ブッゲ・ヴェッセルトフトBugge Wesseltoft ピアノ・ソロ : 「it's snowing on my piano」
雪にちなんで・・・・・「静」を音で表現
この数日は本列島も雨、暖冬というところは住みやすいという感じでもあるが、地球温暖化のもたらすものか?、実はそれによる自然界に於ける変化はそう生やさしいものではなさそうだ。地球規模の天候の変化、動植物の生態系の変化などは、実はかなり恐ろしいのだという。
ただただ物質を求めての人間の欲求の生み出すところの結果ではあろうが、今何をすべきかはもっともっと真剣に考える必要がありそうだ。
さてその暖冬とはいえ、年の瀬を迎えていよいよ雪の季節です。先日ノルウェーのブッゲ・ヴェッセルトフト Bugge Wesseltoftのピアノ・ソロ・アルバム『SONGS』 を取り上げたのですが、エレクトロニクスによるフューチャー・ジャズが売り物の彼としては、意外にもエレクトロニクスを加味しないピアノ・ソロの美しさを知らしめるというアルバムで驚きました。
そしてさらに友人から彼のこの季節にマッチしたもう今から十数年前のアルバムであるが『it's snowing on my piano』 (2013年再発)の紹介もあって、この季節を感じつつ今にして納得している作品であるので、ここに記録と言うことに相成った。
<Jazz>
Bugge Wesseltoft「it's snowing on my piano」
ACT / GER / ACT9260-2 / 2013
Recorded Oct.15-16. 1997 Rainbow Studio, Oslo, Norway
Bugge Wesseltoft : Piano
ECMの多くの作品を録音しているRainbow Studioでの録音もの。
まあとにかくBuggeと言う人は、丁度この録音していた時期(1997年)は、主としてフューチャー・ジャズということでエレクトロニクスを駆使したジャズで売り出していた時で、一方でこんなアルバムを残していたとは信じられないところですね。
1. IT'S SNOWING ON MY PIANO*
2. IN DULCE JUBILO
3. MITT HJERTE ALLTID VANKER
4. DEILIG ER JORDEN
5. O LITTLE TOWN OF BETHLEHEM
6. DU GRONNE,GLITRENDE TRE
7. DET KIMER NAB TIL JULEFEST
8. WHAT CHILD IS THIS(GREENSLEEVES)
9. KIMER,I KLOKKER
10. ES IST EIN ROS ENTSPRUNGEN
11. STILLE NACHT,HEILGE NACHT
12. INTO ETERNAL SILENCE*
Music composed(*) and arraged by B.Wesseltoft
とにかく冒頭のM1から、静かな夜の降り注ぐ雪が頭に浮かんでくる。この”静”を音で表すのであるからミュージックというものの奥深さである。
そして全編優しいピアノの音が広がっている。北欧の冬の夜が描かれているのだろう。そして安堵の気持ちが湧いてくる清い演奏。
演奏テクニックを見せつけるという技巧派というよりは、音の余韻、流れ、タッチを尊重しての世界であって、ここには彼のセンスが込められている。
裏ジャケットには、幼い子供を膝に乗せてピアノを弾くBuggeの姿が見えるが、そんな世界も又良いものです。
(試聴)
| 固定リンク
« 女性ヴォーカルTHE COMMON BLUE : 「ELEVEN SONGS」 / 繊細美Andreas Mayerhofer trio | トップページ | 新世代ジャズ:ロバート・グラスパー ROBERT GLASPER TRIO 「COVERD」 »
「音楽」カテゴリの記事
- ヘンリック・グンデ Henrik Gunde 「Moods」,「Moods Vol.2」(2024.09.07)
- サンディ・パットン Sandy Patton 「Round Midnight」(2024.09.03)
- ブリア・スコンバーグ Bria Skonberg 「What Is Means」(2024.08.27)
- クララ・ハーバーカンプ Clara Haberkamp trio 「Plateaux」(2024.08.22)
- ジョヴァンニ・グイディ Giovanni Guidi 「A New Day」(2024.08.17)
「JAZZ」カテゴリの記事
- ヘンリック・グンデ Henrik Gunde 「Moods」,「Moods Vol.2」(2024.09.07)
- サンディ・パットン Sandy Patton 「Round Midnight」(2024.09.03)
- ブリア・スコンバーグ Bria Skonberg 「What Is Means」(2024.08.27)
- クララ・ハーバーカンプ Clara Haberkamp trio 「Plateaux」(2024.08.22)
- ジョヴァンニ・グイディ Giovanni Guidi 「A New Day」(2024.08.17)
「北欧ジャズ」カテゴリの記事
- ヘンリック・グンデ Henrik Gunde 「Moods」,「Moods Vol.2」(2024.09.07)
- フランス・バク、シーネ・エイ Frans Bak feat.Sinne Eeg 「Softer Than You Know」(2024.05.29)
- ダグ・アーネセン Dag Arnesen Trio 「ICE BREAKING」(2024.05.19)
- インギ・ビャルニ・スクラソン Ingi Bjarni Trio 「 Fragile Magic」(2024.05.04)
- インガー・マリエ Inger Marie 「Five Minutes」(2024.04.11)
「ブッゲ・ヴェッセルトフト」カテゴリの記事
- ブッゲ・ヴェッセルトフト Bugge Wesseltoft 「be am」(2022.08.21)
- 2017年の別れに・・・・・ブッゲ・ヴェッセルトフトBugge Wesseltoft のピアノ・ソロ「Everybody Loves Angels」(2017.12.30)
- 今年の酉年にちなんで・・・ブッゲ・ヴェッセルトフトBugge Wesseltoft 「TRIALOGUE」(2017.01.04)
- ブッゲ・ヴェッセルトフトBugge Wesseltoft ピアノ・ソロ : 「it's snowing on my piano」(2015.12.12)
- 初秋に聴くピアノ・ソロ2題 ブッゲ・ヴェッセルトフトBugge Wesseltoft「SONGS」と マーティン・ティングヴァルMartin Tingvall「en ny dag」(2015.09.10)
コメント
情景JAZZとでも呼びましょうか。アルバムタイトルとこれだけ音楽を聴いて浮かぶ情景とが見事に一致していますね。やはり北欧JAZZの奥深かさでしょうか。
投稿: 爵士 | 2015年12月15日 (火) 23時33分
爵士さん、コメントどうも有り難うございます。
私は、もともと雪が潸々(さんさん)と降る静かな深夜というのが好きでして、このアルバムはむしろ潸々でなく、舞うように静かに降る雪の夜を想像します。両方心が静まり良いものです。そんな情景が感じられて気に入っています。
これは雪の降らないところでは、なかなか解らない感覚かと思いますが、やっぱりBuggeはやはりノルウェーというだけのところがありますね。
投稿: 風呂井戸 | 2015年12月16日 (水) 17時40分