ヘティ・ケイトHetty Kate 「DIM ALL THE LIGHT」
<My Photo Album> ~花の季節(5)~
よき時代のラブ・ソングに、新解釈を試みてはいるが・・・・
<Jazz>
Hetty Kate 「DIM ALL THE LIGHT」
ABC Jazz / ABC 378 2335 / 2014
録音:2013年3月15日、スタジオ345(オーストラリア)
Hetty Kate (vo)
Sam Keevers (p)
Ben Robertson (b)
James Sherlock (g)
Danny Farrugia (ds)
既に時代もよき時代というか過去そのものというか、ペギー・リー、ジューン・クリスティー、ジュリー・ロンドンのヴィンテージ・ラブ・ソングを集めてのアルバムであり、それはイングランド出身の2010年代になってからお目見えのシンガー”ヘティー・ケイトHetty Kate”のアルバム。彼女はどのような経過かは知らないが、オーストラリア・メルボルンのジャズ・シーンで活躍してきたようだ。そして自主制作盤はあるが、今回がオーストラリアのジャズレーベルからのデビュー。
選曲は左のような9曲。彼女のヴォーカルがどちらかというと声量は納得できやや愛らしい感じの大人のタイプなので、バックはピアノ・トリオ+ギターといったところであるが、比較的大人しく又演奏面も従来からのオーソドックスさから一歩脱皮を試みてはいるが、そうアッピールするところもなく、取り敢えず無難にこなしているタイプ。
私の注目曲は、ジュリー・ロンドンが1955年に歌って評判となり、その後映画「女はそれを我慢できない」(1956年)で取り上げられた”Cry me a river”なんですが、これはアーサー・ハミルトンが作詞作曲したもので大ヒット曲。いまや非常に多くの女性陣によってカヴァーされているが、近年はダイアナ・クラールも歌ってますね。しかしかっては日本では美空ひばりも歌ってました。余談ですが私が好きなのは、ジェフ・ベックのギターでイメルダ・メイが歌っているのが最高ですね。その曲をこのアルバムでは6曲目に登場するが、過去の多くのカヴァーを意識してか、バックも編曲にやや故意的な作為が入って、ピアノとギターで交互に唄の合間を埋めるのですが、どうも彼女のヴォーカルも含めて洗練さには若干欠けている。まあ努力は解るがもう少し味が欲しい。実はこのアルバムの評価は全編この曲の評価に尽きると言ったところなんです。欲を言うと何かがもう一つなんですね。
彼女のヴォーカルは”カリスマ性があり、ゴージャスで艶やかに潤う気品、愛らしい大人ヴォイス”と紹介では表現されているが・・・ちょっとそこまで言うには大げさかと言ったところ。
2013年に彼女は日本にも登場しているようだが、好感度の評価も得ている。つまりそれなりに魅力はあるといった人材。見たところそう若いというわけで無く、経験も積んでいるようであるが、まあこれからのものとみて、もう一つ人の心をつかむジャズ世界の道に音楽的にも高めてくれればと期待するところである。
見方によっては今回のカヴァー曲群と彼女がヴォーカル・スタイルがうまくマッチングしていないのかも知れない。本人はこの1940-1950年代ものが好みのようだが。
私にとっては初聴きの彼女であるので、もう少し幅広く聴きたいところであり、つまり期待株であるところは間違いない。
(参考視聴)
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