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2015年8月30日 (日)

サラ・ガザレク Sara Gazarek+ジョシュ・ネルソン : 「DUO」

美声ガザレクのヴォーカルとピアニストとのデュオ作品

Sg3_3 女性ジャズ・ヴォーカルものに求めるモノは何なんだろうと、ふと思うことがある。それは声が美しく歌うところムードがあって、ついでに美貌であればそれはそれで良いように思うのだが・・・・・。
 不思議に次のアルバムを心待ちにする訳でもないし、かといってそこにあれば取り敢えずは聴いてみたいとは思う。そんな感覚のシンガーの代表格にサラ・ガザレクがいる。
  今年そんな彼女のニュー・アルバムが登場した。果たして私にとってどんな感覚になるのだろうか?。

    <Jazz>
        SARA GAZAREK + JOSH NELSON 「DUO」
           CORE PORT / JPN / RPOZ-10011 / 2015


Duo
          SARA GAZAREK (VOCAL,編曲)
          JOSH NELSON (PIANO,編曲)

          2015年1月 Capitol Studio (Hollywood)録音

71lajfmlbll__sl1213_ 少々前に彼女のヴォーカルとTRIOSENCEとの『where time stands still』というアルバムがあったが(→)、ピアノ・トリオ+αの演奏と彼女のヴォーカルの融合は、都会派というので無く、どこか田園地帯の牧歌的ムードにピッタリの世界を構築していた。

 さて、それはそれとして今回のニュー・アルバムはデビュー以来10年以上も、サラ・ガザレクの全オリジナル・アルバムやライヴで名コンビぶりを発揮しているピアニスト、ジョシュ・ネルソンとのデュエット・アルバム。曲は彼らのオリジナルとカヴァー曲との構成だが、過去に演奏してきた曲が多い。

(Tracklist)

1.All Again (Josh Nelson)         
2.Blackbird / Bye Bye Blackbird (John Lennon - Paul McCartney) (Mort Dixon / Ray Henderson)
3.O Pato  (Neuza Teixeira - Jayme Silva)
4.(On The) Sunny Side of the Street (Dorothy Fields / Jimmy McHugh)
5. I Can't Make You Love Me  (Michael Reid - James Shamblin)
6.Petit Papillon  (Josh Nelson & Sara Gazarek)
7.Mood Indigo (Duke Ellington - Irving Mills – Albany Bigard)
8.No Moon At All (David Mann – Redd Evans)
9. I Don't Love You Anymore (Josh Nelson / Sara Gazarek / Cliff Goldmacher)
10.Father Father (Laura Mvula)
11.The River / Riverman (Poem; Sara Teasdale; Music ; Josh Nelson) (Nick Drake)
12.Behind Me (Josh Nelson / Sara Gazarek)

Saragazarek4_3
 サラ・ガザレクは歌唱派といっていいのだろう、このアルバムもデュオと言っても彼女の唄を聴くといったそのもの。そしてカヴァー曲も、彼女なりきの世界へと歌い込んでゆくところはかなりのもの。
 2曲目の”Blackbird”と”Bye Bye Blackbird”の併わせ技にみるように、彼女なりきの解釈でのカヴァーを試みている。12曲目”Behind Me”はボーナス曲なので、このアルバムの締めは11曲目の”The River / Riverman ”であって、ここでも二つの曲の併せによって、歌いたい内容を知らしめる方法を取っている。これだけ歌には歌唱力をもってそのメッセージに重点をおいていることが解る。なんとサンバも登場するが、やっぱりサンバではなくガサレク節なのである。
 とにかくこのアルバムもスタートのJosh Nelsonの曲”All Again ”を聴くと同時に、やっぱり彼女のジャズはフォークに近いとを実感する。聴く者の心に響く歌をナチュラルに歌い上げたいというところが彼女の世界なのだろう。ジャズっぽいと言えば8曲目”No Moon At All ”あたりに聴くことが出来る。

 ガザレクは透明感のある歌声と心に響く歌唱力で評判だが、紹介記事を見ると、1982年、米シアトルで生まれている。高校でジャズを学び、在学中の2000年、デューク・エリントン・ジャズ・フェスティヴァルで第1回エラ・フィッツジェラルド賞を受賞したという。南カリフォルニア大学のソーントン音楽学校に進み、ソーントン・ジャズ・オーケストラなどと共演。プロデューサーのジョン・クレイトンに認められ、2005年にコンコード・ジャズ・フェスティヴァルに出演。1stアルバム『ユアーズYours』で日本デビュー。

 ジョシュ・ネルソンJosh Nelsonは、サラ・ガザレクのデビュー以来10年以上も、彼女の全オリジナル・アルバムやライヴでピアノを演奏して名コンビと言われている。種々のカヴァー曲の編曲もタッチして、彼女のナチュナルと言われる音楽パターンを形成してきた最重要人物とされている。

 さて結論だが、このアルバムの私的偏見感想であるが、やっぱり以前感じたとおりのフォーク寄りの世界であって、美しく歌い上げるところは良いのだが、逆に面白さがどうも感じないのだ。それは私のジャズに期待する好みの世界とはちょっと違っている部分というところであろう。そして逆にそのところは、好きな人にとってはたまらないところと言えるのかも知れない。

(視聴)

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2015年8月26日 (水)

人気者ジル・バーバーJill Barberのニュー・アルバム : 「FOOL'S GOLD」

懐かしのジャパン・ポップ?・・・・久々の個性豊かなポピュラー・ソング

 う~~ん、これは久々ですね、ジル・バーバーこれだけ個性ある歌声は・・・・。 そして唄とバックの演奏は、なんか1970年代のジャパン・ポップを思い出すような・・・・とにかくいやはやカナダでは人気者とか、既に日本上陸しているんですね、彼女は。

Jill1

 

   <Rock , Jazzy not Jazz>
        
                Jill Barber「FOOL'S GOLD」
                   Outside Music / Canada / CDOUTS-9092J / 2015

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                        Jill Barber (vocal)
             Les Cooper, Robbie Grunwald, Drew Jurecka, Mark Mariash  etc

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  このジル・バーバーJill Barber(1980年生まれ)は、10万枚以上のアルバムを北米で売り上げ、2度のジュノ・アワード(カナダ版グラミー賞)を含む30以上のアワードにノミネートされているカナダの人気シンガー・ソングライターなんですね。そしてこのアルバムが最新作で、カナダではジャズ・チャートで一位を6週間続いたとか。

 紹介では、ジャンルはジャズとなっているが、これはロックもしくはポップってとこでしょ。それでミュージックは特に何がというところは無いのだが、不思議にアッピール度は高いなぁ~~~。そりゃそうです、40年前の弘田三枝子をちょっとハスキーにしたようなって言えばよいかなぁ~~、つまり当時のジャパン・ポップを聴いてた者にとっては、なんか懐かしいんです。バックの演奏だってほとんど一緒、日本の40年前ですよ。
 だから、弘田三枝子の”涙のドライブ”とか”可愛い嘘”、”私が死んだら”、”人形の家”なんか今カナダに持って行けば大ヒット間違いなしですね(笑)。

 とにかく人気者のアルバムですから、やっぱりそれだけの魅力はあります。そして言えることは”日本もかっては頑張っていたんだなぁ~~”って感じられるなんか妙に嬉しくなるアルバムなんですね。(参考までに彼女のディスコグラフィー↓)

(Jill Barber-Discography)
     2002  A Note to Follow So
     2004  Oh Heart
     2006  For All Time
     2008  Chances
     2011  Mischievous Moon
     2013  Chansons
     2014  Fool's Gold

(視聴)

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2015年8月22日 (土)

ラーシュ・ヤンソン・トリオLars Jansson Trio 「FACING THE WALL」

ピアノ・トリオの多要素を盛り込んだアルバムの登場

 <Jazz>

       Lars Jansson Trio 「FACING THE WALL」
        Spice of Life / SV-0033 / 2015

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     ニレントスタジオ(スウェーデン・イェテボリ)録音(2015年3月)
      Lars Jansson ラーシュ・ヤンソン(piano)
      Thomas Fonnesbaek トーマス・フォネスベック(bass except 7)
      Paul Svanberg ポール・スヴァンベリー(drums except 7)

 四季にに恵まれている日本と言っても、今年なんかはもう温帯は返上で亜熱帯というのは正しいのではと思うのだが、その筋の学問が無いのでただそうほざいている。しかしこのところ若干猛暑から解放されて、なんとなくピアノ・トリオを虫の鳴き声の聞こえる夜に聴くという気分になりつつあるということは、体が四季を感じているのかもと思うのだが?。

 今年も来日するスウーデンの重鎮ピアニストであるラーシュ・ヤンソンLars Janssonのトリオ・アルバムがリリースされた(10月日本ツアー予定)。これは来日20周年記念盤と称して1995年以来ほゞ毎年来日している一つの区切りとしているようだ。とにかく北欧ジャズの魅力を十二分に感じている今日この頃であるが、これには彼の日本への役割は大きかったと言って間違いない。

<Tracklist>

1. Prelude To A Restless Mind プレリュード・トゥ・ア・レストレス・マインド
2. Facing The Wall フェイシング・ザ・ウォール
3. Les Forts De Latour レ・フォール・ド・ラトゥール
4. Nobility And Beauty ノビリティー・アンド・ビューティー
5. Configuration コンフィギュレーション
6. Quito キト
7. Catching The Ox キャッチング・ザ・オックス
8. Three Times Three スリー・タイムズ・スリー
9. Wise Heart ワイズ・ハート
10. Ornette Work オーネット・ワーク
11. Autumn Sun オータム・サン
12. Shorter And Shorter ショーター・アンド・ショーター
13. To A Sweet Dad トゥ・ア・スイート・ダッド
           (All music composed by Lars Jansson)

Lars_j1 1曲目”Prelude To A Restless Mind ”は、ピアノ・ソロで始まって、次第に弱音でベース、ドラムスが入ってくるロマンティックな曲。一方、7曲目の”Catching The Ox”は、彼の短いピアノ・ソロであるが、前衛的なタッチで緊迫感を持って迫ってくる。こんな対比を見せるので参りますね(喜んでいるということですが)。
 又6曲目”Quito”や最終曲”To A Sweet Dad ”のようなエヴァンス風の端麗にして叙情的な世界があったり、更にスウィングすることも忘れない5曲目”Configuration”。
 一方思索的な世界に導く11曲目”Autumn Sun ”などが聴かれ、10曲目” Ornette Work ”は、彼のピアノとベースとの掛け合いが面白い玄人向きの曲など・・・・いやはや単なる叙情派ではないことも知らしめられる。この一枚のアルバムにはヤンソンのジャズの歴史の多要素が十分に感じられる完成度の高いものになっている。

 これはピアノ・リオの教科書的アルバムと言ってしまうが、それもヤンソンは1951年生まれの64歳という円熟の歳であり、又デンマークのオールヒュース音楽大学にて教鞭をとっていたという教育者である事などからの先入観によるものかも知れない。それでも彼の影響を受けてスウェーデン、ノルウェー、デンマーク等々で若きミュージシャンが世界に羽ばたいている事は事実のようで、我々にとっても有り難い存在である。

(参考視聴)

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2015年8月18日 (火)

アレクシス・コールAlexis Cole & Bucky Pizzarelli 「A Beatiful Friendship」

これも又なかなかリラックス・ムードの楽しいジャズ・ヴォーカル・アルバム
 ~ニッキ・パロットがベースを演じ、時にヴォーカルも共演~

<Jazz>

        Alexis Cole & Bucky Pizzarelli 「A Beatiful Friendship」
          Venus Records / JPN / VH'sCD-01174 / 2015

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     Recorded at Trading 8's Studio In N.Y. on Oct. 1&2. 2014
                   ALEXIS COLE アレクシス・コール (VOCAL)
                   NICKI PARROTT ニッキ・パロット (BASS,VOCAL)
                   BUCKY PIZZARELLI バッキィ・ピザレリ (GUITAR)
                   FRANK VIGNOLA フランク・ヴィニョラ (GUITAR)
                   ANAT COHEN アナット・コーエン (CLARINET)
                   WARREN VACHE ウーレン・ヴァシェ (TRUMPET)

 先日アレクシス・コールの昨年のアルバム『A KISS IN THE DARK』を取り上げたが、こちらは今年リリースの楽しいスタンダード・ジャズ・ヴォーカル・アルハム。
  ニッキ・パロット、バッキィ・ピザレリ、アナット・コーエン等、彼女と繋がりのあるメンバーと共にレコーディングしたまさにフレンドシップのアレクシスの最新作だ。
 そしてVenus Record としては、珍しくジャケがキワものでないですね。
 しかし、こうして書いていて思うのだが、私はやっぱり女性ものに弱いのかなぁ~~と、弱いと言うのは、好きだと言うことだが、ジャズとなると結果的には俄然女性モノが多く取り上げている(ピアノ・トリオものを別にして)。言い訳けをするようだが、まあこれもこよなく美女狩りを得意とする友人の影響であるとここで御礼をしておこう。(ロックとなると、そりゃ~~やっぱり本気で(笑)聴くのは男モノですね、ヤッパリ)

Alexis2<Tracklist>
1. ビューティフル・フレンドシップ
2. イースト・オブ・ザ・サン
3. ハニーサックル・ローズ
4. あなたを想いて
5. イフ・アイ・ワー・ア・ベル
6. ジャスト・フレンズ
7. ムード・インディゴ
8. ムーングロウ〜ブルー・ムーン
9. 君住む街角
10. スターダスト
11. サヴォイでストンプ
12. サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート
13. ジーズ・フーリッシュ・シングス
14. ワッチ・ホワット・ハプン


  バックはギター、ベース、クラリネット、トランペットという構成で、ベースはニッキ・パロットが担当、8曲目”Blue Moon~Moonglow”、12曲目”On The Sunny Side of Street”などではヴォーカルも披露してアレクシスとのデュオが楽しめる。この両者は異質のヴォーカルではあるが、こうしてデュエットしてみるとそれが結構様になる。その対比がなかなか面白く楽しめる。

Buckypizzarelli2 又ギターの BUCKY PIZZARELLI バッキィ・ピザレリ が話題だ。このベテランを引っ張り出しての共演は聴きどころ。彼は古老ジャズ・ギタリストで、所謂スウィングジャズを現代に伝える重鎮。
 このピザレリについては私は深入りはしたことが無いので、そう聴いてきたと言うことはない。そこでネットで見られる紹介文を参考に記す~
 「9歳のときにバンジョーとギターを弾き始め、17歳で地元のダンスバンドのギタリストとしてプロキャリアを開始している。その後も多くの楽団やフリーランスのギタリストして評価を高めていくが、大きく羽ばたいたのは'70年代。Benny Goodman の楽団に参加しながら、優れたリーダーアルバムを発表するようになる。リズムギタリストとして出発した Bucky Pizzarelli のチャームポイントは何と言ってもコードワークを主体にしたダイナミックなソロプレイだ。加えて7弦ギターの低音の迫力が加わって、洒脱ながら男気のある一種独特の色気が漂っている」~と紹介されている。

 とにかくこのアルバムは、アレクシス・コールが仲間とスタンダード曲を楽しんだというご機嫌盤で、リラックス・ムードとジャズの楽しさを伝えてくる。彼女は独特の説得力あるややダークにして嫌みの無い色気のあるヴォーカルが聴きどころなのだが、このアルバムではそれとはちょっと違っている。それはいかにもスウィングする楽しさを見事に表現していて、やっぱりジャズ分野学究肌のなせるところか?。彼女の芸達者をここで十分堪能したという次第。

(参考視聴)

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2015年8月15日 (土)

ベッキー・キルゴアBecky Kilgore&ニッキ・パロット Nicki Parrott 「TWO SONGBIRDS of a FEATHER」

リラックスした中のスウィング・ジャズ・ヴォーカル・デュオ

<Jazz>
                    Becky Kilgore& Nicki Parrott 
                「TWO SONGBIRDS of a FEATHER」

                 Arbors Records / US / ARB19447 / 2015

Two_songbirds
                      Rebecca "Becky" Kilgore(vocal,guitar)
                      Nicki Parrott(vocal,bass)
                      Harry Allen(tenor saxophone)
                      Mike Renzi(piano)
                      Chuck Redd(drums)

 ヴィーナス・レコードからの何枚かのアルバムで、日本ではもう売れっ子の女性ベーシストでありシンガーであるニッキ・パロット。そして彼女より20歳以上年上のベテラン・ジャズ・シンガーのレベッカ(ベッキー)・キルゴアとの女性同士のジャズ・ヴォーカル・デュオ作品。

  ニッキ・バロットに関しては、このブロクで過去に何回か取り上げているので、紹介はそちらを参考にしてもらう事として、彼女のベースの演奏もオーソドックスで磨きがかかってきたし、嫌みの無いやや甘いそしてキュートな歌声は相変わらず魅力がある。
(参照:当ブログ~カテゴリー「ニッキ・パロット」)
  http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/cat40025561/index.html

Rebeccakilgore3_2 さて、お相手のベッキー・キルゴア(右→)だが、1948年マサチューセッツ州Waltham生まれと言うからもうベテラン。高校生頃からギターを始めて、ジョン・バエズなどのフォーク・ソングに傾倒していたが、次第にジャズ方向となり。ジャズ・ギターも習ったようだ。1990年頃はコンピュータープログラマーの傍らジャズを演じていたという。米国、英国ではこの”ベッキー”は愛称で(”レベッカ”が正しい)人気の高いジャズ・シンガー。それなのに私は今ま特に彼女のアルバムに接触無く来ていた。今回のこのアルバムでしっかりと聴かせて頂いたというところ。

<Tracklist>

1. Two Little Girls From Little Rock
2. Two Songbirds Of A Feather 
3. Ray Noble Medley (The Very Thought Of You / Why Stars Come Out At Night)
4. Life Is So Peculiar
5. When Love Goes Wrong
6. 'S Wonderful
7.Theme From Valley Of The Dolls
8. They Say It's Spring
9.. Bluemoon / Moonglow
10. Them There Eyes
11. A Woman's Perogative
12. El Cajon
13. When I Grow Too Old To Dream


  とにかく力みの無い両者のスウィングするお洒落にして華麗、言葉を換えれば粋な歌声からのスタート。これもジャズの醍醐味ですね。そしてHarry Allenのtenor saxが又旨くリードするんですね。
  又3曲目の”Ray Noble Melody”のようバラード調もサックスが前面に出ず二人のヴォーカルが優しく生きてなかなかムードがあって聴き応え十分。私はこのタイプの方が好きなんです。
 もともと二人はベースとギター奏者であり、そして歌声はニッキ・パロットはキュートな感じを醸し出すのですが、このベッキー・キルゴアは歳を全く感じさせないどちらかというとまろやかにして清楚なクセの無いところが良いですね。そしてその両者のハモりも無難にこなして好感度が高い。そしてお互いにソロパートを交互に繰り返したり、とにかく不思議に息はぴったりと合っていて嫌みが無い。

Np2 ベッキーはギターを演ずるのですが、このアルバムではあまりその音は聴こえてこない。しかしニッキ(←左)のベースは結構バック演奏の役割も大きく、技巧に走らずオーソドックスに展開する。

 女性ヴォーカル・デュオも久しぶりに聴いたのですが、あまりハッとするというものではないが、なんと言っても両者の自然体のお洒落なところが最大の持ち味で、13曲目の”When I Grow Too Old To Dream”ではバックなしのハモリを聴かせたり、むしろ二人が楽しんでいるように我々が聴けるアルバムである。まあこれも良いではないか。

(参考視聴)

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2015年8月11日 (火)

オルガ・コンコヴァ・トリオOLGA KONKOVA TRIO「The Goldilocks Zone」

哲学的思考からの洗練された詩情と攻撃性の世界

<Jazz>

      OLGA KONKOVA TRIO「The Goldilocks Zone」
      Losen Records / LOS13421 / 2015

The_goldilocks_zone

        Olga Konkova(piano)(electric piano on 8,9,11)
        Per Mathisen(bass)
        Gary Husband(drums,percussion)

                 2015年2月7-14日Studio Barxeta録音


 久々に魅力あるトリオ作品に遭遇した。瞑想と攻撃的アプローチ、そして思考する詩情。これが全編に展開する「芸術」とはっきり言える世界に圧倒された。
 これはモスクワ生まれでノルウェーで活動している女流ピアニストのオルガ・コンコヴァ(もしかして”コンコワ”が正しいか?)のトリオ盤。ここには友人の紹介で到達(感謝)、私にとっては初聴きの世界。
  彼女はモスクワ音楽アカデミー卒業後ボストンのバークリー音大でも学び、94年ノルウェーに移住。そしてオスロを拠点にヨーロッパ全域に渡るライヴ活動展開中のようだ。甘さの無い抒情派とスリリングな演奏で注目株だ。1969年生まれ、まさに目下脂の乗ったところと言える。


Olgakonkova1b<Tracklist>

1. Nardissism
2. Moscow Tears

The Goldilocks Zone Suite
                  (tracks 3to8 )
3. The Pillars Of Creation
4. Havvil
5. The Retina Nebula
6. People Of Bwiti
7. The Goldilocks Zone
8. Kepler 22B

9. Forgotten Future
10. Casa De Che
11. Matangi

1曲目Nardissism このスタート曲を聴くと同時に、ピアノとベースの洗練された精悍にしてメロデックなタッチに圧倒され、完全に虜になる。
2曲目 静かなクラシックかと思わせるピアノの美しい詩情。後半のベースも味がある。。
3~8曲は組曲「The Goldilocks Zone Suite」となっている。この流れはスタートから緊張感ある三者のスリリンクな交錯。ダークな世界に攻撃的とも言えるタッチで宇宙空間に放たれた異空間そのもの。全てコンコヴァの作品。この組曲のタイトルは難解というか哲学的というか、説明には「生命体が生まれ育つことのできる宇宙の領域を、”芸術”を生む”人の心の内にある、美しい思考の生まれ育つ場所”の暗喩」とある。
9曲目から再び美しいピアノが先導するが、ただそれには終わらず危機感ある響きも聴かせる。そしてそれに続くテクニカルなベースの奏法も聴きどころ。

Olga_konkova_a
 とにかく女流ピアニストとは思えない精悍なタッチのインプロヴィゼイション的ピアノのメロディと低音の危機感あるサウンド。そしてベースとドラムのパワフルにして鋭さのある攻勢型のサポートの展開。
 ベース奏者のペール・マティセンPer Mathisenはノルウェー人の彼女の夫。そのテクニックも尋常では無い。
 ドラムスのゲーリー・ハズバンドGary Husbandはアメリカのオールラウンド・パーカッション奏者。その為ただのリズム隊に納まらず、その攻めとサポートの落としどころをこころえている。いやはや恐ろしいトリオに遭遇した。

(試聴)http://www.losenrecords.no/release/the-goldilocks-zone

(参考視聴)

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2015年8月 6日 (木)

ピンク・フロイド・のマニアックな話~(続)ロジャー・ウォーターズのリマスター「AMUSED TO DEATH」

オリジナル盤との相違点=R・ウォーターズのトリック
  ~ピンク・フロイド・マニヤに捧げる

 やはりロジャー・ウォーターズはやりました。このリマスター盤『死滅遊戯 AMUSED TO DEATH』で、よく聴いてみるとオリジナル盤と異なったところがあるのです。

Atod
Carlcourt630x420 それは、ロジャー・ウォーターズが1999年から2000年にかけて行った全米ツアー「in the flesh - live」にて(この後日本公演も行った)、このアルバム『死滅遊戯 AMUSED TO DEATH』の一つのポイントである曲”Perfect Sence, Part1 完全真理パート1”を演ずるに、初めて登場させた”語り”が、今回のリマスター盤にも挿入されたことだ。
 
 実はこの”語り”は・・・ロジャー・ウォーターズらしい二つのトリックが絡んでいる。

① 映画「2001年宇宙の旅 2001:A Space Odyssey」(1968年作品)との関係

 あの歴史的価値の認識されているSF映画スタンリー・キューブリック監督作品『2001年宇宙の旅』をウォーターズはイメージさせる。
 この挿入された”語り”は、この映画の人工頭脳スーパー・コンピューターHALの声である。「怖いんだ、デイヴ……止めてくれ」というHALが回路が切断される直前の声だ。もともとこの映画とピンク・フロイド特にロジャー・ウォーターズとの関係は既に多く語られている。      

 最も面白かったのは、あの映画の最後の無言のシーン24分間とピンク・フロイドのアルバム『おせっかい』の曲「エコーズ Echoes」が完全シンクロする話だ。(映画の最終章サブタイトル「Jupiter and Beyond the Infinite」が現れると同時に「エコーズ」をスタートさせると映像と音がシンクロする。最後は「エコーズ」が終わと映画も終わる)ウォーターズはこのくらいのトリックはやってみせる男だからファンは常に憶測をする。とにかく多くの話で監督キューブリックとロジャー・ウォーターズの関係は話題になってきたところだ。

(参考視聴=ピンク・フロイド「エコーズ」と映画「2001年宇宙の旅」のシンクロ)

 それに輪をかけて更に盛り上がったのは、ウォーターズが”今になって後悔していることは、『2001年宇宙の旅』の曲を担当しなかったことだ”なんてことを今から何年か前に言ったのだから、騒動は大きくなった。
 もともとあの映画は1968年公開だから、ピンク・フロイドはまだまだ駆け出しの頃で、この映画の音楽担当のオファーがくるかどうか?、ただサイケデリックなサウンドを持ち味に売り出した当時ではあったのでそのあたりは解らない。逆にウォーターズが持ちかけたが断られた?と言う話もある。しかしその後のキューブリックは後の映画『時計じかけのオレンジ』の音楽にピンク・フロイドのアルバム『原子心母』の曲を依頼したが、”どうせバラバラ編集されるだろう”とウォーターズは断ったとか?、そんな両者には「逆関係」の話もある。何かと両者の関係が面白おかしく語られるが、とにかく個性の強い二人のこと、実のところ「対立」だったのか、「協調」だったのかよく解らない。

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 ただこの映画『2001年宇宙の旅』は、ウォーターズにとっても非常に関心があったことは後の彼の作品をみても明らかだ。『死滅遊戯 AMUSED TO DEATH』と『2001年宇宙の旅』の”猿の登場”や”眼球のフォト”など、又彼のツアーのスクリーン映像なども、『2001年宇宙の旅』が関係したモノが多く登場する。・・・・・と言うことは、ウォーターズはキューブリックには良い意味での関係を持っていたとの想像も出来るところである。

② デヴィッド・ギルモアとの関係

 とにかくウォーターズは、「ピンク・フロイド」をまんまとギルモアに乗っ取られた。それはウォーターズが自らバンド・メンバーとの亀裂で、既に他の三人の協力が得られなくなった事(ニック・メイスンに言わせると、当時のウォーターズは、まさにスターリン独裁だったと)により維持することは困難と判断して、封印したことから始まっている。最も売れたアルバム『狂気』とそれ以降の4アルバムは、彼のアイデアで作られてきた「ピンク・フロイド」であった為に、まさか彼は自分抜きで「ピンク・フロイド」が動くとは思わなかった誤算。
 そこにたまたまウォーターズ独裁の「ピンク・フロイド」に嫌気をさしてデヴィット・ギルモアは離れ、自己名義でソロ・アルバム『アバウト・フェイス ABOUT FACE』を作りとそれにまつわるツアーを行ったが全く売れず、その空しさを知ったギルモアが、「ピンク・フロイド」の名の大きさを知って、それを何が何でも欲しがった。この二つが重なって起きたのが「ピンク・フロイド」の”ウォーターズ脱退、ギルモアの乗っ取り騒動”だ。

8a166efb しかしこれは法廷闘争にまで行った醜い争いにもなった。ウォーターズはそれに対する怨念は大きかった。あの映画『風の吹くとき』のサントラにもその事が”あれは、マイ・バンド”と歌っている。
 そしてこの”Perfect Sence, Part1 完全真理パート1”の曲においても、ギルモアの「ピンク・フロイド」に対して”止めろテイヴ(デイヴ・ギルモアを指している)、私は残念だ。デイブ止めろ”と、この”HALコンピューターの声”を使って、ピンク・フロイドのストップを暗に訴えたのだった("afraid"と言う語の意味を巧みに使っている)。これはウォーターズの得意のトリックである。これを1999年のライブでやってみせたのだが、なんと今にして、2015年のこのリマスター盤にも登場させる事は、彼がシド・バレットの精神的崩壊後、必死で作ってきた「ピンク・フロイド」をギルモアに乗っ取られた事への彼の表向きとは異なって、その恨みとしての執念は恐ろしいほど凄い。そしてピンク・フロイドの最終盤『The Endless River』のリリースに対して、真の「ピンク・フロイド」はこれだと言わんばかりに、リマスターで『死滅遊戯』を登場させた・・・とまで憶測させるのだ。

Stop Dave   Will you stop, Dave?  Stope Dave   I'm afraid.  Dave   
My mind is going.   I can feel it.   I can feel it.   My mind is going.
There is no question about it.  I can feel it.  I can feel it. ・・・

I'm afraid.


<追記>
  更にこのリマスター盤にて、演奏面の大きな変更部もある。それは曲「THE BRAVERY OF BEING OUT OF RANGE」に於いて、前奏部と特に後半の歌詞”old timer who you gonna kill next”の後の”Hey bartender over here”と歌われるまでの間奏部において、ライブでSnowy Whiteのソロ・ギターが奏でたメロディーが入っている。これは多分ウォータースが気に入ってのことだと思う。こうしてリマスター盤は変更も加えつつ完成度を高めている。

(参考視聴)

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2015年8月 1日 (土)

寺島靖国の新シリーズ「For Jazz Vocal Fans Only Vol.1」

女性ジャズ・ヴォーカルをマニアックに絞ってのアルバムの登場

<Jazz>

  Yasukuni Terashima Presents
        「For Jazz Vocal Fans Only Vol.1」
         TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR1045 / 2015

Forjazzvocalfansonly

 ”寺島レコード JAZZ BAR 15周年イヤー・プロジェクト第1弾”ということでリリースされたジャズ女性ヴォーカルに絞ったアルバムの登場だ。これは寺島靖国が満を持して送り出したと言うだけあって、私が思ったものと違ってかなりマニアックな選曲である。
 つまりもっと日本のジャズ・ファンに広く浸透している女性群の集合アルバムかと思いきや、意外に知らなかった女性ヴォーカリストが多く登場する(知らなかったのは私だけか(笑))。そして選曲もポピュラーな曲も登場するが、これまた初聴きというところも多かった。しかしそうは言っても難解なジャズものはではなく、結構聴きやすいものに絞っている。(ちょっとジャケはダサかったですね)

<Tracklist>

01. Sweet Baby J'ai「Left Alone」(Billie Holiday / Mal Waldron)
02. Sarah McKenzie「Close Your Eyes」(Bernice Petkere)
03. Lara Solnicki「Marcy Street」(Peter Gabriel)
04. Alexis Cole「Sway」(Norman Gimbel / Pablo Beltran)
05. Sweet Jazz Trio with Isabella Lundgren「These Foolish Things」(Holt Marvell / Jack Strachey / Harry Link)
06. Polly Gibbons「My Favorite Things」(Oscar Hammerstein / Richard Rogers)
07. Ilse Huizinga「You And The Night And The Music」(Arthur Schwartz)
08. Connie Evingson「Besame Mucho」(Consuelo Velazquez)
09. Karen Lane「Wild Is The Wind」(Dimitri Tiomkin, Ned Washington)
10. Dotschy Reinhardt「Moon Was Yellow」(Edgar Leslie, Fred Ahlert )
11. Petra Van Nuis「September In The Rain」(Al Dubin / Harry Warren)
12. Petra Van Nuis「A Day In The Life Of A Fool」(Carl Sigman / Luiz Bonfa)
13. JoAnn Funk「When I Grow Too Old to Dream」(Oscar Hammerstein / Richard Rogers)
14. Przemek Dyakowski feat. Joanna Knitter「Lady Be Good」(George Garshwin)
15. Stevie Holland「Tea For Two」(Irving Caesar / Vincent Youmans)

(01曲) Sweet Baby J'aiの「Left Alone」: いきなり彼女らしいヴォリュームのあるヴォーカル、そしてミュートを効かしたトランペットがバックで都会の夜のムードを盛り上げる(アルバム『Art of Blue』より)。これはやっぱりスタートを飾るに相応しい。
(02曲)(06 曲)残念ながらこれらの曲はバックの演奏陣がビック・バンドなのか、少々うるさくて私の好みとは異なるもの。
Larasolnicki2(03曲)カナダの Lara Solnicki(右)の「Marcy Street」: 女性ヴォーカルものは、やっぱりある程度ムードのある世界が良いですね。そんな意味では、この曲は良いです。バックの演奏がセンスよくフルート、パーカッションが頑張って、そしてオーソドックスな魅力的なヴォーカル。アルバム『Whoes Shadow?』から。
(04曲) Alexis Coleの「Sway」は、以前にも触れたことがあるのだが、もう何十年前のローズマリー・クルーニーものには残念ながら及んでいない。
(07曲) オランダでしたねIlse Huizingaの「You And The Night And The Music」は、先ずはしっとりと歌い込んで、途中から転調してこれぞジャズと言いたげな編曲。ちょっとシャレている(アルバム『Beyond Broadway』から)。
(08曲)しゃれていると言えば、このConnie Evingsonの「Besame Mucho」だ。ギターによる編曲も楽しめるし一聴の価値あり(アルバム『Stockholm Sweetnin』より)
Karen_lane(09曲) Karen SouzaでなくKaren Lane(右)の「Wild Is The Wind」、この人はオーソドックスなヴォーカリストのようだが、この曲は色気たっぷり(アルバム『Taste』から)。
(11曲)(12曲)この両曲はシカゴをベースに活躍しているPetra Van Nuisのヴォーカル。どちらかというと可愛いという声で、寺島靖国のお気に入りか、彼女だけが2曲登場(アルバム『Sweet Refrain』から)。

 こんな調子にこのアルバムでは、14人の女性ヴォーカリストが登場するが、それぞれ個性豊かで自分の唄回しを持っているという結構マニアックな手法で選んだメンバーだ。
 又登場するtrackは、やはりそれなりに良質な録音の曲が多い。これも寺島靖国の選曲の一つの要素なんだろうなぁ~と思って聴いたところだ。
 アルバム・タイトルからみると今後は”女性ヴォーカルに限る”と言うことではないのかも知れないが、いずれにしても目下はジャズ・ヴォーカルは女性の天国、これから楽しいアルバムとして発展して欲しいところである。

(参考視聴) Karen Lane

(参考視聴) Ilse Huizinga

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