キース・ジャレットKeith Jarrett 久々のピアノ・ソロ新録音盤「CREATION」
東京、トロント、パリ、ローマのインプロヴィゼイション・ソロ・アルバム
<Jazz>
KEITH JARRETT 「CREATION」
ECM Records / Germany / ECM 2450 4721225 / 2015
Recorded April,May,June and July 2014
Keith Jarrett : Piano
キース・ジャレットの新アルバムだが、久々の最新録音もの。それも日本、カナダ、フランス、イタリアにおける昨年(2014年)のソロもの。これだけ早く出るのも珍しいですね。キースはなかなかアルバムとしてリリースするに即OKというタイプでないのだが、近頃ブートも出回る世の中、若干意識しての早々のリリースか?。まあそれはそれとして本人のプロデュースという事にもなっているので、演奏内容にも納得していると言うことでしょう。ただし今回の世界公演で、ニュー・ヨーク、モントリオール、ベニスが入ってませんね。
内容は上の通り(クリック拡大)。四都市5会場の演奏を9っに纏められているが、一工夫しての配列であろう。
アルバム・タイトルは、 「CREATION」というところで、インプロヴィゼイション・ピアノ・ソロであるので、単なる「創作」という意味なのか、それとも「天地創造」とか「万物・宇宙」をイメージしてのタイトルか、近年のキースのあの慢性疲労症候群からの再起後は、なにか人生の感謝とか一つの達観したしたイメージを訴えてきて、昔のような危機感、不安感といったところとはあまり感じられない。多分このアルバムの収録曲のイメージも人生の納得した世界観を描いているように思えてならない。
トップのトロントものは、非常に思索的な曲、そして彼の特徴の唸りというかここでは歌うと言ったほうがよい声が入る(この声の入るのは、私はあまり好きではない)が、難解というイメージはない。
続く東京Kioi Hallは静かな優しさに包まれた世界で、PartⅤとともに美しいメロディーが演奏される。
そしてパリも静かな世界だ。
若干ではあるが人間の懐疑的な世界という印象の描くところでは、ローマのPartⅦ、Ⅷにそんなところが感じられる。
とにかく近年のキースは非常に取っつきやすい曲を演じてくれて、特にこのアルバムに収録されたものは、アバンギャルドな攻撃的なものではなく、又危機感とか不安感とかを主体としたものでない。どちらかというと静かな美しい世界であって、最終的には安堵感とも言える世界に連れて行ってくれる。
人生を達観した姿が感じられるキースであった。
(試聴)
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コメント
風呂井戸さん,こんばんは。TBありがとうございました。
このアルバムに収められている曲はどちらかと言えば美的で穏やかな曲が多いので,最近のKeithのライブの前半にありがちなとっつきにくさがないのがいいですね。特に紀尾井ホールの2曲には,その場にいただけに,ミーハー心が炸裂してしまいました(笑)。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2015年5月22日 (金) 19時30分
中年音楽狂さん、こんばんわ。コメントやTB有り難うございました。
紀尾井ホールの参加はほんとにこのアルバムでは最高のポイントでしたね。良かったですね、羨ましいです。
私はKeithのソロに初めてライブで出会ったのは1980年代のことです。もう三十年前の話になります。彼のステージでのピアノに向かっての集中する姿に驚きで対面していました。
近年のソロに参加していないため当時との比較は出来ないのですが・・・このアルバムでは彼の変化は時代の流れで確実にあるように思います。
投稿: 風呂井戸 | 2015年5月22日 (金) 22時37分
風呂井戸さん 私もあの呻き声がダメ派でして、なにか気になって曲に集中できません。それがない、ヘイデンとのアルバム、「ジャスミン」なんかは傑作だと思いますが ・・・。
投稿: 爵士 | 2015年5月24日 (日) 21時26分
爵士さん、こんにちわ。
おっしゃるように、「唸る」「唄う」「謳う」と表現がありますが、日本語で言うと「呻く」というのが合ってますね。あれは自然に出ているようですが、聴く方としてはない方が良いですよね。”あれが良い”って人はいるのでしょうかね?。
そうそう近年ミラバッシもやってますね。
投稿: 風呂井戸 | 2015年5月25日 (月) 12時38分