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2016年3月29日 (火)

デビー・ポーリスDebbie Poryes 25年ぶりの2ndピアノ・トリオ・アルバム「A SONG IN JAZZ」

洗練された説得力のある爽快なるピアノ・プレイ
~2007年リリースの25年ぶりの復活盤を聴く

 先頃、デビー・ポーリスDebbie Poryesという女性ピアニストの”幻のピアノ・トリオ・アルバム『TRIO』”の復刻盤を取りあげた。
(参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/debbie-poryes.html
 それは私にとっては全くの初聴きであったが、その内容にちょっと興味も湧いて、25年ぶりの復活だったという2007年のアルバムをも聴いてみた次第。

      <Jazz>
       DEBBIE PORYES TRIO 「A SONG IN JAZZ」
       JAZZSCHOOL RECORDS / US / JZ071120-05 / 2007

Asonginjazz
Recorded Decem.27, 2006 and June 4, 2007 at Deva Productions, Lafayette, CA USA

Debbie Poryes(p)
Bill Douglass(b)
David Rokeach(ds)

(Tracklist)
1 A Wonderful Guy
2 I Hadn't Anyone Till You
3 The Very Thought of You
4 Alone Together
5 Sweet and Lovely
6 So It Seemed
7 Pannonica
8 People

Pagephotol  ベテラン女性ピアニストデビー・ポーリスによるスタンダードを中心としたピアノ・トリオ作品。”幻の名盤”といわれたこのアルバムリリースより25年前の1982年のTimeless盤1stアルバム『TRIO』と同様に洗練された爽快なるピアノ・トリオ・プレイが聴ける。
 もともとアメリカ人であるが、オランダにて活躍し、その後、1990年代にアメリカに移住して、2000年以降バークリー音楽院のジャズピアノ教師をしていての作品。

 とにかく演奏のバランス感覚は見事です。ビル・エバンス流の叙情性を持ちながらも、ジャズの楽しさを感じさせるテンポの軽快さを展開するところは嫌みが無く、そして流麗なピアノの流れに引き込まれていく。
  叙情性と言っても、ヨーロッパ的な世界と言うよりはやはりアメリカン・ジャズの雰囲気の流れを感ずるところを持っている。それはこのアルバムに取りあげた曲にもよるところなのかも知れないが。
 M6.”So It Seemed”のみが彼女自身の手による曲だが、ベース、ドラムス(特にシンバル)の味も尊重しての曲作りは格調もある。
 M7.”Pannonica”は、多分彼女は尊敬しているであろうThelonius Monkの曲で、少々意外性のアレンジもみせる。
 M8.”People”は、M3.”The Very Thought of You”と同様に、落ち着いた安堵感の世界で、やっぱりこのアルバムの締めに適しているし、これは彼女の描く世界なんだろうなぁ~と思うのである。
 全体的に、スリリンクとか意外性とかを売るアルバムではなく、やっぱりジャズの先生の古典的優良作品といった雰囲気なのである。
 
 いずれにしても安心して聴いていられ、そうしていると、いつの間にかアルバム一枚が終わってしまうという感じなのだ。

<Debbie Poryes~ Dyscography>
2011  TWO & FRO
2010  CATCH YOUR BREATH
2007  A SONG IN JAZZ
1982  TRIO
 

(参考視聴)  Debbie Poryes Trio

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2016年3月25日 (金)

懐かしの西部劇と音楽=モリコーネEnnio Morriconeとマカロニ・ウェスタン -私の映画史(23)-

映画音楽が盛り上げたと言えば「マカロニ・ウェスタン」

 もともと私は映画音楽から音楽に興味を持った人間と言ってもよいくらいに、感受性豊かな年頃の時は映画音楽が花盛り。ヒット・チャートでも殆どが映画音楽が上位を占めていた。
 最近、ふと昔の映画が懐かしくなって観ることがあるのだが、懐かしの西部劇となればやはり日本の時代劇と同じに、アメリカ本場の西部劇も1939年の『駅馬車』がスタートで、ジョンフォード監督、ジョン・ウェイン主演のパターンの歴史みたいなものだったとも言えるが、とにかく1950年代が花。この辺りの映画については今までもすこしづつ触れてきたのでいずれ又もう少し掘り下げたいが・・・、1960年代にはもはや西部劇も斜陽映画となってしまった。

 ところが、なんとイタリアが自国での映画の不振に陥り、その一つの突破口として、日本の黒澤明監督・三船敏郎主演の『用心棒』(1961年)からヒントを得て、所謂「マカロニ・ウェスタン」作成に入ったら大当たり。これから一時代を築くことになった。
(参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post-6db1.html

Em1_2 そこで「マカロニ・ウェスタン」で、ふと思い出すのは、所謂『ドル箱三部作』(Dollars Trilogy)、または『名無し三部作』(Man with No Name Trilogy)と言われたクリント・イーストウッド主演、セルジオ・レオーネ監督作品のマカロニ・ウェスタン3作品だ。
 そして音楽はこの三作ともエンニオ・モリコーネEnnio Morricone(1928~)だ。これによって彼も映画音楽作曲家として世界的になった。そしてその後の映画界に残した音楽としての功績は大きく、現在も80歳後半に入って健在。そうそう思い起こせば『ミッション』、『アンタッチャブル』、『海の上のピアニスト』も良かったですね。

Photo
■ 『荒野の用心棒』 ( A Fistful of Dollars、1964年(日本公開1965年))
  監督 セルジオ・レオーネ
  主演 クリント・イーストウッド
  音楽 エンニオ・モリコーネ

  とにかくこの映画、若きまだ無名のセオジオ・レオーネ監督が、日本の『用心棒』をそっくり拝借して西部劇版として作成したんですね。それが断りなしに作ったものだから、日本東宝から訴えられてしまった。それが又”不幸中の幸い”と言ってよいのか、世界でそのことが話題になって興味を呼んで大ヒットした。なんと言っても話の筋はもともと面白く出来ているので、それはそれで観た者には喝采を浴びたのだのだが・・・、バックに流れる音楽が又最高でした。そこはやっぱりイタリアですね、あのエンニオ・モリコーネが作った「さすらいの口笛」、これは孤高のガンマンのムードたっぷりで、この映画を大いに盛り上げたのだった。

511rrwztrpl■ 『夕陽のガンマン』 (For a Few Dollars More、1965年)
  監督 セルジオ・レオーネ
  主演 クリント・イーストウッド
      リー・ヴァン・クリーフ
  音楽 エンニオ・モリコーネ

 しかしマカロニ・ウェスタンと言っても、監督と音楽はイタリアであるが、主演はアメリカからのクリント・イーストウッドであり、又 リー・ヴァン・クリーフであってアメリカとは別物というわけでもない。撮影はスペインで行われたという代物。
 ここでもイーストウッドの特に名前のない賞金稼ぎのニヒルにして格好良さも売り物の話だが、もう一人のモーティマー大佐役のクリーフの役柄の味付けも良く、話は面白くなっている。彼の映画俳優としても、その存在が国際的になった映画でもあった。
 やはりここでもエンリオ・モリコーネの音楽が盛り上げるんですね。

817ilctx8l__sl1500_2 『続・夕陽のガンマン~地獄の決斗』 ( The Good, The Bad and the Ugly、1967年)
  監督 セルジオ・レオーネ
  主演 クリント・イーストウッド
      リー・ヴァン・クリーフ
      イーライ・ウォラック
  音楽 エンニオ・モリコーネ


 南北戦争の時代背景での善玉、悪玉、卑劣漢の三人のガンマンの隠された金貨を巡ってのあれやこれやの奪い合い。これもイーストウッドとクリーフの味付けが映画を面白くしていた。
 そしてモリコーネの音楽がバックで盛り上げるんですね。「黄金のエクスタシー」(原題:L'Estasi Dell'Oro)が流れ、三人による対決には「トリオ」(原題:Il Triello)が流れる。映画史の中でも必ず取りあげられるほどの三つどもえの決斗シーンは有名だが、これも音楽があっての緊迫感であった。

 エンニオ・モリコーネのマカロニ・ウェスタンの音楽は絶賛を浴びたのだが、これも彼に言わせるとベースは、あの映画『リオ・ブラボー』、『アラモ』に流れる”皆殺しの歌”(ディミトリ・ティオムキン作~彼はやっぱり凄いです)の線を頭に入れて作ったとか、なるほどと思わせるところである。

(試聴1)「荒野の用心棒」

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(試聴2)「夕陽のガンマン」

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(試聴3)「続・夕陽のガンマン」

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2016年3月21日 (月)

スティーヴン・ウィルソンSTEVEN WILSON ニュー・アルバム 「4 1/2」

これぞプログレッシブ・ロックの道だ!!

   <Progressive Rock, Progre Metal>
       STEVEN WILSON  「4 1/2」
       KSCOPE / UK / KSCOPE529 / 2016 (Blu-ray Audio)

45

Steven Wilson(vocal, g, mellotron, perc ), Adam Holzman(key), Nick Beggs(b), Guthrie Govan(g), Dave Kilminster(g), Craig Blundell(dr), Marco Minnemann(dr), Chad Wackerman(dr), and Theo Travis(sax) 

 まずこのアルバムは、とにかく今やプログレッシブ・ロックの屋台骨となっているスティーヴン・ウィルソンのポーキュパイン・ツリーを離れてのソロ作品だ。アルバム・タイトルが示す通り、好評のソロ4枚目だった前作『HAND. CANNOT, ERACE.』とこれからの次作5枚目を結ぶ作品と言う位置づけにあるようだ。従って前作から1年という短期間をおいてのリリース。
(参照) http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/hand-cannot-era.html

45list しかし、繋ぎものとは言え、これもなかなかインパクトのあるアルバムに仕上がっている。私の仕入れたのはBlu-ray Audio盤。これには、DTS HD Master Audio 5.1の他、96/24 5.1 LPCM 及び96/24 stereo LPCM の三通りが収録されている(さすがミュージック・エンジニアですね)。

 [Tracklist]は左の如くだが、前作のレコーディング・セッションで作られた未発表音源がメインで4曲、それと『The Ravin that refused to sing』時のレコーディングを1曲を収録している。更に最後の”Don't hate me”は、ポーキュパイン・ツリーの『STUPID DREAM』に収録されている曲で、2015年ツアーのライブ音源をベースにスタジオ録音を加えたセルフ・リメイクもの。

Sw2
 とにかく全て聴きどころがしっかりとした曲で、特にやや陰影のあるM4.”Sunday rain sets in”から、続くM5.”Vermillioncore”のヘビーにして軽快なる前衛的アプローチも見事、これぞロックの醍醐味というところ。この両曲の繋がりが私には好感度100%である。

Sw1b_2 又オープニング曲M1.”My book of regrets”のロックの多要素の組み込んだ曲展開は、やっぱりプログレですね。
 M1、M6では、なんとなくピンク・フロイド風のギター・サウンドが聴こえてくるが、あのロジャー・ウォーターズの「The Wall Tour」のリード・ギターを務めたDave Kilminsterが参加していまる。彼は好評だった昨年の「HAND. CANNOT, ERACE.」ツアーにも参加していた。
  M6.”Don't hate me”は、イスラエル出身のシンガーNinet Tayebをフィーチャーしており、哀愁感あるヴォーカルが聴けて、9分を超える曲に仕上げて説得力十分。スペーシーなプログレ因子の入ったところも聴きどころの1つ。

 さて御本家の「PORCUPINE TREE」はどうなるのか?と、何時も心配しているのだが、とにかく今やプログレ界は彼の肩にかかっていると言っても過言ではない。次のソロ作品にも期待が大きくなるのである。

(試聴) ”Don't hate me”

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2016年3月18日 (金)

デビー・ポーリスDebbie Poryesの1stアルバム復刻盤「TRIO」

幻の女流ピアニストのトリオ作~これぞ復刻版の醍醐味だ!

            <Jazz>
                 DEBBIE PORYES 「TRIO」
         Solid / JPN / CDSOL6511 / 2015

Debbie_p_trio_2

Recorded at Studio 44, Monster, Holland, Nov.21&22, 1982

デビー・ポーリスDebbie Poryes(p)
ヘイン・ヴァン・デ・ガインHein van de Geyn(b)
ハンス・アイケナーHans Eykenaar(ds)

 ”ジャズ・ピアノ・ファンが追い求める幻の女流ピアニストのデビュー作!”と言う宣伝で昨年末に限定復刻リリースされたアルバム。
 これは1982年のデビー・ポーリスDebbie Poryesのオランダの名門レーベルTimelessからのデビュー盤だが、それ以降25年も彼女は表に現れず、その為「幻の盤」としてマニアの間で取り扱われたもの。そして当時は勿論LPであったが、ここにCDとしてお目見えしたのだった。

Debbieporyes1w デビーは、カりフォルニア州、サンタモニカ出身。幼少時からピアノを弾きショパンものを練習。カリフォルニア州バークレー校で学んでいる。そしてプロのミュージシャンを目指したという。クラシックとジャズの双方に研究努力を重ねジャムセッションに頻繁に参加。
 1980年代はジャズ研究の教育資格を獲得し、ジャズ音楽の教師としてオランダで活躍。
 1990年に結婚、娘の教育などを考えてか、後に2000年以降はアメリカでの活動、特にバークリー音楽院の教師であり、サンフランシスコをベースとして活動している。
 このアルバムはオランダ時代のものだ。そしてミュージシャンというより教師活動に邁進していた為か?、又手首の腱鞘炎との闘いもあったようで、それによる演奏活動の中断の為か?、彼女の情報がなかなか日本には入ってこなかったのであった。

 (「TRIO」 Tracklist)
01 Sweet Georgie Fame (6:57)
02 A Nightingale in Berkeley Square (6:15)
03 For Brad (7:08)
04 Holland (6:32)
05 Foolish Door (5:50)
06 My Romance (4:32)

  オープニングは、ベースの優しく歌い上げる流れとデビーの流麗にして優雅なピアノ・プレイのバランスの見事な曲”Sweet Georgie Fame”でスタートする。そしてM2”A Nightingale in Berkeley Square”は、ピアノ・ソロの美しさがしみじみと伝わってくる。
 とにかくこのアルバムはリリカルであるとともに爽快なセンスで満ちあふれている。そして単に優美というだけのものでなく、ジャズの醍醐味でもある軽快なリズムを失わない見事な演奏を展開している。私の偏見か?、女性ピアニストというのは、繊細さというよりも意外に強さが前面に出るところがあるように思っているのだが、彼女の場合はこれこそ、優美さのあるセンスの良いジャズ演奏で、聴く者に快感をもたらすところである。これならば確かに知る人ぞ知るで、マニアの間では評判の盤であったのも解るのだ。

 この後、なんと25年経過して2007年にピアノ・トリオ・アルバム『A SONG IN JAZZ』(JAZZSCHOOL RECORDS / US / JZ071120-05./ 2007)で復活するのだった。

(参考視聴) Debbie Poryesのソロ演奏

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2016年3月14日 (月)

キアラ・パンカルディCHIARA PANCALDI 「I WALK A LITTLE FASTER」

「ジャズ批評」”2015年金賞”に輝いた話題のヴォーカル・アルバム

   <Jazz>
 CHIARA PANCALDI 「I WALK A LITTLE FASTER」
  CHALLENGE Records / AUSTRIA / CR7309 / 2015

61dhv9xvgl
Recorded on Oct 23rd 2013 at Tedesco Studio, Paramus (New Jersey)

Chiara Pancaldi (vo)
Cyrus Chestnut (p)
John Webber (b)
Joe Farnsworth (ds)

(Tracklist)
1.Wouldn't It Be Loverly (4:27)/2.Show Me (4:51)/3.Wild Is The Wind (5:51)/4.Crazy He Calls Me (5:02)/5.I Walk A Little Faster (6:03)/6.I Cried For You (3:34)/7.Don't Be On The Outside (4:05)/8.Get Out Of Town (5:28)/9.A Flower Is A Lovesomething (5:58)

Cp1_2 イタリアの若手ジャズ・シンガー、キアラ・パンカルディChiara Pancaldiだが、昨年リリースのこのアルバムが、今年になって「ジャズ批評」にて”オーディオ・ディスク大賞2015=ヴォーカル部門・金賞(No1)”に輝いて一躍日本では話題になった。・・・・・と、言うところで、日本盤も登場と相成った。
 そんなことから私もそのお仲間入り(笑)で早速聴いてみたのである。

Cyrus_chestnut さてこのアルバムは、イタリアの彼女のヴォーカル・アルバムだが、そのバックを固めるサイラス・チェスナット・ピアノ・トリオにも注目である。サイラス・チェスナットは、アメリカで活躍している黒人ピアニスト、その彼がこのキアラがお気に入りとなって、やはりアメリカのジェレミー・ペルトがプロデュサーというアルバムで、まさにアメリカのスタンダード・ジャズ・アルバムなのである。ベース、ドラムスのジョン・ウェバー、ジョー・ファンズワースというのも聴きどころと注目されたところ。

 さてキアラのヴォーカルだが、透明感のある歌声で究めてオーソドックスな歌声。ちょっと”あれだけの多くの強者を蹴って何で金賞?”と思うところでもあるが、全体的にジャズそののもののムードが上等で、やや憂い感もありそして多分初物の魅力ってところも手伝ったのではと思うのだ。又歌うはスタンダード曲といっても、非常にポピュラーと言うので無いため、彼女のイメージで聴かせているところも印象を高めたのだろう。
 それにしてもバックのトリオが良いのですね、かなりそちらの演奏による曲の出来がレベル・アップしたと言ってもよい。まあヴォーカル・アルバムとなると、バック演奏は添え物になりかねないが、このアルバムではヴォーカル以上と言って良いほどトリオ演奏が魅力を発揮している。

B さてついでにもう一つだが、ジャケの魅力も一役買ってますね。カヴァーの彼女の目線が左下方向に何とも言えない魅力を発揮していて、内ジャケを見ると同じようですが、左のように正面の向きに変化しているのです(ここの一番上のトップのジャケと比較してみてください)。このあたりもなかなか気合いの入ったアルバム作りと言えますね。

 イタリア女性のアメリカ・ジャズ界に認められてのデビューであるが、ちょっと考えて見るとアメリカ女性ももう少し頑張らなければいけないのでは?と、ふと思った次第である。

(視聴)

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2016年3月11日 (金)

ゴーゴー・ペンギンGOGO PENGUIN のニュー・アルバム:「MAN MADE OBJECT」

抒情的ピアノに攻撃的ドラムスが絡んで・・・・・・

   <Jazz>
      GOGO PENGUIN 「MAN MADE OBJECT」
        Blue Note / Internatinal / B002443502 / 2016

4th

Rob Turner (ds)
Chris Illingworth (p)
Nick Blacka (b)

 E.S.T.のジュニア盤などと評して一昨年に彼らのアルバム『V.20』を取りあげたのだが、ここにニュー・アルバムの登場だ。
  相変わらずシンプルなアルバム・ジャケで、・・・・・そしてこれは出世作と言うことでしょうかね?、名門Blue Noteからの新譜である。
(参照) http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/gogo-penguin.html

(Tracklist)
1.All Res 
2.Unspeakable World 
3.Branches Break 
4.Weird Cat 
5.Quiet Mind 
6.Smarra 
7.Initiate 
8.GBFISYSIH 
9.Surrender To Mountain 
10.Protest 


 彼らはイギリス・マンチェスター出身、2009年にバンド結成でこれが三作目。前回紹介のアルバム『V.20』が、イギリスで権威のある音楽賞"マーキュリー・プライズ"にノミネートされ、世界中から一気に注目を集めることとなったらしい。私もその一人だが(笑)。
 さてこのニュー・アルバムも前作の流れを繋いでいる。クラシックの流れを感じさせるアコーステック・ピアノ・トリオでありながら、ただそれでは納まらない。これは若き者の挑戦でもあるのか、特にドラムスの攻撃性やエレクトロニックに加工されたサウンドも加味されているのは、まさに評されているように"アコースティック・エレクトロニカ・トリオ"といった色彩を呈する。そんなところから私は前回、”E.S.T.のジュニア盤”、”Progressive Jazz”と勝手に言ったのだったが、その線はやっぱり変わっていない。

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 まずM1”All Res ”のオープニングのピアノそしてベースの流れはクラシックを想わせる。しかしそこにドラムスが活発に入ってきて、おおこれはジャズだとふと聴く者をして現実感に目を覚まさせる。そのあたりの流れが結構楽しいです。
 しかしピアノもその先進性へのアプローチも負けていない。M2”Unspeakable World”では当初のリズムを刻む低音の響きはそれだ。そしてM3”Branches Break”の旋律の奏でる硬質な音もクリアにして幾何学的世界をイメージざせる。
  M6”Smarra ”のハイテンポの曲展開とエレクトロニックな音が響くと思いきや美しいピアノの旋律が流れてきて、こうした運びはモダンですね。ピアノ・トリオの従来感覚を超えている。
 M10”Protest ”のドラミングは、こりゃもうロックですね。ピアノもその演奏に同調して迫力の展開を聴かせてくれる。しかしクラシックからエレクトロニック・ジャズをカヴァーした曲展開と言えども、非常に聴き安いというのも彼らの特徴のように思う。
 さてここにE.S.T.のようなスリリングな味付けが濃厚になってくると一段と私は評価すると言ったところですが・・・・・・。いずれにしても期待株には相違ない。

(試聴) 「MAN MADE OBJECT」から.”All Res” 

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2016年3月 7日 (月)

デヴィッド・ギルモアDavid Gilmoreのニュー・アルバム 「ENERGIES Of CHANGE」

ジャズ界のギタリスト:デヴィッド・ギルモアの四作目

Dg1 以前から気になっていたジャズ・キタリストのデヴィッド・ギルモア。とにかくあのピンク・フロイドのギタリストと名前が同じですからね。でもギルモアというのは日本語では同じだが、少々スペルは異なる(Gilmourと Gilmore)。
 このDavid Gilmore に関しては、彼のキャリアも結構長いんですが、1990年代からといっていいでしょうね。これといって深く興味を持つことも無く、彼のアルバムを聴いてみることもしてこなかった。 YouTubeで時に聴いてみていても、若干魅力を感じつつも、私の興味がそこに行く事も無くて、どこからとっついて行けば良いのかどうもよく解らないまま、何時かはと満を持していたのである。さてそれが丁度ここに来てニュー・アルバムと言うことで、さっそくアプローチしてみたんです。

<Jazz>
      David Gilmore「ENERGIES Of CHANGE」
      AGATE / JPN / AGIP-3570 / 2016

Energiesoch
All songs by David Gilmore except Over Shadow Hill Way (WaMyne Shorter) and Revelations (Kenny Kirkland )

Produced by David Gilmore

 デヴィッド・ギルモア (David Gilmore) - guitars
マーカス・ストリックランド (Marcus Strickland) - sop/alto/tenor saxes, bass clarinet
ルイス・ペルドモ (Luis Perdomo) - piano
ベン・ウィリアムス (Ben Williams) - bass
アントニオ・サンチェス (Antonio Sanchez) - drums
コフォ・ワンダ Kofo “The Wonderman" Wanda - Talking drum (on Dance of Duality)

 まずこのようなコンテンポラリー系のジャズ・ギターには、私自身はあまり馴染んで来なかったので、近年はパット・メセニーにその入り口をまかせて、その程度で経験させてもらっているところだ。
 このデヴィッド・ギルモアは、彼の参加したアルバムというのは莫大な量となっているが、彼自身のリーダー作は、なんと過去に三作のみ(末尾参照)であり、そんなことも馴染みが少なかった原因の一つかも知れない。しかしそんな寡作のため、ファンにとっては待ちに待った作品と言うが・・・・・・。

(Tracklist)
01: Energies Of Change
02: Rajas Guna
03: Dance of Duality
04: The Seeker
05: Sacred Pause
06: Over Shadow Hill Way
07: Awakening
08: Revelations
09: Trick of I

 この収録9曲中7曲はギルモアの曲という内容で、彼の意気込みが感じられるところ。さてその曲を聴いてみると、オープニングM1”Energies Of Change”は、なかなか感じの良いギターの静かな演奏からスタートするが、突如相性が良いというMarcus Stricklandの sop/alto/ saxesが入ってくる。そしてそれが、その後主役の如く響き渡るのだがこれは私はどうもダメなんですね。中盤のピアノとギターの交互の演ずる世界は良いのだが・・・。
 M2” Rajas Guna”これもここまで変拍子のファンクは、ちょっと気になる演奏だが、ギルモアのギター・テクニックのレベルの高さは十分感じられる。しかしなかなか私にはとりつく暇も無い世界。

Catsoutsidebunkerstudio5
 M3”Dance of Duality”ラテン調のパーカッションとベースの交錯が面白く魅力ある曲。ピアノの展開とギターのソロは見事。
 どうもこうして通して聴いてみて、こうしたビートの効いたコンテンポラリーな世界も面白いと思うのだが、このアルバムに関して言えば、あくまでも私の好みとしてこれだけsop/alto  saxesが入ってくると面白くないんですね。これが良いという人も多分いるのいるのでしょうけれどねぇ~~?。
 独断と偏見的に一口で言えば、うるさい高音系のサックスとのアンサンブルの醍醐味にとらわれずに。ギルモアのギターとむしろピアノとの流れを聴きたっかったというところです。そんな意味ではM5”Sacred Pause”に聴くそんなところの中盤の世界は魅力があった。

 まあ結論的にはこのアルバムは、私の好みの世界ではなかったと言っておく。多分叱られそうだがsop/alto/tenor saxesが無かったら・・・・案外気に入っていたかも知れない。と、言うのもYouTubeでみるベースとドラムスとのトリオものなんかは良いですからね。そんなところで後はファンの人にお任せだ。

(過去のDavid Gilmoreのアルバム)
1.Ritualism   2000
2.Unified Presence  2006
3.Numerology-Live at Jazz Standard   2012
1964年マサチューセッツ州ケンブリッジ出身。15歳からギターのレッスンを受ける。ニューヨーク大学でジャズを学ぶ。1987年よりプロデビュー。

(参考視聴)
 今回紹介のこの4thアルバムは私にとっては否定的であったが、この「YouTube」に観る”David Gilmore & Art Of Ascension -Live at Jazzfest SARAJEVO”なんかはなかなか魅力的です。

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2016年3月 4日 (金)

カナダからパスカル・ラボーレPascale Lavoie の復刻版 「moods」

”埋もれさせてしまうには惜しいカナダの美人ヴォーカリスト”
  ・・・・・というキャチ・フレーズで限定復刻

       <Jazz>
             Pascale Lavoie 「moods」
             Guide Tone Productions / CAN / GTP 00300 / 2016

Moods

Pascale Lavoie(voc) / Samuel Seguin(p) / Yanik Cloutier(g) / Dave Watts(b) / Nicholas Calloia(b #9) / Dave Laing(ds) / Patrick Graham(perc) / Shawn Craig(sax) / Strings arrangements by Samuel Seguin

 カナダからの2004年の復刻版。宣伝ではこのパスカル・ラボーレPascale Lavoieは、”埋もれさせてしまうには惜しいカナダの美人ヴォーカリスト”なんだそうだ。
 さてその彼女に焦点を当てるのだが、しかしカナダはジャズ女性ヴォーカリストを多く排出してますね。キャロル・ウェルスマン、ホリー・コール、ダイアナ・クラール、エミリー・クレア・バルロウ、ダイアナ・パントン、バーバラ・リカ、ジル・ハーバー、エリザベス・シェパードなどとなどキリがない。ちょっとジャンルを変えればもジョニ・ミッチェル、サラ・マクラクラン、セリーヌ・ディオンなどもいて豪華です。
 ここで取りあげるラボーレって、今日まで十数年のキャリア持ちで、その間、どうもこれを含めて3枚のアルバムがあるらしい。
 そしてこのアルバムは、私は全く知らなかったのだが、日本でもその筋では結構な値が付いていたようで、ここに限定復刻版として登場したのだった。

Photo3w(Tracklist)
1. Change Partners
2. You'd be so nice to come Home to
3. Speak Low
4. So in Love
5. The shadow of your smile
6. My funny Valentine
7. It's wonderful
8. Night & Day
9. Sway
10. In the still of the night
11. The best is yet to come
12. Watermelon Man [ bonus track ]

 内容は、ポピュラーなスタンダード曲で埋め尽くされている。そして彼女のヴォーカルは、まず低音部にヴォリュームのある特徴があって、高音部は美しいという確かに非凡なところを感ずる。そして全体的にジャズといってもホップに近い歌いっぷりで聴きやすい。バックの演奏もヴォーカルを引き立てるべくストリングスも入ってオーソドックスに優しいジャズ仕上げ。
 
 彼女の歌いっぷりは、一種独特な特徴もあって面白い。”It's wonderful ”などは軽快にこなしているが、”Sway”は、けだるさがあってこの曲としては異色。全体的には、ややムーディーなところがあると同時に物憂い感じも醸し出す。こんなところが支持されているのではないかと想像するところ。

Please_belong_to_me2 過去に『You and the Night and the Music』というアルバムがあったが、目下は手に入りそうも無い。
 そして近作は、2013年にアルバム『Please Belong to Me』(輸入盤 Dep / Canada / AUDD43402214 / 2013)がリリースされている。これはジャケもなかなか魅力的。そんなところで、ちょっと聴いてはみたくなるのだが・・・・・・。
 
 あまり情報の無い彼女だが、取り敢えず注目しておく。

(試聴)  「moods」から”So in Love ”

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