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2016年8月17日 (水)

シェリル・ベンティーンCheryl Bentyneのソロ・アルバム考察(2)

グループ・ヴォーカルからソロ・ヴォーカル・アルバムの成功

 前回に続いて、シェリル・ベンティーンCheryl Bentyneのソロ・ヴォーカル・アルバムを聴き込んでいると、その二十数年の歴史においての変遷が結構面白い。
 ここでは、むしろ彼女のその初期から中期のアルバムをチェックしてみよう。

<Jazz>
Cheryl Bentyne  『something cool』
columbia / US / ck48506 / 1992

Somethingcool_2

Cheryl Bentyne(voc.), mark Isham(trump, Flgel), Chuck Damonico(bass), Kurt Wortman(dum.), Corey Allen(piano)

1. Something Cool 
2. Les Modernes (Still They Tango)
3. Les Enfants

4. Fever
5. Moonray
6. Invitation

7. Daydream
8. Let's go out tonight

9. Lonely house
10. I didn't know about you

 ベンティーンが今から24年前若き38歳の華々しき時のアルバム。ヴォーカル・グループ「マンハッタン・トランスファー」にあってのこれが彼女の1stソロ・アルバムという新展開を狙った試み。
 近年の中低音域のソフトなヴォーカルものと明らかに違って、グループでソプラノ・ジャズ歌手としての役を担っているだけあって、そのソプラノの味を十分発揮しているヴォーカル・アルバムである。

3294_9 スタートのM1.”Something Cool” は、ストリングスがバックにあってアメリカ・ミュージカル映画のサウンドトラック調でり、はたまたM2.”Les Modernes (Still They Tango)”では、ジャズそのもので、トランペットの響きとピアノ・トリオがバックを支える中にしっとりと歌い上げる。
 そしてM3.” Les Enfants”はピアノなしのフルーゲルホーンとパーカッションの活きたバック演奏でムードは一変、ヴォーカルはやっぱりソプラノ域が中心。
 続くM4.”Fever”は、ベース、パーカッションの軽快なリズムに乗ったジャズの展開を堪能させる。
 更にM5.”Moomray”、M7”Daydream”は一転して深遠な世界を歌い込む。
 曲によって、ジャズといってもそのパターンは多彩で、近年の聴きやすさのJazzy not Jazz路線寄りのものと違って、彼女なりきのジャズへの挑戦の姿が感じられるなかなかの傑作である。彼女の一連のアルバムの中でも異色でありながら、評価されるべきものだと思う。

さて、ついでに・・・・

<Jazz>
Cheryl Bentyne  『Talk Of The Town』
バトルホイール/JPN / KICJ439 / 2002

Talk_of_the_town_2_3

CHERYL BENTYNE(vo),KENNY BARRON(p),LEWIS NASH(ds),JOHN PATITUCCI(b)

1. ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ
2. 誰も奪えぬこの想い
3. リトル・バタフライ(パノニカ)
4. ザ・ベリー・ソート・オブ・ユー
5. ラブ・ミー・オア・リーブ・ミー
6. エブリシング・ハプンズ・トゥ・ミー
7. ファーマーズ・マーケット
8. ザ・トーク・オブ・ザ・タウン|ゲット・アウト・オブ・タウン
9. ガール・トーク
10. ザ・ミーニング・オブ・ザ・ブルース
11. 春の如く
12. ジーズ・フーリッシュ・シングス
13. スティル・グッド・フレンズ

  このアルバムはジャズ・アルバムそのもの。バックのジャズ演奏においてもKenny Barron以下のメンバーの魅力が感じられ、それに乗っての彼女のリズムカルな歌と、一方ムーディーなヴォーカルも冴えている。更に歌唱力を訴える曲も盛り込んでのなかなかの良盤ですね。彼女の完成型の表現アルバムと言っておきたい。

 こうして聴いているとシェリル・ベンティーンってなかなか技巧派であることが実感するところである。

(試聴) ”Moonray”

”You'd Be So Nice To Come Home To”

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