ディナ・ディローズDena DeRose の今年のアルバム「United」
ピアノ弾き語りの本場ニュー・ヨーク・ジャズ
<Jazz>
Dena DeRose 「United」
HIGHNOTE / USA / HCD 7279 / 2016
Dena DeRose(vo,p)
Martin Wind(b)
Matt Wilson(ds)
guests:Ingrid Jensen(tp on 1,7),Peter Bernstein(g on 2,8)
久々に本場ニュー・ヨーク・ジャズを聴く思いですね。ここでピアニストにしてシンガーのディナ・ディローズを取りあげたのも久しぶり(5年ぶり)です。ちょっと好みがユーロよりに傾く傾向のある私であって、ここに来て原点回帰、納得のアメリカン・ジャズ・アルバムを登場させる。
彼女は1966年生まれ(ニューヨーク州ビンガトン)であるから今年50歳というところ、円熟です。NYシーンで活躍中で、このアルバムも彼女とマーティン・ウィンドそしてマット・ウィルソンという10年来の鉄壁トリオでの作品。今回はトランペットとギターが曲によってゲスト参加で盛り上げる。
彼女のヴォーカルはしなやかな清澄ヴォイス、そしてしっとりとバラードをこなし、又ブルージー&グルーヴィーなところを聴かせる。それも情緒深いピアノ・プレイと相まって、何時聴いてもナイスなジャズを盛り込んでのニュー・アルバムだ。
(Tracklist)
1. United (Lyrics by Dena DeRose) (W. Shorter)
2. Only The Lovely (S. Cahn / J. Van Heusen)
3. Clockwise (C. Walton / D. DeRose)
4. So Far Away (C. King)
5. I'm Glad There Is You (J. Dorsey / P. Mertz)
6. Simple Song Of Love (M. Wind / D. DeRose)
7. Peace (H. Silver)
8. Sunny (B. Hebb)
9. Not You Again (D. Lamont)
スタートはウェイン・ショーターのナンバーに彼女が詩をつけてのダイナミックなハード・バップ演奏にちょっと驚いたが、2曲目”Only The Lovely ”からは彼女の本来のパターンでスロー・ナンバーをしっとりと・・・歌い上げると言うところ。特にこの曲ではギターがトリオに一味加えている。
とにかくバラード、ミディアム・スウィングのナンバーを自己の曲2曲を交えて癖の無いナチュラルな歌声を聴かせてくれ、ムードはまさにエレガントにロマンティックに世界に包まれる。いいですね、女性ジャズ・ヴォーカルはこうありたいです。
M4” So Far Away ”は、ポップスの曲で、生の声とイフェクトをかけた声をミックスさせての面白い仕上げをしているところが珍しい。
M6,”Simple Song Of Love ”は彼女とウィンドとの曲だが、ベースをアルコ・プレイでム-ドを盛り上げてのバックに、ジャズ世界と言うよりはカントリーっぽいというか優雅に歌い上げての曲に優しさがにじみ出ている。
いずれにしても、M7,”Peace ”のように、瑞々しさのある熟成された声で優しく包み込んでしっとり歌い込まれると納得してしまうと言うところである。この曲では私の好きなミュートを効かせたトランペットが、ぐっ~と深遠な世界に連れて行ってくれるし、後半のアップテンポへの締めくくりが凄い。私にとってはこのアルバム最高曲。
とにかく彼女の健在に万歳である。
彼女はこれまで約20年間にNYを基盤にして、Sharp Nine、MaxJazz、Vega、HighNote レーベルから本格的ジャズ・アルバムをリリースしているベテランである(参照↓)。
(Dena DeRose~Discography)
Introducing Dena DeRose (1996)
Another World (1999)
I Can See Clearly Now (2000)
Love's Holiday (2002)
A Walk in the Park (2005)
A Night in Claimont/The December 2nd Quartet (2006)
Live at Jazz Standard, Vol. 1 (2007)
Live at Jazz Standard, Vol. 2 (2008)
Stars (2010)
Travelin' Light (2012)
We Won't Forget You: An Homage to Shirley Horn (2014)
(参考視聴)
| 固定リンク
« 秋=レシェック・モジュジェル Leszek Możdżer の硬質・透明感のピアノ | トップページ | スティーヴン・ウィルソンSteven Wilson ベスト・アルバム 「TRANSIENCE」 »
「音楽」カテゴリの記事
- 須川崇志 Banksia Trio 「Ancient Blue」(2021.02.27)
- イーグルス Eagles 「Largo 1977」(2021.02.22)
- シャイ・マエストロ Shai Maestro 「Human」(2021.02.17)
- ルネッサンス Renaissance 「Sight and Sound in Concert」(2021.02.13)
- フェイツ・ウォーニング Fates Warning 「LONG DAY GOOD NIGHT」(2021.02.08)
「JAZZ」カテゴリの記事
- 須川崇志 Banksia Trio 「Ancient Blue」(2021.02.27)
- シャイ・マエストロ Shai Maestro 「Human」(2021.02.17)
- ヤン・ハルベック Jan Harbeck Quartet 「THE SOUND THE RHYTHM」 (2021.01.30)
- ニルス・ラン・ドーキー Niels Lan Doky 「Improvisation On Life」 (2021.01.25)
- エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi JAZZ ENSEMBLE 「TIME'S PASSAGE 」(2021.01.15)
「女性ヴォーカル」カテゴリの記事
- ルネッサンス Renaissance 「Sight and Sound in Concert」(2021.02.13)
- エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi JAZZ ENSEMBLE 「TIME'S PASSAGE 」(2021.01.15)
- モニカ・ホフマン Monika Hoffman 「TEN MUSES」(2021.01.11)
- アンドレア・モティス Andrea Motis 「do outro lado do azul もう一つの青」(2020.12.25)
- ローレン・ヘンダーソン Lauren Henderson 「Alma Oscura」(2020.12.12)
「ディナ・ディローズ」カテゴリの記事
- ディナ・ディローズ Dena DeRose 「Ode To The Road」(2020.07.10)
- ディナ・ディローズDena DeRose の今年のアルバム「United」(2016.10.05)
- ディナ・ディローズ Dena DeRose (2):「STARS / The December 2nd Quartet」(2011.03.16)
- ディナ・ディローズ Dena DeRose : エレガントな本格ジャズのシンガー・ピアニスト(2011.03.11)
「ピアノ・トリオ」カテゴリの記事
- 須川崇志 Banksia Trio 「Ancient Blue」(2021.02.27)
- シャイ・マエストロ Shai Maestro 「Human」(2021.02.17)
- ニルス・ラン・ドーキー Niels Lan Doky 「Improvisation On Life」 (2021.01.25)
- ウォルター・ラング Walter Lang Trio「TENS」(2020.12.29)
- 年末恒例の寺島靖国プレゼンツ「Jazz Bar 2020」(2020.12.21)
コメント
こんにちは
ディナ・ディローズは、なかなかよい歌手ですね。ピアノも上手で好きな一人です。来日して、どこかのクラブあたりに出演してくれれば、聴きに行きたいものです。このアルバムも買いました。
キャロル・ウェルスマンが来日するので、東京TUCの席を予約しました。楽しみですが、長野市在住には、往復の新幹線代などきついです。田舎に住んでいるので、仕方がないですが(笑)。
投稿: azumino | 2016年10月 8日 (土) 10時02分
azuminoさん、こんにちわ。
このような円熟してきた女性軍のジャズで、ピアノ弾き語りの世界は良いですね。
キャロル・ウェルスマンの予約されたのですか、良いですね。これはこれは羨ましい。ジャズはやっぱり大規模でないホールでのライブが最高ですね。上京は何かもう一つ二つ目的を持って行かれると(当然考えておられるでしょうが)そう大きな出費にもならないのでは?、と・・・・・。昔は、LPそしてCD漁りも新宿あたりでよくやったのですが・・・今は便利な社会となってその必要もなくなってますね。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2016年10月 8日 (土) 15時32分