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2015年4月 9日 (木)

ジョヴァンニ・ミラバッシGiovanni Mirabassiのニュー・アルバム「NO WAY OUT」

ヴィブラフォンをフューチャーしてミラバッシの挑戦は続く・・・・・

<Jazz>
       GIOVANNI MIRABASSI QUARTET 「 NO WAY OUT」
           Cam Jazz / CAMJ 7884-2 / 2015

Nowayoutbb
 ジャズ・ピアノを愛する者にとっては、なんと言っても説得力のあるのは、イタリア出身でフランスを拠点に活躍しているピアニストのジョヴァンニ・ミラバッシ(1970年生まれ)だ。ここで彼のニュー・アルバムを取り上げよう。
  そういえばミラバッシと言うと、 「Animessi」という日本企画もののジブリのアニメ・ソング・アルバムが昨年リリースされていたが、こっちはCAMJazzから彼の久々の本格的ニュー・アルバムの登場。今回は次のようなメンバーによるカルテットである。

Giovanni Mirabassi : Piano
Stefon Harris : Vibes
Gianluca Rebzi : Double Bass
Lukmil Perez Herrera : Drums

Nowayout2_2 なんとミラバッシお馴染みのピアノ・トリオ+ヴィブラフォンのカルテットだ。このところ私にとってはヴィブラフォンものは久しぶりである。かってのようにどこにも登場した感のあった時代があったが、最も代表的なMJQを思い起こすと、その現代性は隔世の感ありの進歩がこのアルバムにある。まあ近年はヴィブラフォンものが、ちょっと少ないように思うのは・・・私の好みの為だろうか?。それはそれとしてこのアルバムはそんなところの注目点がある。

 ミラバッシのCAMJazzからというと、韓国での収録のオーケストラをバックにしてのトリオもの「VIVA V.E.R.D.I.」が2013年にリリースされて以来の第2弾だ。あのアルバムの評価は若干私は戸惑ったところがあったのですが、その時に、ふとミラバッシはある壁に当たっているのではないか?という事が、頭をよぎったのであった(彼の存在感を世に示した2001年の「AVANTI!」の再現盤2011年の「ADELANTE!」もその一つか)。そして今回のヴィブラフォンを加えてのカルテット、これはやっぱり一つには彼の壁を破りたい挑戦なのだろうと私はこのアルバムを聴いて確信を持った。

Nowayoutlist 収録曲(右)は8曲で、全曲ミラバッシのオリジナルという気合いの入ったモノ。そしてトリオは前作と同じメンバーだが、ヴィブラフォン奏者は、まさに現代を代表するアメリカのステフォン・ハリスStefon Harris を呼んでNYブルックリンで2013年12月の録音。
 まずこのアルバムの出来は一口に言ってハイレベル演奏だ。とにかくミラバッシのピアノ・プレイは更に磨きがかかっていて、密度の高い流麗にして詩情豊かで、しかもダイナミックなプレイを展開。彼の新展開への意気込みが伝わってくる。そしてハリスのヴィブラフォンとの交錯、共鳴、アンサンブルはちょっと並のレベルではない。

Nowayout1 なんと言っても3曲目の”Two finger snaps”が凄い。四者の劇的なスリリングなアンサンブル、そして又四者が交互に前面に出てくるうねりが圧巻。
 2曲目”The snow white syndrome”、4曲目”L'Audance”では、ヴィブラフォンの役回りが快調。ミラバッシのピアノとの交錯にメロディーの主張も響かせ、そこに多分ミラバッシのものと思われる”うなり”というよりは”歌声”がバックに重なって曲に色づけする(まあこの「声」は賛否両論あるだろうと思うところだが・・・私は否定的)。
 6曲目”What was that dream about”では、ミラバッシの従来の持ち味を感じさせるピアノ・トリオが前半に詩的叙情性を演じ、中盤にヴィブラフォンが主導して、後半の四者の盛り上がりへと流れ込む。
 最終曲”II Bandolero stanco”は、トリオの美しさで締めくくる。

 このアルバムは明らかにミラバッシが一つの壁を打ち破るべく、彼の技量をたたき込んで作り上げた一枚だ。それだけにレベルが高い。さてこの高さを聴く者がどこまで消化出来るかが問題のアルバム。
 (参考)
  http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/giovanni-mirava.html

 (視聴) ”NO WAY OUT”がないので”Howl's moving castle”を

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コメント

3月末か4月初旬には届くはずだったこのアルバムが届いていません。1ヶ月ほど遅れるとのこと。トホホ ・・・。

投稿: 爵士 | 2015年4月 9日 (木) 22時43分

爵士さん、おはようございます。
 私もこのアルバム、あるところに別のアルバムと纏めて注文してあったのですが、どうしてもこれだけ届きませんでしたので、キャンセルして別のところに外盤注文し直したのものです。それは価格も安くスムーズに届きました(どうも品薄なんでしょうかね?いろいろなルートがあるのですね)。
 しかし今作は、ミラバッシの一つのチャレンジのように思います。期待して良いと思います。

投稿: 風呂井戸 | 2015年4月10日 (金) 09時45分

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