フレッド・ハーシュFred Herschのチャーリーに捧ぐアルバム「ARABANDE」
チャーリー・ヘイデンに捧ぐ1987年のリマスター盤
<Jazz>
FRED HERSCH 「ARABANDE」
Sunnyside Communications / US / SSC1432 / 2016
Fred Hersch (piano)
Charlie Haden (bass)
Joey Baron(drums)
1986年12月4日,5日 Classic Sound Studio, NYC 録音
フレッド・ハーシュFred Hersch(1955~)も多くのアルバムを残しているが、近年健康を回復して健闘していることが喜ばしい。
2014年には、トリオもの「FLOATING」 、昨年2015年はソロ「SOLO」とリリースして、このところ我々を楽しませてくれている。
(参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/fred-hersch-tri.html
そしてこれはあのチャーリー・ヘイデンと競演した若き頃の作品であるが、今ここにリマスターで復活させ、ヘイデンに捧げる作品とした。ハーシュのファンなら多分LPで聴いてきたであろうこの作品、音質の改良も加えて手軽なCDでの復活に喜んでいるだろうと思う。ただし私は初聴きであるが、なかなか非常に堪能しているんです。
(Tracklist)
1 I Have Dreamed (Rodgers & Hammerstein) 5:27
2 Enfant (Ornette Coleman) 6:27
3 The Peacocks (Jimmy Rowles) 7:10
4 What Is This Thing Called Love? (Cole Porter) 5:10
5 Sarabande (Fred Hersch) 5:37
6 This Heart of Mine (Arthur Freed & Harry Warren) 5:28
7 Child’s Song (Fred Hersch) 4:30
8 Blue In Green (Bill Evans & Miles Davis) 4:46
9 Cadences (Fred Hersch) 5:01
60歳を過ぎているハーシュが、32歳の時の作品と言うことと、しかもアルバム・デビューの2作目ということで、実は私は興味津々であった。
しかし聴いてみての驚きは、全く若さの荒さが無く詩的な世界は全く現在と変わらない。まず冒頭のM1”I Have Dreamed ”から、これから何か静かに物語を聴かせましょうというムードである。
このアルバムでは彼の曲は3曲のみ。特にM7”Child's Song”はチャーリー・ヘイデンに捧げた曲というが、その明るさには意外であった。最後の曲M9”Cadences ”もこのアルバムでは明るい方に入るのだが、アルバム・タイトル曲のM5” Sarabande”は、彼らしい詩的な味わいを聴かせる。
尊敬してやまないオーネット・コールマンの曲も2番目に登場させ、このアルバムではコール・ポーターの曲M4”What Is This Thing Called Love?”と並んでひときわ気合いが入った演奏を展開し、ベース、ドラムスも後半両者のデュオが洗練された響きでそれを一層引き立てる。そして続いては一転して、メロディアスにして美しいピアノの詩人と言われるリリカルな趣をM3”The Peacocks ”で披露する。この流れは若きハーシュと言うよりは、円熟した風格がある。
どうもピアノ・トリオの興味はユーロ寄りになる私だが、アメリカ・オハイオ州シンシナティ出身のフレッド・ハーシュに関しては、こうして私好みの世界に流れてくるのである。
(試聴) ”The Peacocks”
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コメント
自分はハーシュのアルバムを聴いた枚数は少ないですが、どのアルバムも良かったでした。ここでもヘイデンとバロンとの組み合わせ、けっこういいですね。あまり普段はさかのぼって買わないのですが、知り合いに勧められました。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2016年8月 7日 (日) 10時30分
910さん、コメント、TB有り難うございます
ユーロ寄りの私ですが、フレッド・ハーシュは別格です(笑い)。
しかし30歳少々での完成度の高さに脱帽です。このアルバムはヘイデンとの関係で再発されたようですが、この出来では当然ですね。埋もれさせてはもったいないアルバムって、こうゆうものを言うのでしょうね。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2016年8月 7日 (日) 12時08分
Fred Hersch歴は実はあまり長くないので、復帰後の数作で自身のFred Herschのイメージができているのですが、
ごく初期の本作を聴いても、そのイメージが大きく変わらない(個性が初期から確立されている)のは、感嘆でした。
最近、来日もアルバムも多く、うれしい限りです。
TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。
投稿: oza。 | 2016年9月16日 (金) 06時55分