デヴィッド・ギルモアDavid Gilmourライブ 「WROCŁAW 2016-Rattle That Lock World Tour」
ギルモアのニューアルバム・ライブも半分はピンク・フロイドもの
<Progressive Rock>
(映像版)David Gilmour
「COMPLETE WROCŁAW 2016-Rattle That Lock World Tour」
(Bootleg) Plac Wolności, Wrocław, Poland 25th June 2016
デヴィッド・ギルモアDavid Gilmourの ニュー・アルバム「Rattle That Lock 」にともなう昨年から今年にかけての「Rattle That Lock World Tour」も成功だった。ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカのライブだったが、Bootlegで何枚か映像版がリリースされている。ここに取りあげたのは、ポーランドでの放送用オフィシャル映像もので良好盤だ。
2枚組でこの日の全てを収録している。こうしたものがリリースされるので、近年は情報に事欠かず、サウンドもそれなりのもので演奏を観賞できる。そこに居ずして全容を感じ取ることが出来て良い時代ですね。昔はその内容の情報すら手に入れるのに大変だった。
これはポーランドに於ける2016年6月もので、ディスク1がポーランドの公共テレビ局「TVP2」のHD放送だったのに対し、ディスク2は「TVP1」もので完全を期している。
私はギルモアに関しては、「ピンクロフロイドもの」となると、余りにも4人体制時との本質的違いで、そのギャップであまり興味が無いのだが、ソロである「ギルモアもの」となると、別の意味で楽しみにしている。
結論的には、やはりギルモアは、ソロで彼のやりたいところをピンク・フロイドという拘束なしに、女房のポリー・サムソンの力を借りてミュージック・プレイヤーとして作り上げるとなかなか味が出るのですね。もともとピンク・フロイドの彼のギター・サウンドは圧倒的支持を得たわけで、そのミュージシャンとしては完成域に有り、それを中心にしたロック・ショーと言うよりは、彼のミュージック・ショーとしての売りには大いに歓迎するところなんです。
収録リストは上の通り。やはり彼のニュー・アルバムの「Rattle That Lock Tour」と言えども、”Time”、”Money”など半分以上は懐かしのピンク・フロイドもので、この映像を見ていても解るが、そちらの方に観衆は反応している。まあそれはそれでしょうがないのだろうが、ギルモアとしては若干複雑であったろう。
彼のギターの演奏も既に”究極のギルモア世界”で完成しており今回は新しさは無かった。そして結構ヴォーカルものが多かったが、その力量はやっぱり少々低下していた。これも年齢からはやむをえないところだろう。
これをみると、ジェフ・ベックはロッカーとして”まだ俺はやってるんだ”というところには頭が下がるが、ギルモアは既にロッカーというところでなく、ミュージシャンですね。もともとそうだったが。
このライブでの一つのポイントは、ポーランドと言うことで”The Girl In The Tellow Dress”に、私の注目株のジャズ・ピアニストのLeszek Moźdźerがゲストとして登場したことだ。これはなかなかよい企画であった。この曲は今回のニュー・アルバムでは唯一ジャズ・ブルース調で私が注目したものだ。ピンク・フロイドを意識して問題意識を持とうなんてことをしてもロジャー・ウォーターズには及ばないので、ギルモアは自分なりきの姿で軽い曲作りでいたほうが、良い味が出るんですね。
そしてお決まりの”Comfortably Numb”で打ち上げのスタイルをとっている。これはウォーターズも同じパターンであって、この2人の関係は如何にも・・・同じくしてピンク・フロイドをベースに持っての活動であると言うことに落ち着くのですね。
今度は又ロジャー・ウォーターズが「US+THEM」ツアーに入るようで、この2人でピンク・フロイドからの独自の発展系を目指して人生の究極の姿を作り上げていってくれるのは大歓迎である。
(視聴)
| 固定リンク
« エレン・アンデションEllen Andersson 「I'LL BE SEEING YOU」 | トップページ | マデリン・ペルーMadeleine Peyrouxのニュー・アルバム「SECULAR HYMNS」 »
「音楽」カテゴリの記事
- マニュエル・ヴァレラ Manuel Valera Trio 「 Live At l'Osons Jazz Club 」 (2024.09.17)
- ダニエル・ガルシア Daniel Garcia Trio 「Wanderland」(2024.09.12)
- ヘンリック・グンデ Henrik Gunde 「Moods」,「Moods Vol.2」(2024.09.07)
- サンディ・パットン Sandy Patton 「Round Midnight」(2024.09.03)
- ブリア・スコンバーグ Bria Skonberg 「What Is Means」(2024.08.27)
「ROCK」カテゴリの記事
- ロジャー・ウォーターズ Roger Waters 「The Dark Side of The Moon Redux」(2023.10.08)
- ウィズイン・テンプテーション Within Temptation 「Wireless」(2023.08.12)
- ピンク・フロイドの頭脳・ロジャー・ウォーターズ「新『狂気』」10月公開 Roger Waters 「The Dark Side Of The Moon REDUX」(2023.07.23)
- ロジャー・ウォーターズ 2023欧州ライブ プロショット映像版 Roger Waters 「THIS IS NOT A DRILL - LIVE FROM PRAGUE 2023」(2023.06.23)
- イメルダ・メイ Imelda May 「11 Past the Hour」(2023.05.04)
「ピンク・フロイド」カテゴリの記事
- ピンク・フロイドの頭脳・ロジャー・ウォーターズ「新『狂気』」10月公開 Roger Waters 「The Dark Side Of The Moon REDUX」(2023.07.23)
- ロジャー・ウォーターズ 2023欧州ライブ プロショット映像版 Roger Waters 「THIS IS NOT A DRILL - LIVE FROM PRAGUE 2023」(2023.06.23)
- ロジャー・ウォータース Roger Waters 「The Lockdown Sessions」(2022.12.12)
- ロジャー・ウォーターズ Roger Waters 「Comfortably Numb 2022」(2022.11.25)
- ピンク・フロイド Pink Floyd 「Animals 2018 Remix」(2022.09.20)
「デヴィット・ギルモア」カテゴリの記事
- ピンク・フロイド Pink Floyd 「Animals 2018 Remix」(2022.09.20)
- ピンク・フロイド Pink Floyd 「HEY HEY RISE UP」(2022.08.06)
- 箱根アフロディーテ50周年記念の年として・・ピンク・フロイド(2021.12.01)
- ピンク・フロイドPink Floyd リミックス版「Animals」(5.1Surround)リリースか(2021.07.04)
- ピンク・フロイドの「the best of tour 72」の完全版の出現(2020.07.22)
「Progressive ROCK」カテゴリの記事
- ロジャー・ウォーターズ Roger Waters 「The Dark Side of The Moon Redux」(2023.10.08)
- ピンク・フロイドの頭脳・ロジャー・ウォーターズ「新『狂気』」10月公開 Roger Waters 「The Dark Side Of The Moon REDUX」(2023.07.23)
- ロジャー・ウォーターズ 2023欧州ライブ プロショット映像版 Roger Waters 「THIS IS NOT A DRILL - LIVE FROM PRAGUE 2023」(2023.06.23)
- ロジャー・ウォータース Roger Waters 「The Lockdown Sessions」(2022.12.12)
- ロジャー・ウォーターズ Roger Waters 「Comfortably Numb 2022」(2022.11.25)
コメント
風呂井戸氏の情報網の広さに感動します。よくもまあポーランド製のDVDを見つけましたね。
でも、ギルモアのライヴはピンク・フロイドのステージングや演出を借用した自分のソロ・ステージという感じがします。
一般的に第1部が自分のソロ曲、第2部が旧所属バンドの懐メロソングで大いに盛り上がるところですが、セットリストを見る限りでは入り混じっていますね。昔からのファンとしては、新旧分けてくれるとありがたいですね。
投稿: プロフェッサー・ケイ | 2016年10月25日 (火) 22時48分
プロフェッサー・ケイ様、こんにちわ。
おっしゃるように確かにギルモアはピンク・フロイドのステージングを流用していますね。円形スクリーンとライト・ショーはそのままです。ピンクロフロイドものの選曲も大きな変化なしですね。
今年のロジャー・ウォーターズは、ザ・ウォールの横長大スクリーン方式で、「アニマルズ」を中心に、”トランプは豚だ”とあの曲”Pig”を登場させましたね。なかなか辛辣にやってます。
両者のパターンの違いが面白いのですが・・・二人とも元気なようで、2つのフロイドを楽しんでいるというところですね。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2016年10月26日 (水) 18時08分