ジョルジュ・パッチンスキー・トリオGeorges Paczynski Trio:「LE BUT, C'EST LE CHEMIN」
ドラマーの叙情的なピアノ・トリオ作品
<Jazz>
GEORGES PACZYNSKI TRIO 「LE BUT, C'EST LE CHEMIN」
Art & Spectacles / Eu / ASCD 140901 / 2015
Recorded and mixed by Vincent Bruley on Sept.16-17,2014
Georges Paczynski (ds,p)
Stéphane Tsapis (p)
Marc Buronfosse (b)
フランスのベテラン・ドラマー”ジョルジュ・パッチンスキー”のピアノ・トリオ・アルバム。これに至るには、前作2013年のアルバム『LE CARNET INACHEVÉ』と合わせて、我がオーディオ・マニアの友人のお勧めでここに至っています。
とにかくマイナー・レーベルからのデビュー・アルバム『8 Years Old』(1992)以来10年以上を経て、今度はこのレーベル Art & Spectacles からの第一作の『GENERATIONS』(2006)が「ジャズ批評」誌ジャズ・オーディオ・ディスク大賞金賞を受賞し、日本でも注目ミュージシャンとして名乗りを上げた。本作で、同レーベルから4 作目のリリースである。(この間SAWANO KOHBOHからアルバム『LEVIN' SONG』(2007)のリリースもある)
(参考)
http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-f340.html
異色と言えば異色ですね、ドラマーの主導のピアノ・トリオ作品で、全15曲(左:クリック拡大)のうち14曲が彼のオリジナル作品(曲によってはパッチンスキーはドラマーでありながらピアノも演ずる)。そして前作から今作はピアノはVincent Bourgeyx からStéphane Tsapis に変わっているが、その彼のピアノも実に繊細にしてクリアな音を披露し、編曲にも貢献している。
そして今作も詩的でかつ素晴らしい美的センスにあふれた作品に仕上がっている。
そして私の注目点は、更に感動するところであるこの録音の出来の良さだ。録音およびエンジニアには、Vincent Bruley(ヴァンサン・ブルレ)が担当。ピアノの音のクリアさは群を抜いており、ベースもしっかりと曲を支える。パッチンスキーの繊細なドラミング は文句なく絶品。ブラッシ・ワークは手に取るように聴き取れるし、特にシンバルの音は圧巻。ジャズ・オーディオ・ファンにはたまらないところだ。
そして今作は当レーベル一号アルバム『GENERATIONS』よりも、曲は短いモノが多いが、更に叙情的で聴きやすい世界になっている。しかしこの『GENERATIONS』も、彼らの個性を築いていて見事なアルバムであるので取り上げておく。(↓)
* * * *
<Jazz>
GEORGES PACZYNSKI TRIO 「GENERATIONS」
Art & Spectacles / Eu / ASCD 060401 / 2006
Mixed by VINCENT BRULEY
Recorded on Feb.23-28, 2006 at Studio PICCOLO, Paris
このアルバムは、前にも記したように「ジャズ批評」誌ジャズ・オーディオ・ディスク大賞金賞の名盤。
ジョルジュ・ パッチンスキーが、この Art & Spectacles レーベルでのデビュー盤、初めて世間に公になった記念すべきアルバム。
Georges Paczynski (ds,p)
Penaud Palisseaux (p)
Laurent Fradelizi (b)
さて、これは私にとってはリアル・タイムに聴いたモノでなく、最近作の2枚に触れて、その素晴らしさを感じて過去の作品に興味をもって手に入れたアルバムである。そしてこれを聴いてみて解ったことだが、やはり録音の質のレベルが高い。ピアノは勿論、ベースの響きも素晴らしく、そしてドラムスも生き生きとして音像の美しさが素晴らしい。
そして寺島靖国の『For Jazz Audio Fans Only Vol.1』の第1曲目に選ばれ登場する。こんなことからもその録音の評価が窺えるのだ。
Tracklistは右のように9曲。ここではトリオとしての意識が高く、パッチンスキーのオリジナル曲は4曲で、3者によるもの1曲その他は他メンバー2曲づつという構成。
なんと言ってもパッチンスキーの幻のデビュー作『8 YEARS OLD』が、SAWANO KOHBOHから2000年に再リリースされた時の彼らの演奏の紹介が”知的で叙情的なプレイ。耽美的旋律と野心的曲想が程よい緊張感を伴い、織なすジャズタペストリーの世界”と表現されているが、このアルバムもまさにその表現に値する快作。そして結構アヴァンギャルドにして実験的なアプローチも見え隠れして、単なる美的叙情派でないところが聴きどころ。そんな意味では最近作の『LE BUT, C'EST LE CHEMIN』よりも面白いと言っても良い仕上げだ。
なお6曲目ではドラム・ソロも堪能でき、ドラム、ブラッシ・ワーク、ハイハット、シンバルが快調な録音で聴き取れる。
(参考視聴)
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