オルガ・コンコヴァ・トリオOLGA KONKOVA TRIO「The Goldilocks Zone」
哲学的思考からの洗練された詩情と攻撃性の世界
<Jazz>
OLGA KONKOVA TRIO「The Goldilocks Zone」
Losen Records / LOS13421 / 2015
Olga Konkova(piano)(electric piano on 8,9,11)
Per Mathisen(bass)
Gary Husband(drums,percussion)
2015年2月7-14日Studio Barxeta録音
久々に魅力あるトリオ作品に遭遇した。瞑想と攻撃的アプローチ、そして思考する詩情。これが全編に展開する「芸術」とはっきり言える世界に圧倒された。
これはモスクワ生まれでノルウェーで活動している女流ピアニストのオルガ・コンコヴァ(もしかして”コンコワ”が正しいか?)のトリオ盤。ここには友人の紹介で到達(感謝)、私にとっては初聴きの世界。
彼女はモスクワ音楽アカデミー卒業後ボストンのバークリー音大でも学び、94年ノルウェーに移住。そしてオスロを拠点にヨーロッパ全域に渡るライヴ活動展開中のようだ。甘さの無い抒情派とスリリングな演奏で注目株だ。1969年生まれ、まさに目下脂の乗ったところと言える。
<Tracklist>
1. Nardissism
2. Moscow Tears
The Goldilocks Zone Suite
(tracks 3to8 )
3. The Pillars Of Creation
4. Havvil
5. The Retina Nebula
6. People Of Bwiti
7. The Goldilocks Zone
8. Kepler 22B
9. Forgotten Future
10. Casa De Che
11. Matangi
1曲目Nardissism このスタート曲を聴くと同時に、ピアノとベースの洗練された精悍にしてメロデックなタッチに圧倒され、完全に虜になる。
2曲目 静かなクラシックかと思わせるピアノの美しい詩情。後半のベースも味がある。。
3~8曲は組曲「The Goldilocks Zone Suite」となっている。この流れはスタートから緊張感ある三者のスリリンクな交錯。ダークな世界に攻撃的とも言えるタッチで宇宙空間に放たれた異空間そのもの。全てコンコヴァの作品。この組曲のタイトルは難解というか哲学的というか、説明には「生命体が生まれ育つことのできる宇宙の領域を、”芸術”を生む”人の心の内にある、美しい思考の生まれ育つ場所”の暗喩」とある。
9曲目から再び美しいピアノが先導するが、ただそれには終わらず危機感ある響きも聴かせる。そしてそれに続くテクニカルなベースの奏法も聴きどころ。
とにかく女流ピアニストとは思えない精悍なタッチのインプロヴィゼイション的ピアノのメロディと低音の危機感あるサウンド。そしてベースとドラムのパワフルにして鋭さのある攻勢型のサポートの展開。
ベース奏者のペール・マティセンPer Mathisenはノルウェー人の彼女の夫。そのテクニックも尋常では無い。
ドラムスのゲーリー・ハズバンドGary Husbandはアメリカのオールラウンド・パーカッション奏者。その為ただのリズム隊に納まらず、その攻めとサポートの落としどころをこころえている。いやはや恐ろしいトリオに遭遇した。
(試聴)http://www.losenrecords.no/release/the-goldilocks-zone
(参考視聴)
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