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2015年12月29日 (火)

懐かしの西部劇=「リオ・ブラボーRIO BRAVO」VS.「真昼の決闘HIGH NOON」   -私の映画史(22)-

「真昼の決闘 High Noon」(1952年)のアンチテーゼ作品として作られた
         「リオ・ブラボーRIO BRAVO」(1959年)
     
      ~相対する西部の町の保安官ものの二作品~

Riow「リオ・ブラボー」 (RIO BRAVO)1959
U.S.A.   ワーナー・ブラザーズ
監督 Howard Hawks
脚本 Jules Furthman, Leigh Brackett
原作 B.H.McCampbell
音楽 Dimitri Tiomkin
出演 John Wayne
      Dean Martin
     Ricky Nelson
     Walter Brennan
     Ward Bond

 名匠ハワード・ホークスと偉大なるスター・ジョン・ウェインが、あの名作と言われる「真昼の決闘」のゲイリー・クーパー演ずる保安官に不満を抱き、7年後に作成した西部劇「リオ・ブラボー」、これには本物の保安官の姿と本物の娯楽西部劇を描ききった。

 そもそも、歴史的に西部の町においての保安官というのは、無法者に相対する事が多い為に、拳銃使いがその任に選ばれた。つまり拳銃使いというのは、所謂無宿者に近い、まあヤクザといっていいものに近いタイプで一般町民とは異なる。それが治安を維持するために銃を使って統治する役を町の人達から任命され雇われたのだ。

Highnoon「真昼の決闘」 (HIGH NOON)1952U.S.A. ユナイテッド・アーティスツ 監督 Fred Zinnemann、出演 Gary Cooper, Grace Kelly
 人気のゲイリー・クーパー主演で、緊迫感があって評判の映画だったが・・・・。(主題歌”ハイヌーン”もヒット)

 ところが、この映画のクーパー扮する保安官は、出獄して来たならず者と相対するに当たって、かたぎの町民に助っ人を頼むことから始まる。しかし銃による闘いが起きる可能性がある場合は、常識的には保安官というのは、一般のかたぎの町人に助けを求めると言うことはしない。つまりかたぎの者を巻き添えにすることは論外あるのだ。にも関わらずこの映画では、町民全てに断られ孤立する保安官を描くのだが、実はそれは当然のことであるのだ。そして助っ人役を断った町民の姿をネガティブな人間の姿として描くこの映画は、とにかく非常に暗く人間不信を植え付ける。決闘後、町を去る保安官は、厳しく不信の目を町民に向ける。
 こんな姿には、特にハワード・ホークスは全く納得出来ないものであったのだ。
 つまりそれは映画を観る者が主人公の保安官に同情させる為の手法であったのかも知れないが、西部の純朴な開拓民を知るものにとっては、更にそれを描く西部劇を愛する人達とっては、とても容認出来るものでなかっのだった。又この映画は人間のネガティブな姿を描くことに終始している。これも又西部劇を描いてきたハワード・ホークスとジョン・ウェインから言わせると否定的なのである (映画「赤い河」参照http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/red-river-2c35.html )。

Riobravo7_2 さてここで「リオ・ブラボー」の話に戻るが・・・・・・・
 ウェイン扮する保安官は、 ならず者と相対する時に、助けが一人でも欲しいのだが、助っ人を申し出た町民やかたぎの者にはそれを断り、事件に関係を持たないように指導する。一方、こうした拳銃による闘いが行われようとしている時には、拳銃使いの無宿者やヤクザ者ならば助っ人として採用する。そこに両映画に描かれる保安官の姿は、基本的に全く姿勢が違うのである。
 つまりかたぎの町民は関係させない。拳銃による闘いというのはそうしたヤクザ者の世界であるのだ。そしてその闘いが多勢に無勢で不利そのものであって、その任務には恐れや不安があるのだが、そのそ振りを見せないように努める。そして実際には町民は無知ではなく、そのような保安官の姿を見た人達が自然に助ける方向に向いてくる。ハワード・ホークスはそんな人間を信じてのつまり”ポジティブの姿”を重要視しているのだ(映画「赤い河」も同じ)。

Johnwaynedeanmartin それから「真昼の決闘」では究極は”男女の関係”のみが頼みとして描かれ、男同士の人間関係に実るものが描かれていない。それに対する「リオ・ブラボー」は、男女の関係以上に難しい”男と男がどのようにして結びついて行くか”を描くところにその価値観を持つのである。

 ジョン・ウェインの演ずる保安官と片足不自由な老兵スタンピー(ウォルター・ブレナン)、アル中の保安官助手デュード(ディーン・マーチン)、早撃ちの若者コロラド(リッキー・ネルソン)のこの4人の男の次第に強まる結びつきが、実に人間的なのである。西部劇であるから当然”銃による闘いの見せ場”はちゃんと盛り込んではいるが、実はこの映画はそこにみる男同士の繋がりの美しさに感動が生まれるところが傑作と言われるところなのだ。

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 3人のならず者に銃を向けられ、銃を持っていないジョン・ウェインにリッキー・ネルソンは左手でライフルを投げ渡し右手で発砲、両者で3人に撃ち勝つこのシーンは、西部劇の醍醐味だった(このシーンはスローで見ても、ライフルを受け取ったと同時に発砲しているジョン・ウェインはお見事)

Pc221764w 又ウォルター・ブレナン演ずるじいさん(これが良い味を出している)が、ジョン・ウェインの尻を箒で打つシーンは、過去に無かった男同士の心の繋がりが見事に描かれている。

 この映画に盛り込まれた「男の関係」は、ユーモアを交えながら人間味の豊かさを描ききって見事と言わざるを得ない。又西部劇というものの娯楽性にも十分配慮され、男女の話も交えて、その楽しさもしっかりと描く。
  Dimitri Tiomkinの音楽が又素晴らしい。”ライフルと愛馬”、”皆殺しの歌”、”リオ・ブラボー”と当時ヒットを飛ばした(「真昼の決闘」の主題曲”ハイヌーン”もDimitri Tiomkin)。
 究極は”人間とは信じられるもの”として描き、それを尊重した西部劇に十分なる娯楽性を盛り込んで、見せ場も豊富に描き込んでの映画として、傑作西部劇として今も愛されている(参考:ジョン・フォード監督、ジョン・ウェイン主演の「駅馬車」も、西部の純朴な人間像を描いている)。

<ハワード・ホークスHoward Hawks (1896-1977)>
 アメリカ・インディアナ州生まれ、生家はセレブ。大学は機械工学を学ぶ。夏休みのバイトで映画会社に関係、舞台装置や助監督、美術部門に。第一次世界大戦・空軍入隊。22年映画の脚本家契約。26年フォックス社で「栄光の道」で監督デビュー。男の友情や闘いのテーマの作品が多い。34年初の西部劇「奇傑パンチョ」。戦後の「赤い河」(48)がヒット。その後ジョン・ウェインとのコンビで「リオ・ブラボー」など。

 

(映画「リオ・ブラボー」)

                            *                            *

(映画「真昼の決闘」)

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2015年12月26日 (土)

巨匠スタンリー・カウエルStanley Cowell のピアノ・ソロ・アルバム 「JENETEENTH」

黒人解放記念日をテーマに・・・・・

     <Jazz>
             Stanley Cowell 「JENETEENTH」
             Atelier Sawano / JPN / VF313010 / 2015

Juneteenth

STANLEY COWELL : PIANO

(Tracklist)
1. We Shall 2
JUNETEENTH SUITE (2~11)
2. Introduction  3. Proclamation  4. Reality Dreams Echoes  5. Anticipation of the Coming of Freedom  6. Commentary on Strange Fruit  7. Nostalgia for Homelands  8. Proclamation Interruptions  9. Darkness Transforming  10. Finale  11. Resolution
12. Ask Him
13. Juneteenth Recollections

S_cowell1 まずこのピアニストのスタンリー・カウエルStanley Cowell についてであるが、私自身はずっと馴染むこと無く来てしまっていた。彼はUSAオハイオ州トレドで1941年に生まれ、オバーリン大学でリチャード・ホフマンに師事し作曲法を学ぶと、ミシガン大学で修士の学位を獲得したという経歴の持ち主。アメリカン・ジャズ・ピアニストで、もはや74歳という歳とと共に、アーティストとしても巨匠の域にある訳だが、キース・ジャレットのように我々にとっては一般的でなかったのは事実だ。黒人として黒人文化遺産や民族意識の継承に目覚め、音楽的にも、又社会活動的にもその因子がみられるというキャリア。
 私自身は多分このアルバムを自ら選ぶことはなかったと思うのだが、友人から勧められて聴くことになった。

そこでこのアルバムとカウエルの紹介文をここ引用する・・・・・

 70年代から活躍を続けるインテリジェンスな硬派ピアニストの最新ソロ・ピアノ作。1973年作のソロ作品『Musa』はいまだに語り継がれる名作ではあるが、近年も定期的にニューヨークの老舗ヴィレッジ・バンガードにも出演を続けるまさにリヴィング・レジェンドな知る人ぞ知る存在。深遠なるブルーズの世界とスピリチュアルでモーダルな高揚感、アブストラクトな和声の響きとモンクやエリントンがいた時代の残響が重なり合い目の前に広がる音世界は、彼ならではの孤高の音景色。グラスパーやジェイソン・モランが脚光を浴びる今だからこそ聴いてみたい巨匠の逸品。
                                                          稲田利之(タワーレコード難波店)
                         
     intoxicate2015 August

 このアルバム・タイトルの「JENETEENTH」は6月19日の奴隷解放記念日を指しているということ。そして今年はその150周年であったあったということ。そしてこれは、カウエルはオーケストラの為に書いたSUITE(組曲)を新曲も含めてピアノ・ソロとして演奏して見せたと言うもののようだ。
 従ってこのアルバムは、それを題しての組曲が10曲によって構成され、彼のピアノ・ソロが聴かれるのだ。彼の演奏をしてアヴァンギャルドと表しているように、はっきり言って私好みの叙情的な美旋律の世界とは異なる。このスタイルを何というのか、ロックとジャズの融合みたいなフュージョンとは全く異なるし、コンテンポラリー・ジヤズではない。どちらかというとフリー・ジャズ、アバンギャルド・ジャズという方向か?、私の知識では難しい。
 つまりM4 ”Reality Dreams Echoes”には、奴隷解放と関係のある南北戦争のテーマが引用されたりするが、単にそのメロディーを流すでもなく、その流れには現代音楽的展開をみせる。多分即興も入ってのアドリブ演奏と思われるが、その印象はまさにモダン・ミュージック。
 M6”Commentary on Strange Fruit”もそうだが、ふと聴いたことのある哀愁のメロディも顔を出すが、やはり単にそれを演奏することはない。これもピアノにして奏される音の一部になってしまう。人種差別を音にするとこんなところに落ち着くのであろうか。

 とにかく彼から見た”黒人史”を描いていると思われるが、そのピアノ・タッチにはかなりの斬新な和音を叩いて、その思い入れが力強い世界を描き、聴く我々の心に響くのである。しかし私にとっては皮肉にもこの「JUNETEENTH」組曲以外のM1、M12、M13の曲の方が受け入れやすかった。いずれにしても難解なアルバムに遭遇したというところだ。

(試聴)

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2015年12月23日 (水)

ステイシー・ケントstacey kent のアルバム 「Tenderly」

まさにテンダリーそのもののアルバム

    <Jazz>
         Stacey Kent「Tenderly」
          OKeh / Euro / 88875156772 / 2015

Tenderly
1. Only Trust Your Heart
2. Tangerine
3. The Very Thought Of You
4. Embraceable You
5. There Will Never Be Another You
6. Tenderly
7. No Moon At All
8. If I m Lucky
9. Agarradinhos
10. In The Wee Small Hours Of The Morning
11. That s All
12. If I Had You

STACEY KENT (VOCAL)
ROBERTO MENESCAL (GUITAR,ARRANGEMENT)
JEREMY BROWN (DOUBLE BASS)
JIM TOMLINSON (TENOR SAXOPHONE,ALTO FLUTE)

 ”Tenderly”と言えばもう何十年も昔のRosemary Clooneyの曲ですね、その曲名をアルバム・タイトルにしたステイシー・ケントStacey Kentのヴォーカル・アルバム。ソニー・ミュージック移籍第1弾作品で、私が初めて接点を持った2013年にリリースした『チェンジング・ライツThe changing lights』(”How Insensitive”は惚れ惚れした曲でした)以来、約2年振りのニュー・アルバムとなる。
 このアルバムの話題はボサノヴァの巨匠ギタリスト作曲家、ロベルト・メネスカルとの共演が実現したというところにあるようだ。従ってバックはギター、ベース、サックス(時にフルート)と言う構成でボサノヴァ調。

Staceykent_2_2 彼女はキュートな歌声で可憐に歌いチャーミングな歌手であり、それに加えて何となく知性を感ずるというところで人気者ですね。
 米国ニューヨーク生まれ。サラ・ローレンス大学では文学を専攻。現在英国ロンドンを拠点に活躍中。それも1991年のヨーロッパ旅行の際、ロンドンで英国のミュージシャン・サックス奏者のJIM TOMLINSONと交流を深め結婚したためだ。デビューは1997年のアルバム『Close your Eyes』。夫のトムリンソンは必ず彼女のアルバムにはバックを固めている。
 又祖父はフランスに長く住んでいたことがあって、フランスを愛しており、彼女にフランス語で子供の頃には教育をしたため彼女もフランス語に通じ、フランスとの交流も深く、フランスの芸術文化勲章を授章している。

 今作も基本的には前作と同じパターンのヴォーカル・スタイルだ。とにかく可憐に優しくといっところ。前作はピアノ・トリオ+サックス、ギターと言ったところが主たるバック演奏であったが、今作はピアノ・レスでボサノバ調ギターが主役であるところが違い。それによっての雰囲気の違いを描いてはいるといったところ。
 従って、スタンダードの名曲をボッサ調に、優しく、歌い上げている。そして”Tenderly”にしても、Rosemary Clooneyとは全く異なったステイシー・ケントの世界で、とにかく心安まるヴォーカル・アルバムですね。このパターンを崩さずしっかり自己のものにしているところはお見事である。

(試聴)

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2015年12月20日 (日)

バーボラ・スウィンクスBarbora Swinx 「colors of love」

あれやこれやのごっちゃまぜジャズ・ヴォーカル版

    <Jazz>
       Barbora Swinx 「colors of love」
          Arta / Europe / F10212 / 2015

Colors_of_loveBarbora Swinx – vocal
Ondřej Kabrna – piano, organ
Adam Tvrdý – guitar
David Fárek – soprano, alto, tenor sax, flute
Petr Kroutil – tenor sax (4, 6, 14)
Jan Valta – violin
David Havelík – cello
Vít Švec – double bass
Zdeněk Wimpy Tichota – bassguitar
Michal Hejna – drums
Imran Musa Zangi – percussion

 チェコのジャズ・シンガー”バーボラ・スウィンクスBarbora Swinx”(前作「Close to You」はBarbora Mindrinuと言う名で紹介=本名はBarbora Swinx Řeháčková-Mindrinu と言うらしいので、どちらもありですね)の2ndアルバム。ジャズのスタンダードからシャンソン、ブラジル音楽(ボッサ)、バカラック、ポップスといやーなかなか幅広い選曲です。 (日本語では、”バルボラ・スウィンクス”と記しているものもある)

(参考)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/barbora-mindrin.html

B_s1<Song-List>
1. The Nearness of You (Hoagy Carmichael, Ned Washington)
2. Mi Tierra (Fabio “Estefano” Salgado) 
3. Fields of Gold (Sting) 
4. Blues in the Night (Harold Arlen, Johnny Mercer)
5. Everytime (Annette Stamatelatos, Prince Rogers Nelson, Britney Spears, Annette Denise Stamatelatos) 
6. Mas Que Nada (Jorge Ben) 
7. If You Go Away (Ne Me Quitte Pas) (Jacques Brel, Rod Mc Kuen) 
8. Don’t You Worry ‘Bout a Thing (Stevie Wonder) 
9. When I Dream at Night (Dan Shea, Robin Thicke) 
10. Ain’t No Sunshine (Bill Withers) 
11. Honeysuckle Rose (Fats Waller, Andy Razaf) 
12. The Windmills of Your Mind (Michel Legrand, Alan & Marilyn Bergman) 
13. Travma (Nikos Karvelas) 
14. Blues o tom, že život je chlap (Pavel Vitoch, Pavel Vrba) 

 M1はなかなかジャズのしっとりした味わいを持っていいムードです。バックの演奏もピアノ・トリオかと思われるが、その流れが良い。(ほんとは、このムードでずっと行って欲しかった)
 M2は、ここまで変わるかと思うほど、がらっと変わってラテン・ムード。陽気にサンバが軽快に流れる。バック演奏はサックスも加わりラテン・バンドそのものだ。
 StingのM3、これは多くに歌われているので、彼女の実力が比較されるところ。う~~ん、やっぱりEva Cassidyのアルバム「Live At Blue Alley」「Songbird」で聴けるものと比較すると、あの境地にはまだまだといっところか。
 M4はブルースですね、ちょっと力みすぎか?、とにもかくにも挑戦を評価。サックスも気合いが入っての演奏。
B_s_2 M8は、Stivie Wonderの曲、バックはピアノとパーカッション印象的な曲で、ラテン・ムードで歌い上げる。いやはや何でも熟すと言った彼女のレパートリーである。
 M9、M10は、ギターをバックに説得力ある歌い込み。こんなところは実力もなかなかなんだろうと思わせる。
 M12、Michel Legrandの”風のささやき”、映画「華麗なる賭け」の私の好きな曲です。これはバックにヴァイオリンの調べが流れ、彼女の唄も最高潮に歌い込み、それなりに良い出来だ。

 彼女の歌声はかなりヴォリュームのある迫力派、可憐というタイプではない。このあたりから好みは別れるところだろう。しかし既にかなりのキャリアは積んだチェコのジャズ・ディーバなんでしょうね。とにかく何でも歌うぞと言うあれやこれやとごっちゃまぜ版。
 彼女は日本ではこのアルバムで2枚お目見えしたことになるが、さて聴くものを如何にとらえるかといった未知数の段階だ。

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2015年12月16日 (水)

新世代ジャズ:ロバート・グラスパー ROBERT GLASPER TRIO  「COVERD」

革新的新世代派ジャズの実験性と叙情的優しさと・・・・・

   <Jazz>
        ROBERT GLASPER TRIO  「COVERED」
        BLUE NOTE / US / 4724570 / 2015

Cuvered

Robert Glasper(p)
Vincente Archer(b)
Diamond Reid(ds)
Recorded Live at Capitol Studios Hollywood CA. December 2nd and 3rd 2014

 話題のロバート・グラスパー のアコースティック・トリオものだ。このタイプとしては久しぶりの三作目になるんですかね。彼のEXPERIMENTによるアルバム『Black Radio』は有名でちょっと聴いたことはあったんですが、あのエレクトリック・サウンドとヴォーカルのR&B/HIP HOPの世界はどこか魅力を感じつつも、尻込みしてそのままになっていました。まあ、そんな感じで、そんな程度で受け入れていたんです。
 どうもインタビューの話の中身からは、グラスパーは本質的には、アコースティックに魅力を感じていそうなのだが、昔ハービー・ハンコックの歩んだ道とミュージック・タイプは異なっていても、エレクトリック・サウンドの実験性というところには共通点もあるのかなぁ~~と思うのところ・・・・?。

Robertglaspe_capitolstudios
 さてこのアルバムは、初期のトリオに戻ってのピアノ・トリオ・ライブ版。しかし”本作はジャズとヒップホップとの本格的な「融解」を示した作品”と評されているが、 『COVERED』と題されているのでスタンダードのオンパレードかとも思ったが、ちょっと意味は違うようだ。

(Tracklist)
1. Introduction
2. I Don't Even Care (Robert Glasper/Macy Gray/Jean Grae)
3. Reckoner (Radiohead)
4. Barangrill (Joni Mitchell)
5. In Case You Forgot (Robert Glasper)
6. So Beautiful (Musiq Soulchild)
7. The Worst (Jhene Aiko)
8. Good Morning (John Legend)
9. Stella By Starlight (Victor Young)
10. Levels (Bilal)
11. Got Over feat. Harry Belafonte (Robert Glasper/Harry Belafonte)
12. I'm Dying of Thirst (Kendrick Lamar)

Robertglaspertrio 中身はこんな感じで、Radiohead、Joni Mitchell、John Legend、Victor Youngなどの曲も登場するが、自己の曲のアレンジも登場する。しかしM5” In Case You Forgot” に至るまでは、かなり優しいタッチで、リズムにR&B/HIP HOP系を感ずるもメロディーも美しく、私でもついて行けると言うか、なかなか聴き惚れる。
 そしてこのM5(13分)の曲で彼らのパワーを聴かせる。前衛的なピアノ・ソロで始まり、美メロディが入ったかと思うと突如中断これを繰り返し、中盤にベース・ソロそして三者のアンサンブル、その後ドラム・ソロと圧巻。いっやーこれはやっぱりただ者で無い。
 そして再びM6 ”So Beautiful” で抑制の効いた叙情たっぷりのピアノを聴かせる流れに入るが、M11に至るとあのHarry Belafonteがフィーチャリングで入り、M12は少女の声が入ることに驚き。これらがなかなか聴きどころ。実はこれはコンセプチュアルなアルバムなのだ。とにかく曲構成などの仕上げも素晴らしい名盤である。

 ロバート・グラスパーは1978年テキサス州ヒューストン生まれ、一家が住んでいたという教会でピアノを弾き、ハイスクール、ユニヴァーシティでミュージツクの勉学を修めた。2005年ブルー・ノートと契約。革新的スタイルが評価され、日本でも人気ある。

(参考)Robert Glasper  Discography

Mood (Fresh Sound New Talent, 2004)
Canvas (Blue Note, 2005)
In My Element (Blue Note, 2007)
Double-Booked (Blue Note, 2009)
Black Radio (Blue Note, 2012)
Black Radio Recovered: The Remix EP (Blue Note, 2012)
Black Radio 2 (Blue Note, Oct. 29, 2013)
COVERED (Blue Note, Jun. 10, 2015)

(試聴)

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2015年12月12日 (土)

ブッゲ・ヴェッセルトフトBugge Wesseltoft ピアノ・ソロ : 「it's snowing on my piano」

雪にちなんで・・・・・「静」を音で表現

 この数日は本列島も雨、暖冬というところは住みやすいという感じでもあるが、地球温暖化のもたらすものか?、実はそれによる自然界に於ける変化はそう生やさしいものではなさそうだ。地球規模の天候の変化、動植物の生態系の変化などは、実はかなり恐ろしいのだという。
 ただただ物質を求めての人間の欲求の生み出すところの結果ではあろうが、今何をすべきかはもっともっと真剣に考える必要がありそうだ。

 さてその暖冬とはいえ、年の瀬を迎えていよいよ雪の季節です。先日ノルウェーのブッゲ・ヴェッセルトフト Bugge Wesseltoftのピアノ・ソロ・アルバム『SONGS』 を取り上げたのですが、エレクトロニクスによるフューチャー・ジャズが売り物の彼としては、意外にもエレクトロニクスを加味しないピアノ・ソロの美しさを知らしめるというアルバムで驚きました。
 そしてさらに友人から彼のこの季節にマッチしたもう今から十数年前のアルバムであるが『it's snowing on my piano』   (2013年再発)の紹介もあって、この季節を感じつつ今にして納得している作品であるので、ここに記録と言うことに相成った。

   <Jazz>
Bugge Wesseltoft「it's snowing on my piano」
   ACT / GER / ACT9260-2 / 2013

Buugepianow_2

 Recorded Oct.15-16. 1997  Rainbow Studio, Oslo, Norway
  Bugge Wesseltoft : Piano

 ECMの多くの作品を録音しているRainbow Studioでの録音もの。
 まあとにかくBuggeと言う人は、丁度この録音していた時期(1997年)は、主としてフューチャー・ジャズということでエレクトロニクスを駆使したジャズで売り出していた時で、一方でこんなアルバムを残していたとは信じられないところですね。

Bugge4(Tracklist)

1. IT'S SNOWING ON MY PIANO*
2. IN DULCE JUBILO
3. MITT HJERTE ALLTID VANKER
4. DEILIG ER JORDEN
5. O LITTLE TOWN OF BETHLEHEM
6. DU GRONNE,GLITRENDE TRE
7. DET KIMER NAB TIL JULEFEST
8. WHAT CHILD IS THIS(GREENSLEEVES)
9. KIMER,I KLOKKER
10. ES IST EIN ROS ENTSPRUNGEN
11. STILLE NACHT,HEILGE NACHT
12. INTO ETERNAL SILENCE*
Music composed(*) and arraged by B.Wesseltoft

 とにかく冒頭のM1から、静かな夜の降り注ぐ雪が頭に浮かんでくる。この”静”を音で表すのであるからミュージックというものの奥深さである。
 そして全編優しいピアノの音が広がっている。北欧の冬の夜が描かれているのだろう。そして安堵の気持ちが湧いてくる清い演奏。
 演奏テクニックを見せつけるという技巧派というよりは、音の余韻、流れ、タッチを尊重しての世界であって、ここには彼のセンスが込められている。
 裏ジャケットには、幼い子供を膝に乗せてピアノを弾くBuggeの姿が見えるが、そんな世界も又良いものです。

(試聴)

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2015年12月 9日 (水)

女性ヴォーカルTHE COMMON BLUE : 「ELEVEN SONGS」 / 繊細美Andreas Mayerhofer trio

好感度抜群の女性ヴォーカルを立ててのカルテット・アルバム
~そして繊細美のアンドレアス・マイヤーホーファー・トリオ~

  <Fusion>
     THE COMMON BLUE 「ELEVEN SONGS」
        ATS Records / Europe / CD 0855 / 2015

Eleven_songs
Kiara Hollatko (vo)
Andreas Mayerhofer (key)
Robin Gadermaier (elb)
Wolfi Rainer (ds)


  オーストリアの若手女性ヴォーカリストとベテラン・ピアニストのアンドレアス・マイヤーホーファー率いるピアノトリオによって結成されたユニットの「The Common Blue」の作品。これは私の美女狩りを得意とする友人からの紹介アルバムで納得したもの。

Thecommonblue2_foto
 このアルバムのポイントは、私は今まで意識はして無かったアンドレアス・マイヤーホーファーAndreas Mayerhofer のキーボードなのだが、驚きは、全く知らなかった若き女性ヴォーカリストKiara Hollatko がなかなかの聴きどころでいやが上にも注目。非常にクリアでクセが無く、そして美声であり、変な力みも無く驚きのヴォーカル。

(Tracklist)
1.  When I Grow Up
2.  A Day in the Life
3.  I'll Be Seeing You
4.  Mercy Street
5.  Washboard Lisa
6.  Little Man with a Red Hat
7.  Ghosts
8.  Wayfaring Stranger
9.  Why'd You Only Call Me When You're High?
10.  Der Leiermann
11.  At Last

 収録曲はこんなとろで、聴き慣れたモノもあってのこと、彼女のマイルドな美声、そしてこのバック演奏の優しさが手伝って非常に聴きやすい好感のアルバムである。

 そこで、私としてはジャズ世界のアンドレアス・マイヤーホーファー・トリオには馴染みが無かったのでさっそくアプローチしてみた。そして結果はOKで、ここに誘導してくれたことに感謝しているのである。↓

           *          *          *          *          *

  <Jazz>
        Andreas Mayerhofer trio 「DEDICATIONS」
     ATS Records / Austria / CD-0782 / 2012

Dedications
      Recorded by Reinhard Brunner, Augast 8 and 9, 2012
      at Musikschule Ried im Innkreis, Austria


AmayerhofertrioAndreas Mayerhofer : piano 
Wayne Darling : bass
Gerald Endstrasser : drums

 (Tracklist)
1. G2
2. Estate
3. My Duchess
4. Prelude No. III From 5 Preludes Op. 16 / The Fireplace
5. Uh Oh, It's Groove Time!
6. Mauve
7. Trane's Mood
8. Bill's Place
9. Ich Ruf Zu Dir, Herr Jesu Christ. BWV 639

 以前出たコルトレーン曲集(アルバム『Cortrane』ATS / AUS / ATS3504/ 2008)が好評だったというオーストリアのピアニストであるアンドレアス・マイヤーホーファーAndreas Mayerhofer(1966〜)のトリオ。

  このアルバムはオーソドックスなピアノ・トリオ仕立てで、メンバーの自己のオリジナル曲を主体にして、スタンダード曲そしてバッハの曲をも登場させる。とにかく気品ありますね、演奏も繊細にして抑制の効いた端正な抒情的世界を披露しています。オーストリアで活躍する奏者ということで興味を持ったんですが、期待通りの正統派の耽美的欧州ピアノトリオ作品と言って間違いない。いやはやこれはとんだ獲物でした。
 こうしたピアノの耽美派には必ずエヴァンスの流れと比較と言うことなんだが、その価値十分のマイヤ-ホーファーは、哀愁メロディーを端正に演じ、抑制の利いた抒情的プレイはクラシック的ニュアンスをもって、ヨーロッパ的ジャズへの流れで聴かせる(M4など)。このピアニストは、結論的には結構硬派な渋さをもっていて品があり、さすがに自己の曲(M6、M7)は抒情的旋律をこの上なく奏で、バックの時としてみせるスリリングな演奏をもバトルするのでなく優しく包んでみせる。そんな安心して聴かせてくれるプレイヤーだと思う。
 従って、冒頭に上げた”THE COMMON BLUE” のエレクトリック・ピアノ・ベースによるユニットにての展開よりは、本来のピアノ・トリオ・スタイルがやっぱり良いですね。まああれは女性ヴォーカルを生かす一つの手法として行われたモノであろうと推測して、それはそれ評価しますが。

(視聴)

① THE COMMON BLUE 「ELEVEN SONGS」

② Andreas Mayerhofer trio

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2015年12月 5日 (土)

ロジャー・ウォーターズRoger Waters 映像盤 : 「ROGER WATERS THE WALL」

映画として仕上げたロック・ライブ・ショー「THE WALL」
   ~やはりここにも反戦の姿が~

<Progressive Rock>
 Roger Waters 「ROGER WATERS THE WALL」
        UNIVERSAL / 61174998 / 2015

Rwthewall
製作 Roger Waters
監督 Roger Waters  & Sesan Evans
脚本 Roger Waters  & Sesan Evans
Director of photography  Brett Turbull
United Kungdom  /  133 minutes

 いよいよ出ましたね、先般世界規模で一斉公開した映画版”ロジャー・ウォーターズの「THE WALL-LIVE」”ここにきてBlu-Ray盤での登場。「THE WALL」の映画としては1982年アラン・パーカー監督ものが懐かしいところ。(参照:「Pin Floyd THE WALL」 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/pink-floyd-the-.html

Rw10b2 とにかく舞台装置が大きすぎてのライブであったため、なんと1年間かけてじっくり世界のポイントを回る予定のツアーが、その成功が思った以上で、2010-2013年の足かけ4年間に渡る過去に例のない大ツアーとなってしまったもの。その結果、4大陸にわたって3年間で219公演450万人以上のファンを動員し、ソロ・アーティストとしては歴代最高の興行収益を記録した。しかしとにかくステージ作りの資材・機器と、その運搬費用、更に技術スタッフの費用が莫大で、収益という点ではウォーターズは大きくは期待していなかったようだ。
 音楽史上最も成功したツアーのひとつでもあると言われているが、これはむしろウォーターズが資材を投げ打って世界に彼の存在をアッピールした生涯をここに賭けての彼自身の最大の行事であった(残念ながら日本公演なし)。

(メンバー)
ボーカル・ギター・ベース: ロジャー・ウォーターズ
ギター: デイブ・キルミンスター
ギター: スノーウィ・ホワイト
ギター: G.E.スミス
キーボード: ジョン・カーリン
ハモンドオルガン・ピアノ: ハリー・ウォーターズ
ドラム: グラハム・ブロード
ボーカル: ロビー・ワイコフ
バックボーカル: ジョン・ジョイス、パット・レノン、マーク・レノン、キップ・レノン

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 これは映画版の『ロジャー・ウォーターズ ザ・ウォール』であって、史上最大のスケールの「The Wall Live ツアー」の様子を収録しての制作ではあるが、ウォーターズの父親が1944年にイタリアで戦死して眠る墓地の場所へ、さらにはなんと祖父もその父親が2歳の時にやはり戦死していることが明かされ、その為その埋葬地をも訪れ、そこにウォーターズは息子Harry Watersと娘India Waters等と訪れるシーンも描かれる。そんなロードムービー的な映像を盛り込んでいる。
 それは彼の人生の中でも最もネガティブな因子、それは戦争というモノによって及ぼされた父親の存在を失った事。そして幼少期から若きロッカーとしての活動期の精神的負担をによっての不安定な人間の側面を吐露し、それを歌い上げたピンク・フロイド時代のアルバム『THE WALL』(1979年リリース)を全曲演じて、これを通じて自己の人生の負の根幹に一つのけじめを付ける旅を描いているのだ。
 特に父Eric Flecher Watersと母に抱かれている赤子のロジャーの一緒に撮られた写真は印象深く、その直後に父は出征し第二次世界大戦の激戦地イタリアのアンツィオで戦死し、激戦地で有名なMonteCassinoにある墓地に埋葬されている。
 この作品のコンセプトとして、”戦争や紛争というものによる多くの犠牲を被る人間の悲惨さ”を描いた反戦の要素を描こうと試みているところが重要だ。

 さてこの映画は、2014年トロント映画祭でプレミア公開され話題を呼んだものであり、それに加え今年2015年9月に一夜限りの企画として全世界中の映画館で統一してプレミア上映され、結果的に何十万人ものファンを動員することとなったものである。
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 そもそもこのアルバム『THE WALL』の占める位置は・・・・・・・・、
 1977年、ロックというミュージックの転換期に、ピンク・フロイド時代のロジャー・ウォーターズは、社会批判とミュージック・パターンのよりアグレッシブな方向への転換を試みたアルバム『アニマルズANIMALS』を作成した。しかしそのツアーでは圧倒的な支持を得ながらも、そこに集まった観衆の騒ぎとも言える状況を見るに付け、自己の精神性との隔たりに嫌気がさし、次回はステージに”壁”を築き上げ観衆と隔離した状況で演奏しようというなんとも前代未聞の大胆な発想を持って、それから生まれたアルバムであり、そこに彼は自己の人生の父親不在の悲惨な部分、幼少期の社会からの逃避、疎外感、教育のマイナス部分、そして成人した後の負の部分を背負った自己の生活の破綻を暴露し歌い上げ、社会に訴えたものである。

(参照)「アニマルズ」http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/pink-floyd-1729.html
 
 アルバム『THE WALL』リリース後、1980年から1981年に行われたツアーは、圧倒的支持を得ながらも壮大な仕掛けを用いた過去に無い大がかりのツアーであったことと、スケールが大きすぎたため、その費用が莫大となり収支マイナス、多大な借金を背負うことになり4都市31公演にとどまった。
 しかしロジャー・ウォーターズの『ザ・ウォール』の再演は常に秘めたる”志”であって、2回目は、1990年7月21日、有名ミュージシャン達が集結し、西ドイツと東ドイツを隔てていたベルリンの壁の崩壊直後の跡地ポツダム広場で、災害救済記念基金チャリティー・コンサートとして開催。20万人を集めて世界的話題になった(Roger Waters 「THE WALL-Live in Berlin」)。
 そして最初のツアーから30年後(2010年~2013年)に、3回目としてウォーターズにより企画されたのが今回の世界ツアーだ。

(参照)第一回「ウォール・ツアー」http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/the-wall-359e.html
     「ベルリン・ウォール・ライブ」http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/the-wall-12cc.html

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 さて、この映画『ROGER WATERS THE WALL』のBlu-ray発売で、かってのピンク・フロイドやロジャー・ウォーターズのファン以外の世界中の者にも、この「THE WALL」というものの凄さを見せることが可能になったのではないか?。一方、評論家たちが「目を見張るばかり」「素晴らしい映像」と形容したと言っているが、この映画は、やはり4K技術での撮影という最新技術を投入していて確かに美しく圧巻。更にロード・ムービーに描かれる自然の風景もその詩情性に惹かれるところであった。

Tumblr_nvgs7e3r2 又ライブ会場のスケールの大きさと、舞台の構成、投影される映像とサウンドの高技術と精度の高さ、見事な総合芸術であった。私から見るとロック・ライブと言うよりは、ジャンルを超えたミュージック・ショーと行った方が良いと思う。
 そしてそこにあるウォーターズ独特の圧倒的ロック・サウンド、人間性に迫る内容と反戦的物語が観る者をして圧倒する(左の”A THEFT”が印象的)。特にウォーターズ自身の内面的に傷ついている人間像を露呈しているところに更に感動を呼ぶ因子を抱えているのである。

 残るはやや残念なところは、ミュージシャンの演奏姿に十分な時間が割かれていないところだ。つまりステージ・ロック・ライブ映像を目的にしていないところのマイナス部分である。まあそこまで要求も酷かも知れないが、私的には三人のギター演奏、ジョン・カーリン、ハリー・ウォーターズの演奏姿など、もう少しじっくり観たいという欲求もあるのだが・・・・、しかしそれは過去の多くのブートで観てきたところで、今回のこれにはあまり要求しないことにする。

(視聴)

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2015年12月 1日 (火)

久々のアデルADELEのニュー・アルバム:「25」

ちょっぴり?大人になって・・・・・・・

     <Rock, Pop.>
                       ADELE 「25」
             XL Records / JPN / XLCD740j / 2015

Adele25

1.  Hello
2.  Send My Love (To Your New Lover)   
3.  I Miss You
4.  When We Were Young
5.  Remedy
6.  Water Under the Bridge   
7.  River Lea
8.  Love in the Dark   
9.  Million Years Ago 
10.  All I Ask 
11.  Sweetest Devotion

(日本盤ボーナストラック)
12.  Can't Let Go   
13.  Lay Me Down         
14.  Why Do You Love Me

  アデル(Adele Laurie Blue Adkins 1988.5.5~)も25歳を過ぎたんですね。:現在27歳。
 とにかくもの凄かったです、2008年1月にリリースしたデビューアルバムの『19』はイギリスのアルバムチャートでは初登場で1位を記録し、第51回グラミー賞に、主要2部門を含む4部門でノミネートされ、最優秀新人賞と最優秀ポップ女性歌手を受賞した。
 2011年1月にリリースした2ndアルバム『21』は、19カ国で1位を獲得し、第54回グラミー賞に主要3部門を含む6部門でノミネートされ、そのすべての賞を総なめした。(受賞内容は、アルバム『21』が最優秀アルバム賞・最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバムの2部門、シングル”Rolling in the Deep”が最優秀レコード賞・最優秀楽曲賞・最優秀短編音楽ビデオの3部門、同じくシングル”Someone Like You”が最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンスの1部門)
 この『21』は、全世界セールス3,000万枚を突破し、21世紀で最も売れたアルバムとなっているというのだから驚き。
 さてそ類の無い世界売上をなした”天才シンガー”と言われるアデルの5年振りと言う長期間(この間出産などあったらしいが)を経ての世界が待っていた3rdアルバムの登場となった(今回のニューアルバムまでの間、2012年10月に、映画『007 スカイフォール』のために”skyfall”をリリース、翌2011年の第85回アカデミー賞で、歌曲賞を受賞した)。

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 さて、ここまでの前2作の記録的ヒットの後となると、今作へのプレッシャーも凄かったんだろうなぁ~と想像するが、なになにむしろ気楽に歌い上げたような印象すら持たせるアデル路線は健在。先行シングル” Hello ”は聴きやすくやっぱり出来が良い。
 評判ではBruno Marsらとの共作曲の”All I Ask”は、ちょっぴり大人のムードに突入して聴かせる曲。
 それでも”I Miss You” なんか面白い。それから何時ものアデルを思わせる”Remedy” ”River Lea”なんかも楽しめますね。
 ”Send My Love (To Your New Lover) ” では、ちょっと従来ムードと異なったポップ・ムードが聴ける。
 ”Love in the Dark”は彼女の実力が如実に出ているバラードで、大人っぽい訴えてくる力の大きい曲。
 あまり話題になっていない曲で意外に良いと思ったのは ”Million Years Ago”、この曲での音程を変えての訴える歌い込みがアデル節の頂点もの。 

 ボーナス曲もなかなか聴けるので、日本盤OKですね。いやはや恐ろし。

(視聴)

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