デビー・ポーリスDebbie Poryesの1stアルバム復刻盤「TRIO」
幻の女流ピアニストのトリオ作~これぞ復刻版の醍醐味だ!
<Jazz>
DEBBIE PORYES 「TRIO」
Solid / JPN / CDSOL6511 / 2015
Recorded at Studio 44, Monster, Holland, Nov.21&22, 1982
デビー・ポーリスDebbie Poryes(p)
ヘイン・ヴァン・デ・ガインHein van de Geyn(b)
ハンス・アイケナーHans Eykenaar(ds)
”ジャズ・ピアノ・ファンが追い求める幻の女流ピアニストのデビュー作!”と言う宣伝で昨年末に限定復刻リリースされたアルバム。
これは1982年のデビー・ポーリスDebbie Poryesのオランダの名門レーベルTimelessからのデビュー盤だが、それ以降25年も彼女は表に現れず、その為「幻の盤」としてマニアの間で取り扱われたもの。そして当時は勿論LPであったが、ここにCDとしてお目見えしたのだった。
デビーは、カりフォルニア州、サンタモニカ出身。幼少時からピアノを弾きショパンものを練習。カリフォルニア州バークレー校で学んでいる。そしてプロのミュージシャンを目指したという。クラシックとジャズの双方に研究努力を重ねジャムセッションに頻繁に参加。
1980年代はジャズ研究の教育資格を獲得し、ジャズ音楽の教師としてオランダで活躍。
1990年に結婚、娘の教育などを考えてか、後に2000年以降はアメリカでの活動、特にバークリー音楽院の教師であり、サンフランシスコをベースとして活動している。
このアルバムはオランダ時代のものだ。そしてミュージシャンというより教師活動に邁進していた為か?、又手首の腱鞘炎との闘いもあったようで、それによる演奏活動の中断の為か?、彼女の情報がなかなか日本には入ってこなかったのであった。
(「TRIO」 Tracklist)
01 Sweet Georgie Fame (6:57)
02 A Nightingale in Berkeley Square (6:15)
03 For Brad (7:08)
04 Holland (6:32)
05 Foolish Door (5:50)
06 My Romance (4:32)
オープニングは、ベースの優しく歌い上げる流れとデビーの流麗にして優雅なピアノ・プレイのバランスの見事な曲”Sweet Georgie Fame”でスタートする。そしてM2”A Nightingale in Berkeley Square”は、ピアノ・ソロの美しさがしみじみと伝わってくる。
とにかくこのアルバムはリリカルであるとともに爽快なセンスで満ちあふれている。そして単に優美というだけのものでなく、ジャズの醍醐味でもある軽快なリズムを失わない見事な演奏を展開している。私の偏見か?、女性ピアニストというのは、繊細さというよりも意外に強さが前面に出るところがあるように思っているのだが、彼女の場合はこれこそ、優美さのあるセンスの良いジャズ演奏で、聴く者に快感をもたらすところである。これならば確かに知る人ぞ知るで、マニアの間では評判の盤であったのも解るのだ。
この後、なんと25年経過して2007年にピアノ・トリオ・アルバム『A SONG IN JAZZ』(JAZZSCHOOL RECORDS / US / JZ071120-05./ 2007)で復活するのだった。
(参考視聴) Debbie Poryesのソロ演奏
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