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2016年10月29日 (土)

マデリン・ペルーMadeleine Peyrouxのニュー・アルバム「SECULAR HYMNS」

(ライブ録音)フォーキーでソウルフル・・・そしてフル-ジーに

<Jazz>
Madeleine Peyroux 「SECULAR HYMNS」
Impulse / JPN / UCCI-1033 / 2016

Secularhymns

Madeleine Peyroux マデリン・ペルー(vocal, guitar)
Jon Herington ジョン・へリントン(guitar)
Barak Mori バラク・モリ(bass)

2016年1月12,13日 英国-OxfordのParish Church Of Saint Mary The Virginでのライヴ録音

 
  マデリン・ペルー(1974年ジョージア州Athens生まれ)はインパルスImpulseに移籍したんですね、その第一弾アルバム。2016作1月12日にイギリスのオックスフォードにある古い教会にて、約100名の観客を入れてレコーディング。バラク・モリ(Ds)、ジョン・へリントン(g)と彼女のヴォーカルによるトリオによる演奏だ。

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 私は知らないのだが、世界的に有名だとうフレンチ・シェフのレイモンド・ブランという人が、グレイト・ミルトンという田舎に「ベルモンド ル・マノワール・オ・キャトル・セゾン」 というホテルを開き、そのイベントの一環でディナーの前に近くの12世紀の古い教会でのコンサートが行われた。そこに昨年マデリンのトリオが招待されたらしい。ところがマデリンは、そこが音響効果など良く、なかなかのお気に入りで数ヶ月後にそこで3日借り切ってライブ録音をしたのがこのアルバム。

Peyroux このブログでも彼女のアルバムは何度も取りあげてきたが、考えて見るとプロ20年のキャリアになるんですね。今時のビリー・ホリデイなんとも言われたが、ジャズ畑とは言ってもなかなか立派に彼女なりきの独特な世界を築いていて、それも私の好みとは若干違っていながらもなんとなく気になるんですね。今や、ニュー・アルバムがリリースされると、必ずそれを聴いているというところになっている。

 ヴォーカリストにしてソングライターの彼女だが、今回は全曲カヴァーでオリジナル曲はない(リストは下記)。しかもゴスペル系とトラッドからの曲が主で、スピリチュアルな世界を歌いあげる。。
 相変わらずフォーキーでフルージー、その唄い回しは意外になにげなくさらっとこなしている。しかしどこか哀愁があって、ソウフルで心に響いてくる~そんな不思議な世界なのだ。
 このトリオのベースとギターの演奏は、これまた肩の凝らないゆったりとしたもので、全体のムードはマデリンの歌声と共にトリオの息はピッタリで心安まる世界の構築に貢献している。
 異色のジャズ・アルバムだが充実度は高い。

(Tracklist)
1. ガット・ユー・オン・マイ・マインド Got You On My Mind
2. タンゴ Tango Till They're Sore
3. ハイウェイ・カインド The Highway Kind
4. エヴリシング・アイ・ドゥ・ゴナ・ビー・ファンキー Everything I Do Gonna Be Funky
5. イフ・ザ・シー・ワズ・ウイスキー If The Sea Was Whiskey
6. ハード・タイムス Hard Times Come Again No More
7. ハロー・ベイブ Hello Babe
8. モア・タイム More Time
9. シャウト・シスター・シャウト Shout Sister Shout
10. トランピン Trampin
11. イージー・カム・イージー・ゴー・ブルース (日本盤ボーナス・トラック)

(視聴) "Everything I Do Gonna Be Funky" from 「SECULAR HYMNS」

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2016年10月25日 (火)

デヴィッド・ギルモアDavid Gilmourライブ 「WROCŁAW 2016-Rattle That Lock World Tour」

ギルモアのニューアルバム・ライブも半分はピンク・フロイドもの

<Progressive Rock>

(映像版)David Gilmour
「COMPLETE WROCŁAW 2016-Rattle That Lock World Tour」

(Bootleg) Plac Wolności, Wrocław, Poland 25th June 2016

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  デヴィッド・ギルモアDavid Gilmourの ニュー・アルバム「Rattle That Lock 」にともなう昨年から今年にかけての「Rattle That Lock World Tour」も成功だった。ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカのライブだったが、Bootlegで何枚か映像版がリリースされている。ここに取りあげたのは、ポーランドでの放送用オフィシャル映像もので良好盤だ。

Dgilmour3 2枚組でこの日の全てを収録している。こうしたものがリリースされるので、近年は情報に事欠かず、サウンドもそれなりのもので演奏を観賞できる。そこに居ずして全容を感じ取ることが出来て良い時代ですね。昔はその内容の情報すら手に入れるのに大変だった。
 これはポーランドに於ける2016年6月もので、ディスク1がポーランドの公共テレビ局「TVP2」のHD放送だったのに対し、ディスク2は「TVP1」もので完全を期している。
 私はギルモアに関しては、「ピンクロフロイドもの」となると、余りにも4人体制時との本質的違いで、そのギャップであまり興味が無いのだが、ソロである「ギルモアもの」となると、別の意味で楽しみにしている。
 結論的には、やはりギルモアは、ソロで彼のやりたいところをピンク・フロイドという拘束なしに、女房のポリー・サムソンの力を借りてミュージック・プレイヤーとして作り上げるとなかなか味が出るのですね。もともとピンク・フロイドの彼のギター・サウンドは圧倒的支持を得たわけで、そのミュージシャンとしては完成域に有り、それを中心にしたロック・ショーと言うよりは、彼のミュージック・ショーとしての売りには大いに歓迎するところなんです。

List

 収録リストは上の通り。やはり彼のニュー・アルバムの「Rattle That Lock Tour」と言えども、”Time”、”Money”など半分以上は懐かしのピンク・フロイドもので、この映像を見ていても解るが、そちらの方に観衆は反応している。まあそれはそれでしょうがないのだろうが、ギルモアとしては若干複雑であったろう。

 彼のギターの演奏も既に”究極のギルモア世界”で完成しており今回は新しさは無かった。そして結構ヴォーカルものが多かったが、その力量はやっぱり少々低下していた。これも年齢からはやむをえないところだろう。
 これをみると、ジェフ・ベックはロッカーとして”まだ俺はやってるんだ”というところには頭が下がるが、ギルモアは既にロッカーというところでなく、ミュージシャンですね。もともとそうだったが。

 このライブでの一つのポイントは、ポーランドと言うことで”The Girl In The Tellow Dress”に、私の注目株のジャズ・ピアニストのLeszek Moźdźerがゲストとして登場したことだ。これはなかなかよい企画であった。この曲は今回のニュー・アルバムでは唯一ジャズ・ブルース調で私が注目したものだ。ピンク・フロイドを意識して問題意識を持とうなんてことをしてもロジャー・ウォーターズには及ばないので、ギルモアは自分なりきの姿で軽い曲作りでいたほうが、良い味が出るんですね。
 そしてお決まりの”Comfortably Numb”で打ち上げのスタイルをとっている。これはウォーターズも同じパターンであって、この2人の関係は如何にも・・・同じくしてピンク・フロイドをベースに持っての活動であると言うことに落ち着くのですね。

 今度は又ロジャー・ウォーターズが「US+THEM」ツアーに入るようで、この2人でピンク・フロイドからの独自の発展系を目指して人生の究極の姿を作り上げていってくれるのは大歓迎である。

(視聴) 

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2016年10月21日 (金)

エレン・アンデションEllen Andersson 「I'LL BE SEEING YOU」

スウェーデンからの新人女性ジャズ・ヴォーカルのカルテット・・・・・これはいけるかも

          Ellen Andersson エレン・アンデション

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<Jazz>
Ellen Andersson Quartet 「I'LL BE SEEING YOU」
PROPHONE / SWEDEN / PCD165  / 2016

IllbeseeingtouwEllen Andersson Quartet:
Ellen Andersson (vocal)
Anton Forsberg (guitar)
Hannes Jonsson (bass)
Sebastian Brydniak (drums)

special guests:
Peter Asplund (trumpet on 2,4,7)
Oilly Wallace (alto saxophone on 3,6,9)
2016年1月デンマークのコペンハーゲン録音

 1991年スウェーデン生まれの若手ながらな興味深い独特の味を持つ女性シンガーの登場だ。彼女は母国スウェーデンやデンマークのシーンで、ソロ歌手として、またヴォーカル・グループ「トゥシェTouché」(デンマーク)のメンバーとして精力的に活躍している。
 こうしてとにかく歌姫は世界で尽きること無くお目見えして来るわけで、歓迎です。

 このアルバムは彼女のヴォーカルにギター、ベース、ドラムスのカルテット・スタイルをとっているが、これがなかなかのインティメイトな雰囲気を盛り上げての演奏で、ジャズの持つ躍動と一方繊細な哀愁と、そしてスウィングすることも忘れずに自在に演じきっていて、そこに曲によってスペシャルゲストとしてのトランペット(Peter Asplund スウェーデン)、アルト・サックス(Oilly Wallace デンマーク)が乗ってくる。こんな洒落たジャズ演奏で、M4”Au Privave ”ではインスト部分たっぷり演じ、それに彼女の広域をカヴァーする魅力あるヴォーカルが乗ってくるといった洒落かただ。

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 スウェーデンということなのか、彼女の若干なまりのある英語が結構魅力を発揮するし、ややキュートに歌うところがあって、若さの割には訴えると言うか味を印象づけるヴォーカルを展開している。
 又M6” Gloomy Sunday ”では、ややハスキーな厚めのヴォーカルも聴かせ、低音から高音まで見事にカヴァーしていて芸達者ぶりも発揮。又M8”Smile ”は結構洒落たギターがたっぷりと演奏して、それにねっとりと彼女が唄うところはなかなかチャーミングでもある。

 いやはやこれはカルテットと言うだけあって、単なるヴォーカル・アルバムでないしっとりとしたジャズを聴かせるところが、私にとってはこれからの注目株だと捉えたところ。
 
(Tracklist)

1. 'S Wonderful
2. You've Changed (feat. Peter Asplund)
3. A Day In The Life Of A Fool (feat. Oilly Wallace)
4. Au Privave (feat. Peter Asplund)
5. I'll Be Seeing You
6. Gloomy Sunday (feat. Oilly Wallace)
7. Everything I Love (feat. Peter Asplund)
8. Smile
9. I Cried For You (feat. Oilly Wallace)

 (視聴)

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2016年10月18日 (火)

ノーサウンドnosoundのニュー・アルバム 「Scintilla」

Blu-ray 5.1surround 24bit/96kHz イメージ映像付きで登場!!

<Progressive Rock>

Nosound 「Scintilla」
CD+DVD   Kscope / Poland  / KSCOPE327 / 2016 

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 イタリアのマルチ奏者Giancarlo Erra 率いるNosoundは、又もやここに素晴らしいアルバム(5th)をリリースしてくれた。
 これも70年代に円熟したプログレッシブ・ロックを基礎にしての現代の一つの流れなんだろうなぁ~~と思っている。曲の流れは全体にスローであり、静かにして何か心に響くやや陰鬱さが聴きどころであるが、非常にサウンドは美しい。こうゆう世界を聴くと、ロックというのは単なる若者のミュージックと言うだけで無く、音楽としての大きな貴重な分野を築き上げたと思うのである。

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 おきまりのギター、ベース、キーボードそしてドラムスの構成に、このアルバムではチェロ、トランペット、フレンチホーン、トロンボーンと曲によって加わるが、基本的には彼らのNosoundサウンドは壊れていない。M5”Sogno E Incendio ”では泣きのギターも聴かれて、う~んやっぱりこれはロックの流れなんだと言うことが実感できる。
Original ちらっとステーヴン・ウィルソンを思い浮かべる英国的暗さもが感じられるところが、イタリアである彼らの味噌だろうなぁ~~。
 そして現在も健闘しているマリリオンMarillionが社会の陰影に迫ろうとするのと違って、彼らはイメージとしては、人間の深層心理に迫ろうとしているのではないかと思うのだ。ピンクロフロイドというかロジャー・ウォーターズの内省的なところに主眼を持って行った頃に若干通ずるところも感じられる。
  又このアルバムではAnathemaからVincent Cavanaghの協力を得て、M7”The Perfect Wife ”では非常にヴォーカルによる盛り上がりをみせるところもあり、M8”Love Is Forever ”美しいコーラスも聴かれ、彼らの世界が以前のアルバムよりは少し身近になってきたとも言える。
  しかし今日、このNosoundの世界を期待している輩は、知らないこともあって少ないのではないかと思うにつけ、広く聴いて欲しいと願うところである。

 ここに来てプログレのニュー・アルバムがいろいろと登場しているが、ユーロ系での廃れない流れに私なんかは大いに歓迎しているところである。

Songs / Tracklist

1. Short Story (2:24)
2. Last Lunch (7:00)
3. Little Man (4:38)
4. In Celebration Of Life (5:34)
5. Sogno E Incendio (4:44)
6. Emily (3:19)
7. The Perfect Wife (7:27)
8. Love Is Forever (2:51)
9. Evil Smile (4:33)
10. Scintilla (6:27)

Musicians

Giancarlo Erra / vocals, guitars, keyboards
Marco Berni / keyboards, vocals
Alessandro Luci / bass, upright bass, keyboards
Paolo Vigliarolo / acoustic & electric guitars
Giulio Caneponi / drums, percussion, vocals

guest musicians:
Marianne De Chastelaine / cello
Vincent Cavanagh / vocals (4,7)
Andrea Chimenti / vocals (5)

(視聴)

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2016年10月15日 (土)

アンジェイ・ワイダAndrzej Wajda監督 波乱の人生に幕

多くの教訓を残して90歳で死去

640  悲しい訃報ですが、'50年代後半からポーランド映画界での活躍によって、映画史に残る映画監督・巨匠アンジェイ・ワイダ Andrzej Wajdaが10月9日に亡くなった。90歳でした。

 初期の代表作「抵抗三部作」と言われる(「世代」、「地下水道」、 灰とダイヤモンド」)でも日本でも広く知られて来た訳だが、ポーランド社会の宿命的苛酷な運命を描き、それは国際的評価を得た。ポーランドの激動の時代に波瀾万丈の人生を生き抜いて来たワイダは、映画を通じて我々に多くの教訓を残してきた。

58_ その多くの作品の中でも、まず「灰とダイヤモンド」(1958)は、私の映画史に於いても重要な位置にある。ドイツ・ナチス占領下からドイツ降服に至った直後の1945年のポーランドを背景に、そこにみたソ連共産主義統治下の圧政に対しての抵抗組織に属した青年を描いたもの。その彼が労働党書記を暗殺しようとすることで起こる暗い悲劇の物語だ。ゴミ捨て場で人間の価値観も感じられない虫けらのように息絶える主人公のラストの姿の虚しさを見るにつけ、歴史に翻弄されるポーランドの悲劇そのものを描いて衝撃的でした。

   アンジェイ・ワイダは、1926年、ポーランド北東部スヴァウキ生まれ。第二次世界大戦中は反ナチスのレジスタンス活動に参加した。ウッチ映画大学を卒業後、1954年に「世代」で監督デビュー。常にポーランドを愛し、この国の苛酷な運命を描いた。
   81年には、ポーランド民主化を率いた自主管理労組「連帯」を題材にした「鉄の男」を発表し、カンヌ映画祭のパルムドール(最高賞)を獲得した。だが同年の戒厳令で映画は公開禁止となり、映画人協会長の職を追われた。その後一時消息不明となる。
 しかし民主化激動の89~91年には上院議員を務め、連帯議長から大統領に就任したワレサ氏の諮問機関「文化評議会」の議長に就いた。

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 2000年以降も80歳という高齢でありながら、創作意欲はすざまじく、ソ連によるポーランド軍人らの2万人以上と言われる大量虐殺事件が題材の「カティンの森」(07年)を製作した。この映画の描く虐殺された軍人の一人は彼の父親でもあったことから、ワイダにとってはようやく自由を勝ち取ったポーランドで描かざるを得なかった宿命の映画であっとも言える。この映画が日本に紹介されるまでは、彼の存在すら明らかで無く、投獄されていたという話もあった時期があった。その為この映画の出現は、映画以上に私にとっては驚きを持って歓迎したのであった。

 更にポーランド民主化への労働者に生まれた運動を描いた「ワレサ 連帯の男」(13年)などを発表した。もうここまで来ると映画の出来ということより彼の生きてきた執念の総決算という感じだった。
 そして今年、90歳になっても、共産主義時代を生きた前衛芸術家を描く新作を完成させたばかりだった。

 一方、ポーランドと言う国は歴史的にも日本との関係は良好で、今でも語られる杉浦千畝のユダヤ人救出、シベリアにおけるポーランド孤児救出、モンテ・カシーノの激戦にてポーランド部隊と日系人部隊の共闘などから親日家が多い。
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 芸術を愛するワイダも若き日に浮世絵などの日本美術に感銘を受け、そんなところからも親日家だった。87年に受賞した京都賞の賞金を基金に母国の古都クラクフに日本美術技術センター「マンガ」(→)を設立した。このセンターは日本の伝統工芸品や美術作品で中・東欧随一のコレクションを持っている。

 アンジェイ・ワイダの死は、世の定めとは言え日本にとっても悲しい出来事である。しかし彼もようやく安らかな時を迎えたのかも知れない。いずれにしてもご冥福を祈りたい。

(参考)<アンジェイ・ワイダ監督作品>

 世代 Pokolenie (1955年)
地下水道 Kanał (1957年)
灰とダイヤモンド Popioł i diament (1958年)
ロトナ Lotna (1959年)
夜の終りに Niewinni czarodzieje (1960年)
サムソン Samson (1961年
シベリアのマクベス夫人 Powiatowa lady Makbet (1962年)
Popioły (1965年)
Gate to Paradise (1968年)
すべて売り物 Wszystko na sprzedaż (1969年)
蝿取り紙 Polowanie na muchy (1969年)
戦いのあとの風景 Krajobraz po bitwie (1970年)
白樺の林 Brzezina (1970年)
婚礼 Wesele (1973年)
約束の土地 Ziemia obiecana (1975年)
大理石の男 Człowiek z marmuru (1977年)
麻酔なし Bez znieczulenia (1978年)
ヴィルコの娘たち Panny z Wilka (1979年)
ザ・コンダクター Dyrygent (1980年)
鉄の男 Człowiek z żelaza (1981年)
ダントン Danton (1983年)
ドイツの恋 Un amour en allemagne (1983年)
愛の記録 Kronika wypadków miłosnych (1986年)
悪霊 Les possédes (1988年)
コルチャック先生 Korczak (1990年)
鷲の指輪 Pierścionek z orłem w koronie (1992年)
ナスターシャ Nastasja (1994年)
聖週間 Wielki Tydzien (1995年)
Panna Nikt (1996年)
パン・タデウシュ物語 Pan Tadeusz (1999年)
Zemsta (2002年)
カティンの森 Katyń (2007年)
菖蒲 Tatarak (2009年)
ワレサ 連帯の男 Walesa. Czlowiek z Nadziei (2013年)

(アンジェイ・ワイダの人生)

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2016年10月12日 (水)

マリリオンMarillionのニュー・アルバム登場「F.E.A.R.」

健在なりⅡ期プログレ(1980年代)の雄

 プログレッシヴ・ロックも'70年末には衰退期を迎えたが、その'79年に、フィッシュ(ヴォーカル)、スティーヴ・ロザリー(ギター)、ディズ・ミニット(ベース)、ミック・ポインター(ドラムス)、ブライアン・ジェリマン(キーボード)をメンバーとして誕生した「マリリオンMarillion」は、その後、ベースがピート・トレワヴァス、キーボードがマーク・ケリーに交代はあったが、'82年にアルバム・リリース・デヴュー。
 彼らのアルバムは実にストーリー性が高く、しかも英国プログレッシヴ・ロックの伝統をふまえ、そこに革新性をも持って、プログレの低空飛行時代に我々を慰めてくれた。

Photo その後、'89年には、カリスマ的なヴォーカリストのフィッシュが脱退、新たに加入したスティーヴ・ホガースの才能が花開き、シリアスな問題にアプローチするというさらなる飛躍を遂げたマリリオン。その彼らが、あの最高作と言われる『Brave』 から22年、前作『Sounds That Can't Be Made』以来久々の(4年ぶり)スタジオ・アルバム『F.E.A.R』が登場した(18作目)。

<Progressive Rock>
Marillion 「Fuck Everyone And Run (F.E.A.R.) 」
Ward Records / JPN / GQCS90227 / 2016

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(Members) Steve Hogarth(Voc.), Mark Kelly(key.), Ian Mosley(Drum), Steve Rothery(G.), Pete Trewavas(Bass)

 17のパートから成る全6曲を展開。ここにもコンセプトを持ったストーリー性の高い問題意識の凝集がみられる。(Tracklist ↓)

Fearlist  オープニングは静かなアコギの調べ、ホガースのヴォーカルで、人間の欲望の形The Goldに焦点をあてた曲「EL DORADO」で、彼らのコンセプトをスタートさせる。サウンドは次第にキーボードを加え壮大な世界へと導く。これはまさにプログレの伝統そのものですね。この曲でのパート”FEAR”で、テーマであるMoneyに関わる醜い人間の姿を訴える。
 「LIVING IN FEAR」は、”万里の長城”、”マジノ線”、”ベルリンの壁”を挙げて"What a waste of time(なんて時間の無駄だ)"と・・・・。
 「THE LEAVERS」この曲では、インスト曲に彼らの今までの集大成の如くロザリーのギターも泣いて納得の演奏を聴かせる。
 「WHITE PAPER」で唄われるのは、納得出来ない社会に歳を重ねた彼らの空しさか?。
 「THE NEW KINGS」ここでは、民主主義・資本主義の限界、又一方ソ連の崩壊の生んだロシアの得体の知れない見るに堪えない姿・・・・・・"The New Kings"の正体は?。
 「TOMORROW'S NEW COUNTRY」は、現代の危機から未来はあるのだろうか・・・・と。

 彼らの現代社会に対しての批判的姿勢を貫いており、切々なる訴えとして危機感を歌い上げたトータル・コンセプト・アルバムであり、全編を通してサウンドは美しい。ホーガスのヴォーカルは相変わらず切なさを訴えるところで仕上がっている。

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 しかし、このアルバムを聴いて感ずることは、今の若者にこの心は響くところがあるのだろうかという疑問だ。既に時代はあの「反省の時代」を知らない世代で埋められているわけで・・・、これは「人間解放の60年代」を実感して過ごしてきた人間のみの感性に宿るところに終わってはしまわないだろうか?。人間の行動原理の裏に潜む危険性は常に反省の繰り返しとなってしまわないだろうか?。そんな疑問を感じながら聴いたアルバムであった。

(参考 Marillion  Discography)

「独り芝居の道化師」 - Script For A Jester's Tear (1983年)
「破滅の形容詞」 - Fugazi (1984年)
「過ち色の記憶」 - Misplaced Childhood (1985年)
「旅路の果て」 - Clutching At Straws (1987年)
「美しき季節の終焉」 - Seasons End (1989年)
「楽園への憧憬」 - Holidays In Eden (1991年)
「ブレイヴ」 - Brave (1994年)
「アフレイド・オブ・サンライト」 - Afraid Of Sunlight (1995年)
「ディス・ストレンジ・エンジン〜遠い記憶に」 - This Strange Engine (1997年)
「レイディエーション」 - Radiation (1998年)
Marillion.com (1999年)
Anoraknophobia (2001年)
Marbles (2004年)
Somewhere Else (2007年)
Happiness is the Road (2008年)
Less Is More (2009年)
Sounds That Can't Be Made (2012年)
F.E.A.R. (2016年)

(試聴)

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2016年10月 8日 (土)

スティーヴン・ウィルソンSteven Wilson ベスト・アルバム 「TRANSIENCE」

ソロ名義ベスト・アルバムの登場~それは美しかった

<Progressive Rock>
Steven Wilson  「TRANSIENCE」
K Scope / Germ /  KSCOPE411 /  2016

Transience
  私にとっては、今やプログレ・ロック界の最も期待の人はスティーヴン・ウィルソンだ。
 近作は『HAND.CANNOT.ERACE』2015)、『4 1/2』2016)の2作で、ここで既に取りあげたのであったが、今ニュー・アルバムというのはちょっと早い(目下は構想をねっているはずだが)のであるが・・・。
 しかし嬉しいことに、ここに彼のベスト盤がリリースされたのだ。それは 2015年にアナログ盤のみでリリースされた『TRANSIENCE』のCD盤。
 彼のバンドの「ポーキュパイン・トゥリー」ものでなく、ソロ名義のほうの3アルバムからのベスト盤。その中の数曲は、2016年最新リマスターを施されていて、そこにボーナストラックを追加収録したものだ。
 日本盤は高音質のK2HD+HQCD仕様だが、私はまあそこまでは期待しないで一般標準CD盤(ドイツ盤~1000円以下で手に入るので)でお茶を濁している。
 基本的に歌モノの寄せ集め集である。

(Tracklist)
1. Transience (Single Version) (3:10)
2. Harmony Korine (2016 Remaster) (5:07)
3. Postcard (4:28)
4. Significant Other (2016 Remaster) (4:31)
5. Insurgentes (2016 Remaster) (3:55)
6. The Pin Drop (5:01)
7. Happy Returns (Edit) (5:11)
8. Deform To Form A Star (Edit) (5:53)
9. Happiness III (4:31)
10. Thank You (4:39)
11. Index (4:47)
12. Hand Cannot Erase (4:13)
13. Lazarus (2015 re-recording) (3:57)
14. Drive Home (7:33)

  このアルバム自体は、ベスト盤という性質からみて多くは期待するところに無いが、全体に選曲内容は、(プログレッシブなアプローチの下に、ヘビーでメタリックなサウンドも得意としているスティーヴンであるが)殆ど静かな叙情的な世界を歌い上げる曲集というところ。その為なかなか美しいアルバムに仕上がっている。こうして聴くと、こんなに優しかったのか?と思うところであったが、とにかくちょっと暇つぶしには良い。

       *         *         *         *

 今回はそんな訳で、スティーヴン・ウィルソンの歩んできた歴史にスポットを当ててみると・・・・

 1967年、英国ヘメル・ヘムステッド出身。幼いときに父親の聴くPink Floydの『狂気』に感動、ミュージックというものに興味を持つようになったという。

2823451■バンド活動
 80年代には、Porcupine Tree(→)そしてNo-Manというプロジェクトを始動。当初Porcupine Treeはスティーヴンのソロ・プロジェクトであったが、93年以降はバンド形態となり、3rdアルバム『The Sky Moves Sideways』からは完全なバンドとなった。そして計10枚のスタジオ・アルバムをリリースしてくれて(下記)、プログレッシブ・ロックの再興を企ててくれた。それはサイケデリックと言われたり、プログレ・メタルとも言われたが、フロイド、イエス、クリムゾンの英国御三家では、私にとっては嬉しいことに、ピンク・フロイドに最も近い世界を構築した。このあたりはこのブロクでも何回と取りあげてきたので見て欲しい。
(参照:当ブログ・カテゴリー「ポーキュパイン・トゥリー」)
 彼は2008年にソロ名義のバンドでアルバムをリリースするようになり、このバンドPorcupine Treeは、2010年に活動休止状態至っているが、15年の経過の中でいくつもの傑作を世に送り出した。

<Porcupine Tree~Studio albums>
71afpvclmkl__sl1286_①On the Sunday of Life... (1992)
②Up the Downstair (1993)
③The Sky Moves Sideways (1995)
④Signify (1996)
⑤Stupid Dream (1999)
⑥Lightbulb Sun (2000)
⑦In Absentia (2002)
⑧Deadwing (2005)
⑨Fear of a Blank Planet (2007)
⑩The Incident (2009)

          
  *          *          *

■目下のソロ活動
 2008年には、ミュージシャンとしての一つの転機であったのか、初のソロ名義作品『インサージェンス』を発表。その後既に5枚のスタジオ・アルバムをリリースし、キング・クリムゾンばりのハードにしてメタリックな世界も作り上げている。
 (参照:当ブログ・カテゴリー「スティーヴン・ウィルソン」 )

 一方、彼のエンジニアとしての手腕も高く買われているところが興味ある重要なポイント。
 プログレ系の大御所King CrimsonやEmerson, Lake & Palmerの過去の名盤の再発に当たっては、彼による最新リミックスが施され、高評価を得ている。
 彼のサウンドへの拘りはPorcupine Treeのアルバムでも生きていて、2007年発表の『フィアー・オブ・ア・ブランク・プラネット』や、2009年の『ジ・インシデント』、それに加えソロ第2弾の2011年『グレイス・フォー・ドロウニング』などでは、米グラミー賞の”ベスト・サラウンド・サウンド・アルバム”としてノミネートされるに至っている。

<スティーヴン・ウィルソン-ソロ・スタジオ・アルバム>
51fdoxdhm6l①Insurgentes (2008年)
②Grace for Drowning (2011年)
③The Raven that Refused to Sing (And Other Stories) (2013年)
④Cover Version (2014年)
⑤Hand. Cannot. Erase (2015年)
⑥4 1/2  (2016年)


(直近ソロ・バンド・メンバー)
Steven Wilson(ボーカル、ギター、キーボード、メロトロン、ベース・ギター、バンジョ)
Guthrie Govan(ギター)、
Nick Beggs(ベース・ギター)、
Adam Holzman(キーボード、ハモンド、ムーグ・シンセ)、
Marco Minnemann(ドラム)


(試聴)

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2016年10月 5日 (水)

ディナ・ディローズDena DeRose の今年のアルバム「United」

ピアノ弾き語りの本場ニュー・ヨーク・ジャズ

 <Jazz>
  Dena DeRose  「United」
 HIGHNOTE / USA / HCD 7279 / 2016

United  
Dena DeRose(vo,p)
Martin Wind(b)
Matt Wilson(ds)
guests:Ingrid Jensen(tp on 1,7),Peter Bernstein(g on 2,8)

 久々に本場ニュー・ヨーク・ジャズを聴く思いですね。ここでピアニストにしてシンガーのディナ・ディローズを取りあげたのも久しぶり(5年ぶり)です。ちょっと好みがユーロよりに傾く傾向のある私であって、ここに来て原点回帰、納得のアメリカン・ジャズ・アルバムを登場させる。
 彼女は1966年生まれ(ニューヨーク州ビンガトン)であるから今年50歳というところ、円熟です。NYシーンで活躍中で、このアルバムも彼女とマーティン・ウィンドそしてマット・ウィルソンという10年来の鉄壁トリオでの作品。今回はトランペットとギターが曲によってゲスト参加で盛り上げる。
 彼女のヴォーカルはしなやかな清澄ヴォイス、そしてしっとりとバラードをこなし、又ブルージー&グルーヴィーなところを聴かせる。それも情緒深いピアノ・プレイと相まって、何時聴いてもナイスなジャズを盛り込んでのニュー・アルバムだ。 

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(Tracklist)
1. United (Lyrics by Dena DeRose) (W. Shorter)
2. Only The Lovely (S. Cahn / J. Van Heusen)
3. Clockwise (C. Walton / D. DeRose)
4. So Far Away (C. King)
5. I'm Glad There Is You (J. Dorsey / P. Mertz)
6. Simple Song Of Love (M. Wind / D. DeRose)
7. Peace (H. Silver)
8. Sunny (B. Hebb)
9. Not You Again (D. Lamont)




 スタートはウェイン・ショーターのナンバーに彼女が詩をつけてのダイナミックなハード・バップ演奏にちょっと驚いたが、2曲目”Only The Lovely ”からは彼女の本来のパターンでスロー・ナンバーをしっとりと・・・歌い上げると言うところ。特にこの曲ではギターがトリオに一味加えている。
 とにかくバラード、ミディアム・スウィングのナンバーを自己の曲2曲を交えて癖の無いナチュラルな歌声を聴かせてくれ、ムードはまさにエレガントにロマンティックに世界に包まれる。いいですね、女性ジャズ・ヴォーカルはこうありたいです。
 M4” So Far Away ”は、ポップスの曲で、生の声とイフェクトをかけた声をミックスさせての面白い仕上げをしているところが珍しい。
 M6,”Simple Song Of Love ”は彼女とウィンドとの曲だが、ベースをアルコ・プレイでム-ドを盛り上げてのバックに、ジャズ世界と言うよりはカントリーっぽいというか優雅に歌い上げての曲に優しさがにじみ出ている。
 いずれにしても、M7,”Peace ”のように、瑞々しさのある熟成された声で優しく包み込んでしっとり歌い込まれると納得してしまうと言うところである。この曲では私の好きなミュートを効かせたトランペットが、ぐっ~と深遠な世界に連れて行ってくれるし、後半のアップテンポへの締めくくりが凄い。私にとってはこのアルバム最高曲。
 とにかく彼女の健在に万歳である。

 彼女はこれまで約20年間にNYを基盤にして、Sharp Nine、MaxJazz、Vega、HighNote レーベルから本格的ジャズ・アルバムをリリースしているベテランである(参照↓)。

(Dena DeRose~Discography)
Introducing Dena DeRose (1996)
Another World (1999)
I Can See Clearly Now (2000)
Love's Holiday (2002)
A Walk in the Park (2005)
A Night in Claimont/The December 2nd Quartet (2006)
Live at Jazz Standard, Vol. 1 (2007)
Live at Jazz Standard, Vol. 2 (2008)
Stars (2010)
Travelin' Light (2012)
We Won't Forget You: An Homage to Shirley Horn (2014)

(参考視聴)

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2016年10月 1日 (土)

秋=レシェック・モジュジェル Leszek Możdżer の硬質・透明感のピアノ

ショパンから始まったモジュジェルのジャズ・ピアノ

 今年の天候の変化は例年にはない様相を示す事が多かったが、そうは言ってもやっぱり10月の声を聞くと風情は「秋」ですね。
 そんな秋に覗いた好天は、やっぱり澄んだ青空である。そんな秋には透明感抜群のピアノの調べがいかにもお似合いというところで・・・・思い起こすのはジャズ畑では、ポーランドのレシェック・モジュジェルLeszk Możdżerですね。彼はショパンのジャズ化を成し遂げた(アルバム「Chopin - impressions 」1994年)。

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 ジャズ・ピアノと一口に言っても、演者による音の質の違いは多種多様。同じピアノといってもこれほど音が違うのかと思うと凄い。中でも冷たく硬質にして透明というところでは、このレシェック・モジュジェルがナンバー1だろうと思う。暖かいピアノの音というのはよく私には解らないのだが、この硬質にして冷たいと思われるほどの透明感というのが実は私は好きなんです。

P9271737trw そして不思議に私の愛用している40年以上前のエレクトロヴォイスのスピーカー( EV SP-15A,  エンクロージュアE-15II)が、この空気の乾燥してきた秋になると気のせいか彼のピアノを良く響かせてくれるんですね。
 もともとスピーカーから出す最も難しい音というのがピアノの音と言われるところで、これが上手く鳴れば名スピーカーと言って良いらしい。まあ私のものはそこまでは当然ゆくことはないのだが、秋はどうした訳か、このスピーカーとしてはベストな音を出してくれるのです。

Piano■ <Jazz> 
Leszk Możdżer 「piano」
OUTSIDE MUSIC / EU / OM CD 005 / 2009


 余談はさておき、彼の関係したアルバムは、このブログでもいろいろと過去に取りあげてきたのであるが、私の持ち物の中では、この彼の2004年のソロ・アルバム『pianoピアノ』で彼の持ち味は十分堪能させられた。
 このアルバムは収録12曲中7曲は彼のオリジナル曲で締められており、それはメロディアスで聴き慣れた曲で無いために若干取っつきにくかった。
 それも彼のLars Danielssonとの共演ものなどのように、実にメロディアスであり叙情性にも富んでいて聴き惚れてしまうのだが、それとは相対している為というところによるのだと思う。

 しかし彼のソロといえば何時ぞやここで取りあげた『コメダKomeda』(ACT /Germany / ACT9516 / 2011  (参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/leszek-moder-06.html )が良いですね。あれは最高です。私の好きな”Sleep Safe and Warm ローズマリーの赤ちゃん”が演じられているという事だけでなく全体に好きですね。お勧め品。

61rsaqo■ <Jazz>
Możdżer  Danielsson  Fresco  
「THE TIME」
OUTSIDE MUSIC / OM CD001 / 2005

 このアルバムはモジュジェルのLars Danielsson (Cello ,Bass) と、 Zohar Fresco(Percussion, Vocal) とのトリオもの。もう10年も前のアルバムであり、このトリオとしては、この後に『Between Us And The Light』(2006)、『Polska』(2013)の2作がリリースされている。
 私の場合この2005年の『THE TIME』は、2014年に3作目の『Polska』を聴いてから逆にこの不思議なトリオの原点を知りたくなって後から手に入れ聴いたものだ。しかしその結果は、素晴らしさに感動したもので、従ってここに取りあげているという次第。(私にとってはアルバム『Polska』よりは愛着のあるものとなっている)
  曲は下記のとおりで、殆どモジュジェルとダニエルソンのオリジナル。

1. Asta +
2. Incognitor * 
3. Sortorello
4. Tsunami *
5. The Time * #
6. Asta II +
7. Easy Money *
8. Smells Like Teen Spirit
9. Svantetic
10. Suffering +
11. Trip To Bexbach *
12. Asta III +
13. Suffering +

(*印:Możdżer, +印:Danielsson, #印:Fresco)

 『Polska』については、私から見るとどうも異なる三者の不思議な異色トリオ作として捉えたわけだが(参照:http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/polska.html )、
  こちらのこのトリオのオリジナル・アルバム『THE TIME』も決して並の世界で無い。やはりその醸し出すムードは異色である。しかしそこにはなんの抵抗もなく自然とその世界に溶け込んで行く魅力のある曲群で占められていて、このトリオものの中では一番好きなアルバム。それはどうもトラッドをベースにした曲展開で、どこか郷愁を誘ってきて、それは我々日本人にも伝わってくるのではないか。
 もともとLars Danielsson はスウェーデンのベース&チェロ奏者、作曲家で、どちらかというと甘いメロディーで取っつきやすい。ACTレーベルからの彼の作品はどれもなかなか素晴らしい。そしてスウェーデン、ポーランドと、いったところからモジュジェルとの関係は不思議なことでは無い。
 ところがパーカッションのイスラエルのZohar Frescoとの関係が、どうしてこうなったのか解らない(過去に映画のサントラでモジュジェルは共演したらしいが・・・)。彼の強烈な個性が中近東風の異国ムードを作り上げ、このトリオの特徴となっていることは間違いない。しかしそこにモジュジェルの硬質で澄んだピアノの音が、従来のユーロ系のピアノ・トリオと違った世界を構築して面白いのである。

(参考1)Możdżer  Danielsson  Fresco のライブ映像を見ると、Możdżerは、ピアノはジャズ・ミュージシャンに多いSteinway & SonsでなくYAMAHAを使ってますね。

(参考2=Leszek Możdżer - Discography)
Chopin - impressions (1994)
Talk to JesusJazz Forum (1996)
Facing the Wind,  (1996)
Chopin Demain-Impressions (1999)
Makowicz vs Możdżer,  (2004)
Piano (2004)
Możdżer, Danielsson, Fresco – The Time,  (2005)
Możdżer, Danielsson, Fresco – Between Us And The Light,  (2006)
Pasodoble ,  (2007)
Firebird V11,  (2008)
Kaczmarek by Możdżer (2010)
Komeda (2011)
Możdżer, Danielsson, Fresco – Polska (2013)

(試聴)Możdżer Danielsson Fresco

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