(続)メロディ・ガルドーMelody Gardot の新譜「CURRENCY of MAN」 ~考察その2~
メロディ・ガルドーのニュー・アルバムを考察しているのだが・・・実は是非対比してみなければならないことがある。
それは前回このニュー・アルバム『CURRENCY of MAN カレンシー・オブ・マン~出逢いの記憶~』の感想を書いたのは、基本的には2種あるバージョンのうち所謂「Delux Edition」(全15曲)であったわけだが(日本盤はこれを取りあげてリリースしている)、しかし「スタンダート盤」は全10曲であって、全くの曲の配列が異なっている。実はそこが面白いところで比較して聴いてみるとかなり印象が異なってくるのだ。
Melody Gardot 「CURRENCY of MAN」
Universal / International / 54724682 / 2015
スタンダード盤では、まず3曲のインスト曲がない。それとこのアルバムでの最高のパワーを効かせる”Preacherman”が2曲目に登場して、アルバム冒頭近くから哀しい怒りを叩きつけるパターンをとる。
これは「デラックス盤」の問題点を積み上げながら、徐々に最高潮に盛り上げて行く手法とは異なっている。
そんな相違が意外に印象を変えているのだ。
つまりアルバムの流れは以下のようになる。これが・・・・
3.そして 光明を見いだそうとする
4.反省
5.自己の要望
6.自分相応の世界へ
7.美しき悟りへ
8.悪しき展開
9.哀しきストリート・ガールの姿に未来はあるか
10.過去の貴重な記憶に未来を託す
・・・・こんな流れであるが、つまるところ、デラックス盤の”No Man's Prize”と”Byrying My Troubles”の2曲が納められていない。まずメロディ・ガルドー節の典型の”No Man's Prize”が無いのは寂しい。そしてデラックス盤の最終曲”Burying My Troubles”の一つの光明を信じて行くところがやっぱり無いのは更に空しいのである。
そんなところと、曲間の繋ぎの3曲のインスト曲が又ムードを盛り上げるのに良い味があるが、それが「スタンダード盤」には無いわけで、これからこのアルバムを聴くならば、やっぱり「デラックス盤」にして欲しい(日本盤はこれを取り入れている)と思うのだが・・・・・いかがであろうか?
いずれにせよ、2種あるとどうしても比較してしまうのだが、「スタンダード盤」はメロディ・ガルドーのCD一枚を聴いたという感じには満たされるが、「デラックス盤」は、物語を感ずる一編の映画を見終わったという感覚になる。
両者には、そんな違いを感ずるのだが・・・・。
(試聴)
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