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2015年7月28日 (火)

ロジャー・ウォーターズRoger Watersのリマスター「AMUSED TO DEATH」

買うならBlu-ray Audio盤(High Resolution 5.1Surround , 24BIT/96KHZ uncompressed) 
 ~ ロジャー・ウォーターズのマジック・サウンドが圧巻で迫る

<Progressive Rock>

ROGER WATERS 『AMUSED TO DEATH』
COLUMBIA/LEGACY  / USA / CD+Blu-ray Disc / 88843090552 / 2015

Atod
Roger Waters : Vocal , Bass, Guitar
Jeff Beck : Solo Guitar
Patrick Leonard : Keyboards 
Graham Broad : Drums 
Randy Jackson : Bass
Jeff Porcaro : Drums
Katie Kissoon : Vocal
Doreen Chanter : Vocal

  23年ぶりにロジャー・ウォーターズRoger Watersの頂点アルバム『死滅遊戯AMUSED TO DEATH』がリマスターでの登場。
  とくに話題は、リミックスによるサウンドの改良だ。今回は最近話題の「Blu-spec CD2」での登場、それに「Blu-ray Audio」によるハイレゾ-5.1Surround盤なども。オーディオ意識の強いところが注目点がある。そしてなんと言ってもやはり”ハイレゾ-5.1Surround”によるところが聴きどころで「Blu-ray Audio」盤が今回の注目点。これは通常のCDとの組み合わせのDelux特別盤で手に入れるのが最も能率的(↓)。アートワークも上のように一新。

506 とにかくロジャー・ウォーターズの得意のSEと彼独特のマジック・サウンドが、ここまで音があったかと、ほぼかってのCDで聴いたものよりは、音質の改良の上に、間違いなく200%とまで言える音が聴こえてくる。これを聴けば再び手に入れるこのアルバムの価値は間違いなくある。久しぶりに5.1サラウンドの価値観を感ずることが出来た。ハイレゾ音質が効果を上げているのかも知れないが、間違いなくサラウンド盤で聴いてみて欲しい。
 これにはプロデューサーでもあり伝説的エンジニアでピンク・フロイドと関わり合いのあるジェームズ・ガスリーが、現代最高と言われる録音技術を駆使し、オリジナル・マスター・テープから再リミックスをしたものだ。

001 ギタリストにジェフ・ベックを呼んで作成したこのアルバムの価値観は既に過去のピンク・フロイドの作品群に勝るとも劣らないと言われるものだが、こうして二十数年ぶりに聴いても全く色あせていない(私に言わせるとこれが目下のところ実はピンク・フロイドの最終盤と思っている)。
 ウォーターズに言わせると彼の五十年以上のミュージシャンとしてのキャリアの中でも”ジェフ・ベックのギターは偉大なクラシック作品にも匹敵する。彼のギターの弾き方はヴァイオリンの巨匠と変わらない”と絶賛する。

 現代社会への警告も今にして更に現実的である。あの90年代のTV社会に警鐘を鳴らしたウォーターズのコンセフトは、当時の「湾岸戦争」「天安門事件」などから触発されて、現代社会の矛盾や戦争をTVによるエンターテイメントの一つとしてとらえてしまう社会への疑問からスタートしている。そしてその主張は”当時よりはむしろ今の2015年の人々の苦境に寄り添っているのかも知れない”と今回のリマスター盤のリリースの意義を彼は語っている。

(参考(紹介記事より)=Blu-spec CD2)
 株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントは2008年に発売を開始した 『Blu-spec CD』からさらに研究開発を重ね、この度Blu-ray Disc製造技術の すべてをCD製造に投入することによって、より一層原音に忠実な 高品質CD『Blu-spec CD2』(ブルースペックCD2)を完成させました。『Blu-spec CD2』は、お手持ちのCDプレーヤーでの再生が可能です。

(視聴1)

(視聴2)

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2015年7月24日 (金)

ポーランドのピアノ・トリオRGGを更に求めて・・・・3rd「UNFINISHED STORY」

クラシックとかジャズとか言う世界を超越して己のジャズ世界を探るトリオ

 前々回ポーランドのピアノ・トリオ「RGG trio」に魅せられた話をしたわけだが、話題にした今年リリースされたアルバム『AURA』は彼らの7作目であり、それ以前はマイナーなレーベルからのアルバム・リリースで、私は触れる機会無く来ていたわけです。しかし何となく気になるトリオであって、ここに来てメンバー・チェンジされた以前の作品を少々手に入れてみた。

<Jazz>
                RGG 「UNFINISHED STORY」
                 ECNALUMBA / POL / RGG001 / 2007

Unfinishedstory2
                     Przemysław Raminiak  : piano
          Maciej Garbowski : double bass
          Krzysztof Gradziuk : drums

 このアルバムは3作目で、オリジナル・トリオ・メンバーでの作品。ピアノはPrzemysław Raminiak(1st~5thアルバム)が担当している。アルバム・タイトルの『UNFINISHED STORY』に副題として”Remembering KOSZ”となっていて、ポーランドの1973年に若くして亡くなった天才ジャズ・ピアニストMieczysław Koszを意識してのものとみられ、Tracklistをみると2.4.曲目がKoszの曲である(↓)。

Unfinishedstorylist
 Koszの2曲の他は、2012年にこのトリオから退いたピアニストのRaminiakの曲が6曲と最も多く、ベーシストのGarbowskiのものが2曲、三者の曲が2曲という構成。
 相変わらず格調高い叙情性のある曲が展開すると同時に、Koszの曲はかなり思索的な世界に導かれる。もともとKoszのプレイはポーランドの民族音楽に基づいたと言っても、彼なりきのフリーなセンスで描くところに魅力があったと言うが(残念ながら彼の残されたアルバムがあるのだが私はまだ未聴)、このアルバムもいかにもポーランドというクラシックに裏付けされたミュージシャンの演ずるところであって、非常に実験性のある演奏展開をするが、その中にも品格が感じられ、その描くところ7曲目”Lonliness”に代表される哲学的な雰囲気さえ感じられるアヴァンギャルドな抽象的世界は聴き応えある。
 又三者がクレジットされている2曲は、多分インプロヴィゼイションの世界と推測される。

Rggmembers1_2
 今にしてこのアルバムを聴くことに至ったのであるが、なかなかアメリカン・ジャズと一線を画するユーロを代表する素晴らしさといってよい仕上がりで、彼らの作品群でも実験性が高く、中核をなすものと思われる貴重盤であった。
 こうして築かれてきた世界は、これからも求めて行くところの象徴なのかも知れない。それは、現在ではメンバー・チェンジが行われたが、「RGG」という旧メンバーの頭文字のトリオ名を残しているところにも、そのあたりが窺い知れるのである。

<参考までに「RGG trio」のDiscographyを記す>

1.『Scandinavia』.             2003
2.『Straight Story』           2005
3.『UNFINISHED STORY』 2008
4.『True Story』               2009
5.『ONE』                        2011
6.『SZYMANOWSKI』        2013
7.『AURA』                      2015

(試聴)

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2015年7月20日 (月)

ジョルジュ・パッチンスキーGEORGES PACZYNSKIの原点アルバム「8 years Old」

ユーロ・ピアノ・トリオのセンスがみなぎるライブ盤

<Jazz>

           Paczynski Levinson  Jenny-clark 「8 years old」
            Atelier Sawano / JPN / ATELIER SAWANO 005 / 2000

8yearsold

          GEORGES PACZYNSKI(ds)
          JEAN-CHRISTOPH LEVINSSON(p)
          JEAN-FRANÇOIS JENNY-CLARKE(b)

8yearsoldgp もう70歳は超えているフランスのドラマーであるジョルジュ・パッチンスキーGEORGES PACZYNSKI(1943~)のピアノ・トリオ作品が、今年もリリースされて(『LE BUT, C'EST LE CHEMIN』)、その出来の素晴らしさに感動しているわけである。(参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/georges-paczyns.html

 こうなると彼の原点アルバムも聴いてみたいと言うところでAtelier Sawano から2000年に日本向けにリリースされたこのアルバムを手に入れてみたところだ。これはもともとはあまり知られないマイナー・レーベルから1991年にリリースされていたもので、”幻の名作品”として日本ではその筋では話題になっていたものを、Atelier Sawano が再リリースしてくれたものだ。メンバーはベテラン・ミュージシャンでの構成で、一種の風格の感ずる仕上げの作品。

 Tracklist
   1. The drive (9'36  oliver nelson)
   2. re; person i knew  (8'25   bill evans)
   3. qal     (9'59   Jean-christophe levinson)
   4. au-dela   (12'30  Jean-christophe levinson)
   5. ballarde   (21'11  Jean-christophe levinson)

8yearsoldmembers
 おそらくこのトリオでは、ベーシストのジェニー-クラークJEAN-FRANÇOIS JENNY-CLARKE(1944-1998)あたりが日本でも知られていたのだろうかと言うところだと思う。
 パリのライブ・ハウス「モンパルナス」でのライブ盤(october 14th. 1991 )であるが、それぞれの曲は長めで、短いもので8'25(2曲目)で、長いのは21'11に及ぶ(5曲目)。オリジナル曲は3.4.5.の3曲で、ピアニストのレヴィンソンの曲。

 1曲目”The drive”は、ビル・エバンスとの関係も深いOliver Nelsonの曲、このあたりもこのトリオが目指す方向が見えると言っていいのだろう。レヴィンソンのピアノが叙情的で美しい。そしてジェニー・クラークのベースがリズム隊と言うよりは歌うが如くメロディーを奏でている。
 4曲目”au-dela”、ここでもピアノとベースの絡みもハイレベルで、更にパッチンスキーのドラムスが加わって、トリオのインタープレイを満足出来る。
 5曲目”ballade”は21分を超える長い曲だが、中盤でジョルジュ・パッチンスキーのドラム・ソロが登場。それもブラッシ・ワークを静かにたっぷりとってから、シンバル、ハイハット、ドラムのオンパレードでこの曲を終える。
 全体的には、ユーロ系のちょっと品格ある叙情的世界というところの作品だ。

(参考視聴) この1991年当時の映像モノは無いので、その後のGEORGES PACZYNSKI TRIO を参考に!

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2015年7月15日 (水)

ポーランドのピアノ・トリオRGG のアルバム 「AURA」

思索的な美しさと優しさと、そしてアグレッシブの対比が面白い

<Jazz>

                RGG「AURA」
                 OKeh / US / 88875017602 / 2015

Aura

          Łukasz Ojdana : piano
          Maciej Garbowski : double bass
          Krzysztof Gradziuk : drums

 「RGG」は2001年結成のキャリアのあるポーランドのピアノ・トリオ(Raminiak,  Garbowski,  Gradziuk=三人の頭文字をとってバンド名となっている)。しかし前作の『SZYMANOWSKI』(2013年)からは、ピアニストはラミニアクPrzemysław Raminiakに変わって、若きウカシュ・オイダナŁukasz Ojdana が務める(バンド名の変更なし)。そしてそのアルバムがメジャー・レーベルからの初リリースとなったもの。かって演ずる曲の美しさはさすがショパンの国と言うことで定評があったと言うが、私は実はこのアルバムが初聴き。

Members_2

Auralist2_2
 Tracklistは右の如く、彼らのオリジナル曲が7曲あり全14曲。
 冒頭から新加入のピアニストのオイダナの曲”Adivinanza”で始まるが、静かな思索的ピアノの音から流れる。そして中盤から後半にかけて三者で盛り上がり再び静かなピアノで終わるというパターンだが、単なる美旋律といタイプでなく一つ一つの音の余韻に奥深さを追求する。そして続く”W.R.U.”ではかなりアヴァンギャルドなアグレッシブな演奏を展開。その後の曲”Letila Zozula”は、ウクライナのフォーク・ソングのようだが、ベースが静謐な世界を描きシンバルの音がサポートしてそこにピアノが美しい旋律を奏でる。
 ピーター・ガブリエルの曲”Don't give up”が哲学的感覚を呼び起こすものに変化してしまうし、次のベーシスト・ガルヴォースキのオリジナル曲”Pulsar”は、ベーシストとドラマーによって静にして不思議な世界に導いてくれる。
 こんなパターンで”静謐にして思索的”であるところと、”アグレッシブな演奏”と、”美旋律の美しさ”をと・・・・聴く者を飽きさせない。
 そして最後は美しく静かなる聖歌で終わる。

 なかなか聴くたびに奥深いアルバムで、ユーロピアン・ジャズ・シーンで評判のトリオであることが納得出来るアルバムだ。

(視聴)

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2015年7月11日 (土)

幻の名盤:ジル・エキミアン・トリオGilles Hekimian Trio 「EQUILIBRES」

後にも先にもこれのみオンリーワンのトリオ・アルバム

<Jazz>

           Gilles Hekimian Trio 「EQUILIBRES」
             ATELIER SAWANO / JPN / AS 008 / 2000
            Prduced by Alain Guerrini ,  Recorded 1977

Equilibres2
             Gilles Hekimian : piano
                    Pierre-yves Sorin : bass
                    Stephan Gremaud : drums

  寺島靖国の『Jazz Bar 2002』で取り上げられたジル・エキミアン・トリオGilles Hekimian Trio というフランスのピアノ・トリオ。以前から気になっていていたが、実はここに来てようやく手に入れたアルバム。
(参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-6c88.html

Ghtrio  このトリオは全く情報がなく、魅力的な演奏でありながら放置してしまっていたんですが、今になってふと思い出してのアプローチ。1977年録音だから、もうまごまごすれば四十年近く前の録音ものでありながら、2000年にATELIER SAWANOからリリースされ、話題になってそしてそれから十数年経っての今なのである。そしてこのトリオ、それ以来音沙汰が無く、勿論アルバムのリリースもなく、このアルバムのみが後にも先にも彼らの唯一の作品という訳なのである。

Equilibreslist 今こうしてSAWANO盤を聴いていて驚くべきか、非常に録音がクリアでベースの響きもよく、ピアノの硬質で澄んだ音、そしてドラムスの音も締まっていてシンバルは繊細で見事な録音に感動。
 そしてマイルスの“Nardis”、ホレス・シルヴァーの“Nica's  Dream”の2曲のほかは全て無名のピアニストのエキミアンのオリジナル作品6曲の合計8曲を収録されている。

 冒頭の”Ballade pour G”から、ベースがリズムを刻みそこにピアノが乗ってくる手法がにくいにくい味がある。マイルスの”Nardis”を取り上げるところからも、意気込みが感じられる。とにかくこれが当時無名のピアニスト?、ベーシスト?と不思議な洗練された演奏。そしてピアノ・トリオといってもピアノ主導でなく三者の絡みがナイス・センスなのだ。
 静謐な世界、怒濤のように流れる世界、そして叙情的にして美しい世界と描ききっている。

 このアルバム・タイトル「EQUILIBRES」は、フランス語で「釣合い・均衡」を意味しているようだが、ほんとにバランスの良い演奏で驚く。当初はマイナーな自主制作に近いモノであったようだが、澤野工房から日本では2000年にリリースされ(既にSold outの盤)こうして聴くことが出来るのは嬉しいことだ。

 いずれにしても、この盤以降は、このトリオは何の音沙汰も無いと言ったところで、やっぱり「幻の名盤」の一枚ということになるのでしょうね。

515hacc3eml_2(追記)
 なおベーシストのPierre-yves Sorin は、その後の活動もあり、右のようなアルバムがある。




 

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2015年7月 7日 (火)

ジョルジュ・パッチンスキー・トリオGeorges Paczynski Trio:「LE BUT, C'EST LE CHEMIN」

ドラマーの叙情的なピアノ・トリオ作品

<Jazz>

  GEORGES PACZYNSKI TRIO 「LE BUT, C'EST LE CHEMIN」
   Art & Spectacles / Eu / ASCD 140901 / 2015
 Recorded and mixed by Vincent Bruley on Sept.16-17,2014

Le_but
        Georges  Paczynski (ds,p)
        Stéphane Tsapis (p)
        Marc Buronfosse (b)

Gp2c フランスのベテラン・ドラマー”ジョルジュ・パッチンスキー”のピアノ・トリオ・アルバム。これに至るには、前作2013年のアルバム『LE CARNET INACHEVÉ』と合わせて、我がオーディオ・マニアの友人のお勧めでここに至っています。
 とにかくマイナー・レーベルからのデビュー・アルバム『8 Years Old』(1992)以来10年以上を経て、今度はこのレーベル Art & Spectacles からの第一作の『GENERATIONS』(2006)が「ジャズ批評」誌ジャズ・オーディオ・ディスク大賞金賞を受賞し、日本でも注目ミュージシャンとして名乗りを上げた。本作で、同レーベルから4 作目のリリースである。(この間SAWANO KOHBOHからアルバム『LEVIN' SONG』(2007)のリリースもある)
(参考)
http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-f340.html

Lebutlist 異色と言えば異色ですね、ドラマーの主導のピアノ・トリオ作品で、全15曲(左:クリック拡大)のうち14曲が彼のオリジナル作品(曲によってはパッチンスキーはドラマーでありながらピアノも演ずる)。そして前作から今作はピアノはVincent Bourgeyx からStéphane Tsapis に変わっているが、その彼のピアノも実に繊細にしてクリアな音を披露し、編曲にも貢献している。

 そして今作も詩的でかつ素晴らしい美的センスにあふれた作品に仕上がっている。
 そして私の注目点は、更に感動するところであるこの録音の出来の良さだ。録音およびエンジニアには、Vincent  Bruley(ヴァンサン・ブルレ)が担当。ピアノの音のクリアさは群を抜いており、ベースもしっかりと曲を支える。パッチンスキーの繊細なドラミング は文句なく絶品。ブラッシ・ワークは手に取るように聴き取れるし、特にシンバルの音は圧巻。ジャズ・オーディオ・ファンにはたまらないところだ。

 そして今作は当レーベル一号アルバム『GENERATIONS』よりも、曲は短いモノが多いが、更に叙情的で聴きやすい世界になっている。しかしこの『GENERATIONS』も、彼らの個性を築いていて見事なアルバムであるので取り上げておく。(↓)

                                *    *    *    *

<Jazz>

GEORGES PACZYNSKI TRIO 「GENERATIONS」
Art & Spectacles / Eu / ASCD 060401 / 2006
Mixed by VINCENT BRULEY
Recorded on Feb.23-28, 2006 at  Studio PICCOLO, Paris

Generations このアルバムは、前にも記したように「ジャズ批評」誌ジャズ・オーディオ・ディスク大賞金賞の名盤。
 ジョルジュ・ パッチンスキーが、この Art & Spectacles レーベルでのデビュー盤、初めて世間に公になった記念すべきアルバム。

 Georges  Paczynski (ds,p)
 Penaud Palisseaux (p)
 Laurent Fradelizi (b)


 さて、これは私にとってはリアル・タイムに聴いたモノでなく、最近作の2枚に触れて、その素晴らしさを感じて過去の作品に興味をもって手に入れたアルバムである。そしてこれを聴いてみて解ったことだが、やはり録音の質のレベルが高い。ピアノは勿論、ベースの響きも素晴らしく、そしてドラムスも生き生きとして音像の美しさが素晴らしい。
 そして寺島靖国の『For Jazz Audio Fans Only Vol.1』の第1曲目に選ばれ登場する。こんなことからもその録音の評価が窺えるのだ。


Generationslist_2 Tracklistは右のように9曲。ここではトリオとしての意識が高く、パッチンスキーのオリジナル曲は4曲で、3者によるもの1曲その他は他メンバー2曲づつという構成。
 なんと言ってもパッチンスキーの幻のデビュー作『8 YEARS OLD』が、SAWANO KOHBOHから2000年に再リリースされた時の彼らの演奏の紹介が”知的で叙情的なプレイ。耽美的旋律と野心的曲想が程よい緊張感を伴い、織なすジャズタペストリーの世界”と表現されているが、このアルバムもまさにその表現に値する快作。そして結構アヴァンギャルドにして実験的なアプローチも見え隠れして、単なる美的叙情派でないところが聴きどころ。そんな意味では最近作の『LE BUT, C'EST LE CHEMIN』よりも面白いと言っても良い仕上げだ。
 なお6曲目ではドラム・ソロも堪能でき、ドラム、ブラッシ・ワーク、ハイハット、シンバルが快調な録音で聴き取れる。

(参考視聴)

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2015年7月 3日 (金)

トルド・グスタフセンTord Gustavsenから到達したアルバム :スールヴァイグ・シュレッタイェルSolveig Slettahjell「ARVEN」

トルド・グスタフセンからノルウェーの歌姫スールヴァイグの世界へ

 我が愛するノルウェーのピアニスト:トルド・グスタフセンTord Gustavsenのニュー・アルバムはまだ半年前のリリースされたところで、次作はまだまだかなり先の話になりそうだから、何か面白いものはないかと漁っていて到達したアルバム。

<Jazz, Folk, World, & Country>

  Solveig Slettahjell「ARVEN」
   
Universal Music (SoSlo Productions) / Norway
   /  602537545735 / 2013

Arven_2 これはスールヴァイグ・シュレッタイェルのヴォーカル・アルバム。彼女はノルウェーの知る人ぞ知る歌姫だが、その世界はジャズにして異色、聴きようによってはトラッドの雰囲気を持ったフォークっぽいという味付けのジャズだ。彼女は首都オスロにあるノルウェー国立音楽学院を卒業している。2001年のデビューで当時は30歳ということであったので、この作品は40歳を過ぎてのものとなる。

 私の手元には、彼女のアルバムはこの『ARVEN』の他には、後で取り上げるが、2004年のリリ-スの『Silver』(2004)という何となく気になるアルバムがあって現在に至っている。ノールウェーの土地から生まれたスケールを感ずる女性ヴォーカル・ジャズ・アルバムである。
 又彼女について初めて知ったのは、寺島靖国の『Jazz Bar 2003』に登場してのことであった。
(参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/rolleiflex-9124.html

Solvig_tord ところが、トルド・グスタセンが彼女のヴォーカル・アルバムのバックで、ピアノのでのデュオに近いところを演じているこのアルバムがあることを知って、さっそく聴いてみたと言った次第。

 さてその内容だが、これはジャズというよりはクラシック、トラッドと言った方が良いのか、実に深遠にして心安まる世界。グスタフセンのピアノも彼らしい哲学的な深遠な雰囲気を演奏してくれるが、なんと言ってもヴォーカルを引き立てるための演奏に徹していて、彼のピアノの世界とスールヴァイグのヴォーカルとの協調として聴く方が良い。
 トラックリストは13曲、うちトルド・グスタフセンは8曲に登場。特にここでは曲名は紹介を省略すが、それはとにかくノルウェー語と思われ全く解らない為。歌詞も理解不能。そしてこのアルバムは私の想像するところではトラッドの世界と宗教曲の世界なんだろうと思うのだが・・・・。
     (視聴)

                    
                     *     *    *    *    *

 さてそこでせっかくスールヴァイグ・シュレッタイェルの話になったので、ここで私の持つ彼女のジャズ・ヴォーカル・アルバムで、こちらは夜にじっくりと聴けば聴くほど味の出てくる一枚を紹介する。(↓)

<Jazz, Folk>

    Solveig Slettahjell「SILVER」
     BOMBA RECORDS / BOM 1531 / 2004

Silver こちらは『ARVEN』のような特異なアルバムではない。しかし彼女の個性がたっぷりのヴォーカル・アルバムといったところ。
 オープニングの曲”Take it with me”はTom Waitsの曲だが、まさしく原曲から一変して説得力がある彼女のヴォーカルで迫ってくる。ゆったりと、そして低音がややハスキーでヴォリュームのある歌声、そして何と言ってもじっくりと聴かせるスタイルはピカイチ。
  Solveig Slettahjell : Vocal
    Mats Eilertsen : bass
    Sjur Miljeteig : trumpet
    Morten Qvenild : piano
    Per Oddvar Johansen : drums


 このアルバムは主としてカヴァー曲(下のTracklist参照:クリック拡大)で占められているが、特異な彼女のヴォーカルをピアノ・トリオ+トランペットのカルテットで支えるわけだが、なかなか編曲に味のあるジャズを聴かせてくれて楽しめる。このユニットを”Slow Motion Quintet”と名付けているだけあって、ジャズの一形を成すべく試みているともとれる。
Silverlist2
 さて、このアルバムの収録曲は上の通りであるが、彼女のオリジナル曲”D.Parker's Wisdom”も登場する。この曲はアルバム全体に流れる静かにしてどちらかというと暗い中に温もりを感じさせるヴォーカルによって作られるムードから一変して、スリリングなコンテンポラリー・ジャズを展開し、このアルバムの一つのアクセントとなっている。

 しかしこうしたアルバムを聴くと、アメリカン・ジャズの明るさとは全く違った北欧の凍てつく大地から人間らしい世界を築いている民族の暖かさを演ずるジャズを知らしめられる。不思議にHenry Manciniの”Moon river”まで別物になってしまうのだ。北欧ジャズを愛するものにとっては一聴の価値がある。

(視聴)

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