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2016年4月14日 (木)

アリーチェ・リッチャルディAlice Ricciardi のモダン・コンテンポラリー・ジャズ

大人のノーブルにしてドリーミーなジャズ・ヴォーカルは魅力

 Alice Ricciardi アリーチェ・リッチャルディ(英語ではアリス・リシャルディですかね)というイタリアの女性歌手は、2008年に日本にもアルバム・デビューしているが聴くチャンスが無かった。しかし彼女を紹介しているブログをみて何となく興味を持ったので今回アプローチしてみた訳だ。

 2008年のデビュー作『COMES LOVE』 (BLUE NOTE / EMI)で大きく脚光を浴びたのが日本で知られるスタートか。2014年に2ndアルバム『OPTICS』をリリースしている。

    <Jazz>
      Alice Ricciardi 「OPTICS」
      inner cicle music / US / INCM048CD / 2014

Opticsweb

Alice Ricciardi (vocals)
Pietro Lussu (piano, electric piano)
Enrico Bracco (guitar)
Dario Deidda (double bass, bass)
Marco Valeri (drums)


Ar1(Tracks)
1. Deep Song (G. Cory / D. Cross)
2. Anyone Lived In A Pretty How Town (poem by e.e. cummings, music by A. Ricciardi / P. Lussu)
3. Optics (S. Premazzi / A. Ricciardi)
4. I Feel A Song Coming On (D. Fields / G. Oppenheimer / J. McHugh)
5. Intro #1
6. Sorrow (poem by Edna St.Vincent Millay, music by A. Ricciardi / P. Lussu)
7. Flying In A Box (E. Bracco)
8. Intro #2
9. A Flower Is A Lovesome Thing (B. Strayhorn)
10. Intro #3
11. Worry Later (M. Guryan / T. Monk)
12. I’ve Heard An Organ Talk Sometimes (poem by E. Dickinson, music by A. Copland)

 下に彼女の1stアルバムを取りあげているので参照して欲しいが、この2ndは彼女の特徴であるノーブルにして艶やかなやや陰影を感じさせるヴォーカルが又一段と進化して、決して力を入れて歌うのではなく語りかけるようなそして包み込む暖かさもあるのだが、それが非常に聴く者にインパクトを与える。これはなかなかバックの演奏陣の近代的な演奏の洗練された曲作りに乗ってのジャズ・ヴォーカルものとして、コンテンポラリーな新分野を開拓している。私もしばらく驚きで聴き入った。
 特にM5.のピアノ・ソロのイントロに続いてのM6.” Sorrow ”のピアノ・トリオをバックにしての詩的なヴォーカルの世界はハイレベル。それはM8.のベース・ソロの弱音によるイントロから M9.”A Flower Is A Lovesome Thing ”においても詩的な夜の情景が浮かぶ世界は見事。
 Jazzy not Jazz の華やかな現在に、ジャズ・ヴォーカルというものの究極の一面を知り尽くしてのヴォーカルに喝采をするのだ。とにかく彼女の声の質も中・低音にマイルドにして美しく厚みもあって、高音に澄んで伸びる快感の質感がある。

 しかしこれだけのものが、2015年3月号「ジャズ批評」の”2014年ジャズオーディオ・ディスク大賞”ヴォーカル部門に36位まで見ても入っていないのだが、どうしたことか?不思議でならない。

 アリーチェ・リッチャルディは、1975年イタリア、ミラノ生まれ。「ジュゼッペ・ヴェルディ音楽院」にてバイオリンとピアノを学ぶ。その後、「ミラノ国際音楽アカデミー」でヴォーカルの勉強もする。2002年にはフランスにて ヨーロッパでは名の知れた教育者としての学位F.N.E.I.J.を取得。2005年の「インターナショナル・モントレー・ジャズ・フェスティバル」の”ヴォーカル・コンペ”にて2位に入賞し実力を評価される。2006年N.Yで行われたIAJE(国際ジャズ教育者協会)に招待された。それを機会にその後N.Yにて多様なアーティストと共演、ロベルタ・ギャンバリーニやティツィアーナ・ギリオーニらに師事して、ローマとN.Yを行き来しつつ精力的に活躍、多くの経験を積んだ。1stの何曲かはUSで録音している。

(参考までに1stを紹介↓)

   <Jazz>
         Alice Ricciardi 「COMES LOVE」
       EMI / Italy / X5128422 / 2008

E0042361_23145756
ALICE RICCIARDI(vo), ROBERTO TARENZI(p), MARCO BOVI(g), PAOLO BENEDETTINI(b), NEAL MINER(b on M1,3,7,11), WILL TERRILL(ds), GAETANO PARTIPILO(as, fl), PASQUALE BARDARO(vib), special guest FABRIZIO BOSSO(tp:M5,12)

 (Tracks)
1. Comes Love
2. Summer Song
3. Give Me The Simple Life
4. I Was Doing Allright(The Goldwyn Follies)
5. I’m Gonna Laugh You Right Out Of My Life
6. Who Cares (As Long As You Care For Me) (Of Thee I Sing)
7. If I Should Lose You
8. The Boy Next Door
9. I’ll Remember April
10. Ghost Of Yesterday
11. Here Lies Love
12. By Myself
13. Le Tue Mani

 ”BLUE NOTEから、注目のヴォーカリストが登場! ”と言うことでデビュー。ファッショナブルでスレンダーな美人シンガーというところも注目点。今回初めて聴いたのだが、スタンダード中心で比較的オーソドックスなモダン・ジャズ世界。イタリアのトップミュージシャンがバックを固めている。そんな為か、この1stでも、近代的コンテンポラリーな雰囲気はしっかりと築いている。しかしなんと言っても、説得力のある個性ある美しい情緒溢れる歌声が魅力。
 特にM5 は、しっとりと歌い上げ、そこにイタリアの人気トランペッターFABRIZIO BOSSOが登場して一層ムードを盛り上げてくれる。

(試聴)1”Optics” from 「OPTICS」

                   *                *               *

(試聴)2”I’m Gonna Laugh You Right Out Of My Life ” from  「Comes Love」

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コメント

デビュー盤、「Comes Love」を聴いたときは、「Jazzy,Not Jazz」風でなく、またそのイタリアのチャキチャキ娘といった活きの良さに随分と期待したものですが、その後消息を聞きませんでしたが、2ndが出ていたんですね。おっしゃるとうりもっと評価されてもいい歌手。それにはもっとアルバムが欲しいところ。ロベルタ・ギャンバリーニに随分と差をつけられた感じです。

投稿: 爵士 | 2016年4月15日 (金) 23時43分

爵士さん、コメント有り難うございます。よくもまぁ~、2008年に「Comes Love」に目を付けましたね。私は今にして2nd「OPTICS」と一緒に聴いてますが、この間の成長も著しく良い意味でイタリアのティツィアーナ・ギリオーニの弟子として育っていると思います。。ロベルタ・ギャンバリーニの良いところも身につけていて、今後は注目株間違いなしです。今年か来年あたりに3rdも期待しているところなんですが。

投稿: 風呂井戸 | 2016年4月16日 (土) 10時11分

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