが聴ける。
最後は懐かしのメロディーで心を和らげて締めくくるのである。
異色と言えば異色なのかもしれないが、非常に聴きやすいトリオ・アルバムである。
(視聴) "Beyond"
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コメント
チックのNYのブルーノートでのライブDVD 10枚組で彼を知りました。テクニックは素晴らしい!トリオもクィンテットも彼の存在は印象的です。YouTubeで彼のバンドが見れます。
投稿: モンカー | 2015年9月 3日 (木) 21時35分
モンカーさん、コメントどうも・・・・です。アヴィシャイ・コーエンは、これからも楽しませてくれると思います。期待いたしましょう。
投稿: 風呂井戸 | 2015年9月 3日 (木) 23時04分