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2016年9月23日 (金)

イタリアン・ロックの軌跡(7)ムゼオ・ローゼンバッハ「ツァラトゥストラ組曲」

イタリア・プログレの真骨頂~そこには人間復興への歌

<Progressive Rock>
    MUSEO ROSENBACH  「ZARATHUSTRA」
       BMG / BVCM-37425 / 1973
       KING /  JAPAN / K32Y 2117 /1982

Zarathustra
Stefano "Lupo" Galifi / vocals
Enzo Merogno / guitar, vocals
Pit Corradi / Mellotron, Hammond organ, vibraphone, Farfisa el. piano
Alberto Moreno / bass, piano
Giancarlo Golzi / drums, timpani, bells, vocals

 1970年代初めに一口にプログレッシブと呼ばれるロックであっても、それには多種多様なパターンがあった。特にイタリアでは、アレアのようなジャズ・ロックも当然一つの形であったが、やはりなんと言ってもイタリアの特徴はクラシック音楽の伝統をバックに壮大なオーケストレーションを加え、時に合唱をも取り込み、そしてドラマチックな手法や様式美を築き、しかもそこにカンツォーネの歌心が盛り込まれるという叙情性も加味されたヘビー・シンフォニックである。そしてその代表とも言えるのが、1アルバムで消えたこのムゼオ・ローゼンバッハMuseo Rosenbachである。

Museo1_2
 当時”ヘビー・シンフォニック・ロック”と言う言葉が生まれた対象ともなったこのアルバム、日本ではマニアに圧倒的人気があり、再発前は簡単に手に入らず数万円で取引されていたもの。それもキング・レコードから「EUROPIAN ROCK COLLECTION」としてリリースされファンは歓喜した。更にCDブームで1982年には、CDのリリースもあって、ようやく一般人に広げられた。なんとそれはイタリアでのリリースから10年後であった。私も彼らの音源はそれなりに持っていたが、このCD発売の恩恵に与った人間である。

Zarathustralist ニーチェの哲学叙事詩「ツァラトゥストラはかく語りき」を元にしていると言うが、そのあたりは詳しくないので解らないが、反キリスト教的思想が貫かれていると言うことは間違いない。(イタリア、時の政権は右翼キリスト教民主党)
 ”パワフルなキーボード・オーケストレーションを駆使した、エネルギッシュかつ交響曲的高揚を持つヘヴィ・ロックの傑作”と表現されるが、まさにそのどうりの圧巻の一大叙情詩。
 当時プログレの代表楽器のキーボードであるオルガン、メロトロンが雄大に響き、それに止まらずギターのハード・ロックなプレイが絡んで重厚なる深遠なる世界を描いている。

 スタート”最初の男”はギターによる物語の始まりで、歌心あるヴォーカル、そしてキーボードの盛り上がりといったところ。
 ”昨日の王”は深遠な世界、ここでもカンツォーネの流れを感ずるヴォーカルが聴ける。
 ”善悪の彼方に”はハードにスタート、ヴォーカルも力が入る。ギターとオルガンのコンビネーションによるハードロック調のヘヴィなプレイ。
 ”超人”再び世界を歌い上げる。
 ”砂時計の宮殿”全楽器でハードでシンフォニックな世界を盛り上げる。そして壮大なテーマのメディーが再び流れる。
 
 組曲とは別の”女について”ではギターの泣き、ハードなオルガン、高らかに唄うヴォーカルと、イタリアものらしい曲である。”自然”はE.L.Pを思わせる。”永遠の回帰”は彼らの主張をハードに。

Rare とにかく当時は1アルバムのロック・グループとして重宝がられたわけだが、その後、まさにイタリアンなドラマティック・ポップで一世を風靡したバンドのマティア・バザールMatia Bzar(このバンドにも一度焦点を当てる予定)にも流れていった訳だが、当時プログレ・ファンにはこのアルバムが忘れがたく、その為1992年には当時のレア・トラックのアルバム「Rare & Unreleasd」(→)というアルバムを産むほどであった。

(社会背景からのロック)
 しかし、重要なことは、当時のイタリアの社会情勢である。当時のオイル・ショック(1973年10月)は日本と同様に資源の無いイタリアには大打撃で有り、社会危機と政権交代(キリスト教民主党)などはロック・コンサートの否定と走り、イタリア・ロック界は撃沈される。そんなところを予知しての彼らの高貴な支配者を期待したゾロアアスター教(ツァラトゥストラ)への永遠の回帰を期待する世界、人間復興が歌われているのである。そしてこのバンドは解散。
 こうした時代背景は常にロックの形を作り上げてきた重要因子であったことを知らねばならないだろう。これこそがロックの醍醐味なのだ。

 そして1アルバムで消えた彼らも2000年には(Stefano “Lupo” Galifi(vo)、Alberto Moreno(key)、Giancarlo Golzi(dr/per/vo)のオリジナル・メンバー三人を中心として)再結成となってアルバム「EXIT」のリリースをみたのである。

<MUSEO ROSENBACH ~Discography>
1973  Zarathustra
1992  Live72 ,  Rare and Unreleased
2000 Exit
2012 Zarathustra- Live In Studio
2013 Barbarica

(参考)
当シリーズ過去の「イタリアン・ロックの軌跡」に登場バンド
1.I Giganti
2.Il Volo
3.Lucio Battisti
4.Mario Panseri
5.Premiata Forneria Marconi (PFM)
6.Il Rovescio Della Medaglia (RDM)

(試聴)

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コメント

ムジチ ムジカときて、ムゼオですね。
ミュージアムの意味ですね。

投稿: nr | 2016年9月24日 (土) 09時33分

nrさん、こんにちわ。
 いやはやあの頃が懐かしいですね。
 当時仕入れたイタリア語辞典italiano←→giapponese が今も健在です(笑い)。"Museo"って、そうそう"博物館"ですね。
 先日のReale Accademia Di Musica(真の音楽協会?)も'72年で、その時より後でしたが両者は欲しくてならなかった時を思い出します。
 彼らは全てあのオイル・ショツクという大打撃で、つぶされて行ってしまった。
 

投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2016年9月24日 (土) 18時35分

あらま、久々に見た、これ。
見たらメロディが出てきた(笑)。
この頃のイタリアはホント面白いですからねぇ。

投稿: フレ | 2016年9月24日 (土) 22時33分

フレさん、こんばんわ。
 確かフレさんもブログでこのMUSEO ROSENBACH については触れていたように思います。
 だれでも一度はこのアルバムは通っていって欲しいところですね。まあ名作ってことでしょう。

投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2016年9月25日 (日) 19時13分

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