ニコライ・ヘスNikolaj Hessの静謐な世界のアルバム「Rhapsody」
静謐の画家ヴィルヘルム・ハンマースホイをテーマに・・・・
<Jazz>
Nikolaj Hess 「Rhapsody」
SPACE SHOWER MUSIC / B018ISK64K / 2016
2015年11月27日&28日デンマーク-コペンハーゲンMILLFACTORY録音
Nikolaj Hess(piano)
Anders Christensen(bass)
Mikkel Hess(drums)
Marilyn Mazur(percussion,drums)
(Tracklist)
1. Lay Lady Lay - Bob Dyan
2. Orken *
3. I Hear A Rhapsody - George Fragos
4. African Flower - Duke Elington
5. Meadow 草地 *
6. Marsh 湿地 *
7. Clouds 霧 *
8. Griegs Birds *
9. Swing *
10. Throughout - Bill Frisel
11. Smile - Charlie Chaplin
(*印 Nikolaj Hess の曲)
ニコライ・ヘスNikolaj Hess(1967~)はデンマークのピアニストで、目下はオスロとNYの双方に拠点を持って活躍しているようだ。これは彼のピアノ・トリオにパーカッションのMarilyn Mazurを加えての作品。収録曲は彼の書き下ろしと民謡そしてデューク・エリントン、ボブ・ディラン、チャップリンなどの曲を盛り込んでいる。
ヘスは抒情派といってよいと思うが、このアルバムもメロディアスであり詩的な抒情を感ずる世界に連れて行ってくれる。
サブ・タイトルに”Impressions of Hammershøi”とあるように、デンマークの静寂の画家と言われるヴィルヘルム・ハンマースホイをテーマにして、彼の書いた曲6曲を主体に演じ、アルバムを作り上げている。私はヴィルヘルム・ハンマースホイという画家は知らなかったが、描く世界は「静寂」そのものであるという(↓)。
(参考)ヴィルヘルム・ハンマースホイVilhelm Hammershøi(1864-1916)=デンマークの画家。作品は、白・黒・灰色を基調とした抑えた色調で、時間の止まったような静寂な空気を感じさせる細密なタッチの室内画が中心であったようだ。室内風景画の多くには背を向けた人物が描かれているが、その人物の殆どは妻のイーダを始め家族であったという。(↓)
* *
このアルバムではヘスのピアノ・トリオに、Marilyn Mazurをゲストに迎えて、パーカッションを有効に使っている。そのせいか何処か北欧の世界から一歩異なった民族的郷愁感の漂う世界への響きを感じ取れる(特M4.”African Flower ”に)曲もある。
しかし、この”耽美にして静寂の世界”が、演奏する音から生まれることに不思議に思いつつも何時か描く独特の世界に浸ってしまうのである。
とにかく誰もが知っているチャップリンのM11.” Smile ”を聴くと、その変容にうなづいてしまう。
ニコライ・ヘスは、世界で広く活躍中と言うが、コペンハーゲン音楽院准教授。デンマーク王立音楽院客員教授。その他、パリ、ニューヨーク、南アフリカなどの大学で客員教授を勤めているのだそうだ。
そんな最中に2015年にニューヨークで開かれた「ヴィルヘルム・ハンマースホイ展」の際にデンマーク国立美術館の依頼でピアノ・ソロ・コンサートを行った。それがこのアルバムに流れていくことになったと思われる。
こうした「静謐」という世界に時には「無の心」で浸ってみるのはなかなか味なものであった。
(試聴)” I Hear A Rhapsody ”
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コメント
”耽美にして静寂の世界”。このテーマも、人材も尽きることがありませんね。なかなかいい。
投稿: 爵士 | 2016年4月30日 (土) 00時07分
爵士さん、こんにちわ。
Nikolaj Hessってキャリアーの割には、日本でそれほど知れ渡っていないような気がします。しかしなかなか素晴らしい世界を持っていて、私ももう少しアプローチしたいと思っています。
このアルバムは私にとっては愛蔵盤ということになります。
投稿: 風呂井戸 | 2016年4月30日 (土) 09時59分