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2016年10月12日 (水)

マリリオンMarillionのニュー・アルバム登場「F.E.A.R.」

健在なりⅡ期プログレ(1980年代)の雄

 プログレッシヴ・ロックも'70年末には衰退期を迎えたが、その'79年に、フィッシュ(ヴォーカル)、スティーヴ・ロザリー(ギター)、ディズ・ミニット(ベース)、ミック・ポインター(ドラムス)、ブライアン・ジェリマン(キーボード)をメンバーとして誕生した「マリリオンMarillion」は、その後、ベースがピート・トレワヴァス、キーボードがマーク・ケリーに交代はあったが、'82年にアルバム・リリース・デヴュー。
 彼らのアルバムは実にストーリー性が高く、しかも英国プログレッシヴ・ロックの伝統をふまえ、そこに革新性をも持って、プログレの低空飛行時代に我々を慰めてくれた。

Photo その後、'89年には、カリスマ的なヴォーカリストのフィッシュが脱退、新たに加入したスティーヴ・ホガースの才能が花開き、シリアスな問題にアプローチするというさらなる飛躍を遂げたマリリオン。その彼らが、あの最高作と言われる『Brave』 から22年、前作『Sounds That Can't Be Made』以来久々の(4年ぶり)スタジオ・アルバム『F.E.A.R』が登場した(18作目)。

<Progressive Rock>
Marillion 「Fuck Everyone And Run (F.E.A.R.) 」
Ward Records / JPN / GQCS90227 / 2016

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(Members) Steve Hogarth(Voc.), Mark Kelly(key.), Ian Mosley(Drum), Steve Rothery(G.), Pete Trewavas(Bass)

 17のパートから成る全6曲を展開。ここにもコンセプトを持ったストーリー性の高い問題意識の凝集がみられる。(Tracklist ↓)

Fearlist  オープニングは静かなアコギの調べ、ホガースのヴォーカルで、人間の欲望の形The Goldに焦点をあてた曲「EL DORADO」で、彼らのコンセプトをスタートさせる。サウンドは次第にキーボードを加え壮大な世界へと導く。これはまさにプログレの伝統そのものですね。この曲でのパート”FEAR”で、テーマであるMoneyに関わる醜い人間の姿を訴える。
 「LIVING IN FEAR」は、”万里の長城”、”マジノ線”、”ベルリンの壁”を挙げて"What a waste of time(なんて時間の無駄だ)"と・・・・。
 「THE LEAVERS」この曲では、インスト曲に彼らの今までの集大成の如くロザリーのギターも泣いて納得の演奏を聴かせる。
 「WHITE PAPER」で唄われるのは、納得出来ない社会に歳を重ねた彼らの空しさか?。
 「THE NEW KINGS」ここでは、民主主義・資本主義の限界、又一方ソ連の崩壊の生んだロシアの得体の知れない見るに堪えない姿・・・・・・"The New Kings"の正体は?。
 「TOMORROW'S NEW COUNTRY」は、現代の危機から未来はあるのだろうか・・・・と。

 彼らの現代社会に対しての批判的姿勢を貫いており、切々なる訴えとして危機感を歌い上げたトータル・コンセプト・アルバムであり、全編を通してサウンドは美しい。ホーガスのヴォーカルは相変わらず切なさを訴えるところで仕上がっている。

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 しかし、このアルバムを聴いて感ずることは、今の若者にこの心は響くところがあるのだろうかという疑問だ。既に時代はあの「反省の時代」を知らない世代で埋められているわけで・・・、これは「人間解放の60年代」を実感して過ごしてきた人間のみの感性に宿るところに終わってはしまわないだろうか?。人間の行動原理の裏に潜む危険性は常に反省の繰り返しとなってしまわないだろうか?。そんな疑問を感じながら聴いたアルバムであった。

(参考 Marillion  Discography)

「独り芝居の道化師」 - Script For A Jester's Tear (1983年)
「破滅の形容詞」 - Fugazi (1984年)
「過ち色の記憶」 - Misplaced Childhood (1985年)
「旅路の果て」 - Clutching At Straws (1987年)
「美しき季節の終焉」 - Seasons End (1989年)
「楽園への憧憬」 - Holidays In Eden (1991年)
「ブレイヴ」 - Brave (1994年)
「アフレイド・オブ・サンライト」 - Afraid Of Sunlight (1995年)
「ディス・ストレンジ・エンジン〜遠い記憶に」 - This Strange Engine (1997年)
「レイディエーション」 - Radiation (1998年)
Marillion.com (1999年)
Anoraknophobia (2001年)
Marbles (2004年)
Somewhere Else (2007年)
Happiness is the Road (2008年)
Less Is More (2009年)
Sounds That Can't Be Made (2012年)
F.E.A.R. (2016年)

(試聴)

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コメント

このアルバムは、最新のイギリス・アルバム・チャートでもベスト10内にランクしているようで、ネオ・プログレ界の生存者として、根強い人気を保っているようです。

 日本でも国内盤も出るようで、ネット全盛の現在でもそれなりの売り上げが期待できるということでしょうか。

 このアルバムもまた、秋にふさわしいマスト・アイテムだと思うのですが、どうでしょうか。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2016年10月18日 (火) 22時25分

プロフェッサー・ケイさん、お早うございます。
 そうですか、英国でベスト10入りですか?、さすがマリリオンとなると、既に英国ではビッグになっているんでしょうね。
 しかし、彼らは一つのパターンをじっと守ってアルバム造りをしているところに価値がありますね。プログレ派の私としては嬉しいことです。

投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2016年10月19日 (水) 07時38分

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