ポーランドのピアノ・トリオRGGを更に求めて・・・・3rd「UNFINISHED STORY」
クラシックとかジャズとか言う世界を超越して己のジャズ世界を探るトリオ
前々回ポーランドのピアノ・トリオ「RGG trio」に魅せられた話をしたわけだが、話題にした今年リリースされたアルバム『AURA』は彼らの7作目であり、それ以前はマイナーなレーベルからのアルバム・リリースで、私は触れる機会無く来ていたわけです。しかし何となく気になるトリオであって、ここに来てメンバー・チェンジされた以前の作品を少々手に入れてみた。
<Jazz>
RGG 「UNFINISHED STORY」
ECNALUMBA / POL / RGG001 / 2007
Przemysław Raminiak : piano
Maciej Garbowski : double bass
Krzysztof Gradziuk : drums
このアルバムは3作目で、オリジナル・トリオ・メンバーでの作品。ピアノはPrzemysław Raminiak(1st~5thアルバム)が担当している。アルバム・タイトルの『UNFINISHED STORY』に副題として”Remembering KOSZ”となっていて、ポーランドの1973年に若くして亡くなった天才ジャズ・ピアニストMieczysław Koszを意識してのものとみられ、Tracklistをみると2.4.曲目がKoszの曲である(↓)。
Koszの2曲の他は、2012年にこのトリオから退いたピアニストのRaminiakの曲が6曲と最も多く、ベーシストのGarbowskiのものが2曲、三者の曲が2曲という構成。
相変わらず格調高い叙情性のある曲が展開すると同時に、Koszの曲はかなり思索的な世界に導かれる。もともとKoszのプレイはポーランドの民族音楽に基づいたと言っても、彼なりきのフリーなセンスで描くところに魅力があったと言うが(残念ながら彼の残されたアルバムがあるのだが私はまだ未聴)、このアルバムもいかにもポーランドというクラシックに裏付けされたミュージシャンの演ずるところであって、非常に実験性のある演奏展開をするが、その中にも品格が感じられ、その描くところ7曲目”Lonliness”に代表される哲学的な雰囲気さえ感じられるアヴァンギャルドな抽象的世界は聴き応えある。
又三者がクレジットされている2曲は、多分インプロヴィゼイションの世界と推測される。
今にしてこのアルバムを聴くことに至ったのであるが、なかなかアメリカン・ジャズと一線を画するユーロを代表する素晴らしさといってよい仕上がりで、彼らの作品群でも実験性が高く、中核をなすものと思われる貴重盤であった。
こうして築かれてきた世界は、これからも求めて行くところの象徴なのかも知れない。それは、現在ではメンバー・チェンジが行われたが、「RGG」という旧メンバーの頭文字のトリオ名を残しているところにも、そのあたりが窺い知れるのである。
<参考までに「RGG trio」のDiscographyを記す>
1.『Scandinavia』. 2003
2.『Straight Story』 2005
3.『UNFINISHED STORY』 2008
4.『True Story』 2009
5.『ONE』 2011
6.『SZYMANOWSKI』 2013
7.『AURA』 2015
(試聴)
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