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2016年5月26日 (木)

ロベルト・オルサー・トリオRoberto Olzer Trio の美世界 「THE MOON AND THE BONFIRES」

ピアノ・トリオの美しさの凝集~ベーシストの強力な援助を得ての第二作

Steppinout_2 あの”不思議なバランスを取った椅子のジャケ”で印象深いロベルト・オルサーRoberto Olzer(1971年生まれ、イタリア。師:Enrico Pieranunzi)のピアノ・トリオ1stアルバム「Steppin'Out」(ABJZ517 / 2013 )を取りあげたのは一昨年になる(→)。そしてあのアルバムの印象深さは、更にその上を行く何と言っても”品格ある叙情”であった。

(参考)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/roberto-olzer.html

 そして昨年11月にATELIER SAWANOから2ndアルバムがリリースされていた。実はそれをマーク不足で今年春になって知ったというお粗末で、諸々から後回しになって、ここに遅まきながらその感想と言うことになった。

<Jazz>
     ROBERT OLZER TRIO  
   「THE MOON AND THE BONFIRES」

         ATELIER SAWANO / JPN / AWS147 / 2015

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Roberto Olzer (piano)
Yuri Goloubev (bass)
Mauro Beggio (drums)

 Recorded and mixed in September 2015 at Artesuono, Cavalicco (UD), by Stefano Amerio.

(Tracklist)
1. Beautiful Love (Victor Young)
2. La bella estate (Roberto Olzer)
3. Bibo no Aozora (Ryuichi Sakamoto)
4. Ich will meine Seele tauchen (Robert Schumann)
5. Le Vieux Charme (Yuri Goloubev)
6. Muirruhgachs, Mermaids, and Mami Wata,Wrapped Around Your Finger (Sting)
7. Little Requiem (Yuri Goloubev)
8. Seaward (Enrico Pieranunzi)
9. La luna e i falò (Roberto Olzer)
10. Adagio (from Piano Concerto) (Francis Poulenc)
11. Chàrisma (Roberto Olzer)

Robertoolzerright1 このトリオ2ndアルバムも1stの好評のためか、同メンバーによるもの。特にロシアのベーシストYuri Goloubev の強力なバックアップで、今回も見事なアルバムが完成している。

  M1. ”Beautiful Love” はVictor Youngの曲でスタートから美しさが迫ってくる。そしてRoberto Olzerの曲M2.”La bella estate”がクラシック調の世界を見せてくれる。
  M3. ”Bibo no Aozora (美貌の青空)”が登場。坂本龍一の曲だ。この美しさには絶句、う~ん、これだけでも満足だ。
 そして続くはM4.” Ich will meine Seele tauchen” はシューマンの曲で、Roberto Olzer のクラシックの世界からのジャズ・アプローチの真髄をみせる。それもベースのYuri Goloubevも、クラシック・オーケストラでのベース奏者としての世界をかぶせてくるので、いやはやそれはジャズと言うかクラシックというか・・・・とにかく美しさに浸れるのである。

Yuri2 M5. ”Le Vieux Charme”を聴くと、Yuri Goloubev(←)というベーシストも、忘れられない美旋律を作り出す人なんですね、素晴らしい。
 ところが、続くはStingが・・・・ロックの世界と来るからM6. ”Muirruhgachs, Mermaids, and Mami Wata,Wrapped Around Your Finger ”で驚きですが、なんとピアノ・プレイは軽快なクラシックになってしまい、ドラムスが頑張って辛うじてロックを思わせる。
 M7. ”Little Requiem ”、Yuri Goloubevの曲。ここでもRoberto Olzer のピアノと共に、彼のの美しいベースが堪能できる。いやはや参ります。
 M8. ”Seaward” 、聴いたことがあると思ったら、ついに登場ですね、Roberto Olzer の師匠Enrico Pieranunziの曲。あの美しさを彼は軽快さとダイナミズムを加えて演じてみせる。
 M9. ”La luna e i falò” この曲もRoberto Olzerのオリジナル曲。軽快に流れる美しさに圧倒されます。
 そしてM10.、M11.と完全にジャズを超越した美しさに満たされるのである。

 とにかく、このアルバムも、全編ジャズにせよロックにせよ、クラシック的美しさで纏め上げてしまうRoberto Olzer には脱帽ですね。

(参考視聴) ”Die Irren” from 1st Album

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コメント

私にとっては、久しぶりに見つけた新顔。繰り返し聴いています。

投稿: 爵士 | 2016年5月27日 (金) 18時27分

爵士さん、こんばんわ。
 坂本龍一を、あの美学で演奏してくれて嬉しい限りでした。
 又、Roberto Olzer のセンスの良さに魅せられるのですが、ベースのYuri Goloubev にも十分マークしておかねばならないことを実感しました。

投稿: 風呂井戸 | 2016年5月27日 (金) 19時50分

風呂井戸さん、こんにちはmonakaです。
このアルバム、貴殿の記事をみてきがついたのだから、苦笑い、あわてて買ってきて記事にしました。
おかげで良い記事になりましたというのは嘘でアップしてくれてよかった。
TBさせていただきます。

投稿: monaka | 2016年6月 1日 (水) 16時27分

最中monakaさん、コメント、TB有り難うございました。
 ほんとにこのトリオは品格があって、爽快なる美学で素晴らしいです。そこに坂本龍一の”美貌の青空”まで登場して、もうメロメロでした。
 もう第3作に期待しているんです(笑)。
 こちらからもTBさせて頂きます。

投稿: 風呂井戸 | 2016年6月 1日 (水) 20時30分

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受信: 2016年6月 1日 (水) 16時28分

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