アダム・バウディフ&ヘルゲ・リエン・トリオAdam Bałdych & Helge Lien Trio 「Bridges」
トラディッショナル・ジャズ・ヴァイオリンとピアノ・トリオの描く不思議なカルテットの世界
<Jazz, Traditional>
Adam Bałdych & Helge Lien Trio 「Bridges」
ACT Music / Germany / 9591-2 / 2015
Adam Bałdych (vn)
Helge Lien (p)
Frode Berg (b)
Per Oddvar Johansen (ds)
Recorded by Klaus Scheuermann at Hansa Studio, Berlin, March 13-15, 2015
ポーランドのトラッドやフォークの因子を持って創造的ミュージックを展開するジャズ・ヴァイオリニストのアダム・バウディフとノルウェーのヘルゲ・リエン・トリオとの共演作品の登場。
共演と言っても、あくまでも主としてアダム・バウディフの曲によって主導するアルバムで、ヘルゲ・リエンはサポートと言って良いでしょう。若くしてこうしたヴァイオリニストがいることだけでも驚きだが、それにどんな関係にて成立したのか解らないが、ヘルゲ・リエン・トリオがこれ又絶大な効果を上げていて、現代音楽とトラッドとジャズ・ピアノ・トリオの一体化によるまさに不思議な世界が聴かれる。
スタート曲がアルバム・タイトルの”Bridges”、この曲でこのアルバムの世界が見えてくる。とにかくトラッドといってよいヴァイオリンの技巧的な音と調べ、そしてあのヘルゲ・リエンの叙情的なピアノがそれに協調して美しい世界を展開。しかしそれは我々の馴染んでいる世界とは遙かに離れた異世界。当然私はこのアダム・バウディフという人の演奏と描く世界を知るのは初めてなので、いやはやこれが彼の創造の世界なのかと初聴きの興味で聴き入ってしまった。
”Requiem”はさすがに哀愁そのもの。何故か北欧の自然をイメージしてしまう。
”Karina”では、ヘルゲ・リエン・トリオならではの北欧トリオが生きている。
そしてACT Music は相変わらず良い録音盤を提供している。ここでもヴァイオリンとピアノの澄んだ音色が素晴らしい。この音があってこそこの世界が迫ってくるのだ。
アダム・バウディフは2011年のベルリン・ジャズ・フェスティバルでセンセーショナルなデビューを飾ったポーランド出身の目下30歳前後の若きヴァイオリニスト。バークリー音楽大学を卒業後、ニューヨークをベースに活動しているらしい。2012年にラーシュ・ダニエルソンらと1stアルバムをリリースしている(Adam Bałdych & Baltic Gang「Imaginary Room」(ACT/ACT9532/2012))。
彼のこのトラッディッショナルな世界はポーランドの民族音楽が基礎にあるのかそのあたりはよく知らないが、かなり好みも別れるところと思うが、一度は聴いておいて損は無い。
ただ、さすがにヘルゲ・リエンの尖った角がなく、力みも無く、そして優雅にして繊細な演奏が聴き応えある。そしてここでは彼の持ち合わせている北欧の叙情性と前衛的なセンスが貢献しているのだろう。実はこれはヘルゲ・リエンに引きつられて購入したアルバム。いずれにしても彼のトリオの活動の一つの世界として位置づけて聴いたと言ったところだ。
(視聴)
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コメント
ピアニストHelge Lien 率いるTrioと彼のソロ公演、12月にあります。ご案内まで。
http://invs.exblog.jp/23796743/ http://invs.exblog.jp/23797804/
投稿: invs | 2015年11月21日 (土) 13時30分
invs様、わざわざご連絡有り難うございます。
いつもそちらを拝見して楽しませて頂いておりますので、目下予定調整中です。なんとか参加できればと思っているところです。
又よろしくお願いします。
投稿: 風呂井戸 | 2015年11月21日 (土) 18時32分