トルド・グスタフセンTord Gustavsenから到達したアルバム :スールヴァイグ・シュレッタイェルSolveig Slettahjell「ARVEN」
トルド・グスタフセンからノルウェーの歌姫スールヴァイグの世界へ
我が愛するノルウェーのピアニスト:トルド・グスタフセンTord Gustavsenのニュー・アルバムはまだ半年前のリリースされたところで、次作はまだまだかなり先の話になりそうだから、何か面白いものはないかと漁っていて到達したアルバム。
<Jazz, Folk, World, & Country>
Solveig Slettahjell「ARVEN」
Universal Music (SoSlo Productions) / Norway
/ 602537545735 / 2013
これはスールヴァイグ・シュレッタイェルのヴォーカル・アルバム。彼女はノルウェーの知る人ぞ知る歌姫だが、その世界はジャズにして異色、聴きようによってはトラッドの雰囲気を持ったフォークっぽいという味付けのジャズだ。彼女は首都オスロにあるノルウェー国立音楽学院を卒業している。2001年のデビューで当時は30歳ということであったので、この作品は40歳を過ぎてのものとなる。
私の手元には、彼女のアルバムはこの『ARVEN』の他には、後で取り上げるが、2004年のリリ-スの『Silver』(2004)という何となく気になるアルバムがあって現在に至っている。ノールウェーの土地から生まれたスケールを感ずる女性ヴォーカル・ジャズ・アルバムである。
又彼女について初めて知ったのは、寺島靖国の『Jazz Bar 2003』に登場してのことであった。
(参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/rolleiflex-9124.html
ところが、トルド・グスタセンが彼女のヴォーカル・アルバムのバックで、ピアノのでのデュオに近いところを演じているこのアルバムがあることを知って、さっそく聴いてみたと言った次第。
さてその内容だが、これはジャズというよりはクラシック、トラッドと言った方が良いのか、実に深遠にして心安まる世界。グスタフセンのピアノも彼らしい哲学的な深遠な雰囲気を演奏してくれるが、なんと言ってもヴォーカルを引き立てるための演奏に徹していて、彼のピアノの世界とスールヴァイグのヴォーカルとの協調として聴く方が良い。
トラックリストは13曲、うちトルド・グスタフセンは8曲に登場。特にここでは曲名は紹介を省略すが、それはとにかくノルウェー語と思われ全く解らない為。歌詞も理解不能。そしてこのアルバムは私の想像するところではトラッドの世界と宗教曲の世界なんだろうと思うのだが・・・・。
(視聴)
* * * * *
さてそこでせっかくスールヴァイグ・シュレッタイェルの話になったので、ここで私の持つ彼女のジャズ・ヴォーカル・アルバムで、こちらは夜にじっくりと聴けば聴くほど味の出てくる一枚を紹介する。(↓)
<Jazz, Folk>
Solveig Slettahjell「SILVER」
BOMBA RECORDS / BOM 1531 / 2004
こちらは『ARVEN』のような特異なアルバムではない。しかし彼女の個性がたっぷりのヴォーカル・アルバムといったところ。
オープニングの曲”Take it with me”はTom Waitsの曲だが、まさしく原曲から一変して説得力がある彼女のヴォーカルで迫ってくる。ゆったりと、そして低音がややハスキーでヴォリュームのある歌声、そして何と言ってもじっくりと聴かせるスタイルはピカイチ。
Solveig Slettahjell : Vocal
Mats Eilertsen : bass
Sjur Miljeteig : trumpet
Morten Qvenild : piano
Per Oddvar Johansen : drums
このアルバムは主としてカヴァー曲(下のTracklist参照:クリック拡大)で占められているが、特異な彼女のヴォーカルをピアノ・トリオ+トランペットのカルテットで支えるわけだが、なかなか編曲に味のあるジャズを聴かせてくれて楽しめる。このユニットを”Slow Motion Quintet”と名付けているだけあって、ジャズの一形を成すべく試みているともとれる。
さて、このアルバムの収録曲は上の通りであるが、彼女のオリジナル曲”D.Parker's Wisdom”も登場する。この曲はアルバム全体に流れる静かにしてどちらかというと暗い中に温もりを感じさせるヴォーカルによって作られるムードから一変して、スリリングなコンテンポラリー・ジャズを展開し、このアルバムの一つのアクセントとなっている。
しかしこうしたアルバムを聴くと、アメリカン・ジャズの明るさとは全く違った北欧の凍てつく大地から人間らしい世界を築いている民族の暖かさを演ずるジャズを知らしめられる。不思議にHenry Manciniの”Moon river”まで別物になってしまうのだ。北欧ジャズを愛するものにとっては一聴の価値がある。
(視聴)
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コメント
この歌手も知りませんでした。ナチュラルな感じがすごくいい。北欧、まだまだ宝箱のようですね。
投稿: 爵士 | 2015年7月 4日 (土) 18時24分
風呂井戸さん,続けてこんばんは。
この二人には"Natt I Betlehem"という素晴らしいホリデイ・アルバムがあります。是非お聞きになってみて下さい。私もそちらは記事にしておりますので,TBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2015年7月 4日 (土) 19時51分
爵士さん こんばんわ。
Solveig Slettahjellは、一聴の価値ありと思います。Tord Gustavsenは当然ですが、Slow Motion Quintetがなかなかのものと思います。
投稿: 風呂井戸 | 2015年7月 4日 (土) 21時06分
中年音楽狂さん、コメント、TB有り難うございます。
Tord Gustsvsen とは、この「ARVEN」の前にもあったんですね。クリスマス・ソング・アルバムなんですね。参考になりました。
しかしSolveig Slettahjellは何か不思議な魅力がありますね。
投稿: 風呂井戸 | 2015年7月 4日 (土) 21時12分
ご無沙汰です。Tord Gustavsenはしっかりチェックしていたつもりですが、これはまったく知りませんでした。そして、期待にたがわず良いですね。ボーカルも不思議な魅力を持っています。しかもエコーがほとんどかかっていないので、妙な生々しさがありますね。英語の曲目解説を探しているのですが、なかなか見あたりません。
投稿: 愛宕 | 2015年8月17日 (月) 10時08分