ラーシュ・ヤンソン・トリオLars Jansson Trio 「FACING THE WALL」
ピアノ・トリオの多要素を盛り込んだアルバムの登場
<Jazz>
Lars Jansson Trio 「FACING THE WALL」
Spice of Life / SV-0033 / 2015
ニレントスタジオ(スウェーデン・イェテボリ)録音(2015年3月)
Lars Jansson ラーシュ・ヤンソン(piano)
Thomas Fonnesbaek トーマス・フォネスベック(bass except 7)
Paul Svanberg ポール・スヴァンベリー(drums except 7)
四季にに恵まれている日本と言っても、今年なんかはもう温帯は返上で亜熱帯というのは正しいのではと思うのだが、その筋の学問が無いのでただそうほざいている。しかしこのところ若干猛暑から解放されて、なんとなくピアノ・トリオを虫の鳴き声の聞こえる夜に聴くという気分になりつつあるということは、体が四季を感じているのかもと思うのだが?。
今年も来日するスウーデンの重鎮ピアニストであるラーシュ・ヤンソンLars Janssonのトリオ・アルバムがリリースされた(10月日本ツアー予定)。これは来日20周年記念盤と称して1995年以来ほゞ毎年来日している一つの区切りとしているようだ。とにかく北欧ジャズの魅力を十二分に感じている今日この頃であるが、これには彼の日本への役割は大きかったと言って間違いない。
<Tracklist>
1. Prelude To A Restless Mind プレリュード・トゥ・ア・レストレス・マインド
2. Facing The Wall フェイシング・ザ・ウォール
3. Les Forts De Latour レ・フォール・ド・ラトゥール
4. Nobility And Beauty ノビリティー・アンド・ビューティー
5. Configuration コンフィギュレーション
6. Quito キト
7. Catching The Ox キャッチング・ザ・オックス
8. Three Times Three スリー・タイムズ・スリー
9. Wise Heart ワイズ・ハート
10. Ornette Work オーネット・ワーク
11. Autumn Sun オータム・サン
12. Shorter And Shorter ショーター・アンド・ショーター
13. To A Sweet Dad トゥ・ア・スイート・ダッド
(All music composed by Lars Jansson)
1曲目”Prelude To A Restless Mind ”は、ピアノ・ソロで始まって、次第に弱音でベース、ドラムスが入ってくるロマンティックな曲。一方、7曲目の”Catching The Ox”は、彼の短いピアノ・ソロであるが、前衛的なタッチで緊迫感を持って迫ってくる。こんな対比を見せるので参りますね(喜んでいるということですが)。
又6曲目”Quito”や最終曲”To A Sweet Dad ”のようなエヴァンス風の端麗にして叙情的な世界があったり、更にスウィングすることも忘れない5曲目”Configuration”。
一方思索的な世界に導く11曲目”Autumn Sun ”などが聴かれ、10曲目” Ornette Work ”は、彼のピアノとベースとの掛け合いが面白い玄人向きの曲など・・・・いやはや単なる叙情派ではないことも知らしめられる。この一枚のアルバムにはヤンソンのジャズの歴史の多要素が十分に感じられる完成度の高いものになっている。
これはピアノ・リオの教科書的アルバムと言ってしまうが、それもヤンソンは1951年生まれの64歳という円熟の歳であり、又デンマークのオールヒュース音楽大学にて教鞭をとっていたという教育者である事などからの先入観によるものかも知れない。それでも彼の影響を受けてスウェーデン、ノルウェー、デンマーク等々で若きミュージシャンが世界に羽ばたいている事は事実のようで、我々にとっても有り難い存在である。
(参考視聴)
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