ジャズを楽しませてくれる・・・・ビル・チャーラップのピアノ・トリオ:「New York Trio」
ジャズの基本であるピアノ・トリオの入門シリーズと言って良いか?
私には結構ジャズ・アルバムのカヴァーに抜けているところがあって、このピアノ・トリオのNew York Trioについては、一昨年ぐらい前には白紙状態でした。ブログ友の爵士さんお気に入りということで、いろいろと教えて頂いたのが切っ掛けで、それ以来このトリオの作品は、何というか、ジャズの基礎の基礎、楽しさの原点といった感じで聴いてきました。Venus Recordsから2002年から毎年1枚のペースで、7枚のアルバムのリリースがあって、今日までに再発や、カップリング・シリーズ、ベスト盤などいろいろと発売されていますが、先日遅まきながら全てトータルに聴くことになって、ここに記録を兼ねて紹介するということに相成った次第です。
そこで、中でも一番の私のお気に入りから紹介です(↓)・・・・
<Jazz>
New York Trio 「BLUES IN THE NIGHT」
Venus Records / JPN / VHCD-2028 / 2002
Bill Charlap (piano)
Jay Leonhart (bass)
Bill Stewart (drums)
Recorded at "The Studio" in New York on June 7 and 8, 2001
1. 夜のブルースBlues In The Night(H. Arlen )( 8 : 20 )
2. 一晩中踊れたら I Could Have Danced All Night(F. Loewe )( 6 : 34 )
3. Blue Skies(I. Berlin )( 4 : 53 )
4. You Better Go Now(B. Reichner, R. Graham )( 7 : 22 )
5. My Funny Valentine(R. Rodgers )( 6 : 12 )
6. Tenderly(W. Gross )( 5 : 10 )
7. Embraceable You(G. Gershwin )( 7 : 43 )
8. Don't Explain(B. Holiday )( 5 : 53 )
ヴィーナス・レコードがまずは独自に見いだしたと言って良いピアノ・プレイヤーのビル・チャーラップのピアノ・トリオ作品。2001年にNYで録音したもの。これは日本向けトリオとして結成し演奏しているのだ。その為か、スタンダードを中心としたありきたりの選曲。しかしここにはジャズの基本であるスヴィング演奏の醍醐味、ピアノのリズム感と美しいメロディーと、彼でなければと言える展開の妙にバラードの説得力が襲ってきて、過去の演奏の2番煎じでなく、しかも聴く者に快感を与える見事なトリオとなっているのだ。
とにかくその醸し出すムードは、まさにニュー・ヨークの夜。そこにはその洗練されたジャズ・メンの味が詰まっている。リズム・セッションがなんとなく洒落ていて、そこにチャーラップのピアノの叩く音がニュー・ヨークなんですね、それを感ずるから素晴らしいのかも知れない。
そして彼らの一連のシリーズの中でも、1stアルバムのこのアルバムが私は最も好きなんです。
まあVenus Recordsがビル・チャーラップ(1966年、ニュー・ヨークにて音楽一家に生まれている)に目を付け、日本向けに商業的に受けを狙っての企画したピアノ・トリオだと言うことで少々抵抗もあるが、それが思いの外、我々にとっては素晴らしいものになった。なおベースのJay Leonhart がこのトリオを上手くリードしているようで・・・・と、その良さを素直に受け入れたい。
なお、ビル・チャーラップは、Blue Noteと契約があって、そちらには「ビル・チャーラップ・トリオ」というピアノ・トリオもある(近作「Notes from New York」Impulse!/4778388/2016)。
そしてこの日本向け企画も、2007年にいろいろと契約上の問題があって頓挫し、取り敢えずはこの「New York Trio」は目下消滅しているのだ。
■ その他の「 New York Trio」の一連のアルバム(↓)
「The Things We Did Last Summer」
VHCD-2015
The Studio, NYC, April 3 & 4, 2002
「Love You Madly」
VHCD-2034
Avatar Studio, NYC, April 7 , 2003
「Stairway To The Stars」
VHCD-2018
Avatar Studio, NYC, November 11 & 12, 2004
「Begin The Beguine」
VHCD-2019
The Studio, NYC, August 23 & 24, 2005
「Thou Swell」
VHCD-3019
Clinton Rec. Studio, NYC, September 30 & October 1, 2006
「Always」
VHCD-3006
Clonton Rec.Studio, NYC, May 30 & 31, 2007
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コメント
まったく同感です。JAZZを、「人生のBGM」といってはばからない私ですが、このトリオのCD、特に「The Things We Did Last Summer」、「BLUES IN THE NIGHT」は、いつも海外出張に携えていきました。i-PODをまだ持っていない頃です。私にとってBGMと同時に、JAZZはエンタメであるという見本のようなトリオ。
投稿: 爵士 | 2016年6月 8日 (水) 21時19分
爵士さん、コメントどうも有り難うございます。
なんとなく、聴きたいという面白い魅力のあるピアノ・トリオですね。
おっしゃる”JAZZはエンタメであるという見本のようなトリオ”と言う表現がいやはや上手く表現されているように思います。そのあたりが意外に奥深いんですね。
このVenusによるトリオは、小休止(?)になっているところは残念ですね。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2016年6月 9日 (木) 18時08分