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2015年12月26日 (土)

巨匠スタンリー・カウエルStanley Cowell のピアノ・ソロ・アルバム 「JENETEENTH」

黒人解放記念日をテーマに・・・・・

     <Jazz>
             Stanley Cowell 「JENETEENTH」
             Atelier Sawano / JPN / VF313010 / 2015

Juneteenth

STANLEY COWELL : PIANO

(Tracklist)
1. We Shall 2
JUNETEENTH SUITE (2~11)
2. Introduction  3. Proclamation  4. Reality Dreams Echoes  5. Anticipation of the Coming of Freedom  6. Commentary on Strange Fruit  7. Nostalgia for Homelands  8. Proclamation Interruptions  9. Darkness Transforming  10. Finale  11. Resolution
12. Ask Him
13. Juneteenth Recollections

S_cowell1 まずこのピアニストのスタンリー・カウエルStanley Cowell についてであるが、私自身はずっと馴染むこと無く来てしまっていた。彼はUSAオハイオ州トレドで1941年に生まれ、オバーリン大学でリチャード・ホフマンに師事し作曲法を学ぶと、ミシガン大学で修士の学位を獲得したという経歴の持ち主。アメリカン・ジャズ・ピアニストで、もはや74歳という歳とと共に、アーティストとしても巨匠の域にある訳だが、キース・ジャレットのように我々にとっては一般的でなかったのは事実だ。黒人として黒人文化遺産や民族意識の継承に目覚め、音楽的にも、又社会活動的にもその因子がみられるというキャリア。
 私自身は多分このアルバムを自ら選ぶことはなかったと思うのだが、友人から勧められて聴くことになった。

そこでこのアルバムとカウエルの紹介文をここ引用する・・・・・

 70年代から活躍を続けるインテリジェンスな硬派ピアニストの最新ソロ・ピアノ作。1973年作のソロ作品『Musa』はいまだに語り継がれる名作ではあるが、近年も定期的にニューヨークの老舗ヴィレッジ・バンガードにも出演を続けるまさにリヴィング・レジェンドな知る人ぞ知る存在。深遠なるブルーズの世界とスピリチュアルでモーダルな高揚感、アブストラクトな和声の響きとモンクやエリントンがいた時代の残響が重なり合い目の前に広がる音世界は、彼ならではの孤高の音景色。グラスパーやジェイソン・モランが脚光を浴びる今だからこそ聴いてみたい巨匠の逸品。
                                                          稲田利之(タワーレコード難波店)
                         
     intoxicate2015 August

 このアルバム・タイトルの「JENETEENTH」は6月19日の奴隷解放記念日を指しているということ。そして今年はその150周年であったあったということ。そしてこれは、カウエルはオーケストラの為に書いたSUITE(組曲)を新曲も含めてピアノ・ソロとして演奏して見せたと言うもののようだ。
 従ってこのアルバムは、それを題しての組曲が10曲によって構成され、彼のピアノ・ソロが聴かれるのだ。彼の演奏をしてアヴァンギャルドと表しているように、はっきり言って私好みの叙情的な美旋律の世界とは異なる。このスタイルを何というのか、ロックとジャズの融合みたいなフュージョンとは全く異なるし、コンテンポラリー・ジヤズではない。どちらかというとフリー・ジャズ、アバンギャルド・ジャズという方向か?、私の知識では難しい。
 つまりM4 ”Reality Dreams Echoes”には、奴隷解放と関係のある南北戦争のテーマが引用されたりするが、単にそのメロディーを流すでもなく、その流れには現代音楽的展開をみせる。多分即興も入ってのアドリブ演奏と思われるが、その印象はまさにモダン・ミュージック。
 M6”Commentary on Strange Fruit”もそうだが、ふと聴いたことのある哀愁のメロディも顔を出すが、やはり単にそれを演奏することはない。これもピアノにして奏される音の一部になってしまう。人種差別を音にするとこんなところに落ち着くのであろうか。

 とにかく彼から見た”黒人史”を描いていると思われるが、そのピアノ・タッチにはかなりの斬新な和音を叩いて、その思い入れが力強い世界を描き、聴く我々の心に響くのである。しかし私にとっては皮肉にもこの「JUNETEENTH」組曲以外のM1、M12、M13の曲の方が受け入れやすかった。いずれにしても難解なアルバムに遭遇したというところだ。

(試聴)

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コメント

こっちは、お邪魔いたします。
このアーチストは、聞いたことはないです。
私的には、いい雰囲気です。
なかなか奥が深そうですね。

投稿: jamken | 2015年12月31日 (木) 07時06分

Jamkenさん、今年も今日で終わりですが、いろいろと楽しませて頂いて有り難うございました。
 このSTANLEY COWELL は有名でありながら日本では一般的で無かったですね。私もここに来て初聴きと同様なところでしたが、この取り上げたJUNETEENTHは、特に組曲が難解でしたが、このデモしたアルバム・オープニングの曲”We Shall2”は確かに魅力あります。もう少しアプローチしてみたいと実は私も思っていたところです。多分ファンも居ると思いますので、話が聞きたいと思うところです。

投稿: 風呂井戸 | 2015年12月31日 (木) 10時33分

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