ミシェル・ビスチェリアMichel Biscegliaの近作アルバム 「BLUE BIRD」
物思いに耽る究極の耽美的詩情の世界
<Jazz>
Michel Bisceglia「BLUE BIRD」
Prova Records / PR 1507-CD28 / 2015
Recorded on July 9th 2015 at Crescend Studio
Michel Bisceglia (piano)
Werner Lauscher (bass)
Marc Lehan (drums)
今年新年の初聴きアルバムとして、イエローの『On a Sunny Day』か、ブルーの『BLUE BIRD』かと話題になったアルバムです。私はアレサンドロ・ガラティのイエローを新年のスタートの曲として取り上げたのですが、ミシェル・ビスチェリアのブルーもなかなかのモノでした。
遅まきながら、そろそろほとぼりも醒めた頃なのでここでミシェル・ビスチェリアMichel Biscegliaの『BLUE BIRD』のほうも取り上げておくこととした。(彼に関しては↓を参照してください)
(参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/michel-biscegli.html
(Tracklist)
1. Blue Bird Prologue
2. Waiting For The Bird
3. The Wrong Bird
4. Dry Water
5. Call Of Death
6. The Last Drive
7. Parallel Dreams
8. Dance Of Hope
9. Nunc Dimittis
10. The Birth
さてこのアルバムだが、ベルギーの人気ピアニスト・ミシェル・ビスチェリア(1970年ベルギーのZwartberg生まれ、血筋はイタリア系と言う)の映画「青い鳥」(ガスト・ヴァン・デン・ベルジュ監督、2011年作品)というトーゴ共和国で撮影された作品をきっかけに作られたもの。彼はその映画音楽も担当している。その為”music for the film concert”とサブ・タイトルが付けられている。
この映画は当然(と言っては語弊があるかも知れないが)観てないのでアルバムを聴きながら想像するところであるが、録音が2015年であり、映画に使われた曲を、ピアノ・トリオでアルバム用に演奏・録音されたのではないかと思っている。つまりサウンド・トラックものでは無いのだろう。
とにかく詩情豊かにして耽美的なピアノ・プレイを演じてくれるビスチュリアで彼の美しいメロディー・ラインを十分に堪能できる。
M1.M2.の約10分、8分というやや長めの曲には、このアルバムを表現するピアノの思索的にして耽美的世界を描く。特に詩情的美しさのメロディーは勿論だが、無音の間取りが何とも言えず引き込まれる。
M3.はビスチェリアの軽快なプレイを聴かせ、M5.は懐古的静の中の美しさ、M6.は期待と展望の美と続く。
M7.は珍しくドラムスからスタートするが、それに同調してのピアノが流れ、両者のコンビネーションの音楽的掛け合いが見事で、聴くものをして納得させる。
全体に美しいメロディーを主体に”静”と”トリオそれぞれの音の余韻による哀愁”を印象づけ、”華やか”というものでなく、どちらかというと”陰影のある世界”である。
まあテーマがそうなのだろうと推測するが、いわゆる軽快にスウィングするジャズではなく、又ダイナミックにスリリングに迫ってくるものではない。その点を期待すると裏切られる。
別の目から見た注目点として、このアルバムは録音の良いところも素晴らしい。ピアノのクリアな音に、ベースのソフトにして充実感のある音、そしてドラムスの特にシンバルの繊細にして響く空間が良い。その三者の分離とバランスが見事である。そこは気分を更に良くするポイントでもあった。
(視聴)
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コメント
「ミシェル・ビスチェリア」といえば、「Inner You」でその耽美的なピアノに驚嘆したものです。その後聴いていませんが、まだまだ健在でしたんですね。
投稿: 爵士 | 2016年4月 3日 (日) 14時21分
爵士さんこんばんわ。
いっや~~しかしこのミシェル・ビスチェリアという人のピアノの美的メロディーは超一流ですね。そしてアメリカにはないヨーロッパの味がたっぷりです。
私も彼は「Jazz Bar 2007」で知ったんですが、まだまだ健在そのものだと思います。次作も期待して良いのではないでしょうか。
投稿: 風呂井戸 | 2016年4月 3日 (日) 21時23分
風呂井戸さん、こんにちはmonakaです。
お待ちしていましたという感じでほっとしています。
私このアルバムかなりはまりました。
投稿: monaka | 2016年4月 5日 (火) 21時34分
monakaさん、1月早々聴きのアルバムで、あえてガラティのイエローをおいといて、このブルーを取りあげたのをしっかり覚えています(笑)。
この両者は決して同じタイプとは言えない別物でありながら、我々に迫ってくるところは同じと言うニクイところですね。しかしいずれにしてもビスチェリアはまだまだこれからもやってくれそうで楽しみです。
投稿: 風呂井戸 | 2016年4月 5日 (火) 22時26分